魔法と科学の共鳴世界   作:杜木 馨

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13話 六道の一と二

 

「弱い仲間が居ると、足手まといだなぁ、お前もついてない、こんなやつと一緒に戦って、そして負けて、売られる」

「そうだなぁ、足でまといは必要ないな、戦いの邪魔だ」

 

少し俯いて知る深龍の顔は不気味な笑みをこぼしていた。

 

「晴奈、そのままじっとしてな」

「何をそんなにヘラヘラしてんだよ?」

 

相手をあざ笑うかのようなその顔は見るだけで恐怖するだろう。

その時、垂れ下がっているい深龍の右手が青白く発光したのを二郎は見ていた。

その光は点滅から、バチバチと雷の如く光だし深龍の手にまとわりつく。

そして右手がすうぅと肩の位置まで上がった。

そして――、蒼雷(そうらい)の刃が晴奈と二郎の2人を穿った。

 

「おっ……、お前……、仲間ごと」

 

隣にいた一郎が驚き二郎の方を見る。

深龍のゆっくりとした動きだったのにも関わらず動く事が出来なかった。

 

「俺に仲間などいない。足手まといになるような仲間など論外だ」

「仲間じゃ……、ないというのか」

「あぁ、仲間など必要ないからな」

 

とゴポット、血反吐を吐いた。晴奈も同じくだ。

だが貫かれた位置は二人で違う。

二郎は心臓に近い位置だが、晴奈は背が低いので肩のあたりで急所は避けられている。

 

「兄者早く……、彼奴を……」

「……」

 

無言のまま立ったままでいる不動一郎。

名前の通りに動かない、いやそもそも動く気配すらしない。

 

「無駄だ、彼は動けないさ」

 

不動二郎の目が右に左に、動き動揺がうかがえる。

 

「な、なぜ!!」

「自分が今抱えている存在をよく見てみな、それは誰だ?」

「俺は敵の女っ――!!」

「晴奈は今俺の隣にいるぞ」

 

深龍の後ろから歩いて姿を現わす晴奈。

二郎は自分が今捕まえて居る少女が目の前に現れ驚き、恐る恐る自分が抱えている人を見たら、髪の長い少女ではなかった。いつのまにか同じ背丈の自分と振り二つの一郎の後ろ姿だった。

 

「二郎……、おまっ……、」

 

一郎の口には血がついている。

 

「あ、ああぁぁ!! 兄者っ!!!」

 

不動二郎が捕まえた思っていた人物は晴奈ではなく、兄貴の不動一郎だった。

 

「一体どうやって……、俺には幻術耐性があるはずなのに――!」

 

そう、二郎が捕まえていたのは確かに晴奈だった。

深龍が襲って来たときにその隣に――。

もしかしたらそのときに何かを深龍が仕掛けたのかもしれない。

 

「確かにお前は幻術耐性が高い。だから幻術に嵌めることが出来なかったから空間幻術をつかったんだよ」

 

「なっ!!」

 

ドサッ、ドサッ――。

と不動一郎と二郎の二人が地面に倒れこんだ。

《空間幻術》とは相手の精神に攻撃をしかけ、幻や幻聴などを見せる幻術とは違い、攻撃対象とは別にその対象が存在する空間全体に幻術をかけてることにより、今見えている風景、音、感覚、など全てが幻になる高等魔法である。対象が戦闘している人物ではなく、環境に幻術をかける為その変化を察知できなければ見破る困難である。また空間幻術はその空間内にいれば全ての人物に見せる事ができる。

 

「はぁはぁ……」

 

深龍は力が抜けて、倒れそうになったのを片膝をついただけで地面に倒れ込むのを防ぐ。呼吸がとて荒く苦しそうだ。

無理に魔法を発動した反動が、魔法を解いたから一気に襲ってきた。

 

「くっ――」

 

服の胸ぐらを掴む。

 

「深龍さん!大丈夫ですか!!」

 

心配になりすぐさま晴奈がかけよる。

 

「あぁ、問題ない。多少魔法を無理に使っただけだ」

「すぐに治癒魔法をかけます」

「触るな!!」

 

晴奈が治癒魔法をかけるために触れようとするのを声を強張らせて防ぐ。

 

「大丈夫だ……」

 

「さて、彼らの魔力を奪って行くか」

 

深龍は立ち上がり、不動の二人に手を当ててた。

 

 

 

深龍と晴奈は不動兄弟を連れて村の役所に戻って来た。

不動は役所の牢屋に連れ込まれ魔法使えないように手錠がかけられた。

その後場所を応接室に変え、今回の依頼についての説明を終えた。

 

「――、これで事件の詳細は終了です。あとは警察に引き継いでください」

「ありがとうございました。魔導師様」

「所長、少し訪ねていいか?」

「なんでございましょう?」

「この村では、人(さら)いはあるか?」

 

