~flower~   作:御沢

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議事録6

“はじめましてです。私は、如月麗子と申します。

生徒会会長を務めさせていただいておりました。そんな私ですが、明後日をもって会長を辞職するのです。

任期、というのでしょうか。1年間という、長いようで短い期間でした。

生徒会の皆さんにも、たくさんのご迷惑をおかけしたことがありました。

 

 

次の会長ですが、生徒会副会長だった神童拓人君です。

神童君なら、皆が信頼できる、明るくてまじめでしっかりした、まとまった学校にできると思い、私が推薦したのです。

私が推薦したのは、もう1人います。副会長になった、山吹楓さんです。楓さんには、一度、すごくご迷惑をおかけしたことがありました。その際に、こういう人材が生徒会には必要だ、ということに気づいたのです。そして、副会長に推薦したのです。

会長は、神童君と決めていましたので。

 

 

任期は、あっという間に過ぎて行ったのです。

もう通学する際に、コートが必要な季節となりました。私が会長になったのも、これくらいの時でした。

私は“笑えません”。そのため、皆さんに不快な思いをさせてしまったこともあるでしょう。しかし、そんな私を受け入れてくださった皆さんに、私は卒業までの数カ月、恩返しがしたいと思うのです。

最初は“生徒会交代式”です。みかんさんや阿部君、三国君にも協力を依頼して、私らしくはないですが、楽しく明るい交代式にしたいのです。”―――

 

 

「・・・ということなのですが、協力していただけますか?」

麗子ちゃんは、私―――みかんたちの瞳を見て、はっきりと言い放った。確かに麗子ちゃんらしくないけど、良い考えだと思うの。

麗子ちゃんが考えた、最後の今期生徒会行事。面白くしたいもの。

「私は賛成だよ。麗子ちゃんの、最後の行事だもん。良いと思うよ」

「・・・そうだな」

「あぁ。そうだ、南沢も呼ぶか」

「それはいいですね」

相変わらず笑えないみたいだけど、最近の麗子ちゃんは、瞳だけは笑っていることがあるの。これが、麗子ちゃんの“笑う”ってこと。

「それじゃあっ!」

次期会長さんのいない生徒会室に、3年生の執行委員の声が響く。

 

 

「私たちが、伝統を作りましょう!」

 

 

『おーっ!』

こぶしを高く突き上げて、ちょっと汚い蛍光灯を見る。―――この蛍光灯を見るのも、あと少しなんだよね・・・。私まで、悲しくなってきてしまうなぁ。

―――そして、ナイスタイミングで神童君が帰ってきた。私たちは、いたって冷静に。麗子ちゃんは、神童君に仕事をたたきこんでる。

本当に、責任感が強くって、かっこいい女の子だなぁ・・・麗子ちゃんは。

 

 

交代式まで、残された猶予は今日も入れて、あと3日。

この間に、何とかして面白くって、最高の交代式を、麗子ちゃんのため―――皆のために、考えて見せないとね。

「うーん・・・サプライズって言ったら、歌うたったりかなぁ?」

「定番だな」

「じゃあ、プレゼントとか、三国どう思う?」

「生徒会費で賄えばいいが、神童に気づかれたら終わりだな」

「じゃあ、どうしろというのです、三国君」

・・・意気込んだはいいものの、そう簡単には良い意見は出るはずもなくって。

―――神童君が帰ってから、さらに残って私たちは会議中。

三国君は意見の選別、私と麗子ちゃんと阿部君は、意見の出しあいを行っているの。でも、良い意見が出ずに、かれこれ1時間。

「・・・どうしましょう、みかんさん」

「そうだねぇ・・・家に帰って、メールしようか?」

「そうだな。生徒会は、メルアド交換済みだしな」

最終下校時刻も迫っていたし、結局メールでやり取りすることになった。

 

 

メールの内容は、こんな感じ。神童君以外、生徒会メンバー一斉送信で行っていたから、会議してるのと変わらない感じ。

 

 

みかん@皆、良い意見でたー?

如月麗子@いいえ、全くです。

あべけん(阿部)@俺は、やっぱりプレゼントしか。

太一(三国)@俺は、次の生徒会メンバーがサッカー部がほとんどだと気付いたぞ。

あべけん@あ、本当だ。神童に、山吹さんもだな。

如月麗子@それだけじゃありません。一乃君や霧野君、1年生の剣城君もです。

みかん@川口君だけ、吹奏楽部だよね?後輩だもの。

太一@でも、サッカー部関連は難しいよな。サッカーさせるわけにはいかないしな。

 

みかん@よねぇ。だったら、歌はどう?あと、ダンスをするの。私が吹部だから、教えられるよ?

如月麗子@ダンスは、私には無理です。

みかん@えー?麗子ちゃん、美人さんだから、大丈夫だよ。

如月麗子@それは関係ありません!それに、私は美人じゃないのですが!

あべけん@あのー・・・盛り上がってるところ、申しわけないが。

みかん@あ、ごめんなさい。サプライズはどうするか、よね。

 

太一@でも、歌は覚えられない気がするぞ。それで、思ったんだが。

あべけん@なんだ?

みかん@気になるなー!

如月麗子@教えていただけますか?

太一@焦るな、汗。あのな、生徒会の旗を作るんだ。

如月麗子@旗・・・ですか?確かにいい考えですね。

太一@だろ?ずっと残しておけるし。3年生だけなら、3年生の多目的ルームを使えばいいだろう?

あべけん@確かに。それはいいな。

みかん@私も賛成!じゃあ、どんなのにするー?

 

如月麗子@私は、何かの歌の歌詞を書けばいいと思うんです。たとえば、某サッカーアニメのOP歌っている方とか」

あべけん@・・・如月、ファンなのか?

如月麗子@・・・はい。良い曲ですし。

太一@じゃあ決まりだな。次は歌だな・・・。

みかん@私は、初代の2つ目の曲がいいと思うんだけどなぁ。2番の“僕らの絆、絶対に消えない”とか好きだよ?

太一@じゃあ、2番からだな。よし、決まりだ!

 

如月麗子@急いで作らないとですね。

あべけん@だな。そのためにも、俺はもう寝るな。おやすみ。

太一@じゃあ俺も、おやすみ。

みかん@私も、お母さんがうるさいし。おやすみー。

如月麗子@では、私もです。おやすみなさい。

 

 

・・・と、こんな感じで、旗を作ることになったの。

翌日から、私たち3年生は、超特急で旗制作に取り掛かって、何とかいいものができたっぽい。

2年生、1年生のみんなが、喜んでくれるといいんだけど・・・。

 

 

いよいよ交代式の日がやってきた。

正直言えば、少しさみしいような気がするよ。だって、1年間やってきたんだから。少しっていうか、かなりさみしい。

でも、それ以上に楽しみの方が大きい。―――私たち生徒会は、ドン引きだけを残した劇をはじめ、いろいろやらかしたからなぁ・・・。

楽しかったんだけどね。

 

 

「これより、生徒会交代式を行います」

広報委員会の司会の生徒が、はっきりとした声で告げた。その声で、私たち旧生徒会と、神童君たち新生徒会が、一斉に立ち上がる。

そして、交代式が始まった。

 

 

 

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