むかしむかし、栄えた国がありました。
その国は“ライモン王国”といいました。
ライモン王国の王女様は、アオイといい、藍色の長い髪がかわいらしい王女様でした。
そんな王女様には、プリンスが居ました。
そのプリンスは、テンマと言いました。優しくて、元気がいい少年でした。
また、王女にはナイトもいました。
そのナイトはキョウスケといいました。クールで、本当は優しい少年でした。
「暇だなー…テンマもキョウスケも、何してるんだろう…」
アオイは今日も、1人で豪華な自分の部屋からテンマの国と、キョウスケの国を見つめます。
「また見ているのね、アオイ」
「お姉さま、こんにちわ」
―――アオイの部屋に入ってきたのは、姉のアカネでした。アカネは、お金持ちの公国の王子のタクトと婚約しています。
「テンマくんとキョウスケくん、かぁ…。アオイはどっちがいいの?」
「え、えぇ!?なんですか、お姉さまっ!?」
「だって、アオイもそろそろ、婚約しなきゃよ?」
「わかってるけど…選べなんです」
そういいながら、アオイは頭を抱えます。
そんな妹を見て、アカネはとある提案をします。
「だったら、森のはずれにある魔女のところへ行くといいわ」
「魔女…?」
アオイは首をかしげました。
アオイの国からテンマ、キョウスケの国へ行くには、ライモン王国を囲むようにある樹海を越えなければなりません。
その樹海の中には、昔から美しい魔女がすむといううわさがありました。
それを信じているわけではなかったのですが、アオイの状況が状況だったので、アオイは魔女を訪ねることにしました。
―――その魔女には、正しい道しるべを示してくれるといううわさがありました。
「魔女かぁ…行ってみようかな」
「そうしたらいいよ。じゃあね」
そういうと、アカネはアオイの部屋から出て行きました。
アオイは早速支度をして、森へと出かけていきました。
―――どれだけ歩いたか分からなくなった頃、アオイの目の前に1つの館が見えてきました。蔦で覆われた不思議な館でした。
「おじゃましまーす…」
アオイが声をかけます。でも、誰の声も聞こえません。
目の前に見えるのは、頑丈そうな大きな扉だけです。アオイはそれを、いくつもいくつも開けます。
何枚開けたかわからないくらいになって、ようやく開けた場所が出てきました。
その中心には、目深にフードをかぶった人物がいました。―――彼女こそ、魔女です。
「お譲さん、何のご用でしょう」
フードを脱いだ魔女は、言葉を失うほど美人でした。黄色のとてつも長い髪が何より目を引きました。
「私は魔女のカエデです。貴方に、正しい道しるべを示して差し上げましょう。さぁ、座りなさい」
魔女―――カエデの言うがままに、アオイはいすに座りました。そして、カエデは手元にある水晶をいじりました。
そして、呪文のようなものを唱えて、目を閉じて、水晶をなで続けました。
そして、そのまま数分がたちました。
「もういいでしょう」
「え…?」
アオイには触れることすらせず、カエデは立ち上がりました。
アオイは勝手に足が動くようでした。勝手に足が動くまま、アオイはドアへと向かい、気付けば外にいました。
振り返ってみても、館なんてあとかたもないのです。でも、不思議と変な気持はしませんでした。むしろ、なぜ館なんかがあったと思うのか、と不思議に思うくらいでした。
「そういえば、私は―――…」
アオイは思い出したように、足をとある国へと進めました。
アオイは、気付けばとても栄えた国にいました。自分の国ではありません。
真ん中にある城からは、その国の王子様が顔をのぞかせていました。
「テンマー!」
「あっ、アオイー!」
―――そこにいたのは、テンマでした。マントをなびかせながら、テンマはお城から下りてきました。
「びっくりしたよ、アオイ。アオイはてっきり、ナイトを選ぶと思ったからね」
「ナイト…あぁ、あの…えっと、なんだっけ?」
その言葉に、テンマはもちろん、アオイも違和感を覚えました。
ですが、それも一瞬の事でした。2人は顔を見合せて笑いました。
「まぁいっか!」
「そうだね!アオイ、これからはよろしくね」
「うん!よろしくね、テンマ!」
2人は幸せそうな笑顔を浮かべました。
―――一方、森の館では。
「お疲れ様、ルナ」
「楽しかったですよ、カエデ」
フードをかぶった魔女のしもべである魔法少女が、いつも通りの黒いワンピースに着替えていました。
彼女の名前はルナ―――もとい、キョウスケ。
正確には、キョウスケに化けていたルナです。キョウスケなんてナイトは、本当は存在しません。キョウスケは、ルナの双子の兄で、カエデの補佐をする魔法使いです。
「カエデ、こんなことをして何がしたかったんだ?」
本物のキョウスケに問いかけられて、カエデは笑顔で答えました。
「本物の愛を、あの王女様に教えてあげたかったのよ」
―――その後のお話です。
アオイ女王とテンマ国王の治める国は、さらに繁栄しました。
国民は、皆同じ考えをもって、2人の事を見守っていました。
―――“愛は偉大だ”ということです。
これは、むかしむかしのお話。
愛で結ばれた王女と王子のお話。
愛を教える美しい魔女と魔法少女と魔法使いのお話です。