視点を第三者から、~~sideに変えます←
今回は、神童side
「入学式ですね」
学校に向かい、歩みを進めていると、後ろから聞き慣れた声がした。
「会長・・・おはようございます、お久しぶりです」
「宿題は、終わりましたか?」
緑色のリボンを、今日もちゃんとまっすぐつけ、スカートは膝下で、タイツも春物になったようだった。
「新入生か・・・俺、先輩になるんですね」
胸に手をあてる。ドクドクと、胸が鼓動を打っているのがわかる。わくわくするんだ。自分が、あこがれた先輩になるのだから。
「そうですね。神童君は、きっといい先輩になりますよ」
相変わらずの仏頂面だけど、この先輩の不思議なところは、こんな顔なのに、1つ1つの言葉にちゃんと“心”がこもっていることだ。
仏頂面でも、全然嫌な気がしない。理由を知ってから、尚更だ。
「ありがとうございます」
俺はふっと微笑み、学校へと向かった。
雷門中学校も、すっかり桜が咲き乱れている。
校門を入れば、学校とは思えない石畳の道。両脇には桜並木。雷門は、どこかのデートスポットにでもなれる気がする。
「おはよう、神童君」
後ろから、会長とは違う、すべてを包み込む、まるで聖母マリア(笑)のような優しさの声が聞こえた。
「みかんさん・・・おはようございます」
おっとりとしていて、セミロングの茶髪。前髪までちゃんと分れていて、優しいたれ目。緑色のリボンをちゃんとつけているものの、スカートは膝より少し上で、学校既定の白い靴下をはいている。
さすが、生徒会会計だ。
ちなみに、会長は肌が弱いため、肌をあまり見せられないらしい。そのため、夏でもタイツだし、長袖ブラウスだ。
「なんか、デート見たい、なんて」笑
「何言ってるんです」笑
みかんさんは、とても気さくで、3年生で人気者だと聞く。現に、阿部先輩は絶対、みかんさんのことが好きだろう。わかりやすいからな、あの人。
「今日から先輩ね。緊張してる?」
「・・・えぇ、まぁ。っていうか、先輩も緊張してるんじゃないですか?」
「うー・・・神童君には、お見通しかぁ」
そう、みかんさんは新入生のクラスに行き、挨拶をする担当。・・・まぁ、俺もだが。
会長が歓迎の言葉を式で述べ、三国さんが全校生徒代表の決意を式で述べる。
生徒会主催の“新入生集会”にて南沢さんが司会・進行・挨拶を行う。
そして、俺がA組、みかんさんがB組、阿部さんがC組へ行き、学校のことを紹介するのだ。
ALL 生徒会の提供だ。
まぁ、そんなこんなでみかんさんとともに、生徒会室へ登校する。
会長は理事長室に行っており、阿部さんと三国さんはあいさつ運動だ。つまり、俺とみかんさんと南沢さんがいる。
「おはよう、南沢くん」
「おはようございます」
「文字数一緒だな」笑
「私は読点があるの」笑
会長の椅子にどすっと座り、我がもの顔だ。これを会長が見たら、何というだろうk―――
「おはようございます・・・って、篤志!何しているんですか!?」
きつい顔になり、南沢さんを睨みつける会長。
横でみかんさんが、クスクス笑っている。
「なんだかんだいって、麗子ちゃんって、南沢君といるときが一番楽しそうだよね」
確かにそうだ。会長は、南沢さんと一緒にいると、いろんな表情になる。まぁ、見た目は変わらないのだが、中身が変わるというか。
「そうですね。ものすごく、南沢さんのこと、信頼しているんでしょうね」
ギャアギャア言っている2人を見ると、そんなことを無意識でも考えてしまう。
みかんさんが、俺の学ランの裾を引っ張る。
「神童君は、好きな人とかいるの?」
急だった。しかし、この2人を見ていたら、聞きたくなるのもわかる。
「さぁ。わかりませんけど・・・そのうち、できたらいいと思ったりはしますよ」笑
するとみかんさんは、にっこり笑った。
「私は、神童君のこと、好きだよ」
―――不意打ちだった。思わず顔が赤くなる。体中が熱い。幸い、2人は聞いていない。
「なーんて(笑)でも、半分本当だよ?可愛くって、頼りになる、大切な後輩」
この人は、会長よりもずっと大人だ。会長は、あれで結構突飛で、常識外れで、子供っぽかったりするものだ。
「ありがとうございます」微笑
「いえいえ、どういたしまして」微笑
この人といると、優しい気持ちになる。でも、それが“恋”ではないのは、なぜかわかる。
「それじゃあ、入学式です。皆さん、気を引き締めて行きましょう」
堂々とした態度の会長。しかし、手が震えてる(笑)
「麗子ちゃん、手が震えてるよ?大丈夫?」
会長の手をつなぎながら、みかんさんが尋ねる。会長は、顔を真っ赤にする。
「西原さん、大丈夫です・・・でも、ありがとうございます」
みかんさんは、さらにほほ笑む。この人は、やっぱり凄い。この2人だから、バランスがとれているところもありそうだ。
「敬語はなしよ?あと、私のことはみかんって呼んで」
会長は、絶句する。こんなところで、絶句ってするものなのだろうか?笑
「わかりましt―――わかった。西はr―――み、み、み、み、みか、みっ、みかっ、みかんっ!//////・・・さん////」
“さん”をつけたのに、また顔が赤くなっている。面白い。三国さんが、南沢さんと阿部さんを見比べ、面白がっている。
お互いが、それぞれの想い人(?)を見つめ、もだえている。笑
「可愛い先輩ですね」笑
「そうだな」笑
三国さんは、なんだかお母さんみたいだ(笑)そして、尊敬する先輩だ。
会長は、一番前の校長先生の横に座っていた。その横には、三国さんも座っている。
「続きまして、新入生歓迎挨拶。如月麗子」
「はい」
はっきりと、はきはきとした返事を行い、会長は壇上へと上がる。
一礼を行うと、紙を開いて読み始める。
「正門から見える桜の木々も芽吹き、つぼみをつけ、今日この日を待つように、満開になった今日この頃、雷門中学校には新入生が入学してきます。
皆さんは、一体どのような思いを胸に、雷門へと入学してきましたか?緊張、不安などもあれば、楽しみもあるでしょう。そんな皆さんに、私たち先輩から、3つのアドバイスも兼ね、挨拶いたします。
まず最初ですが、初歩的です。友好関係を、いいものとしましょう。小学校の入学式でも、同じようなことを言われたのではないでしょうか?そのことは、中学生になっても変わりません。素晴らしい友人、恩師に出会えるのが、此処、雷門中です。3年後、笑顔が今日の桜のように咲き乱れればいい、そう思います。
次に、部活動です。本校は、特にサッカー部が盛んです。我が生徒会にも、3名のサッカー部員がいます。しかし、サッカーだけではないのが雷門です。運動部をはじめ、さまざまな部活動があるので、たくさん悩み、自分に合った素晴らしい部活に入ってください。そして、素晴らしい先輩に出会ってください。
最後は、勉強です。何を言おうと、中学生の定期テストは大変です。好きなことも封印する先輩も、多いと思います。大変ですが、文武両道ができてこそ、楽しい日々となるのです。
皆さんの楽しい中学校生活を祈り、歓迎のあいさつとさせていただきます」
―――すごい感動的な文で、思わず聞き入ってしまった。