深龍は突然突拍子もないことを聞いて来た。

それは不動の魔力を吸い取ったときに不思議な記憶をみつけたからだ。

 

「えぇ、一月前に2人ほど。ですがあまり大沙汰にはならいですね」

「それはなぜだ?」

「……」

 

深龍の問いに答えた、所長だが口ごもる。

 

「言えぬ事情がるという事か」

「申し訳ございません」

「わかった」

 

村長との会話が終わったと思った役所の人の1人が金品を持ってきた。

 

「こちらが報酬金となります」

 

と言い、鞄から札束を一つ出して来た。

1枚1万なのでそれが100枚、今回は村の敵襲の排除と敵を捉えたことで倍増した。

これが多いか少ないかといえば結果的に村全体の任務になった上に、主犯格を捕まえたので少ないといえる。だが村もかなりのダメージを負い高額な報酬は出せないそうだ。

 

「あぁ、確かに」

「これで、依頼完了だ。少々荒れたが、復興の方は大丈夫か?」

「えぇ、大丈夫かと。魔導師様が村を魔物から守っていただいたお陰で」

「では失礼する」

「ありがとうございました」

 

その後書類にサインを施し、村を後にする深龍と晴奈。

二人は村の門からでて数分あるいたところで足を止めた。

 

「晴奈」

「はいっ!!」

「少し寄り道をしていいか?」

「えぇ、大丈夫ですけど?どこへ行かれるのですか??」

 

晴奈の頭にはてなが浮かような顔をして訪ねる。

 

「もうすこしだけ稼いでおこうと思ってな」

「はぁ?」

 

と言いながら深龍と晴奈は足を進めた。

少し村から離れた小屋に深龍は入って行った。

そこは村から2キロほど離れたところで、もう少しそのまま先に行くと大きな幹線道路がある。

この倉庫には何があるのかというと。

 

「盗まれていないようだな」

「そのようですね」

 

そこには大きな二輪車が、厳密言えば原動機がついたオフロード用のオートバイが保管されていた。

原型はデュアルパーパスに近い。いろは黒と灰色で塗られており、カーボン的な雰囲気をしている。

「これに乗るのですね……」

「帰りはゆっくり帰るよ、それと俺の背中にくっつくのがいやか?」

「いえ、そ、そういうわけでは……」

 

すこし顔を赤面している晴奈を見るが、深龍は特段気にも止めなかった。

よく妹を乗せて走行しているので、あまり違和感はない。

むしろ、背中に当たる圧力が少ない上に軽く楽なくらいだ、と深龍は思っていた。

 

「さて、出るか」

「はい」

 

バイクのエンジンをかけて二人はヘルメットをかぶり、またがった。

今更かもしれないが、この世界にも車はを普通に走っている。

だが君たちの世界と同じく、車には免許が必要で、それも16歳からとなっている。

深龍は18歳だが、車は小回りがバイクより効きにくく、深龍が欲しいと思う車は高額だ、そのため今の所必要ではない。移動は概ねバイクか、公共の交通手段を使っている。

 

バイクで走る事十分少々、車の通りがすくなった頃にあるお店を見つけて停車することにした。

ちなみに帰る街とは反対方向に向かっている。

小洒落た喫茶店のような建物に目を向ける深龍。その周辺には建物が10件ほど建ち並んでいるのを確認すると深龍は、その喫茶店の10箇所あるうちの一番端の駐車場にバイクを駐めた。

ここは隣の町までの中間場所であるから、休憩所的な立ち位置だろう。

他にも何台か車とバイクが駐車している。

 

「ここか、晴奈は俺が言った通りにそのケースを持って、ドアの近くで立っていてくれ」

「わ、わかりました。一人で大丈夫ですか?」

「あぁ、この手のことには慣れている」

 

ここまでに来る道中で深龍がこの後何をするのかを事前に説明していた。

 

「そうですかぁ」

 

少し、不安そうな表情を見せる晴奈に対して、特に気にも止めず深龍はそのまま店のなかに入っていく。

 

外観は茶色のレンガで作られてレトロモダンな雰囲気。

ドアを中心にして左右に3つづつある窓、窓に装飾が施されていて、あまり中を伺うことが出来ない。

金色に光る金属質なドアノブを手で握り少し重い、木製のドアを手前に引いて開ける。

 

「いらっしゃい」

 

深く渋目の声が深龍を迎える。

 

中は暗めなで外見ににあうレトロモダンなお洒落な内装。

 

中には外に停まっていた車やバイクの持ちぬであろう格好の客が6人ほどいた。

かなり人気なお店なのだろう。

(先ほどの町からそう遠くないので来るお客さんには困らなさそうだ。

ただ、そのような客がこの店にどれぐらいのだろうか……)

などと深龍が考えいた。

 

