リリカルに立ったカメの話   作:朽葉周

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36 戦

 

 

まず真っ先に撃墜されたのは、当然ながら次元航行艦隊であった。

EFFの機体――特にSR機や専用機などにはガイア式魔術が組み込まれていることが多く、このガイア式に用いられているマナというエネルギーは魔力よりも比重が重い。

 

如何いうことかと言うと、要するに魔力が氷、マナが鋼と考えるのが簡単だろうか。

 

魔力は実に多様性に富むが、純然たるマナに比べればその強度は脆い。マナが魔力の上位のエネルギーなのだ。

マナから魔力に干渉することは可能だが、魔力からマナに対する干渉は不可能。不可逆な関係にあるエネルギーなのだ。

しかもSR機の中でも、ホロウが保有するのは其々の専用機。特機なんて称しても良い程の特別製ばかりなのだ。

 

幾らアルカンシェルが凄まじい威力を誇ろうとも、その前段階、魔法の起動プログラムが阻害されてしまってはどうしようもなかった。

 

更にイリスに至っては魔力をそのまま餌食に出来るのだ。しかも成長した事で、一定領域内の魔力を無差別に吸収する能力を得たらしく、前々までのような触手による“有線”ではなく、“無線”で次元航行艦隊のエネルギーを喰い散らかしているのだ。

 

片や魔法を形成するプログラムが散らされ、片や魔法を起動する魔力を根こそぎ食い千切られる。こんな状況で次元航行艦隊に対応する術はなく。

艦隊砲撃は全て散らされ、送り出した武装局員はイリスに喰われるわ魔力を散らされて墜落死するわ。

 

最終的に艦隊の何割かを特攻させて此方を潰そうと目論んだようなのだが、ティアナの重力結界に縛られ動きを封じられたところを、イリスの魔力共振メスによりバラバラに刻まれ、そのまま爆散してしまった。

 

まぁ、それでも多少は生き残りが居るのだろうが、救助するとすればこのイリスを倒してから。それも捕虜として、だろう。

 

 

 

 

そうして次元航行艦隊が撃沈し、更に問題が発生。というのは、次元航行艦隊の砲撃に対する対処法の差異、というものだろうか。

片や魔力をエネルギーとして喰らうイリス似たいし、方や魔力を散らす、結合を阻止すると言う方法で無力化する我々地球連邦軍勢力。

回復しているイリスと、殆どノーコストとはいえ消耗している此方では、当然差が出始めて。

 

一進一退の攻防の最中、装甲を脱ぎ捨て、凄まじい速度で空を飛びまわるイリス。そんなイリスとの戦いの最中、不意に放たれた一撃。長期戦の最中で集中力も途切れだしていたのだろう、その一撃を回避し損ねたティアナ。

咄嗟に前に割って出たのだが、常駐バリアを割って入った魔力共振メスの一撃。咄嗟の事でシールドバリアの展開が間に合わず、その一撃はユニコーンに痛手な一撃を与えて。

 

『す、すいませんメラさん!! 無事ですか!?』

「大丈夫だ、気にするな。味方をフォローするのは当然だろう? それに、機体のほうもナノスキンが……あれ?」

 

そうして視線を落とした手元のコンソール。其処に表示されていたのは、赤字で点滅するエラーの文章。

 

この機体――ユニコーンは、TSFから発展したMSを、SR寄りに仕上げ、更にコスト度外視で持てる技術を全てつぎ込んで作り上げた機体だ。

下手なSR機を圧倒する性能を誇るユニコーン。その特徴の一つに、ナノスキンというモノが存在する。

これは要するに『ナノマシンの皮膚』の名の通り、まるで皮膚のように傷ついても再生する装甲を持つというモノだ。実際、この機体は某ターンエー宜しく、千年万年経っても稼動するようにと渾身を凝らして開発した。

 

ただどうも、宇宙でのレギオン戦含め、今回ほどの損傷を実戦で受けたことはなかったのだ。どうも、その影響が今になって表に出てきてしまったらしい。

 

「エネルギーバイパスのエラー? 場所は腰部エネルギーバイパス……ナノスキンの自己修復機能が誤作動したか」

 

俺というエネルギー源から供給されるマナの供給回路にエラーが発生した。多分だが、ナノマシンによる自己修復の際、何等かのエラーで間違った形に自己修復してしまったのだろう。

 

