シークレットゲーム 勇者長沢   作:火金星人

59 / 60
窮地を脱した一行の足取りは乱れ始めていた。長沢たちが命を賭けて掴み取った現状は一時的な安堵を齎すも、迫り来る危機感が確実に恐怖心を煽り立てていた。

「すみません、長沢君……。あの……代わり……ましょう、か……?」

目を細め、覚束ない足取りで歩を進める咲実の呼吸は徐々に荒くなり、その疲労はピークに達していた。僅か後ろを必死に追いかける長沢も強がって笑顔を見せてはいるが、無理しているのは明らかである。

「べ、別にまだ、だいじょう、ぶ、だぜ……。僕、夜更かしには慣れてる、からさ……」

その背には、まるで死んだかのように寝息を立てている優希がいた。度重なる戦闘行為で半ば忘れていたものの、今は深夜帯である。普通の生活を送る思春期の男女、加えて小学生ならば床に就いている時間なのだ。

「すまないね……。本当は僕が代わらないといけないところなんだが……」

「いえ、そんな……。大ケガをしてるんですから、無茶を言わなくても……」

後に続く葉月の様子にも陰りが見え始める。腹に巻かれた包帯からは赤い血が滲み出て、ポタポタと滴り落ちる。時おり顰める表情が傷の深さを物語っていた。本来ならばこと切れていても不思議ではない重傷である。それを一般人が手にする事ができないような劇薬で症状を無理に抑えているのだから、いつ倒れても不思議ではないのだ。

やがて足を止めると、壁に手をついて呼吸を整える。

「長沢君……? 少し休みましょう……。御剣さんが……」

「な、何だよ!? またいなくなっちまったのかよ……」

葉月よりも後ろからついてくるはずの総一が現れては消え、再び姿を消す。足に受けた銃撃もさることながら、彼を支えられる人間がこの場にいないことも大きい。何より、運動に向いているとは言い難い二人が一番まともに動けると言うのも皮肉としか言いようがなかった。




「ごめん……咲実さん、長沢」

始めは総一を長沢と咲実で支えていた。だが、体格差を考えれば負担は激しく、体力は消耗するばかりだった。終いにはよろめき出し、三人で倒れ込みそうになる。

「だ、大丈夫、です……。今度は私たちが、御剣さんを……」

「意外に、重いんだな……御剣の兄ちゃん……!」

さらに時間的にも体力的にも限界が来るばかりか、深手を負っている葉月が遅れ出し、睡魔に襲われた優希が立っていられなくなったのだ。気づくと二人の姿は消えており、追いつくのを待つことを繰り返す。

「お兄ちゃん、わ、たし……眠い……よ……」

「お、おい、優希っ!」

「おにい……ちゃ……」

あわや倒れ込んで床に頭を打ち付けるところを、必死に支える。抱きかかえた時には既に瞳は閉じかけていた。転じて、片方の支えを失った総一の体重が咲実にのしかかり、今度は二人で倒れそうになる。

「きゃっ!?」

「くっ……! だ、大丈夫か、咲実、さん……」

何とか自分が下敷きになるように身を潜り込ませると、咲実を抱きとめる。本来ならば微笑ましいシーンなのかもしれないのだが、もはやそんな余裕はない。そして、これでは碌に進むことができない。

結果、総一が壁に手をつきながら進むことになったのだ。




幾度となく繰り返された危機を打ち破り、ここまでやってきた。しかし、いざ我に返って緊張が解けた途端、どっと疲労が押し寄せて来る。そして、生きて帰れるかどうかもわからない現状も加われば、精神的にも極限状態へとなりつつある。

ゲーム終了まであと6時間弱――その間に脱出する方法……。歩を止めれば待っているのは確実な死……。重苦しい空気が一行を支配し、行動を鈍らせていた。


「……咲実の姉ちゃん、ちょっと兄ちゃんを迎えに行ってくるよ」

「は、はい……お願いします」


長沢はそんな空気に抗うかのように優希を背中から下ろして抱きかかえ、咲実に渡そうとした……。


――その時であった。



Player   Card  Odds   首輪解除の条件
長沢勇治  3  Close     3人の殺害
矢幡麗佳  8  Death  近距離でPDAを5つ破壊
色条優希  4  Close   首輪を3つ取得
漆山権造  A  Death  QのPDA所有者の殺害
手塚義光  5  Close  24箇所のチェックポイント通過
陸島文香  9  Close  自分以外の全参加者の死亡
郷田真弓  Q  Death   71時間の経過
御剣総一  2  Close  JOKERのPDAの破壊
姫萩咲実  6  Close  JOKERの偽装機能を5回以上使用
北条かりん K  Death   PDAを5つ収集
葉月克巳  7  Close    全員との遭遇
綺堂渚   J  Death  24時間一緒にいた人間の生存
高山浩太  10 Close   首輪が5つ作動


第56話 星空を舞う火炎竜

「な、なんだ……!? うわっ!!」

 

「きゃああっ!!? わ、罠……!? でも、そんな感じとは……!?」

 

轟音と共に身体が無重力に包まれると、宙を浮き空を飛んだような感覚に見舞われる。それは近場で火山が噴火したような衝撃だった。地面に足がつくと同時に咲実の身体は崩れ落ち、長沢は優希を抱えたまま地面に屈み込む。一瞬、罠を疑うも、誰も足元に違和感を感じてはおらず、PDAの警告音が鳴ることもない。

 

「これは……地震、なのか……? みんな、壁際に座って、落下物に気をつけるんだ」

 

「は、はいっ……あの、御剣さんは……」

 

後方に目を凝らすも、総一の姿は一向に見えなかった。

 

逆にこの衝撃で何か罠が発動するのかもしれない、そう思うとじっとしていられない。だが、よろめきながら立ち上がろうとする咲実を葉月は制した。

 

「何か落ちて来たら大変だ。動かない方がいい」

 

頭上を見上げると、一定間隔で配置されている蛍光灯があるだけだった。だが、いつの間にか煌々と輝いていたそれらが不安定に点滅を始めている。

 

「でも、御剣さんは……!」

 

大分距離が離れてしまった総一を気にかけて立ち上がろうとするが、激しい揺れにさえぎられてすぐに立っていられなくなる。

 

「なんか、すげえ音がしてるじゃん……!? どこか爆発したんじゃないか!?」

 

何かが崩れ落ち、壊れるような衝撃音が聞こえて来る。今まで聞いたことがない、激しく大きいものだったそれは、次第に近づいてくるような気さえして来た。

 

「……!? みんな、伏せるんだ!!」

 

身体に響き渡るのは激しい地震の前置きとも取れる不愉快な揺れだった。年長者である葉月には、過去に経験した恐怖の感覚を身体が覚えていたのだ。

 

 

――大地震の前触れ。

 

 

意味がないと知りつつも学校で習っていた避難訓練の如く、それぞれのリュックサックや鞄で頭を覆うようにして身を屈めていると、揺れは次第に大きくなっていき、世界そのものが揺れているような錯覚に陥る。

 