不動兄弟に幻術をかけて聞いた内容によれば、ここは裏取引の場所。

主に奴隷を扱う闇店。

店内のぐるりと見渡した深龍は、店内にいる人数と机椅子の配置を記憶しているのだろう。

そしてそのままカウンター席に歩いていく。

初めて来た人が店内を見回すのは別に不審な行為ではない。それは本当に初見で始めて来たような客に見えればの話だが。

 

マスターらしき人が立つ前の席に腰を落とす深龍。

 

「いらっしゃい、なにしますか?」

 

といい布のカバーに包まれたメニューを出して来た。

深龍はメニューをペラペラとめくりながらマスターらしき人に声をかけた。

 

「ここで良質な カラ(・・) が手に入ると聞いたのだが」

カラ(・・)ですか?はてそのような物は、違うお店ではないでしょうか?」

「違う店か、ここに紹介証があるんだが」

 

といいカウンターにある紙を出す。

 

「どれどれ……」

 

と謎の紙を深龍は見せ、それを臨こきこむように見るマスター。

 

ガタッ!!

 

と椅子から一人の男性が立ち上がる。

 

「金なら外に待機させてある。黒い服の人物だ」

 

マスターは先ほど立ち上がった男性に目線でその人物がいるか確かめさせるように促し、窓際に一人の男が立ち寄り、確認し、頷く。

 

(どうやらこの中に居る人物は全員関係者なのかもしれないな)

 

マスターは深龍の方を向く。

 

「確かに……」

 

「だが、うちの店ではカラは扱っていない。よかったらあちらのドアの向こうの品でも見て帰ってくれ」

 

すると、深龍の横にある男が寄ってくる。

「こちらへ」と案内を勧められ深龍はそのままついて行く。

 

ドアを開けられ進めるままにその中に入って行く。

 

中は様々な薬草や鉱石などを置いてあった。

 

(なるほど、こういう物も売っているようだな、それならたとえ魔導士が来たとしても不審がられることはない無いというわけか)

 

そしその奥にさらに扉がありその方向に勧められ、歩いて行きドアを開け中に入る。

 

「いらっしゃいませ〜〜ぃ」

 

今度は背の引くい、まん丸な男がやってきた。

語尾が異様に特徴的な話し方だ。

 

「聴きましたよ、聞きましたよ〜〜あの不動さんの紹介だそうで」

 

両手を重ねてスリスリとしながら男が歩み寄って来る。

謎の雰囲気に深龍は半歩足を下げる。

 

「あぁ、この前たまたま仕事が一緒になってな」

「不動さん紹介したならその報告してくださいよね〜〜」

「つい先日だったものでな」

 

と困った、困ったという表情をすうる謎の男。

 

「そういうやここ数日姿を見てないですな」

「そうなのか?」

「えぇ、まぁ、不動さんのあまり紹介しない人なのですが、紹介する人物にハズレがないので、今回も不問にしときましょう〜〜」

 

(不動という人物はこの辺りでは相当の権力があったのだな)

 

「そう言えばまだ名前を言ってませんでしたね〜〜ぇ。 私は、奴隷商をしていますマカロと言います。以後お見知り置きを」

 

と奴隷商を名乗る男はマカロと名乗った。この世界でも奴隷商が存在し奴隷が売り買いされている世界だ。

だが奴隷の売買はこの国では違法である。見つかれば厳罰となる、だが必要とする人がいるから消えることは無い。

 

 

「さて、今日はどのようなご用件で?」

「ここで上品なカラがあると聞いたのでな。こちっではカラと言ってるが」

「えぇ、カラでも通じますよ。何にでも利用ができる人間の事ですよね?」

「あぁ、そうだ」

 

カラ、ガワ、マメ、そう素体とも呼ばれたり色々な呼び名で呼ばれている。

何にもで利用できる人間、奴隷とはそういうものだ。

労働や自分の身の回りの世話、強いどれなら用心棒に使用したり、挙句には人体実験に使っている。

 

「普段は会員様限定ですが。まぁ今日は特別にいいでしょう」

 

といいマカロは階段を降り始めた。

深龍はマカロに続いて少し暗い階段を降って行った。

 

「さて、お客さん、今回はどのような素体をご要望で?」

「そうだぁ、数が欲しいからな。良質な素体から全て見せてくれ」

「かしこまりました。それでは――」

 

といいながら階段を降り終わった。

 




☆あとがき☆

どうも、皆さん読んでいただきありがとうございます。
初めての方は初めまして、作者の杜木 (かおる)です。

今回の話しはどうでしか?
さてそろそろこの物語も大詰めです。
なんか短いようなぁ……、まぁいいか

それと!こんかい小説家になろうにも投稿をはじめました!
ストーリーは同じで、改訂したものを投稿していきます!
そのうち追いつくかもw

ではまた次回!!

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