ネプテューヌVA' 番外編〜from.Hameln〜 作:紅蓮龍蒼
今日も何気無くクエスト達成を目指すヒロム。
しかし、今回の討伐目標はとにかくやばかった。
どれくらいヤバイかといったらとにかくひたすらにヤバイ。
ヒントは………ブルーベリーなおっさん。
前編
「えっ?ブルーベリー色の大男……?」
それは唐突のことであった。毎度のことではあるが突然やってきた厄介事の種だった。
「はい。なんでもそんな見た目のモンスターが廃墟となった古い洋館に出没しているそうなのです」
持ってきたのはイストワールさん。
いつもの如く開かれた本の真ん中に乗って小人サイズの身体をフワフワ浮かして飛んでいる。
「わざわざイストワールさん直々の申し出ということは、そのモンスターは一般国民には荷が重いということですか?」
「おっしゃる通りです。なんでもそのモンスターは見た目に加え迫力がかなりホラー的で、討伐に出た国民の方のSAN値がガリガリ削られて思わず逃げ出してしまう程とか」
………SAN値がガリガリ削られるモンスターって…………何それ超怖いんですけど?
イストワールさんの説明に思わず苦笑いを浮かべる俺。
そしてどうせ俺に申し出てきたのならこの人がこの後言う言葉は殆ど予想出来る。
だから俺は先回りさせて貰う。
「分かりました。それでそのモンスターを一匹残らず駆逐してくればいいんですか?」
「いえ、そこまで物騒に考えられても困りますが…………まあ間違ってもいませんのでいいでしょう」
そっ、クエストハンターの二つ名を持つ俺が、一般国民じゃ対処出来ないクエストを片付けるのだ。
超次元に滞在している中でこうしてイストワールさんからの依頼を受け続けていたらいつも通りとなった日課とも言えるやり取りだ。
ついでにあの紫バカの補佐的な事もやってたりもするから尚頼られる。
「ではヒロムさん。改めて、新たに発見されたモンスターの討伐をお願い致します」
「了解です」
っということで今日やるクエストが今ここで受注された。
ビシッと敬礼のポーズを取ってイストワールさんの礼儀正しい言葉と仕草に応える。
「じゃあとりあえずネプ子とネプギア、そしてうずめを連れて行きますね」
そしてその場で今回のメンバー編成を提案した。
ネプ子はまた最近ゲームばっかのゲーム三昧な生活を送りつつあるし、それに釣られてネプギアとうずめまで遊ぶ時間が増している。
このままさらにダラケきった生活をされていると俺の負担が増える。
だからここでクエストを受けさせて少しでもやる気スイッチオンへの近道をせねばならない。
「それは大いに問題ありません。最近またダラダラと過ごすネプテューヌさんに加え、ネプギアさんとうずめさんまでネプテューヌさんの影響を受けている現状ですし。………あぁ、先日治りかけていた胃がまた痛み出してきてもう……」
うわっ…………イストワールさんがまた笑顔なのにドヨンとしてて暗い雰囲気をこれでもかと漂わせてる。
オマケにイストワールさんのお腹辺りからキリキリキリキリと聞こえてはならない音量で俺の耳に届くこの異様な擬音。
ヤバいな……ホントに此処まで何度も胃がピンチになってるとこの人いつか過労でぶっ倒れるんじゃないか?