まさか、このフロアが崩壊したりしないだろうか……。そんな懸念を一斉に抱いた次の瞬間――それは突然やってきた。

 

 

「うわっ!? 優希!! わああああああ!!!!」

 

 

「御剣さん……! きゃあああっ!!」

 

 

突然の爆音と衝撃――前方からなのか背後からなのか、それすらもわからない内に飛び出してくる真っ赤な炎。悲鳴を上げるのも束の間、視界が反転して自分たちがどこにいるのか、何が起きているのかわからなくなる。総一を気にかけ、立ち上がろうとしていた咲実の身体は吹き飛ばされ、伏せていた長沢も床を転がったかと思うと、やがて宙を舞う。

 

「みんな……!! ぬぅ……ぐく……!!」

 

成す術もなく、状況に目を凝らしていた葉月が最後に見たものは、大きく裂けようとする床と、崩れ落ちて来る天井だった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着弾!! 外壁への効果はあまり見られませんが、屋上に深い亀裂を確認!」

 

「各機、続け。集中砲火だ。ミサイル投下後は速やかに空域から離脱せよ」

 

夜空を舞うヘリコプター群が次々とゲームの舞台である高層ビルにミサイルを投下していく。既に役目を終えた1番機は上昇しながら旋回すると、ビルから距離を取り暗い空にホバリングする。激しい爆発と共に真っ赤な炎が生まれ、黒煙が上がりその威力を噛みしめる。

 

 

「屋上に降下できるポイントがあります。大佐の指令ではゲームのプレイヤーも殲滅しろとのことですが……炎が収まり次第、強襲部隊を突入させますか?」

 

「大佐……か。そこまでする必要があるのかと思うが……。鴻上少将の命令ならばハト派の連中にまかせておけ。いずれにせよ、兵器のデータも取る必要がある。各機の爆撃が終わるまで手出しはするな」

 

 

燃え上がる炎と黒煙を上空から眺めていた1番機の隊長は、改めてゲームの舞台となった建物の強靭さに歯を軋ませる。

 

 

……流石に会場ごと崩壊させるには無理があったか。ゲーム内部で支給される武器を考えれば、そうそう破壊できるものではないと思っていたが――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……始まったか」

 

直下型地震のような震動を我が身に受けながら、来るべき懸念に眉を顰める。その揺れはプレイヤーにとって、世界そのものである建物の崩壊……ゲームの終わりを示すかのようなものだった。

 

「ふふ……我ながら情けないわね。こんなにも部外者にあたし達の情報が洩れているなんて。組織の連中よりはよっぽどマシだと思ってたんだけど」

 

「外部と連絡が取れるのはお前たちの専売ではない。そういうことだ」

 

一般人ならば立っていられないであろう、激しい揺れをものともせずに二人は対峙していた。その表情には相手の出方を伺いつつも、険しさは薄れ、判断を委ねるような空気を醸し出している。

 

「ま、これに関してはあたしも完全に予想外だったけど……。貴方のような存在もね……」

 

文香は涙目になりながら自嘲気味に薄ら笑いを浮かべる。今までの経緯を鑑みれば、彼女の雰囲気から感情を読み取ることは不可能だろう。愛憎と絶望、僅かな希望が混じり合って本人にすら制御できないのかもしれない。

 

「一つだけ教えて……。貴方はこの先生き延びたとして、どうするつもりなの……?」

 

「何も変わりはしない。先ほど述べた通りだ。俺が戦う理由はな」

 

追い縋るような言葉を発する文香とは対照的に、高山は急に背を向けて立ち去ろうとする。だが、そんな彼を遮るかのように文香は慌てて言葉を発する。

 

「ちょっと、どこへ行く気……!?」

 

「仲間と合流する。俺にはまだやるべきことがある」

 

部屋の出口へ向かって歩を進めるも、背後に冷たい殺気を感じ取る。銃火器の類を向けられているのだろう。ある種予想できたことではあったが、これ以上のやり取りは時間の無駄にしか思えなかった。

 

「……行かせないわ。生かして帰さないって言ったはずよ?」

 

「それがお前の望みか」

 

「そうよ……? まあ、あたしが手を下さなくても、みんな助からないでしょうけど。今の爆発……もうすぐこっちにも来るはずよ? この建物の強度に期待するのも悔しいけど……うふふふ。あの子達に耐えられるのかしら」

 

再び激しい揺れが空間を襲うと文香は悪態をつく。分厚い素材で遮られた壁はかつての戦争で奮闘し、沈んでいった戦艦の装甲を想像させる。それはありきたりの爆発や砲撃にすら耐え凌ぐ。だが、同時に今までにない震動に一抹の恐怖がよぎる。

 

「……この世界から戦争はなくならないわ。それによって利益を得ようとする奴らがいる限りね。あたし達テロリストもよ。そしてそれを糧にしているのは誰なの?」

 

「……俺は自分と同じ境遇を強いられる子供たちを、理不尽に人生を捻じ曲げられる存在を少しでも減らしたい。それだけだ」

 

「ご立派な信念ですこと。感動しちゃうわ……。だから組織に手を貸すことも辞さないってわけね? 組織のゲームによって理不尽を強要された人々はどうなるのよ……?」

 

文香の声が掠れ、背後から吐息の音が荒くなるのがわかる。そしてその音が近づいてくることも。ドス黒い殺気が迫っていた。

 

「あまりにも素晴らしくて、涙が出てくるわ……」

 

感銘とは程遠い涙だった。むしろ、文香自身からしてみればそれこそ身勝手な理由で妨害されたということでしかない。しかし、彼らの存在意義は考えるほど相容れないものだった。

 

「ねえ……。あたしと貴方と何が違うの? 教えてよ? やってることはあたしたちと変わらないくせに。目的の為に犠牲を強いているのは貴方も一緒のはずよ? ……いいえ、組織と同じって言うべきかしら」

 

 

組織がゲームを開催すれば罪のない存在が弄ばれ、犠牲になる。阻止するためのエースが活発に活動すれば、やはり無知な民間人が犠牲になる。しかし、それがなくては組織を打倒することは不可能であり、その粛清を止めようとするならば、組織の行動が活発になり、やはり悲劇が繰り返されることになる。

 

 

――正に終わらない円舞曲(ワルツ)を踊り続けるのである。

 

 

「仲間が待っている。失礼させてもらう」

 

「……組織が存在する限り、理不尽は終わらない……!! あたし達の戦いも終わらないわ!! 貴方の孤独な努力もよ……!」

 

歩き出す憎たらしい背中に、精いっぱいの声を上げる。その捻り出された掠れ声と憎しみを込めた視線は柳に風と流され、高山の身体をすり抜けてゆく。相手にされていないかのような悔しさに涙が溢れ、床に零れ落ちた。

 

「……貴方は……その全てを……。あたしたちと組織の闘いによって生まれる悲しみを……全て止めることができるとでも思ってるの……? ねえ……!」

 

遠のく足音を止めようと必死で呪いの言葉を吐きだす。隙を突けば無言でこの憎らしい男を射殺することも可能だった。だが、大きく揺るがされた自身の存在意義が、このまま黙っていることを許さなかった。

 

「…………」

 

「そんなことは……そんなことは不可能なのよ!!! 貴方は両親を失った悲しみを、テロリストという言葉にぶつけているだけの卑怯な臆病者よ!! 死ぬまで彷徨い続けるがいいわ!!

