ソードアートオンライン―アリシゼーション・フェイクソウル―   作:榛野 春音

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今回、最後に挿絵あります。


ダークテリトリー

1、

 

 

今回の母材探索任務にフィルフィアと同行する騎士は、三人。皆《鍵憶十四騎士》に席を置く強力な戦士である。

現在、フィルフィア達は、果ての山脈を越えた先にありダークテリトリーたる場所へ来ている。

本来、この地へ足を踏み入れることは人界の禁忌とされていて、少しでも侵入すればセントラル・カセドラルの監視ユニットに探知されてしまう。

しかし、今回はユリエノスの開発した監視ユニットへのジャミングコマンドが機能している為、フィルフィア達は簡単にダークテリトリーへ侵入することが出来ているのだ。

周囲は見渡す限りの荒野で、空は赤く、遥かに森といくつかの建造物および城が見える。

 

「にしても、相変わらず不気味な世界だ」

そう言って空を仰ぐ青年、名をドラグレン・バードロアと言い《鍵憶十四騎士》の三番目の戦士だ。

長身で筋肉痛な肉体を持ち、ガサガサの金髪、顔には一筋の傷がある。

性格は、騎士と言うよりも気前よい船乗りと言う方が的確だろう。それほどに明るく、頼れるタイプだ。

「でも、向こうの住人からすれば、こっちの世界の方が不気味にうつるんじゃなぁい?――結局は、主観の問題よ。主観」

ドラグレンの言葉にそう返すのは、《鍵憶十四騎士》五番目の戦士、ハーヴェニオ・ロマイアだ。

この男、一言で表すなら、オカマである。

スラリとしたスレンダーな体格に、セクシーなメイクをした綺麗な顔が案外板についている為、見れなくもない。

オネェ口調でおどけてはいるものの、いざというときは冷静かつ的確な判断の出来る人物である。

「そういうもんかねぇ?まっ何にせよ。さっさと終わらせて帰ればいいだけの話か……」

ドラグレンは、ハーヴェニオの言葉に肩をすくめる。そして、欠伸を漏らしつつこんなことを言った。

「そう言えば、フィルフィアは今回がダークテリトリーはじめてだっけ?」

「はい。――でも、大体のことはあらかじめ入れられたので、あまりはじめてという感じはしませんね」

フィルフィアは、そう答え天を見る。

「羨ましいわね――でも、少し虚ろね」

そんなフィルフィアに不意に声をかけたのは、《鍵憶十四騎士》七番目の戦士、リン・ノクスペロロヌス。

彼女は、凜とした声の美女戦士だが普段はフード付きのコートを着ていて顔を見せない。

時々しか喋らず、喋っても全てを語らない為、謎の女というイメージが強い。

「――虚ろ……ですか?」

フィルフィアは、リンの言葉に首を傾げる。

「んもぅ!リンったら、また変なこと言ってぇ!あんまりフィルちゃんイジメないの」

ハーヴェニオにが、リンに言う。

すると、リンはムスッとした声になると静かに言った。

「別に、そういう意味じゃ……ない」

 

その時、先頭を歩いていたドラグレンが突然立ち止まる。

「見ろ。嗅ぎ付けて来やがったな」

そう言って、ドラグレンは前方を指差した。

「あららぁ~。思ったより多いわねぇ」

ハーヴェニオが笑う。

見ると、ドラグレンの指す先には、十数人もの黒い騎士団の姿が見える。

いづれも馬型の魔物に騎乗していて、一直線にこちらに向かって来る。

ダークテリトリーの《暗黒騎士》だ。

まだ十分に距離がある。戦うことも、退避も可能だ。

フィルフィアは、先輩騎士の判断を待つ。

すると、リンがおもむろに腰から大型の蛮刀を抜き放つ。

「光導け。帯絃刀-村雨-、――エンハンス・アーマメント」

直後、

リンの蛮刀が光に包まれ形を変える。

光がやむと同時に、その手には蛮刀《帯絃刀-村雨-》では無く一本の弓となった《帯絃弓-村雨-》が握られていた。

リンが弓を引き絞るように構えると、そこに光の矢が出現する。

なんの躊躇も無く、リンはそれを射た。

発射と同時に衝撃波のようなものを微かに感じる。

 

刹那

 

遥か前方で爆発が起こり、大地が砂埃を巻き上げた。見れば、二人ほどの暗黒騎士が光の矢に胸元を串刺しにされ落馬したのが確認できる。

それを見たドラグレンは笑い剣を抜く、ハーヴェニオもヤレヤレと腰から細剣を抜いた。

フィルフィアもフゥーっと息を吐くと、すっと腰からなんの変哲も無い刀を抜いた。

フィルフィアの持つ今の刀は、他の騎士達と違い《十四鍵》ではない。

《十四鍵》とは、ユリエノスの作成した神器を越えた超高位武器オブジェクト。

その全てが使用者と特別な因果関係を持ち、《真戒》と呼ばれる力の真意を組み込まれている。

 

