魔法使いの弟子 ~並行世界を巡る旅~   作:文房具

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第2話 共闘

「え、クウガ? 明らかにクウガって言ったよね?」

「いいましたね。あの青い奴がクウガという事でしょうか?」

 

そんな翔とダイヤを無視して、クウガとゴ・バベル・ダは闘い始める。どちらかというと、ゴ・バベル・ダが一方的に攻めてクウガは避けることに徹してる。時々反撃しているが効いていないようだ。

 

そうしているとクウガが青から赤に変化する。

 

「なるほど。色が変わると、能力も変わるのか」

 

赤色に変わってからのクウガの戦い方を見た翔は、手を顎に当て頷く。

 

クウガは基本形態のマイティフォーム(赤のクウガ)を中心として、状況に合わせた能力に特化した特殊形態になることで、あらゆる敵と戦うことが出来るのである。

 

先ほどの青い状態はドラゴンフォームという、マイティフォームに比べ、ジャンプ力・瞬発力・敏捷性に優れている形態だ。その代わり、腕力・防御力などはマイティフォームより著しく低下している。それを補うために、棒状の物体を変化させ専用の武器を作り出すことができるのだが、近くに手頃な棒がなかったためにマイティフォームに戻ったのだ。

 

「どうしようかね」

 

果たしてどちらに味方するべきかをじっくり考えることにした翔。

 

「とりあえず、クウガじゃない方に味方するのは無しだな。かと言ってもクウガも人間の味方かどうかなんてわからないし」

「マスター、あれを」

 

考え込んでしまう翔はダイヤの声で現実に引き戻される。

 

そして、ダイヤに言われた方、デパート敷地の周りを見てみるとたくさんのパトカーが止まっていた。

 

「お巡りさん……いや、刑事さんか?」

「そのようですね」

「あの人たちに聞いてみようか」

「撃たれませんか?」

「その時は物理保護で防いでくれ」

 

魔力で強化された視力で刑事が全員拳銃を抜いていることを確認した翔は、しかしそんなこと関係ないとでもいうように軽く返す。

 

実際、彼の両手には拳銃よりも強力なリパルサーレイがあるのだが。

 

「じゃあ、行こうか」

 

屋上から飛び降り、経管のところまで走る。刑事たちは、翔が屋上から飛び降りたのは確認していたが、見た目が完全に人間であることから、走って近寄ってくる翔に向かて発砲できないでいた。

 

刑事がためらっている間も翔は近づき、ついに会話ができる距離になる。

 

「えっと、刑事さんですよね? あのデパートの屋上で怪物2人が闘ってるんですけど、どっちも倒しちゃっていいですか? ちなみに片方は、中で人に危害を加えてましたけど」

「あ、ああ。4号は味方だ」

「……すいません、4号ってどっちですか?」

「人に危害を加えてない方だ」

「(つまり、刑事さんの言う4号=クウガか)分かりました」

 

それだけ聞くと、翔は屋上に飛んで戻る。

 

「あ、今度は紫になってる」

 

クウガは防御力に優れたタイタンフォームになってゴ・バベル・ダのハンマーに対抗していたが、ゴ・バベル・ダの腕力とハンマーの威力はタイタンフォームの装甲の体有力を超えていた。攻撃を跳ね返しきれなかった装甲は、ハンマーによりへこんでしまっている。

 

しかし、攻撃に集中しているゴ・バベル・ダは翔の事はすっかりと忘れてしまっているようだ。無防備に背中をさらしているゴ・バベル・ダに向かって、翔は両手でリパルサーレイをお見舞いしてやる。

 

クウガに跨るようにしていたゴ・バベル・ダは、翔が屋上に来るときに開けた穴にちょうどよく落ちていく。

 

「き、君は……」

「説明はあとで。助太刀します、クウガさん」

「ありがとう。えっと……名前は?」

「翔です。夜月 翔」

「翔君だね。分かった」

 

ゴ・バベル・ダが穴から飛び出してくる。

 

「なんなんだあいつ。タフすぎるぞ」

 

翔が顔をゆがめると、ゴ・バベル・ダは翔とクウガを見て、

 

「なるほど。クウガもそうだが、今度のリントも侮れないという事か。これだけ強ければ、もっと多くのリントを殺せるだろう」

「「ふざけるな!!」」

 

翔と、クウガは同時に飛びかかる。

 

ゴ・バベル・ダのハンマーを翔は左手で発生させた物理保護で受け止め、クウガは顔を思い切り殴りつける。さらに、右手のリパルサーレイを発射してダメージを与える。

 

翔とクウガは頷き合う。

 

起き上がったばかりのゴ・バベル・ダの胸を同時に全力の打撃をくわえる。そのいきおいでゴ・バベル・ダは手に持っていたハンマーを落とした。

 

しかしまだ起き上がってくるゴ・バベル・ダに翔はうんざりとした声を出す。

 

「これ、倒せるんですかね」

「俺の攻撃だったら倒せるんだけど」

「じゃあ、早くそれで……」

「倒すと爆発するんだよ、あいつら」

「どのくらいの規模で、ですか?」

「前のは3キロ以上に被害が出たんだ」

「あ、無理ですね。っていうか、3キロ以上に被害が及ぶ爆発とはいったい何を爆発させてるんだ……? そもそも、クウガさん無事だったんですか?」

「うん。全然」

「……そうですか」

 

クウガも大概怪物である。

 

