「ただいま~」
「帰ったぞー」
「もう、いきなりすぎだよ」
「すんだことだろ」
明久・洸也・兼人・つぐみは教室に戻ってきた。
雄二はそれを確認すると席を立ってこう言った。
「あ~……ほら、おまえら。今からミーティングすんぞ。ついてこい」
という雄二の声を聞いて、つぐみ達は雄二の後を追う。
屋上に通じる扉を開けてくぐると、太陽の下にでる。
雲ひとつない青空に、優しい春風が吹いた。
その春の日差しに、はためく瑞希のスカートに注視するムッツリーニ以外のメンバーは目を細める。
「お前ら、宣戦布告はしてきたんだな?」
雄二はフェンス前にある段差に腰を下ろしながら聞いた。
「うん。今日の午後開戦って伝えておいたよ」
「それじゃ、先にお昼ご飯だね」
明久は頷くとつぐみは笑顔でそう言った。
「そうなるな。しっかり腹ごしらえしとけよ? 明久に兼人」
「「わかってるよ」」
雄二にいわれて明久と兼人は頷いた。
「アキヒサのオ弁当はチャンと用意しテあリまスよ♪」
「ありがとう、明香」
明久の隣に腰を下ろす明香は絆創膏まじりの指のままで手渡す。
これも彼女の努力の現れだろう。
「はい、兼人。 一応辛くはしているけど、辛さが足りないなら調整してね」
「わかってるって♪」
つぐみはため息まじりに弁当を手渡すと、兼人は受け取り一口食べて満足気に頷いている。
それを見てふう、と息をもらすつぐみだった。
その光景を見てムッツリーニが目をむく。
「妬ましい……」
「なるほど、今までの弁当は、全部、可愛い幼なじみのお手製か?」
二人がうらやましそうに見ていた。
「うん、自分で作りたいらしいからね。 でも、僕もたまに作るよ」
「アキヒサの料理ハ美味しイでス♪」
苦笑しながら明久が言うとにこにこ笑顔で明香は言った。
「こーーーーーーーーーーーーちゃあぁぁぁぁんっ!!」
「…………っ!?」
屋上の扉が開かれて、咄嗟に動く康太。
その場所に突撃してくる巨体で長身の持ち主はずべっと倒れる。
「ちょっと、土屋! なにしてるの!?」
「だ、大丈夫ですか!?」
非難してから美波と瑞希は慌てて少女に近寄り、助け起こす。
「う、うぅ……こーちゃん。 なんで避けるの?」
「……そ、それは」
うるると涙目で見上げる少女に康太はしどろもどろになっていた。
「土屋くん、あんまり回避しすぎはよくないわよ」
「……小山」
腕を組んだまま歩いてくる女生徒に康太は安心したように苗字を呼ぶ。
「ゆかちゃーん! こーちゃんがぁっ」
「ああはいはい。 飛びつく回数を減らせば大丈夫だから、ね?」
抱きつかれても慣れているのか頭を撫でている小山友香。
そして康太を見るとぶんぶんと頷く康太。
「うん、気をつけるけど……こーちゃん分が」
「そこらへんはなんとかしてくれるわよ」
友香に言われて綾菜は頷いた。
「まあ、つまり明久も弁当作れるということじゃな」
どこか苦笑しながら秀吉もつぶやいてると。
「よし、その件はここまでだ。試召戦争の話に戻ろう」
雄二のその言葉で、みんなの雰囲気が切り替わる。
「綾菜はこっちよ」
「はーい」
綾菜と友香はその場から離れた。
「雄二。一つ、気になっていたんじゃが、どうしてDクラスなんじゃ?
段階を踏むならEクラス。勝負にでるなら直接Aクラスじゃろう?」
秀吉が疑問を提示する。
「そういえばそうだね」
つぐみも不思議そうに首を傾げる。
「ああ。確かに理由はある」
雄二は鷹揚にうなずいた。
「どんな理由ですか?」
「理由はいくつかあるが、Eクラスを攻めない理由は簡単。戦うまでもない相手だからだ」
「え? でも、クラスは僕らより上だよ?」
「振り分け試験時点ではそうだったかもしれない。だが、実際はちがう。
明久、いまおまえの目の前にいるメンツをよく見ろ」
言われて明久は改めて周りのメンバーを見渡す。
「鈍感が一人と秀吉が一人と美少女が三人、美幼女が1人にバカが三人とムッツリが一人いるね」
「ヒドいよ、アキくん! あたしそんなにちっちゃくないよ!!」
明久がそう言うとつぐみが抗議する。
「誰が美少女だと!?」
「つぐみ落ち着いて?! そして、何で雄二が美少女に反応するの!?」
「アキヒサ、ワたシはムッツリよバわリでスか~?」
「………(ポッ)」
「明香にムッツリーニまで!? どうしよう、ぼくのツッコミ能力じゃ対処しきれないよ!」
「まあまあ。落ち着くのじゃ皆の衆」
カオスになりかけた空気を、秀吉が治める。
「そうだな。ま、要するにだ。姫路に問題がない以上、正面からやりあってもEクラスには勝てる。
俺たちの目標は、あくまでもAクラス。Eクラスとやり合っても、得るものは無い。
だったらやる必要はないだろ?」
「なら、Dクラスとやり合うことには、意味があるってことだね?」
「彰仁の言うとおり、Dクラス戦はAクラス打倒に必要なプロセスだ。
それに、派手にやって景気づけにしておきたいしな」
そう言って、雄二が力強い笑みを浮かべる。
「あ、あの!」
不意に瑞希が大きな声をあげた。
「ん? なんだ姫路」
「坂本君たちは、前から試召戦争について話し合っていたんですか?」
「ああ、それか。じつはさっき、姫路のためにって明久に相談されて『それはそうと!』」
雄二の言葉を遮るように、明久が大きな声を出す。
「さっきの話、Dクラスに勝てなきゃ意味がないと思うけど?」
「負けるわけがない」
切って捨てる。そして、その場にいるメンバーを見渡した。
「おまえ等が俺に協力してくれれば、必ず勝てる」
力強い言葉。
「いいか、おまえら。ウチのクラスは……最強だ」
根拠のない言葉。だが、その言葉は確実に、彼らに力を与えた。
「いいわね……面白そうじゃない!」
「なんかやれそうだって気になるね」
「やれるだけやってるやるさ」
「そうじゃな。Aクラスの連中を引きずり落としてやるかの」
「う~ん♪ 燃えてくるわね♪」
「…………(グッ)」
「やろう! みんな!」
「が、頑張りますっ」
意気をあげるみんなに雄二は笑いかける。
「よし、作戦を説明する」
そして、meetingが本格的にはじまった。