及び別冊短編集を宣伝のため序盤掲載しておきます。
もうひとつの可能性同人誌版の方完成しました。
現在、夏コミで『三日目東ウ37-b』で『triptych』で配布されます。
価格は『800円』を予定しています。イラストは「ふゆいち」様という方になります。また、豪華ゲストイラストも収録しています。とらのあなでの委託も現在開始しましたので遠方の方も是非どうぞ。
ついで、お隣『三日目東ウ37-a』では『シャーロットアフター』というタイトルで短編集の方を製作しました。イラストレーターは「紅雪」様という方になります。
短編七本で全て挿絵つきになります。
こちらは配布価格『700円』を予定しています。こちらは現在製作途中ですが、完成次第とらのあなでの委託も申請する予定です。
以下、『もうひとつの可能性』通信販売サイトになります。挿絵なども若干掲載されていますのでご検討にご利用ください。
http://www.toranoana.jp/mailorder/article/04/0030/43/05/040030430554.html
さらには、同スペースで昔執筆したCLANNAD杏ルートアフターストーリー小説も販売されます。こちらは価格『900円』予定してまして、こちらもとらのあなさんで予約受付中になっています。
http://www.toranoana.jp/mailorder/article/04/0030/43/05/040030430541.html?newtweet=01
えーと。ハーメルンさんの方は文字数の下限制限があるんですね。
……じゃあ。宣伝文だけだとあれですので、『シャーロットアフター』の序盤だけ掲載して文字数稼ぎしておきます。
『シャーロットアフター』
「ねぇ……友利さん」
そこは街中にある喫茶店だった。私――友利奈緒の前には一人の少年がいる。少年の名は乙坂有宇。そこで私達はお茶をしていた。どこからどう見ても恋人同士――に見えているのだろうか、果たして。あまり自信はないが。
「有宇君……恋人同士なんだから、苗字で呼ぶのはやめて、っていったじゃないですか。後、さん付け禁止」
彼は一応――いや、正真正銘、私の恋人だ。略奪の能力を用い、全世界の能力者の能力を奪い、その代償として記憶を失っているが。
長い旅から無事――とはいえないが帰還した彼はリハビリ生活の末になんとか日常生活を送れる程度には回復した。だからこうして街中に出ているわけではある。
「……そうでしたね。すみません」
有宇君はそう謝る。
「いえ、謝るような事ではありませんが」
私は頼んでいたアイスコーヒーを口に含ませる。
「それで、質問をいいですか?」
「なんですか?」
「恋人って、なにをすればいいんですか?」
至極真面目な口調で彼はいう。
「……なにをって」
根本的な質問だった。半ば強引に有宇君を連れ出した私ではあったが、そもそも根本的な部分が相当に欠落しているようだ。頭を抱えざるを得ない。
「こうして、お茶したり、映画見たりするのをデートっていうんです。恋人同士になったら、休みの日はこうするのがセオリーなんです」
とはいっても私も実際に異性と付き合った経験はないので、全ては映画やドラマの知識でしかないのではあるが。
「へぇ、そうなんですか。他には何をするんですか?」
「他には……そうですね。さらに親密な関係になったら、キ、キスしたりとか」
しどろもどろでいう。当然のように漫画やドラマの知識で、経験はない。
「キス?」
「せ、説明が必要ですか。唇と唇を合わせるんです」
若干焦る。
「へー。どうしてそんな事するんですか?」
「求愛行為です。お互いを愛し、求めている事を証明する行為なんです」
「それで、キスをした後はどうするんですか?」
「……そ、それはですね。映画やドラマだったらそれから――夜景の見えるホテルに泊まって――それからごにょごにょ」
「ん? 友――いや、奈緒よく聞こえないんだけど」
「は、裸になって、それから――おしべとめしべが――ああ! うるさい! こんな事いちいち女の子に説明させんな!」
私は突如キレて大声を出す。
「ど、どうして怒るんですか」
「……全く。どうやら社会常識まで抜け落ちているようですね」
奈緒はため息をついた。
――と、私は気配を察する。視線を感じた、何者かに尾行されているようだ。まあ、概ね高城君や柚咲さんと歩未ちゃんだと思うので無視しておくか。ただ、どこか普通ではない気配をその時、私は感じていた。
「……人の恋路を覗き見るのはあまり良い趣味とは思えませんね」
変装した高城は言う。コートを着込み、帽子をかぶっている、見るからに怪しい。その横には柚咲――及び有宇の妹である歩未もいた。とはいえ、この場に一緒にいる時点で同罪である気がしてならないが。
「し、仕方ないじゃないですか。心配なんですから」
そう、柚咲は言う。彼女もまた変装をしていた。コートを着込こみ、帽子をかぶっているが逆に目立つ。
「あゆも気になるのです!」
そう、歩未も言った。彼女もまた変装をしていた。コートを着込み、帽子をかぶっている。サイズがあってなくて不格好なため違和感しかない。
「確かに気にはなります」
高城は言う。それには二つ意味があるだろう。単純な恋路として。そしてもうひとつは有宇の事だ。あれだけ消耗していたのだ、いつ何かあっても不思議ではない。一応退院こそしたものの、その後も定期通院を受けている。何か異変があっても不思議ではないのだ。
――と。
「ん?」
高城はなにやら二人の様子を見る、一人の少女がいる事を察した。気のせいかもしれないが、二人の様子を覗き見ている――明らかに怪しい少女だった。
日本人――だろうか。もしかしたら中国か、韓国かはわからないが。
高城はその少女の事を気にしていた。もしかしたらなにかあるのかもしれない、と。