偽善者ッ!!!」

 

――振り返りざまに確認する。持っている銃器とその射線、相手との距離。文香が拳銃を咆哮させると同時に飛びのき、身を翻す。

 

リアリストとロマンチストの信念は音を立てずとも激しくぶつかり見えぬ火花を散らす。

 

――理不尽は終わらない。

 

その通りである。神でもない限り、人間同士の争いをなくすことなどできはしない。だが、それを言われたくない相手と言うものがある。

 

「かもしれん……だが、俺は貴様らエース程、傲慢になった覚えはない。民間人虐殺に加え、この国を支配しようなどと……!!!」

 

「……!? 意味がわからないわ……」

 

「…………!」

 

しかし、地に足を付けたのも束の間、再び激しい揺れと衝撃音が二人を襲った。それは精神を乱すばかりか、発砲音を掻き消すには十分過ぎた。先ほど飛びのいてバランスを崩した高山を目の前にして、唐突に飛び出した言葉に疑問がなかったわけではない。だが、耳を傾けたところでこの千載一遇の機会を引き換えにする事はできなかった。

 

「……うふふふ……あたしの勝ちね……? 言ったでしょ? 正義はあたし達にあるって」

 

狙いすました3発の銃撃が吸い込まれるように高山を襲うと、すぐに彼は崩れ落ちて膝をつく。

そんな姿を見て勝利を確信した文香はゆうゆうと近づいていく。

 

防弾チョッキを身に着けていたものの、背中からの銃撃も相まって既に劣化していた。事実、片膝をつく高山には赤い染みが大きく滲み出ている。先ほど受けた背中の傷も相まって、もはや素早い行動は困難に見えた。

 

やがて文香は至近距離まで迫り、ゆっくりと拳銃を突きつける。

 

「タカ派の暴走に助けられるのは癪だけど……ここは感謝すべきシーンかしらね?」

 

「…………」

 

「さようなら……高山さん。貴方の事は忘れないわ。うふふふ……。あっはははは!」

 

脳から溢れ出る快楽物質の興奮に耐え切れず、文香はつい哄笑を上げる。虚ろになった視線が見開かれ、赤い口紅を施した口元が醜く歪む。テロリストとして何人もの敵の命を奪ってきた文香も、この時ばかりは罪悪感はおろか、快感の方が大きく上回っていた。自身の世界を壊そうとする侵略者をこの手で始末できるのだ。そして、今、ゆっくりと指をかけた引鉄に力を込めた――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エースの悲願が達成される日――それは今日だったのかもしれない。

 

かつてない興奮と緊張により活気づいていた一団の間には、重苦しい空気が漂い始めていた。薄暗い一室の雰囲気は、彼らの精神状態を映し出すかのようにすら思える。

 

昂る感情を必死に抑えながらモニターを眺めていた壮年の男の表情は、手に汗握る様から落胆へ、そして焦燥へと色を変えていった。やがて事態が終焉へ向かいつつある今、漸く落ち着き始め、その現状へ目を向けることとなる。

 

 

「……副司令、各地の状況を報告せよ」

 

「はっ。命令無視による過激派の強襲により、組織の拠点の約半数が壊滅、我が方の被害は大凡6割ほど。引き返したと思われる色条良輔の足取りは、依然途絶えたままです」

 

「ふむ……大分してやられたな。部隊の足並みが乱れていたことを思えば、被害は少ないのかもしれんが……」

 

事の成り行きを見守ってきたであろう通信士たちの雰囲気は、失意と諦観の色が隠せない物だった。彼らだけではない。モニターに向かい作業している者は肩を落とし、せわしなく動き回る者の足取りは重い。

 

「撤退指令は出したのだったな」

 

「はっ、しかし……彼らの暴走を止めるには至らなかった模様です」

 

……長いとも短いとも取れる沈黙の後、司令はふっと瞳を閉じる。

 

確かに予測は不可能だった。だが、今や大所帯となったエース。その大勢の部下の間に発生していた問題を任せきりにしていたことによって生まれた弊害――タカ派とハト派の争い。どのような組織でもあることだと軽視していた感は否めなかった。

 

しかしそれも大事となれば互いに足を引っ張り合い、目標達成の足枷となるのだ。最悪、内部分裂から内乱にさえ発展しかねない。今まさにそれがピークに達した以上、目を逸らしたい現実も直視しなくてはならない……。覚悟を決めて目を見開く。

 

「……カジノ船の状況は?」

 

「我が方一派の奇襲により、組織側の防衛網を突破。その後は組織側の警備兵及び戦闘員と共倒れになった模様。会場にいた観客及び、ゲームを管理していた組織の非戦闘員は大多数が巻き込まれて死亡。尚、組織の幹部が一人立て籠もっているとのこと。以上、現場の部隊より報告です」

 

「民間人の被害が出るのは望むところではないが……。現場の部隊は、鴻上君の指揮下だったな」

 

 

「ええ。鴻上少将の直轄部隊がカジノ船に到達した時点で、ほぼ戦闘は終わっていたようです。過激派の突入時に船体が小破したようですが、航行は可能。カジノ船の沈没は免れたと見えます」

 

表沙汰にはできない遊興を開催し、組織の関係者と客がほぼ全体を占める船とは言え、それが太平洋上で沈んでしまえばそれなりの大事件となる。だが、内部が惨憺たる状況でも船さえ無事ならば、いくらでも誤魔化しが通用するのだ。尤も、組織が半壊した今となっては、仮に沈んだとしても騒ぎ立てるのは逆効果であり、結局は闇に葬られる事件となるのだろう。

 

「ゲームの進行状況はどうなっている?」

 

「はっ。情報通り、ゲームマスターとサブマスターは既に死亡。さらに司令塔であるカジノ船に我が方の部隊が突入したことにより、指揮系統も崩壊。もはや機能停止しているものと推測されます」

 

「……参加者の処遇は?」

 

「大凡0200(マルフタマルマル)を持ってゲームの舞台となる高層ビルに爆撃を開始。現段階で生き残っているプレイヤーは全て処理される模様です」

 

「…………」

 

「…………」

 

「……それは鴻上君の指示によるものか」

 

「左様です」

 

重苦しいやり取りを終えると、司令は再び瞼を閉じて大きく息を吐きだす。個人の価値観の範疇ではあるが、彼にとってはゲームに参加させられたプレイヤーが一人でも多く生きて帰ってくるに越したことはなかった。感情を込めることは立ち位置上許されないことだが、転送されてきた参加者のプロフィールに目を通すと、表情が曇っていくのを禁じ得ない。佩用された勲章が暗い照明を弱々しく跳ね返していた……。

 