「だからこいつを、なるべく人がいないところまで連れて行かないといけないんだけど」

「こいつを!? 現実的じゃないと思いますけど。ん? あ、そうだ。こいつ、空で爆発させればいいんじゃないんですか?」

「それこそ無理なんじゃないかな?」

「僕空飛べますよ?」

「え、そうなの? いやでも、そんなに離れると、緑のクウガで倒せるかな? いや、ゴウラムに手伝ってもらうか」

 

クウガはあることを思いつく。

 

「唯一の問題は、あいつを……安全を考えて4000メートルぐらいまで持っていきたいんですけど、そこに行くまでじっとしててくれるか、ですね」

 

そんなことを口にしたと同時に突如、ゴ・バベル・ダは胸を押さえて膝をついた。そして、一瞬遅れて銃声が聞こえる。

 

「チャンス!!」

 

翔には誰の援護かは分からなかったが、今までで一番ダメージがあったようで、数秒経っても苦しんでいるゴ・バベル・ダの両脇を抱え、そのまま垂直に飛んだ。

 

翔の飛行速度は最大で時速1000キロちょっと、だいたい十秒ちょっとで高度4000メートルに達する。

 

翔が飛び去った後、クウガもすぐに準備に入った。

 

どこからともなく巨大なクワガタムシ型の物体が飛来した。名前は『装甲機ゴウラム』。クウガの仲間の頼れる相棒だ。

 

クウガはゴウラムの足に当たる部分を掴む。すると豪ラムは翔の後を鷹揚にクウガを連れて大空に飛んだ。

 

更にクウガとゴウラムに変化が現れる。

 

クウガのベルト『アマダム』から電気のようなものが発生したのだ。その電気はクウガの体にまとわりつき、更にクウガを伝ってゴウラムにも及んだ。クウガの体のいたるところに金の装飾が追加され、右足に金色の足甲『マイティアンクレット』が装着される。ゴウラムにも金色の鎧が装着される。

 

これは『ライジングフォーム』と呼ばれるクウガの強化形態であり、クウガは30秒間だけこの形態に強化することが出来る。

 

クウガか空中で右足会突きだし、キックの体勢になる。

 

翔の方も、じゅうぶんなたかさに着たことを確認してゴ・バベル・ダを放し、降下を開始する。

 

クウガと翔が入れ違うように空中で交差する。ゴウラムのクワガタを思わせる2本の角とクウガのライジングマイティキックがゴ・バベル・ダに直撃。古代文字が刻まれ、膨大な封印エネルギーが流し込まれる。そのエネルギーが腰のベルトに流れ込んだ瞬間。

 

大爆発を起こした。

 

翔は視界全てに炎を映しながら、耐熱保護を使い必死に耐えた。

 

それが収まると、ゴ・バベル・ダの姿はどこにもなくなっていた。

 

翔は息を吐きながら、デパートの屋上に着地する。少し遅れてクウガも。

 

「お疲れ様でした」

「うん、お疲れ」

 

クウガは翔にサムズアップをする。翔もそれに応えサムズアップを返す。そして翔は、次に起きたことに目を見開いた。なんとクウガが、笑顔を浮かべる青年の姿になったからだ。

 

「え? え? あれ? クウガさん、人間になってるんですけど!?」

「え? ああ、うん。俺は五代 雄介よろしく!」

 

狼狽する翔にかまわずにサムズアップを続けるクウガ改め五代 雄介。

 

「とりあえず、一条さん……刑事さんのところに行こうか?」

「あ、はい」

 

いまだに混乱していた翔は素直に従うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり警視庁。

 

あの後翔は、パトカーに乗せられ警視庁まで連れてこられた。現在は警視庁内部の未確認生命体合同捜査本部にいる。そして、立った今、翔の事情聴取が終わった。

 

「魔法使いねぇ」

「にわかには信じられませんね」

「そんなこと言われても……腕からビーム出せば信じてくれますか?」

「やめてくれ」

 

既にアーマーは解除してダイヤも人型になっている。これも刑事の前行なったが、やはりすぐに信じるのは難しいらしい。

 

腕を組みうんうん唸っている刑事一同に、困った顔になっている翔とダイヤ、この空気を壊したのはやはりこの男だった。

 

「大丈夫ですって。この子達は嘘なんてついてませんよ!!」

 

五代 雄介である。

 

「いや、五代、何を根拠に……」

「俺はこの子に助けられましたから。それだけでのこの子を信じるには十分です」

 

場を静寂がつつむ。

 

「まあ、五代さんが言うんだから大丈夫じゃないですか?」

「確かにそうだな」

 

その言葉が始まりとなり、次々とみんなが笑顔になっていく。翔はそっと雄介を見た。警察がこんな荒唐無稽な話を信じたのには驚いたが、それはすべてこの五代 雄介の言葉によるものだった。

 

翔は雄介に尊敬の念を抱いていた。たったこれだけの言葉で人を笑顔にできるその暖かさに、すでに魅せられ、憧れたのだ。

 

「あ、一条さん。そろそろ沢渡さんとの約束の時間ですよ!」

「ん? ああ、そうだな。すいません、行ってきます」

 

時計を確認した刑事『一条 薫』はコートを手にとる。

 

「すいません。僕も一緒にいっていいですか?」

「うん。じゃあ、行こうか」

 

ダイヤの手を引いて歩き出そうとする翔。

 

「ちょっと待て、五代」

「なんですか一条さん。ダメでした?」

「お前、ヘルメット余計に2つ持ってるのか?」

「あ……貸してくれません?」

「もっと言うと、ビートチェイサーは3人は乗れないぞ」

「あ……一条さん、この子たちお願いできません?」

「まったく……じゃ、行こうか、翔君、ダイヤちゃん」

 

一条さんはあきれ顔になり、周囲は笑いに包まれたのだった。

 

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