これは……此処で戦いながら直せるだろうか。いや、然しエネルギー系に問題のあるまま、あのイリスとまともに戦えるとは思えない。

 

『大丈夫だよメラ君。メラ君一人抜けた程度で負けちゃうほど、私たち弱くないよ?』

『そうよ、迷ってないでさっさと戻って補給してきなさい!』

『味方をフォローするのは当然の事、なんですよね』

「すずか、アリサ、ティアナ……すまん、すぐ戻る。時間を稼いでくれ!」

『ふ、あえて言ってあげましょう。時間を稼ぐのはいいけど、倒してしまってもいいのでしょ』

『アリサちゃんそれフラグ!?』

 

などと、こんな状況にも拘らず余裕を持って対処する三人。いや、こんな状況だからこそ余裕を持って対処しているのだろう。

 

「キャロ、アギト!」

『了解。ユニコーンを召還します』

『座標軸固定、何時でもいけるぜ!』

 

その言葉と同時に輝く立体球形魔法陣。空間の歪みを感知しながら、一瞬で俺はウルC4の格納庫内へと転移したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Nanoha

 

 

「どどどどどっど、どど、どないすんねんこれええええ!!!???」

 

地球の、それも地表近くで本気でアルカンシェルを撃った次元航行艦体の姿に、まさにパニック、といった様子で慌てるはやてちゃん。

 

「まぁまぁ、はやてちゃん落ち着くの」

「落ち着くやて!? んなもん無理にきまっとるやないか!! この後始末どう……まさかウチが責任とるんかっ!?」

「あー、確かに今回の遠征は主軸が機動六課だし、その可能性はあるかも。とはいえ総監は六課じゃないし、大丈夫じゃないかな? ソレに関しては」

 

「……付け加えられた『それに関しては』、っちゅーフレーズが妙に恐いんやけど?」

 

「まぁ、そういう事を言ってられる事態なんて超越しちゃってるだろうし」

 

何せ、地球に対して正面から喧嘩を売ったのだ。コレってもう既に詰んでるんだよね。

 

何せまず管理局と言う組織の現状について。

 

1.ジェイル・スカリエッティーのテロにより、管理局は地上本部、管理局本局の両方がボロボロ。

2.スカリエッティの行動により、最高評議会が暗殺される。これにより、最高評議会が抑えていたヤバイ技術が裏に流出。スカリエッティ系譜のヤバイ技術が裏に流れ出す。

3.ただでさえスカリエッティの所為で局の暗部が公にされて局員の士気が低い+襲撃で局員が大打撃の現状に、更にパワーアップした裏の勢力が襲来。

4.正直治安維持すら困難な状況にイリス・レギオン襲来。対処法は数少ない魔力変換資質技能保持者による攻撃だが、そのレアスキル持ちもダウンしていたり士気を落としていたり。

 

で、そんな「正直詰んでる」状態の管理局が、攻撃した地球連邦軍の戦力はといえば

 

1.魔法とは違うエネルギーを利用した、ギーオスにも十分通用する『ガイア式魔術』と呼ばれる技能。

2.無人機と有人機を織り交ぜた大量の戦術歩行戦闘機。

3.成体ギーオスとガチンコで殴り合えるスーパーロボット機。

4.アースラが小型に見えるほどの、大陸ほどの大きさもあろうかと言う宇宙戦艦。次元航行能力はあるのかな?

 

なのだ。

 

管理局の平均的な魔導師で、10メートル級ギーオスに対抗するとして、キルレシオは……陸空混合でもで100対1くらい。冗談みたいな話だけれども、魔力を使った技術が中心になる管理局の一般的な武装局員では、本当にソレくらいの差があるのだ。

 

仮に機動六課でどのくらいの数のギーオスを相手取れるか。ヴィータちゃんたちヴォルケンリッターが居るから比較的可能性はあるのだけれども、それでも一度に複数のギーオスを相手取りたいとは思えない。管理局にとってのギーオスの脅威と言うのは、本当に拙いものなの。

 

それにたいして地球連邦軍はといえば、10メートル級のギーオスであれば、無人機で一個中隊、有人機で一個小隊、エースなら単独でギーオスを落とせるらしい(端末のデータ参照)。

 

施設設備なんかの事を考えれば、とんでもない数の動員、というのは無理かもしれない。けれども、少なくともあのTSFと言うのは成長期のギーオスと同等というのは間違いないだろう。流石に対魔法処理は施してないと思うので、高出力の魔力砲なら落とせるだろうけど……そもそも、Aランク以上の砲撃魔導師が少ない管理局では、量産機のアレを相手取るのは……。