「舞台となった建物がなくなれば、組織にとっても大きな打撃となるでしょう。今回の被害と合わせればゲームの開催頻度を大幅に縮小できるものと思われます」

 

 

――仮にも部下であろう。反乱分子を排除するためとはいえ、残酷なことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお、痛ててて……。憲法で戦争はやらねえ国じゃなかったのか? ったく……。何を撃ち込んでやがる……」

 

先ほどの爆発で崩れ、沈みかけた鉄の床を飛び移るようにして歩く。両側の壁も所々ヒビが入っており、その爆撃の激しさを思わせる。中には陥没している床もあり、暗い穴に目を凝らせば下の階が見えるような気さえした。

 

「あんなに吹っ飛ばされるとはな。本気でここを爆破しようって算段だったのか? ま、とりあえずはしくじったみてえだが、おかげさんで手間が省けたぜ……クックック。運が良すぎて怖ぇくれえだ。なあ、眠れる森のお姫さんよ」

 

背中で気絶している――もしかしたら、深い眠りについているだけなのかもしれない少女を僅かに振り返ると、手塚は不敵な笑みを浮かべる。先ほどまで通信していた男、金田の話によれば、彼女を無事に脱出させることによって自分の未来が保証されるという。建物を攻撃しているのが組織と敵対するテロ組織エースだと言うのなら、ゲームの参加者は救出すべき被害者になるはずである。

 

「賞金には興味はねえが……生きててこそってやつだぜ。くたばっちまった組織のボスの娘がいるとあっちゃ、そうそう邪険にはできねえだろうしなぁ……。問題はいつ、爆破が終わるかってことなんだが……っと」

 

ぼやきながらも正確に、確実に歩を進めていく。情報通りだった。地図と照らし合わせた場所には頑丈な鉄扉が立ち塞がり、行く手を阻む。本来ならば電子ロックがかかっているのか、すぐ横には暗号入力の為のキーとディスプレイがある。ゲームマスターでもない限りここを解放することはできないのだろう。

 

しかし……。

 

そんなことはどこ吹く風。手塚はゆっくりとドアに両手を掛けて押し込むと、その感触に笑みを浮かばずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

扉を開けると、強風と共に暗い蒼の夜空が広がった。他に何も見当たらないことを考えると、相当の高層ビルであることを思い知らされる。息が詰まるような長い時間を思い起こしながらゆっくりと深呼吸すると、一服せずにはいられない。

 

「よく考えてみりゃ、たかが3日じゃねえか。何でか、何年も外に出てねえような気がするんだろうな……おおっと!」

 

――突然の強風に飛ばされそうになった帽子を押さえ、まだ暗い夜空を仰ぐと至る所に小さな輝きが散りばめられている。外気に触れるのは3日ぶりだった。

 

「にしても何て広さだ……。こんなもん造ってくだらねえゲームをやらせる金があるなら、ここに夢の国でも作った方が儲かるんじゃねえのか?」

 

どこまでも続くかと思えるほど広がる屋上のグレーに、手塚はただ唖然としていた。今まで歩き回ってきた距離を考えれば当然ではあるが、いざ壁や隔たりの無い状態で眺めると、舞台となったこの建物の広さに驚嘆せざるを得ない。浜辺で水平線を眺めれば空と海が合わさるように、建物の端は紺碧の夜空と重なり微かに山の稜線が見える。

 

先ほどの爆撃でどこかが損傷したのは間違いないが、それがわからなくなるほどの広さだった。

真夜中という事もあり、辛うじて炎の赤やそこから生まれる黒い煙が小さく見える程度である。

目線を下に移すと所どころにヘリポートらしき目印もあり、この広さでは何機着陸できるのか想像もつかない。

 

「おお、お月さん。一着ゴールイン、と。さあて、次に来るのはどいつだ? 早くしねえと置いてかれちまうぜ……」

 

 

大きく吐き出した煙草の煙を吸い込むかのように、満月が手塚を照らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちくしょう……。何だよ、このカボチャの奴……勝手なことばかり言いやがって……。痛ってぇ……」

 

長沢は大の字になったままPDAをしまうと、そのまま天井を仰ぎ、大きく息を吐き出した。床が崩壊したかのような地震と爆風に襲われたかと思った瞬間、身体は宙を舞い、したたかに背中を固い床に打ち付けた。おそらく階下に落とされたのだろう。

 

リュックを背負ってなければ、骨折していたかもしれない。幸い瓦礫に潰されるようなことはなかったが、抱きしめていたはずの優希は途中でその手からすり抜け、行動を共にしていた仲間とは散り散りになってしまっていた。

 

「へへ……。また一人になっちまったか……。みんな生きてるのかな……?」

 

PDAを確認すると、既に5階以下は侵入禁止エリアになっている時間である。首輪が発動していないところから、先ほど現れたスミスの言ったことは本当なのかもしれない。しかし、安堵も束の間、ゲーム終了までの6時間足らずで彼の言うポイントへ辿りつけるのか――

 

ゆっくりと身を起こして辺りを見回すと、陥没した床や崩れかけた天井が目に入る。ひしゃげたドアや瓦礫に埋もれかけている入口もあり、そこを通過するのは不可能だろう。

 

「と、とにかく、みんな助けないとな……。せっかくここまで来たんだ。ま、まずは脱出できるのかな……? でも、あと5時間以上あれば……」

 

しかし、再び取り出したPDAの地図を見た長沢は愕然とした。GPS機能は地図から北東に離れたあらぬ場所を示しており、自分がどこに立っているのかわからなくなっていた。PDAの故障なのか、爆発で自身があらぬ方向へ飛ばされてしまったのだろうか。

 

多少歩を進めてみると点滅しているポイントは地図の外側を揺れるだけだった。機能そのものは生きているのかもしれない。

 

「何だよ、これ!? こんなんでどうやって行けって言うんだよ!? 終わりじゃないか! 反則だぞ!?」

 

地図で表示できるポイントへ戻ろうとするも、西側は瓦礫で埋まっており、戻れそうにない。しかもよく見てみると今いる場所は4階だった。長沢は2階分落とされたのだ。おまけに5階へと続く階段はかなり離れた場所にある。

 

「こ、こうなったら適当に……! で、でも……」

 

もしもこの状況で文香と出くわそうものなら……想像しただけで恐怖である。本来ならば突っ伏して泣きたくなるような状況でも、今は命がかかっている。それならば何もしないよりはマシだと、無理やりに自分を奮い立たせ、歩を進めていくしかなかった。

 

 

 

地図が頼りにならない状態で闇雲に歩き回る……それが悪手であることは自分でもわかっている。だからと言って止まってるわけにはいかない。

 

「クソっ……どうなってんだよ? 倉庫ばかりじゃないか!?」

 

長沢は少しでも目的の階段へ近づこうとするも、まるで仕切られているかのように近づくことができない。それこそ今立っている地図外の位置とその内部が別の扱いになっているような感さえある。部屋を見つけて入ってみると、今まで通り様々な武器や食料が入ったダンボールがいくつも置かれていたり、大量のファイルが積まれていたり、とその繰り返しだった。本来ならば、隠し部屋だのボーナスだのと不敵な笑みを浮かべて喜んでいたのかもしれない。だが、今の長沢にとっては至極どうでもいい物になっていた。

 

「今さら、こんなもの必要ないかもしれないけどさ……」

 

適当に武器や食料を漁ると再び歩き出す。幸い、今現在歩いているブロックは爆撃を受けていないのか崩れている箇所はなかった。それどころか、様々な部屋で見つけた武器や食料も出荷前の新品のように見える。さらに歩を進めると果てはエレベーターまであった。爆発による影響はあまり見受けられず、これに乗って6階に上がることはできるのかもしれないが……。

 

もしも、途中で動かなくなったりしたら……? 

