お日さま園に住む俺―――狩屋マサキの1日は、瞳子姉さんの“起きなさい”の声で始まる。
それは、お日さま園に入った小5の時から、お日さま園を出る20歳の今日まで、変わることがない。
まぁ、その中で周りはいろいろ変化したわけで。
たとえば、ヒロトさんは玲奈さんと結婚したり、子供が出来たり。瞳子姉さんだって、結婚したり子供が出来たり。
要するに、皆が大人になったわけで。晴也さんだって、風介さんだって、同じように杏さんやクララさんと同じようにあって。
―――皆の子供は、俺の弟や妹みたいで、はっきり言うとかわいい。生意気だったり、人見知りだったりするけれど、それも意外と好きだ。
そんな俺だって、そりゃあ少しは大人になりまして。
彼女もいる。しかも、超美人で、超有名。―――モデルの、ルナだったりする。
ルナこと剣城瑠奈ちゃんは、中学校からの同級生。でも、俺はもともとルナのファンだったわけで。ファンクラブにだって、ちゃんと入っていた。
そんなルナが、まさか同級生なんて。驚きだったけど、だんだん“憧れ”が“恋愛”に変わっていて。
“何してんのよ、狩屋!男子なら・・・男なら、助けに行ってやりなさいよ!!
―――肝試しのとき。ペアだった山吹楓ちゃんにいわれて、1人ボッチになった瑠奈ちゃんを助けにいって、あの時は怖かったけど、とても楽しかった・・・。
それから、俺はどんどん瑠奈ちゃんにひかれて、瑠奈ちゃんとの距離は縮まって。
瑠奈ちゃんの双子のお兄さん、剣城京介君と楓ちゃんが中2のとき、付き合うことになった。
それを見て、くすぐったくなってて・・・気がつけば、勢いで告白してた。返事はyesで、その関係が今でも続いている。
「マサキ君っ!まったかしら?」
「ううん、全然」
瑠奈ちゃんは世界レベルのモデルなのに、“マサキ君と一緒にいたい!”と言って、日本に滞在してくれている。
今日は実は、デートではない。瑠奈ちゃんに急に呼ばれたのだった。
「じゃあ、行こうか?」
「えぇ・・・」
ちょっとうつむいて、元気のない瑠奈ちゃん。一体どうしたんだろう・・・?
たどり着いたとことは。
「さ、産婦人科・・・って・・・」
瑠奈ちゃんは、顔を真っ赤にしている。
「こ、この前・・・体調が悪くって、総合病院行ったんだけど、そしたら・・・旦那さんも、一緒に来てねって言われてて・・・迷惑だったら、帰ってもいいけど・・・?」
儚げな表情で、俺を見つめる瑠奈ちゃん。
―――実をいえば、楓ちゃんと剣城君や、ほかにも松風天馬君と空野葵さん、神童拓人先輩と山菜茜さん、錦龍馬先輩と瀬戸水鳥さんなど、いろいろな人たちが結婚してたり、子供がいたりするわけで。
俺はヘタレで、プロポーズの1つもできなくて、この状態だ。
「嫌なわけないよ。さぁ、行こう」
俺はそういうと、瑠奈ちゃんの手を引いた。
「こんにちわ、剣城さん」
「こんにちわ、雨宮さん」
そこにいたのは、新雲学園のキャプテンだった、雨宮太陽君だった。
「狩屋君もこんにちわ」
話によると、自分が身体を治してもらって、内科・小児科医にあこがれて、奥さんも助産婦の資格を取ったため、内科・小児科と産婦人科の合体した病院を作ったらしい。
ちなみに、その奥さんと言うのが―――・・・
「久々、瑠奈ちゃん」
「紫緒莉ちゃん、久しぶり」
いろいろあって、桜庭紫緒莉さんこと雨宮紫緒莉さんだったり。
寝台に横たわって、瑠奈ちゃんのおなかにジェルが塗られる。そして、エコー検査。
ちょっとくすぐったそうな瑠奈ちゃんが、可愛いのはともかく。豆粒くらいの、小さなものがあった。
「これが子供。2つ見えるでしょ?だから、多分双子」
太陽君が、慣れた口調でそう告げる。でも、俺は動揺するばかり。急に2人の父親なんて・・・。不安だらけだ。
検査を終えて、瑠奈ちゃんは俺の手をつないだまま、無言で病院を出た。
そして、瞳いっぱいに涙をためて、瑠奈ちゃんは言った。
「迷惑よね・・・ごめんなさい。別れてもいいあ。マサキ君には悪いけど、私はこの子たちを生むつもりよ」
その顔は、もう母親で。―――俺も覚悟決めないとな。
「お願いがあるんだけど・・・そのこたちの名前、何でもいいけど、名字は瑠奈ちゃんも含めて、“狩屋”でいいかな?//////」
精いっぱいのプロポーズ。瑠奈ちゃんは、急に泣き出してしまって、本当に焦ったり。
「迷惑!?」
瑠奈ちゃんは、大きく首を横に振る。
「嬉しすぎるの。ありがと・・・マサキ君」
―――狩屋マサキ、20歳。来年、2人の父親になります。
~後日談~
私―――楓のところに、瑠奈から電話がかかってきた。
「瑠奈?どうしたの?」
瑠奈は、口ごもった。そうしている間にも、2か月前に生まれた長男の剣聖が、隣の部屋で泣いている。
『妊娠した・・・双子』
そうとだけ瑠奈は言うと、一方的に電話を切られた。
しばし呆然として、私は剣聖をあやした後、夫の京介とともに、瑠奈と狩屋のところへ向かいました。