 

で、TSFだけでも無理ゲーなのに、其処にさらにあのSR機が加わるの。アレはミッドで暴れた成体ギーオスとかとガチンコで殴り合えるバケモノなの。

 

正直、今の管理局が成体ギーオスを倒そうと思えば、アルカンシェルを着弾式から時限式に変更して、マッハ幾らでびゅんびゅん飛び回るギーオスに、緻密な計算の元魔力を吸収される前にアルカンシェルを至近距離で発動させる、なんて神業をしなけりゃならないの。

 

……そんな怪物と正面から相手取る戦力(しかも量産可能)と、どうやりあえと?

更に更にその背後には、既に地球を捨てても宇宙で生活していられるほどのおっきな宇宙戦艦がいっぱいあるの。あれもアルハザードの技術を継承しているとするなら、もしかすると次元航行艦としての機能を有しているかもしれないの。

万が一そうであるのだとすれば……。

 

「あは、あはは、大丈夫なの。どっちにしろミッドチルダは、次元世界は地球に喧嘩を売った時点で滅びる定めなの!!」

「な、なのはちゃーーーんん!!! アカン、なのはちゃんの目が腐った魚の目みたいに!? しっかりしぃなのはちゃん、あかん、救護班はよ、メディック、メディーーーック!!!」

 

ああ、見える、見えるの。放たれるホーミングレーザーの雨霰に焼き尽されるミッドの大地がっ!!

 

「あ、あのー?」

 

なんてことを話していると、不意に何処かからともなく声が掛けられた。

はやてちゃんと声の方向に振り向くと、其処には地球連邦軍の制服を着た、赤毛の女性が此方に困ったような笑顔を向けていて。

 

「えっと、すいません。貴女は?」

「あ、はい。地球連邦軍、月方面軍基地所属のノエル・アンダーソン少尉です」

「古代遺物管理部 機動六課、総部隊長の八神はやてです。で、……このタイミングでの御用という事は……」

「あー、その、はい。本日先程の戦闘から、地球連邦政府は時空管理局を名乗る勢力に対して敵対姿勢をとることを決定しました。ひいては、あなた方に対するセキュリティーなどの変更がありまして……」

 

若干気の毒そうに此方を見るアンダーソン少尉。けれども、正直そんな事を気にしている余裕は私にはなくて。

 

……時空管理局に対する敵対姿勢。

 

オワタ。時空管理局オワタ。

クラナガンのヴィヴィオ、おかあさん、もしかしたら帰れないかも……。

 

「フ、フフフ……私、クラナガンに帰ったら、ヴィヴィオと養子縁組するんだ……」

「何フラグ立てトンねんなのはちゃん!? って、ちょ、なのはちゃん? なのはちゃーん!!??」

 

はやてちゃんのそんな声を聞きながら、私の視界は真っ暗に染まっていく。

あぁ、オチるな、なんて何処か冷静に認識しながら、次目覚めるときは、もうちょっと状況がよくなってるように、なんて祈るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

Side Mera

 

ユニコーンのナノスキンを調整し、エラーを起していた部分を修正して。漸く戦場に戻ったところで、視界に飛び込んできたのは、今にも魔力共振メスの直撃を受けそうなガオガイガーの姿で。

 

咄嗟に前に割り込んで、シールドバリアでそれを弾き飛ばす。ユニコーンの防御機能は、航宙機ならすべてが搭載しているディストーションフィールド、サイコフレームの生み出すサイコフィールド、ユニコーンの盾であるビームバリアの三重構造。

 

触手一本の魔力共振メス程度であれば軽くはじけるのだが、全て束ねた重い一撃であった場合、完全に防ぎきるのは難しい。

その一撃は、すべてとは言わずとも、相当数を纏めた一撃だったのだろう。バリアを通過した魔力の粒子が盾を焼き、白い盾が部分的に灼熱していた。

 

「無事かアリサ!」

『ギリギリ、助かったわ』

「戦況は?」

『ココが宇宙ならとっくに戦いは終わってたんじゃないかしら?』

『地上だからこそ、こっちの手札がふうじられちゃってるんだよ……』

「各機の機体コンディション」

『GZとD・ストレイドは問題ありません。が、前衛のG・ガオガイガーは損耗が激しいみたいで……』

 