 

「べ、別に怖くなんかないぞ……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こほっ、こほっ……。ここはどこ……?」

 

無機質な鉄に囲まれた風景にはいくつもの皹や傷が入り、少し前に見ていたものとは随分違うと思い知らされる。重なる疲労と睡眠不足により、意識が飛びそうになりながらも、少し離れた場所に見慣れた愛おしい存在を見つけることができた。咲実は這うように身体を必死に動かし、彼に近づく。

 

「御剣、さん……私たち、どうなって、っ……!」

 

しかし、身を寄せようとした瞬間、胸の辺りに激痛が走る。息を吸い込むとその痛みはより大きくなるのを感じた。それだけではない。総一の右膝からの出血はますます激しくなっており、側頭部からも赤い液が流れている。爆風や衝撃で頭部を強く打ち付けたのかもしれない。

 

「かはっ……み、御剣、さん……! 御剣さん……!」

 

一向に動かない総一の身体にそっと触れると、温もりと鼓動が手に伝わってくる。最悪の事態は免れたのも束の間、いくら呼びかけても返事はない。それどころか声を出すたびに胸の辺りが痛み出し、それはより大きなものとなっていく。

 

胸が痛まないよう、息を潜めるように呼吸をしながら辺りを見回すと、割れている天井が目に入った。6階から落とされたのだろうか?

 

――ピロリン、ピロリン、ピロリン。

 

不安を煽るかのように鳴り響く電子音。時間を考えれば5階は侵入禁止エリアなのではないか――もしかして、これはその警告なのか……息を呑むように首に手を当てると、当然ながら首輪は付いたままであり、点滅している様子もない。それでは一体――? 咲実は咄嗟に総一のポケットからPDAを取り出し、画面を確認すると思わぬ存在がそこにいた。

 

 

 

 

――やあ、ボクはジャックオーランタンのスミス! こうしてみんなの前に現れるのは初めてだね。本当はもっと早く会いたかったんだけど、ぜーんぜん出番がなくてさ。……あれ? どうしちゃったのかな? 元気ないね? もうすぐゲームも終わりの時間だし、疲れちゃったのかな? それとも、もうあきらめちゃったりしてる? でもね、心配無用! 

 

 

コミカルに踊りながら言葉を発するカボチャ頭の少年。まるでハロウィンを思わせるその姿と仕草にはふざけているのかと呆れるところではあったが、今の咲実には僅かな希望が生まれたとばかりに、彼に縋るように見入ってしまう。

 

 

――なんて言ったって、今回のゲームは本当に予想外な展開の連続だったし、みんな頑張ってくれて、まだ8人も生きてるなんて、ある意味奇跡、レジェンドだよね。

 

みんなに見せてあげられないのは残念だけど、そのおかげでこのゲームを見ていたお客さん達が、すっごく心を動かされているんだよ。こんなこと、今までなかったんだけどね。まあ、そうなってはいけない人までそうなっちゃったりして、ちょっと大変だったけど……。ゲームは最後までちゃんとやるから安心してね。

 

あ、ごめん。言い忘れてたけど、このゲームのみんなの活躍は偉い人たちがたくさん見てるんだよ。お客さんって言うのはそういうこと! って、もう知ってる?

 

さあ! そこで本題に入るね! ここまで頑張ってくれた君たちに、ささやかなお礼だよ。慈悲深いボクが最後のチャンスを持ってきてあげたんだ。一度しか言わないからよく聞いてね!

 

 

 

 

ね! 簡単でしょ? さっきも言った通り、もう罠は壊れちゃったし、首輪が発動して警備システムが作動することもないから、一目散に屋上へゴー! 6階のこのポイントから外に出られるんだ。出血大サービスで地図に印を付けておくから、迷うことはないはずだよ。

 

あ、そうそう。罠はないけど代わりに地震や爆発はあるから気をつけてね~! こればっかりはボクにも予想できなかったからさ。罠が暴走しているのか、他の恐ろしいことが起きてるのか、本当にわからないんだ。ごめんね。

 

それと、できるだけ早く来て欲しいな~。もっと大変なことが起こって、取り返しのつかないことになっちゃうかもしれないからね~? 

 

それじゃ、屋上で待ってるね~!

 

 

 

 

 

状況にそぐわず無邪気に語り出したカボチャの生き物に希望と絶望、安心と不安……様々な感情が沸き上がり、どうしたらいいのかわからなくなる。迷っている内にスミスと名乗るカボチャの少年はPDAから消えており、元の画面を映し出していた。

 

 

 

……こんな長い距離をこの身で歩けるのだろうか。そして、肝心の事実を一番伝えたい存在は目覚めてくれそうにない。目覚めたとして、二人の傷の大きさを考えれば……。深く考えるほど心に暗雲が広がり、絶望の闇に呑まれていく。

 

「み、つるぎ……さん……」

 

咲実は胸の痛みを堪えながら、半身を抱きしめるように総一の身体に寄り添う。肌の温かさを我が身に感じていると、不思議なことに不安も絶望も和らいでいくような錯覚を覚える。二人で生き延びるためには、この身を起こして進まなければならない。しかし、咲実にとってはその困難に立ち向かうより、愛おしい存在と共にいられるこの時間が、安らぎへと変わっていく。もう、このままでいいのではないか……そんな悲壮な感情が咲実を包み込む。

 

それは状況の苦しさからの逃避なのかもしれない。だが、その安らかな表情には誰も責めることのできない笑みが浮かんでいた。

 

 

 

――ああ……。やっと、二人きりですね……。御剣さん……。これで、ずっと一緒です……うふふふ。

 

 

 

自分でもあんな恐ろしい事をして……私と一緒に生きてくれるって誓って頂いたのに……。こんな事を今、口にすれば怒られてしまいそうですね……。でも、貴方と一緒にいられるのなら、どんな場所だって……。御剣さんがこのまま目覚めなければ……私も一緒に……。

 

 

大丈夫です。貴方一人で逝かせたりしませんから……。

 

 

最後に愛する存在と共にいられる。そんな幸福感を胸に、咲実の意識は薄れていった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、起きろよ兄ちゃん! 姉ちゃんがカンカンだぞ!!」

 

「痛て! 痛てて!! わかったからベッドから下りろ!! 首絞めるな!!」

 

