黒ウサギ息抜きしすぎてる気がするけど、書きたいものが多いから仕方がない。
『警備会社アイギス』
そんな会社に、私こと一剣(はじめつるぎ)は所属している。未成年ではあるが、この会社は年齢度外視で才能優先の人材募集をしている。とは言ったものの、現在は私が最年少である。
そんな私も勤務から3年経ち、多くの仕事を成し遂げてきた。ある時は有名マルチフォームスーツの開発者の家族を誘拐等から守護したり。またある時は表の仕事でアイドルの護衛を勤め、行き過ぎたファンや強引な営業からアイドルを守護したり。裏表問わずに守護を続けてきた。そんな私だが、現在窮地に立たされている。
「課長、流石にこの依頼は冗談ですよね」
手元の資料に目を通した後、わなわなと体を震わせながら課長に訪ねる。課長はそんな私を横目で一瞥しながら、タバコに火をつけ一服を始めた。隣では同僚である如月修史さんが同様に体を震わせている。基本的に同僚であろうと、依頼内容は秘密厳守であるため、資料を盗み見るなんて事はしないが彼の依頼内容も有り得ないものだったのだろう。
「冗談も何も、向こうのお偉いさんからの直々の指名だ。俺達アイギスの中で初だぞ、指名依頼なんてのは?光栄に思ってもいいんじゃないかなー」
「だ、だからってこれはあんまりでは…」
指名依頼は確かに名誉な事かも知れないが、内容が内容だ。今回の依頼内容、それは
『麻帆良学園女子中等部にて、近衛木乃香の守護。※御社で1番の腕利きを願う』
その依頼内容に何が問題あるかと言われれば、女子中等部での守護が依頼されたという事。
「何で男の私に女子中等部の守護が回って来るんですか!?」
私、一剣は正真正銘立派に男性である。故にこの依頼は私には遂行不可能であり、他の女性職員が受け持つべき依頼である。そもそも指名依頼じゃないですし。腕利き募集されてるだけですし。
「そんな事言ってもだな、この会社で1番の腕利きとなったらお前さんが該当するわけだし。そもそもうちの女性職員が女子中等部なんかで守護して見ろ。歳が離れすぎて見事に浮くわ」
その言葉が課長から発せられた瞬間、周囲の女性からの視線により部屋の温度が僅かに下がった気がした。
「と、とにかく!修ちゃんは他の女子校に向かわないと行けないから必然的に剣ちゃんがベストって訳!」
「待ってください課長!俺もこの依頼受けるなんて言ってないですよ!」
「修ちゃんは確定事項だから。諦めなね」
課長ぉおおおおおおお!と言う魂の叫びが響き渡る中、私は改めて自身に渡された資料を読み直した。
『関西呪術協会長である、娘の近衛木乃香。膨大なる魔力を保持し、現在は麻帆良学園にて普通の学生として過ごしている。
出たよ、魔法…。裏の依頼に携わるようになってからというもの、頻繁に関わるようになってしまった超常現象の一種。通っていた流派の道場で、薄々魔法の存在を考えていたが、いざ目の当たりにするまでは、実感出来ないでいたもの。
「裏の依頼は修ちゃんよりも剣ちゃんの方が向いてるしね。修ちゃんには女装して仕事に務めてもらうけど、剣ちゃんは素のままでも大丈夫だから安心だよね」
いやー別嬪さんは色々お得ですなー!なんて言いながら笑う課長に、修史さんと共に殺意が芽生えたのは無理もない。私は決して女性では無い!素のままで女性と間違えられるなんてもっての外である。
「いやー剣ちゃんはもう性別剣って感じだしさ、もう何ていうか男として見れない」
職員全員が「あれはもう反則よね…」「男の俺でもキュンキュンくる」「この前社内のシャワー室で遭遇した時、あいつ胸と股間をバスタオルで隠してたんだよな…」「ギルティ」「ギルティ」「ギルティ」などと、私を男と見てくれない現在。軽く欝になってしまう。
「と言った事で、この依頼は既に決定事項です。君らには拒否権は無い。依頼された以上、完璧に要人を守護するのが俺達アイギスだ。」
先程とは違い、真面目な言葉で課長が告げる。
「よし、剣ちゃんは直ぐに麻帆良に向かってくれ。向こうがかなり急かして来てんだ。出来れば今日にでもな!」
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そして、その日の夜中。私は自身の足で麻帆良向かい、到着した。麻帆良周辺には、とてつもなく大きな結界が展開されており、探すのになかなか苦労したが勘を頼りにたどり着く事が出来た。
そして現在、何故か私は多くの魔法使いに囲まれている。
「何処で選択を間違えたのか…」
「何を訳が分からない事を!麻帆良の地に無断侵入、目的を教えなさい!」
やはり結界の一部を切断したのが不味かったのか…。いやでも、結界も自然に元通りになったし、そもそも他に麻帆良に入る方法が電車しかない中、現在は時間により運行が停止しているし…。
「黙りですか…。ならば実力で訴えさせて頂きます!」
そう宣言した彼女の周囲に、影が渦巻く。すると影がまるで意思を持っているかのように私に襲いかかる!
