“好き”って、伝えられたなら、これほどまでに、楽なことはないのになぁ・・・
これは、3人の1年生女子の、恋物語。
~葵の場合~
私には、幼馴染の男の子がいる。
少し天然で、馬鹿で、でもとってもまっすぐで、サッカーに関しては、まっすぐすぎて困っちゃうくらい・・・。
それが、幼馴染の松風天馬です。
天馬とは、小学校3年生位からの、付き合い。
天馬が、サッカークラブのテストを受けた時、仲良くなったのがきっかけ。
それと同時に、私もサッカーに興味を持った。そして、天馬にも・・・。
―――そんな天馬に、“好き”なんて気持ちが芽生えたのは、いつくらいかなぁ・・・。
「いけーっ!シュートっ!」
稲妻第二小学校の小学校5年生の時、授業でサッカーをする、天馬を見ていた。キラキラの笑顔で、すっごくかっこいいと思った。
「天馬ーっ!かっこいいよーっ!」
大声で叫ぶと、天馬は私に笑いかけた。
「ありがとーっ!葵、大好きだよーっ!」
「私もーっ!」
このころの私たちは、“大好き”も普通に言えるし、なんだか姉弟みたいだった。でも、周りの子には、そうは見えなかったみたい。
授業が終わって、仲が良かった友達が、私の席に来た。
「ねぇねぇ、葵ちゃんって、松風君と付き合ってるの?」
「・・・はぁ?」
すごい顔で、私は変な声をあげた。私が、天馬と付き合ってる・・・?
「ううん、付き合ってないけど?」
当時は、髪の毛も長かった。私は、ツインテールを結びなおしながら、首をかしげた。すると、友達は別の質問をしてきた。
「じゃあ、松風君が好き?」
私は、間髪いれずに答えた。
「うん、あったりまえ。だって、幼馴染だもん♪」
すると、友達ははぁぁぁぁ・・・と、大きなため息をつきながら、私の席から離れた。
「なんだったんだろ?」
―――今なら、わかるなぁ・・・。私は、天馬が好きだったんだ・・・。
―――その思いは、今でも伝えられないけど・・・
いつか、伝えられたらいいなぁ・・・って思うんだ♪
~楓の場合~
「おかあさんっ!おとうさんとの“であい”、おしえてぇ~!」
4歳になった娘のみかに、急に聞かれ、私は思わず飲んでいた紅茶を、吹き出しそうになってしまった。
「な、何言って・・・!?みか、急にどうしたの!?」
「あのねぇ、いま、ようちえんで“けっこんごっこ”しててねぇ~♪」
なるほど、と納得しつつ、私は考え込んだ。そして―――
「いいよ。教えてあげる。―――とっても素敵な、恋のお話」
今が25歳だから・・・
―――あれは、今から10年以上も前のこと・・・。
晴れて恋人同士になった、私と京介は、中学生の間は、別に恋人らしいわけではなかった。
―――そんな生活が変わったのは、高校2年生の時。
私が海外留学して、1年間日本にいなかった。交際は順調だったが、会えないつらさはあった。でも、毎日毎日メールをした。
そして、1年はあっという間にたち、日本へと帰った。
空港で再会して、私たちはそのまま、京介の部屋へと向かい、一夜を共にした。
それからも、何度かこういうことはあった。ちゃんと気をつけたし、高校の間は大丈夫だった。
でも、大学になってから、変わった。否、その時は“変わってしまった”って思った。
「子供ができたの・・・」
困惑して、どうしようかと思って、やっと京介に告げた一言。“結婚しよう”って、言ってくれていたけど、まだ19歳だった。順調にいけば、生まれるのは20歳になってからだったけど、それでも負担になる、と思った。
でも、京介は言った。
「一緒に生きるよ」
―――嬉しかった。涙が止まらなかった。もう、嬉しくってどうにかなりそうだった。
生まれたのが剣聖。
逆子だし、初産だし、予想以上に陣痛は痛いし・・・。命の危機にさえさらされ、ようやく産み落とした。
涙が、あふれてあふれてあふれた。あの京介でさえ、泣いていた。
「ありがとう」
って、連呼してくれた。嬉しかった。
それから1年後―――
生まれたのがみか。
安産で、すごくありがたかった。幸せで、この幸せが崩れるんじゃないかって・・・不安になった。
それは、当たってしまったけど。
次へ続く