急に息苦しくなると、薄らいでいた風景の輪郭がはっきりとした形を作り出し、現実に引き戻される。いつもの見慣れた部屋に小憎たらしい少年が楽しそうに笑っていた。

 

「お前はなぁ……もう少し優しくしろよ……。げほっげほ! 死ぬかと思ったぞ」

 

「姉ちゃんから許可もらったんだぜ? 今度は思いっきりやっていいって。大体、僕……俺と姉ちゃんがいなかったら、兄ちゃん、これで5度目の遅刻だぜ? 感謝しろよな」

 

 

 

 

「おはよう、総一。目が覚めたかしら?」

 

素早く部屋から飛び出していった少年を尻目に、大急ぎで支度を済ませ、朝食のパンと牛乳を掻き込み、素早く髪をセットして鞄を手に取ると、勢いのまま同時に外へ飛び出した。玄関先にはいつものように桜色の髪の少女が屈託のない表情を浮かべて腕を組んでいる。怒ってるような、呆れているような、それでいて微笑ましさを浮かべる、そんな笑顔だった。

 

「相変わらず早いな、優希。あいつに言っとけ。首絞めるなって」

 

「アンタがいくら言っても起きないからよ? 少しはあの子を見習いなさい。私の教育の甲斐あって、私より早く起きてくるんだから。お母さんにも感謝されてるくらいよ?」

 

「何が教育だって……脅しじゃないかよ?」

 

「何か言った!?」

 

「い、いやいや何でもないって……ごめん」

 

「ほら、さっさと行きましょ」

 

言葉のやり取りとは裏腹に二人の表情はきらきらと輝いている。小鳥の囀りが今日の快晴を予感させると、心地よい春風が木々を揺らし、適度な涼しさと暖かな日差しが包み込む。

 

「あいつは先に行ったのか?」

 

「うん。色々難しい年ごろみたいね。私と一緒に歩くのが恥ずかしいみたい」

 

「怖いだけだったりしてな……あははは」

 

的確に反応して突っ込みを入れて来ると身構えていると、意外にも彼女は真剣な表情を作って俯いている。冗談が過ぎたのかと後悔すると同時にこちらを振り向いた。

 

「少し、言いすぎたかもしれないわね。でも……いくら悔しくても、同級生を殺してやりたい、なんて言ったら勇治君でも許せないわ。きちんと叱っておかなくちゃ」

 

「優希……」

 

「知ってるでしょ? アンタに助けてもらった時……。あの子、クマ避けスプレーとスタンガンをネットで買って、学校へ持っていこうとしてたのよ」

 

「ああ……。優希もよく気付いたよな。って言うか、見せびらかしてきたのか? あいつならやりそうだし」

 

「案外わかりやすい子だからね。……私も人の事は言えないけど。朝の様子がおかしければすぐにわかるわよ」

 

 

 

少し前の事を思い出す――学校でいつもひどい目に遭っている少年が報復を企てた。それに気づいた彼女が必死に武器を取り上げて、止めたのだ。邪魔するなと言わんばかりにもみ合いから怒鳴り合いになり、終いには二人とも泣き叫ぶことになった。

 

 

――悪は許さないって教えたのは姉ちゃんだろ!! 俺の邪魔するなよ!!!!

 

 

――そんなものを使ったら勇治君もそいつらと同じになるのよ!! 私は許さないわ!!! 

 

 

――復讐するために小遣いを叩いてやっと買ったんだぞ!! 返せよ!!!

 

 

――ダメッ!! 取り返しのつかないことになるわ!! こら……離しなさい!! 怒るわよ!!! 痛っ!! この子は……なんてことするのよっ!!!

 

 

――このままじゃ、僕の怒りが、収まらないんだよ……!! うぅ……ちくしょう……!!!

 

 

――いいわ。どうしても使うのなら、まず、私に試しなさい……。そんな危険な物を人に使ったらどうなるか、教えてあげる……!!

 

 

――ぐっ……。ひ、卑怯だぞ!!! 

 

 

 

 

 

――あの時は苦労したよな。あいつなら本当に使いかねないし、優希だって本気で身に受け止めてしまうだろうし……。結局、俺がケンカなら素手でやれって説得したんだっけな……。あの後ボコボコにされて帰ってきたけど……。あれからあいつも少し表情が明るくなったような……。

 

 

 

 

 

「…………優希。嬉しいよ。また会えたんだな」

 

「もう来るなって言ったのに。……本当に帰れなくなるわよ?」

 

 

――そうだった。でも……不思議な夢だな。いや、現実か? 

 

 

あれ……? 長沢と会ったのはこのゲームが始まってからだった……。

 

 

ならば、これは……。

 

何か言葉を発しないと消えてしまいそうだった。だから、総一は夢現の中でつい湧き出した、間の抜けた疑問をそのまま尋ねてみる。

 

「なあ……前から思ってたけど、どうして、勇治君、なんだ?」

 

「あら、別にいいじゃない?一人くらい名前で呼んで世話を焼いてくれる、ちょっと怖いお姉さんがそばにいたって」

 

「ははは……あいつも災難だな」

 

なるほどと言わんばかりに総一は納得した。自分ほどではないにしろ、目の前の彼女に掛かればしゃんとせずにはいられないのだろう。

 

「もう……何よ。どういう意味?」

 

「ちょ、わ、悪かったって……降参、降参」

 

褒め言葉のつもりの冗談とわかっているのかそうではないのか……。そんな言葉すら真に受けてしまうのがまた魅力なんだと、改めて彼女を見つめ直すと、彼女もこちらを見つめてくる。

 

 

「まだ終わってないわよ? きちんと約束を果たしなさい。総一。今のアンタと私はただの幼馴染でしょ」

 

 

 

「そうですよ? いつまでも昔の女性の話ばかりされると……私だって何をするかわかりませんよ……?」

 

 

 

目の前の懐かしいブレザー姿の少女が、急にセーラー服の少女に変わると、その瞳から光が失われ生気もなくこちらを睨むような雰囲気に変わる――

 

 

 

 

 

「うわっ……! あ、あれ……。優希……いや、咲実、さん……」

 

思わぬ脳内の衝撃に意識が蘇り目が覚めると、自身の身体に寄り添うように眠っている咲実がいた。あまりにも突拍子のない内容の夢……。現実の出来事を整理するために創り上げられた記憶の断片。こうして思い返してみると現実離れし過ぎている。

 

――そうだよな。長沢と優希はなんの関係もないもんな……。咲実さんだって……。あいつのことは直接知らないはずだった……。

 

 

大きく深呼吸すると心地よい疲労感と共に、足の痛みが膨れ上がってくる。違和感のある頭部に触れると、掌に赤い紋様が広がった。出血していたのかもしれない。そして、安らかな表情を浮かべながらも動かない咲実の手にはPDAが握られている。彼女のPDAは破損しているのだから、これは総一自身の物なのだろう。眠っている間に何かあったのかと手に取ると、現在の状況を整理する。

 

満身創痍の身体を奮い立たせるように立ち上がろうとするも、やはり足には激痛が走る。眠っている咲実を支えるのも楽ではない。

 

「くっ……。ここで……あきらめるわけには、いかない……。最後まで……」

 

思い返せば不思議だった。このゲームに参加させられてから何度懐かしい存在に再会できたのだろう……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局、同じ事かよ……」

 

意を決してエレベーターで最上階へ向かうと、思ったよりも呆気なく上昇できた。しかし、ほっとしたのも束の間、地図を確認するとやはり自分が経っている場所は6階の地図から外れた場所にあった。また同じように固く冷たい壁で仕切られていたり、崩れて通れなくなっていたら……?