「わっ!待ってください、学園長に連絡をお願いします!」
学園長ならばこの現状も何とかしてくれるであろう。そんな願いを告げてみたのだか、帰ってきた返事は影による槍の一斉掃射。持参してきた刀を用いて、影を切り捨て避ける事に専念する。
影に気を取られている間に、背後から炎が迫り来る!
「あーもう!これも全部課長のせいだ絶対に!」
炎も一太刀にて切り捨てて、走りながら避け続けていると。
『ヴォオオオオオ!!!』
「「「!?」」」
腹の底に響くような、猛烈な叫びが響き渡った。
それに対し私は急いで体内の魔力を循環させ、刀を地面に突き立てる。突き立てた刀に循環させた魔力を流し込み、ソナーのように周囲に浸透させ、音の元凶を突き止め走り出す。
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(あぁ、私はここで死ぬのかしら)
保育園でのお手伝いの帰り。何時もより少し遅くなった帰り道で、私はソレに出会った。
歪に歪んだ口から滴る液体。その手には動物だったモノが握られており、その背中には悪魔の様な羽が生えていた。
『その通りであるそこの小娘』
私の存在に気が付いたことに驚き、そして尚心の中を見透かされた事に恐怖を覚える。その瞳がこちらを向き、心臓が跳ねるように脈打つ。逃げなければ駄目だ。逃げなければ〇される。そう頭の中では判断出来るのだが、足が一向に動かない。恐る恐る足元を見つめるとピキピキと音を立てながら石化していた。
「ひっ!」
『吾輩、生肉も好きであるが。一番の好物は恐怖に染まった人間を石化させて食べることである!』
その言葉を聞き、私の恐怖は更に加速していき、それに伴い石化も加速していく
『怖いであろう、恐ろしいであろう!その気持ちが最大の調味料となり、吾輩の最高の食事となる!』
「い、嫌!誰か、助けてっ…」
届かぬ願いと分かっていても、叫んでしまう。徐々に、徐々に動かなくなっていく体に恐怖しながら涙を流す。
お手伝いに行かなければ、この道を通らなければ。そんな後悔が襲ってくるが意味の無いこと。石化して薄れゆく意識の中、私は一筋光を見た。
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「遅かった…!」
私が駆けつけた時には、既に被害者が出た直後だった。石化した女性は恐怖に染まった顔をしており、その目からは涙が流れた後が残っていた。
『ふむ、二人目の餌であるか。今日は何とも良き日である!こんな辺鄙な所に呼び出されたから退屈しておったがここは素晴らしい餌場である!』
そう告げる悪魔の目が一瞬光った。その一瞬に反応し、刀を振るい、光を断ち切る。
「恐らくですがその光を浴びる、なおかつ貴方に恐怖を抱く。それが石化の条件となる、間違いはありませんか」
『む、そうであるが…なぜ石化せぬ。吾輩に恐怖しないというのか』
一々悪魔程度で恐怖していたらアイギスの社員は務まらない。それに感じた所、この悪魔は蛇の低級悪魔。その程度なら片手間で始末出来る。
「恐れるに足りません。これ以上の問答も時間の無駄です、一太刀で終わらせます」
そう告げると同時に私は既に悪魔を両断していた。ズレた事に気が付かない悪魔は、体から煙を出し消滅していった。
「消滅しても、石化は解ける気配は無し…。呪いだけは無駄に高かったようですね…」
普通の低級悪魔の呪いならば、その悪魔を消しされば呪いは解ける。今回は低級悪魔であるが、呪いだけは無駄に高かったようだ。
仕方が無いと判断し、私は刀を1度鞘に収め、魔力を高める。
「私は」
高めた魔力、体内の気を練り上げ組み合わせる。
「その呪いを」
組み合わせたソレを刀に一点集中させ
「断ち切ります!」
私は石化した女性を切りつけた。
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