必然的に、前衛であるG・ガオガイガーは稼働率が落ちている、と。

 

「イリスの状態は?」

『アリサさんのブロウクンマグナムが翼部に直撃して、その所為かあの虹色の翼が展開できなくなったみたいです。浮遊はまだできるみたいですけど、前と同じ速度での飛行はもう』

「ふむ。十分な戦果じゃないか」

 

あの虹色の翼。如何見ても実体のある物質には見えなかったアレだが、多分あれも魔力で編まれた存在だったのではないだろうか。

そこに、俺についで濃いマナを持つアリサのブロウクンマグナムを喰らったのだとしたら。翼を構成していた魔力、及び出力器官に甚大なダメージを受け、その結果飛行能力を大幅に喪失したのだと考えられる、のではないだろうか。

 

「……よし。アリサとティアナは補給にもどれ。すずかは中距離援護。俺が前に出る」

『『『了解!!』』』

 

即座に撤退していくアリサと、ソレを支えるように滑空するティアナ。二人の機体を見送って、改めてユニコーンを前線へと出す。

 

「すずか、援護頼む」

『任されたよっ!!』

 

ズキュゥゥゥン。響くビームマグナムの轟音。マナを多分に含んだその一撃は、機動力の大半を喪失したイリスに向かっていく。然しその赤い光は、イリスの触手によって微妙にだが角度をずらされてしまう。

 

『メラくん、あれ……』

「魔力を収束させた触手で弾かれてるのか? 魔力とマナが反発するのは事実だが、怪獣の癖に器用な……すずか」

『うん、任せて』

 

カチッ、カチッっと、何かのスイッチを圧すかのような軽い音が連続して響く。それはすずかのグレート・ゼオライマーの力。両腕の次元連結システム出力端末。それがカチリと輝くとき、イリスは何かに殴られたかのように大きくその場から弾き飛ばされる。

 

――そうして身体を揺さ振られていれば、ビームを弾くのも上手く行くまい。

――ギオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!

 

虚空に響き渡るイリスの悲鳴。けれどもどれでビームマグナムの発射を止めることもなく。

 

「……む」

 

そうしてビームマグナムを連射する内、イリスがその触手を束ね円錐形をつくり、それに魔力を通すことで一種のシールドのような物を形成しだした。

「……マグナムでは弾かれるか。なら」

 

ビームマグナムを改めて腰につけなおし、NT-D、もといMB-D(マナバースト・ドライブ)を起動させる。NT-Dと同じなのだが、別にニュータイプをデストロイするわけではないので。そんな名前なのだが。

ガンダム顔の露出したユニコーン。その背のビームサーベルに手を掛ける。

 

「すずか」

『タイミングは合わせるよ』

 

その言葉を聞いて、ユニコーンを加速させる。背部スラスターから吹き上げる白炎に乗って一気に加速。イリスに斬りかかろうとしたところで、円錐状のシールドの戦端に金色の光が集まっていくのが見えた。

 

『メラくん、危ないっ!!』

「問題ない」

 

触手を束ねて創られた円錐状のたて。その先端から放たれたのは、それまで幾度となく此方を苦しめてきた魔力共振メス。束ねる事で威力が増すソレを、けれどもユニコーンは膝を少し深く落とすことで回避する。右肩の上を通過していく金色の光は、そのまま何処へともなく飛び去り、大気の圧力で拡散してしまって。

 

――まぁ、そりゃ、そもそもあの触手は捕食器官であり、攻撃の為の武器であるんだから、それは不意打ちにすらなりえない。

寧ろ、防御に回していた魔力を攻撃に転換したのだ。今ならば防御力も落ちているはず。

 

そう睨んで、一気に触手の壁を切裂いた。マナを多分に含んだビームサーベルにより、その触手の大半をバッサリと切裂かれたイリス。

再び悲鳴をあげ、蹈鞴を踏むようにして後退るイリス。そんなイリスに再び切りかかろうと、バーニアで機体の高度を上げる最中。不意にイリスが不自然な動きをしだした。

 

何事かとセンサーの感度を最大にして周囲を警戒する最中、イリスの胸部がガパリと音を立てて二つに裂けたのだ。

 

「なんだ?」

『……っ、メラ君、あそこっ!!』

 