 

嫌な予感を振り払いつつも再び部屋のドアを開けながら進んでいると、いつか見た戦闘禁止エリアのような部屋を見つけた。疲れからか無意識のうちに部屋に入ろうとするも、いつも鳴るはずの警告音もなくなっていた。

 

「ふー……少し、休もっかな……? でも、今寝たら……起きられないかも、ね……」

 

生死がかかっている為か、さほど眠気は感じない。しかし、身体の疲労は正直なもので、長沢の身体は自然とベッドの方へと向かっていく。だが――

 

近づくにつれてベッドに膨らみがあることに気づく。長沢は咄嗟に身構えると様子を伺う。

 

「お、おい! 誰か……寝てるのか!? おい!!」

 

下手に近づくのは危険かもしれない。先ほど詰め込んだ武器――手榴弾を取り出し、サブマシンガンに手を掛けようとするも、ここは戦闘禁止エリアのような雰囲気である。警告がなかったとはいえ、こんなところで万が一首輪が作動して倒れるのは間抜けすぎるだろう。スミスの言葉を信じるにも不安がある。

 

長沢は一歩一歩注意深くベッドに歩み寄る。今にそこにいる存在が起き上がって襲撃してくる可能性だってある。自分の戦闘能力が低いことなど嫌と言うほど思い知らされている。何より、総一や咲実、優希と葉月、高山ともう一度会いたいと無意識に思う心が、行動を思慮深く制御していた。

 

 

……いいか、動くなよ? 動かないでくれよ……?

 

 

長沢は呪文のように願望を唱えながら、その頭が見える位置までそっと近づく……。

 

 

 

 

 

――その瞬間。

 

 

長沢は凍りつくように強張り、息を呑むとその場に立ち尽くすことになる。

 

 

 

――嘘だ。

 

 

 

――そんなはずがない。

 

 

 

――だって……。

 

 

 

見えたのは優しい香りを醸し出していた紫色……。

 

 

 

 

 

「……渚の……姉、ちゃん……?」

 

 

 

 

 

疲労の限界から幻覚でも見ているのだろうか、否、大好きだったあの人を忘れるはずがない。長沢は全身の力が抜けていくような感覚を覚えながら、雲の上を歩いているかのようにそっとベッドに近づいていく。

 

新品のゲームソフトを扱うかのようにゆっくりと布団をめくると、卒倒しそうになる。

 

その双眸は閉じられており、身につけている衣装も違うものになっていたが、現れたのは紛れもなく、いつも優しい笑みを湛えていたあの女性だった。高鳴る鼓動を抑えながらそっと右の手を取って見ると、その温かさに涙が込み上げて来る。

 

 

――い、生きて……る……? ……うわっ!?

 

 

しかし、その大切な瞬間に水を差すかのように、再び激しい地震と爆音が長沢を襲った。室内が揺れ、天井の照明が落ちるとばかりに大きく揺れる。こちらに炎が舞い込んでこないだろうか、そんな恐怖心より早く、長沢は渚と思われる存在に身を寄せて落下物から守ろうとする。

 

「ね、姉ちゃん!!! クソッ! 誰だよ、こんなことする奴は!!」

 

揺れが収まると同時に、身体の底から活力が沸いてくる。今までの眠気と疲労などとうに吹き飛び、新作のゲームを始めるような高揚感が漲り出す。

 

――今度は、絶対に守るんだ。渚の姉ちゃん……。

 

背負った荷物の重さも疲れも、そして地図が役に立たないことすら感じない。どこにそんな力が残っていたのか……。自分でも不思議に思えるくらいの勢いで長沢は部屋を飛び出していった。

 

――そうだ。姉ちゃんだけじゃない。他のみんなも……! まずは屋上へ行くぜ――!! 必ず戻って来るから、待っててくれよ――!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰がこんな爆撃で煙草に火を付けろと言ったよ? 人の努力を台無しにしやがって……! とりあえず、避難するしかねえか……」

 

手塚は優希を背負ったまま必死に6階へ戻る階段へと駆け出した。満天の星空を眺めながらもう一服しようとしたその時……降下してきたヘリが攻撃してきたのだ。

 

「ふう。ミサイル代の無駄だろ。一発いくらかかってんだか。降りてきて交渉して来いってんだ……」

 

何とか階段下に滑り込むと、先ほど開いた頑丈な鉄扉を閉じる。とりあえず一安心だとその場に座り込み、再び煙草に火を付けようとする。すぐ上では凄まじい音が響き渡り、高熱の風が吹き荒れているのがわかった。この建物の強度と大きさに感謝しつつ、次の手を考えていると眠っていた優希がゆっくりと目を覚ます。

 

 

 

 

「ここ、は……。あっ……! ……てづ、か……お兄ちゃん……?」

 

「おおう、お姫様のお目覚めかね。もうすぐお迎えが来るから、おとなしく待ってな。ほれ、危ねぇから、こっちに寄ってろ」

 

手塚は目覚めかけた優希を持ち上げると、自身を挟んで出口とは反対側の方へ座らせる。

 

「お迎えって……あの、パパ……じゃないんだよ、ね……」

 

「ああ。残念だが……。お前さんを助けようとするあまり、ちょいとカッコつけちまったみてぇだな……」

 

誰かが助けに来てくれる……。そんな期待と嬉しさに胸が高鳴り、恐怖が吹き飛ぶ。しかし、文香から何度も聞かされた現実を否定して欲しい……。その願いが叶うことはなかった。

 

 

「…………」

 

 

――どうしてか、偉ぇ組織のトップってのはバカが多いんだろうねぇ……。おとなしく周りの言うことを聞いてりゃ無事に済んだものを。

 

優希の悲痛な面持ちは、その感情を読み取るには十分過ぎた。そして、柄にもなくその落ち込みようは理解する気がなくとも理解できてしまう。同情などする気は更々ないが、こうも似たような経験を強いられている少女を目の前で眺めてるとどうしても調子が狂う。

 

 

――まあ、その意味じゃ俺のオヤジも同じなんだが……。

 

 

「他の、みんな、は……? お兄ちゃん達は……?」

 

「さあな。もうすぐここへ来る予定なんだがねぇ。何をチンタラやってるんだか」

 

「…………」

 

 

再び優希に目をやると後ろの壁に凭れて寝入っていた。時間を考えれば自分の身がどうなるかという事よりも眠気の方が上回ってしまっているのだろう。その瞳にはうっすらと涙が浮かんでいた。

 

