~flower~   作:御沢

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議事録2

「三送会、について話し合いましょう」

ホワイトボードに大きく“三送会”と書き、麗子は机をバンッと叩いた。その音に、思い思いのことをしていた皆が、いっせいに反応する。

「三送会・・・って、終わりましたよね?」

戸惑いがちに神童が尋ねると、麗子ははぁ・・・とため息をついた。

「終わったからです。つまり、反省会」

それならそういってください、というまなざしを麗子に注ぎつつ、4人は納得する。

 

 

「にしても、三送会って学校中を使って、逃○中しただけじゃなかったか?」

「反省なんて、何も・・・なぁ?」

「うん・・・」

麗子が、急に持ってこられた資料に目を通している中、三国、阿部、みかんはこそこそと話していた。

学校中で逃走○をして、けが人が1人も出なかったのだから、反省なんてすることがない。

「強いて言うなら、ハンター役の人ですかね」

神童も合流した。

「なぜだ?ハンター役は、足が速かったぞ?」

阿部が聞くと、神童は首を横に振る。

「違います。ハンター役の人だって、逃げたいと思います。それに、陸上部ってことにして、3年生もハンターになってました」

そう指摘すると、皆は確かに・・・と納得する。

「神童の言うとおりだな。3年生がハンターだと、確かに楽しんでもらえたかどうかは、わからないな」

「でも、いまさら言っても、しょうがないと思うんだけどなぁ・・・」

―――4人は、再び黙りこくった。

 

 

「これは・・・あぁ、関係ないですね・・・これは・・・予算が少ないなら、顧問の先生に相談してください、と・・・」

一方の麗子は、1つ1つの資料に目を通しながら、丁寧な字で答えをかいていた。筆ペンで書いているというのに、奇麗なのだから驚きだ。

「麗子・・・いいのか?言いだしっぺが、話しあわなくて」

麗子とともに仕事をしていた南沢が、腕を高く突き上げて、麗子のほうを見る。麗子は、資料を見つめたまま、

「これも立派な仕事ですよ、篤志」

とだけ言った。

必要最低限のことしか言わないから、南沢は参っていた。少しくらい、普通に話したい、と思ったりもする。

「そうだな・・・」

でも、そんなことは無理か、と思い、南沢も仕事に移る。

 

 

「―――でも、○走中って、ハンター役が楽しいんじゃないのか?」

「いやいや、逃走者でしょ?」

「私は、ハンターだなぁ」

「俺は、逃走者です」

一方、4人は・・・一体ぜんたい・・・。

「何してんだ?」

仕事が終わった南沢が、4人のところへ向かう。すると4人は、目を輝かせて聞く。

「逃○中って、ハンターが楽しいんですか?逃走者が楽しいんですか?」

しばしの沈黙。そして、南沢のため息だけが、生徒会室に響く。

 

 

―――とある1日。

 

 

「今日は意見を聞きます」

麗子は、生徒会室のドアの前に立ち、まとまってやってきた5人にいう。

「1年生は神童君と三国君、2年生は西原さんと阿部君、3年生は私と篤志です」

そういうと、ご丁寧にメモ帳と黒のシンプルなボールペンを差し出して、生徒会室の鍵を閉めた。

「十分に聞き終えたら、もう帰っていただいて結構です」

そう言い残すと、麗子と南沢は消えた。

「私たちも行こうか、阿部君?」

「お、おぅ」

やがて、みかんと阿部も消え、

「じゃあ、行きますか」

「そうだな」

神童と三国も消えた。

―――今日の仕事が、スタートした。

 

 

「なぁ、麗子。仕事って言ったって、3年生に今更聞くことなんて・・・」

「何言ってるんです、篤志。今だから聞くんです」

まるで天井から糸でつるされているように、ピンとした姿勢の麗子と、若干だるそうな猫背ぎみの南沢は、3年生の廊下を歩く。

「・・・あと数カ月したら、俺たちの教室も此処だよな」

ふと思った南沢は、そう呟くと、麗子が南沢を見つめていう。

「あなたがそんなことを言うなんて、ちょっと驚き。先輩としての自覚、とでもいったところでしょうか?」

南沢は若干カチンと来たが、次の瞬間、思わず目を見開いた。―――麗子は、ほほ笑んでいた。

まぁ、しかし、すぐに普段のポーカーフェイスに戻ってしまったが。―――その頬は、若干紅く染まっているわけで。

「麗子もだろ?あ、そんな自覚はないか?」

「ッ!うるさいです!」

麗子の調子を狂わせる、ただ1人の存在が、南沢篤志だ。

 

 

一方、2年生組・・・

―――阿部は、恋する相手・みかんとのこの展開に、胸のドキドキが止まらなかった。一歩のみかんは、全く気が付いていない。

「に、西原。部活の奴とかで、話せそうなの、いるか?」

「部活・・・私は吹奏楽部だけど・・・行ってみる?」

「お、おぅ」

いつものように、照れてはっきり言えない返事をして、2人は音楽室へと向かった。

 

 

そして、1年生組はというと・・・

「此処しかない」

「そうですよね」

―――サッカー部部室前。つい先日入った神童たちも含め、ファーストチームの部室の前にいる。

「失礼します・・・」

「おぉ!神童!仕事終わったのか?」

そういいながら、神童に近づいたのは、

「いや、これが仕事なんだ・・・霧野」

ピンクのツインテール、中世的な見た目だが、イケメンで、男女ともに人気がある彼は、神童の幼馴染で親友、霧野蘭丸だ。

彼等、サッカー部に事情を話すと、霧野が真っ先に答える。

「集会が少ない。放送で済ませすぎ」

―――的確な指摘だった。

 

 

 

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