グレートゼオライマーからデータリンクで映像が転送されてくる。見れば其処には、イリスの筋肉繊維のようなものに絡まって、黄色い球体の中に閉じ込められている人間の姿が幾つもあって。

 

「……人質の心算か?」

 

イリスの驚異的な能力の一つに、凄まじい成長速度というモノが存在する。これは適応能力と言い換えてもいいのだが、また同時に学習能力と言ってもいい。

特に原作でのイリスという存在は、人と共感する怨敵を真似、人そのものを取り込むことでより優れた存在へと至ろうとした。

 

原作と違いこのイリスは人間からの影響として、ヴィヴィオの内側に潜んでいた頃の、聖王の鎧くらいの性質しか得ていない。要は、原作ほどに人間に対して価値を感じていないのだ。その為原作のイリスよりも若干鳥らしい形を残している。筋肉質な触手ではあるのだが。

 

で、人間に対してそれほどの価値を感じていないイリスだが、それでも多量の人間を捕食した事で、人間のような悪知恵を得たのだろう。

例えば、善人に対して人質を取れば、相手は多少なりともためらいを持つモノなのだ、と。

 

嘲るような気配を浮かべるイリス。討てないだろう、斬れないだろう、何せ貴様等は守るための存在なのだから、と。

その嫌な気配を撒き散らすイリスを、出力を最大にして、その刀身が真直ぐに伸びたビームサーベルでバッサリと斬り付けた。

 

「……阿呆が。何で俺が地球に攻め込んできた管理局の人間なんぞにためらう必要がある」

 

確かに、それが地球人の人質であったのであれば、俺もその手を緩めたかもしれない。だがしかし、イリスの内側に囚われているのは、十中八九間違いなく、今先程イリスに艦ごと食われた、地球に対して宣戦布告をしてきた次元航行艦の乗組員だろう。

 

例えイリスに捕食されていたのだとしても、『敵』に対して情け容赦をかけるほど、俺は余裕もなければ強くも無い。

身体の中心からバッサリと切りつけられたイリスは、最早抗う触手も持たず、此方を前に慄くのみで。

 

あふれ出すマナがサイコフレームに共振し、その機体を赤、いや桜色に輝かせる。

ただでさえ無限に近い俺のマナ出力を、更にサイコフレームにより増幅して。そうして生み出されたエネルギーのすべてが、ビームサーベルへと収束していく。

桜色に輝く機体は更に輝きを増し、ついにユニコーンは白い光の巨人のような姿になって。

 

「さぁ、闇に還れ!!」

 

振り下ろされるのは白銀の光の柱。最早翼を失った邪神の皇子は、その光の柱を前にして逃げることも出来ず、ただただその輝きの中に飲み込まれていったのだった。

 

 




36

■時空管理局と地球連邦
なのはの予想は概ね正しいが、平時の戦闘であれば連邦と管理局の戦力はほぼ互角。
ミッドが多次元世界を有している事に対し、地球連邦はギーオスにより人口が激減し、その戦力の大半を無人機に頼っている為。
また単純に物量の差も大きく、性能面では圧倒的であるとはいえ、未だ多くのブラックボックスを残す連邦の技術に対して、安定量産可能な管理局の次元航行艦や、莫大な人的資源、多次元世界に渡る豊富な物資は地球にとってもかなりの脅威。
ただしこれはあくまで“平時”の話。
前提をなのはの提唱する、JS事件、最高評議会、流出技術による治安悪化、ギーオス、イリスなどの脅威により甚大な被害を受けている現在のミッドチルダであれば制圧は難しくとも焼き祓うのは簡単。

■ノエル・アンダーソン
地球連邦軍、月方面軍基地所属の少尉。元ネタは機動戦士ガンダム戦記より。
宇宙だしミユ・タキザワでもいいかなーと一瞬思ったのだけれども、やっぱり連邦のオペ子といえばこの人が一番好きなので。フラウ? ねーよ。

■ズキュゥゥゥンン!!
別に強引にキスを奪ったわけではない。

■ユニコーンのオーバードライブ
このユニコーンの必殺技。もしくは厨二技。転生者奥義。無敵モード。
全身のサイコフレームを開放し、莫大なマナと共振させる事で、純粋な精神とマナで構成された『光の巨人』になる。
“因果”も“摂理”も世界すら、問答無用で滅ぼし得る、本作最強のチート技。
欠点は無限のマナを持つメラでさえも、3分でほぼすべてのエネルギーを使い果たしてしまうという点。

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