ふと過去を振り返りそうになったものの、すぐに激しい爆発音によって我に返る。こうしている間にもどこかのフロアが陥没し、天井が落ちてきているのだろう。立て続けに起きる爆撃に肝を冷やしたが、今座っている場所は屋上へ続く階段付近である。ゲームの参加者の様子を見る為にも、無暗にここを爆破しないだろうと言う確信があった。言わばこの場にいた方が安全なのだ。

 

 

「どうやら、この建物全体を爆破できるほど甘くねぇみてぇだな。ったく、この頑丈さには惚れ惚れするもんだぜ。何でできてんだか……。うおおっと!?」

 

それでもこの付近に爆撃があれば激しい震動が襲ってくる。急激な揺れに帽子が床に落ち、それを手につかむと息を殺して様子を伺う。

 

「そろそろ収まったか……? ちょいと、預かっててもらうぜ。お姫さんよ」

 

待つこと数分、手塚は手にした帽子を優希の頭に乗せると、ゆっくりと屋上へ続く扉を開いた――

 

 

 

 

 

再び星が瞬く夜空の下へ躍り出ると、至る所から黒煙が噴き上がり、赤い炎が燃えているのが見える。何度も爆撃が繰り返された結果なのだろう。これだけ広ければ多少の火事など気にするまでもないのだろうが、先ほどのような澄み切った静けさは感じられない。

 

耳をすませば僅かながらにプロペラ音が聞こえる。爆撃してきたヘリがまだ宙を舞っているのかもしれない。やがて黒い塊が3つ、自身の方へ向けて集まってくるのがわかる。

 

暗がりの中、それらは自身の前で展開し取り囲むようにして迫ってきた。各々が小銃のようなものを構え、こちらに向けていることもおぼろげながら見えた。彼らが件のテロリスト、エースの兵隊なのだろう。

 

 

 

「よう。遅かったじゃねえか。よくわかんねえが、屋上に上がりゃ、ゴールって聞いてな。さっさとここから解放してもらえると嬉しいんだがなぁ……」

 

「…………」

 

「おいおい……お迎えじゃねえのか? こっちはわけのわからねえゲームに巻き込まれて命からがら生き延びた被害者なんだ。とりあえず、代えの煙草でも恵んでほしいところなんだが……」

 

「…………」

 

接触を図ろうとする手塚に対し、迫り来る影たちは無言のままこちらを伺いつつ、小銃を高めに構え出す。敵意を持っているのか、警戒しているだけなのか……。この手の脅迫は何度か経験したことがあった。しかし、今回は相手がプロである。下手な動きや発言は命取りとなる。

 

 

「まあ待て、そんなに慌てなさんな。この通り、俺は無力だ。お前らはこのゲームを開催してる組織ってのと敵対してんだろ? まだ建物内に残ってる奴らもいる。全員上がってくるまで待ってた方が情報も得られるってもんだぜ?」

 

 

身振り手振りを加えて無抵抗をアピールするものの、相手側は微動だにせず、沈黙を守っている。会話に応じようとする気配はなく、返ってくるのは遠くに聴こえるプロペラ音と夜風の音だけだった。

 

――数秒間の沈黙が数時間のように感じられる。

 

想像とは違う雰囲気に一抹の不安を抱くも、彼らが組織と敵対している以上、ゲームに参加させられた被害者である、自身らプレイヤーに危害を加えるはずがない――

 

 

「ってことで、一番いいのは俺たち全員をここから引っ張り出して、事細やかに内容を聞くって寸法だと思うがな?」

 

 

「…………」

 

 

こちらの様子を伺ってるのか、性質を判断しようとしているのか……。目の前の兵たちが手塚の言葉に応じることはなかった。こちらにしてみれば身の安全さえ確保できればあとはどうでも良いのだが、これでは取り付く島もない。相手が何を考えているかわからないどころか、全く言葉を発さないのでは……。

 

この時点で手塚は相手側が向けている小銃は威嚇と身を守るためのもので、まさかこちらに危害を加えるつもりでいるなどとは想像していなかった。

 

だから次の瞬間、彼らの言葉によって詰めの甘さを思い知らされることになる――

 

 

 

 

 

「必要ない。我々の任務はこの建物の爆破。そして貴様らプレイヤーを例外なく殺害することだ」

 

 

「…………!?」

 

 

とんでもない発言をしながら小銃を構える兵隊に対し、柄にもなく冷や汗が流れる。夜風が急に冷たく感じ出したのは気のせいではないだろう。漸く言葉を発したその存在の瞳が暗闇の中で不気味に光った。

 

 

「おいおい、待て。最初の台詞がそれか? 俺たちは被害者だぜ? てめえらの仲間も参加させられてるみてえだが……いいのか?」

 

――大分頭は逝っちまってるがな。

 

「聞いている。だが不要だ」

 

 

――――!!

 

 

僅かな会話の間に再び爆撃が遂行され、その衝撃と激しい爆音に思わず身震いする。

 

流石に仲間を巻き込む気はないのか、離れた場所に轟音と炎、そして黒煙が舞い上がる。一瞬振り向いたのは手塚だけで、銃を向けている兵たちは微動だにしない。

 

「うおおっとっと……。あまりバコバコ爆撃してると、お前さんたちも帰れなくなるぜ? それくらいにしとけって」

 

「心配無用。これはまだ序の口だ」

 

 

――おい……冗談だろ? どんな兵器を持ってるってんだ!?

 

 

やっと会話のやり取りが成立したかと思うにはとても笑えない内容だった。これよりも凄まじい爆撃による破壊活動が起きるという事だろうか。

 

こうなってはなりふり構っていられない。こちらも全力でカードを切る。

 

 

「おい……いいのか? 組織のトップの娘さんもいるって話だぜ。本来はそのお姫さんを保護する手はずじゃなかったのか?」

 

「もはやその必要はなくなった。先ほど述べた通り、ゲームのプレイヤーは殲滅する」

 

 

――あのジジイ、テキトーなこと言いやがって……!! こいつら俺たちを殺る気満々じゃねえか!? 

 

「例外はない!!」

 

真ん中の兵が低い声を上げると、3人のテロリストが一斉に銃を向けて来る。

 

 

――チッ! 誰でもいい、さっさと上がって来い……。何してやがる……!? 

 

 

金田の話によれば、組織の敵対テロ組織エースはゲームのプレイヤーに対しては害意はない……はずだった。最悪、自分だけ逃げられればいい……そう思っていた矢先、他の参加者が来ることを望むことになるとは、何と言う皮肉だろうか。何とか時間稼ぎを試みるも、これ以上の材料は残っていなかった。

 

 

 

 

「フッフ……。大佐の命令だ。悪く思うなよ」

 

 

 

 

 

 

――ハハッ、悪運には自信があったんだがなぁ……。ヤキが回ったぜ……。星空の下で逝けるのがせめてもの幸せってやつか……クックック……。

 

 

迫り来るエースのテロリストを前にして、僅かながらに視線を上空に向けると黒煙の間に無数の輝きが瞬いていた。それは自身を嘲っていたのか、見守っていたのか――

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。