今の自分には、先輩騎士達のような力は無い。

ならば、ユウキより手ほどきを受けた強力な剣術のみで、この場を切り抜けねばならない。

 

刀を構えたフィルフィアは、迫り来る敵を真っ直ぐに見つめた。

 

 

 

 

 

 

2、

 

 

「唸れ!剛龍剣!!――エンハンス・アーマメント!!」

ドラグレンが叫ぶ。同時にその左手に握る剣が灰色の光を放ち、大剣へと変化した。

ノコギリのようにギザギザとした鱗に覆われた刀身の先には巨大な鉤爪が組み込まれている。

「うぅおおっ!!!」

ドラグレンは、飛び出すと空中で大剣を振りかぶると、落下と同時に地に叩きつけた。

 

轟音が響き、大地が揺れる。

大地に放射状に広がった亀裂にバランスを崩した馬達が、暗黒騎士を背から振り落とす。

地に落ちた暗黒騎士達が慌てて剣を構えると同時に、今度はハーヴェニオが剣を構えた。

「凍えなさい。紫冷剣――エンハンス・アーマメント」

すると、ハーヴェニオの構える剣が霜を帯び、冷気を放出し始める。

突撃してくる暗黒騎士に向かってハーヴェニオは剣を振った。

その剣が暗黒騎士の一人を捉えた直後、その暗黒騎士の剣を構えた右腕が凍りつく。

驚愕した暗黒騎士は後退するも、素早く追撃するハーヴェニオの連続斬りで全身氷付けとなる。

そうしている間にも、リンとドラグレンは次々に暗黒騎士を処理して行く。

と、突然三人の暗黒騎士達がフィルフィアに向けて突っ込んで来た。

フィルフィアは、息を吸って飛び出した。

素早く一人目の横降りをくぐるようにして交わすと、二人目の剣を下から弾く。のけぞった二人目を蹴り飛ばし、三人目にぶつけると、素早く振り返り一人目の第二撃を受け止める。

つまぜりあうこと無く、それを押し返したフィルフィアは、スキルモーションに入る。

アインクラッド流剣技、別名SAOソードスキル《刀》三連撃技[羅刹]。

これは、かつてリアルネットワークを散策したユリエノスがとある意識体より授かったデータをフィルフィアが引き継いだものだ。

鍵憶十四騎士である全員が、このSAOソードスキルを何かしら習得している。

 

フィルフィアの三連撃が暗黒騎士を捉え、その天命を削る。

暗黒騎士が吹き飛ぶ。

フィルフィアは、スキル終了直前に別のスキルモーションを取った。

すると、再び刀がエフェクトを帯びる。

これぞユウキにより、伝授された技[スキル・コネクト]。

本来、このソードスキルとは終了時に微かな硬直がある。

しかし、この技はその硬直から技を繋げることで一時的硬直から逃れ、第二撃目のスキルを発動するというものだ。

それなりに練習は必要だが、かと言って超難易度の高いというような技でも無い。

フィルフィアは、技発動と同時に振り返り、未だにもつれている二人目と三人目に向けて放つ。

《刀》五連撃技[鷲羽]。

閃光の如く駆ける刀が、二人を襲う。

後、その剣技が二人の天命を全損させたのは言うまでも無い。

フィルフィアは硬直の後、背後に迫る殺気に振り返りもせずに飛び退いた。

すぐさまその空間に、先程吹き飛ばした一人目の剣技が振り下ろされる。

敵の剣が空を斬った。

飛び退いたフィルフィアは、宙で回転しスキルを放った。

 

 

《刀》単発技[旋車]。

 

 

×××

 

 

「思ったよりやるじゃんよ」

闘いの全てが終わり、地に伏せた暗黒騎士達を眺めつつドラグレンが言った。

その言葉は、フィルフィアに向けられる。

「そうですか?」

あくまでサラリと流すフィルフィアに、リンがヨシヨシと頭を撫でる。

「……上々」

「……あ。ありがとうございます」

ついお礼を言うフィルフィアにクスリとリンが笑う。

その様子にドラグレンが不機嫌な口調になる。

「なんか、俺の時と反応が違う……」

そんなドラグレンにハーヴェニオがフフフと笑いを漏らす。

「まぁ、そんなことはさておき、さっさと進みましょうよ。ねぇ?」

そう言って、ハーヴェニオもフィルフィアの頭をポンポンと撫でる。

 

何度も先輩達に撫でられ、フィルフィアは赤面するもコクリと頷くと前を見た。

 

 

 

まだ目的地までは、遠い。

 

 

 

 

【挿絵表示】

 




挿絵についてですが、中央の女の子が主人公フィルフィア。
中央下でニヤついてる悪人面がユリエノスです。
※ちなみにユリエノスは、顔で見るよりいい人ですww


今回お気に入り登録してくださいましたお二人、本当に有難うございます!

これからもよろしくおねがいします!!!
感想など、待ってます!
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