そんな心配で俺もなんだか胃の痛みが伝染してくるような気がしたけど、俺って基本病気にかからないから気のせいだろうな。
そんなイストワールさんのストレスメーターがこれ以上上昇するのを恐れる俺は、プラネテューヌ郊外のさらに外れに建てられているとされる古い洋館へ行く事に。
勿論ネプ子とネプギアとうずめを連れてな。
ちなみにイストワールさんから話を受けたのは早朝だったから、その時まだ寝てたネプ子を起こしに行った時、あーだこーだ寝言言ったり俺の頭を抱き抱えたりで全然起きないから強硬手段を取った。
ネプ子が身体を覆い隠しながらかぶる掛け布団を両手で掴んで、思いっきり力を込めて一瞬で引っ張った。
うん、我ながら上手く剥げたな。
そりゃもうトイレットペーパーのように掛け布団を引き剥がした。
掛け布団をいきなり巻き上げられて驚いてか、途中で手を離したネプ子は宙で二〜三回転ほど回って、ボフンッとベッドにダイビングキスを果たした。
そんな朝から最高にハードでロックな起こし方を実践してみた。
結果、超涙目でポカポカ殴られましたとさ。全然痛くも痒くもなかったけどな。
はいどうでもいい話終了〜。
……
………
…………
<廃墟の洋館 門の前>
さて、とりあえず洋館の門の前に着いた俺たち。
ちなみに移動については、ネプ子とネプギアは女神化して飛んで、俺は『エアログライド』でのいつも通りな方法に加えてうずめを背負いながら飛んだ。
えっ?うずめも女神化すれば飛べるでしょって?いやそれがダメなんだな〜これが。
うずめは俺と同じで現在進行形で蓄積されてるシェアエネルギーが少ない故、飛んでくるだけでもシェアエネルギーは消費してしまうから無駄遣い出来ないんだ。
「うは〜……。如何にも怪しげな洋館だねこりゃ……」
目の前にそびえ立つ洋館を見上げ、ホケ〜ッと間の抜ける声で率直な感想を述べるネプ子。
確かにこの洋館は怪しげだ。
一体何年前に建てられたのか不明だが相当な年月放置されていたであろう、洋館を囲むレンガはボロボロ、鉄格子の門も錆びだらけで開けっ放し。中の方もわりと広い敷地に広がる大地は枯れた雑草や小石が散乱していて見るに堪えない。
そして中心に建つ主人を無くした寂しげな洋館。
至る所にツルが伸びて窓ガラスもほとんど割れたまま。
リーンボックスの貴族が住む豪邸くらいのスケールの洋館は、現役時代は輝いていただろうが、今じゃみすぼらしくて空虚なその存在感を大っぴらに晒されている。
「なんか一昔前のホラーゲームに出てきそうなくらいインパクトあるよねこれ?」
「一度入ったら二度と出られないって奴か?そんなのリアルだったら御免蒙るぜ」
っというか今からこの中に入ってモンスター退治するんだぞ。
それがフラグになってマジで出られなくなったらたまったもんじゃない。
「………なぁ?ほ、ホントに此処入るのか……?」
おや、うずめさん?
貴女ちょっと震え声で不安そうに俺の方を見ていますねぇ。
もしかして、
「あ〜。うずめ、さては怖いんでしょ?」
あっ、ネプ子に先に言われた。
しかも顔がニヤニヤしてるし。
「って、はぁ!?べ、べべべ別に怖くねぇし!?超かっこいい俺がぁ!こんなただのボロい洋館くらいでビビったりしねぇし!?」
そして返ってくるこの反応。
明らかに強がっている事が明白なほどに声は上擦ってて、動揺が隠せてない焦り顏に加えて冷や汗が流れてしまっている。
恐らくうずめは、この程度で怖がっていてはかっこいい女神としては許されない行為なんだと思い込んでたりするんだろう。
「別に怖くてもいんじゃねぇの?ゲームとリアルは比較にならないし。ネプギアだって怖いだろ?」
ここでネプギアに話を振る。さっきからネプ子の後ろで若干ビクビク震えて引きつった表情を浮かべるネプギアは俺の問いかけに対し、恐る恐るといった感じではあるが素直に、そして真面目に答えてくれる。
「は、はい……お姉ちゃんやユニちゃんとたまに、こういう洋館が舞台のガンシューティングゲームをしますけど……本物だとやっぱり、なんというか…………雰囲気や迫力が有り過ぎて……」
「なっ?つまりうずめ、こんな洋館を見て怖がるのは当然って事なんだよ?それにいざって時はちゃんと守ってやるからさ」
そう優しく、励ますように言葉をかけながら微笑みかける。
するとうずめの怯えた表情は徐々にその様を変えていく。
動揺した顔で俺と視線を合わせていたが途中から逸らし、目を泳がせる。頰に少し紅みが差して何処か恥ずかしげな表情で頰をポリポリとかくと、
「……べ、別に怖くもなんともねぇし、守ってもらわなくても自分でなんとか出来るけど……………まあ、期待はしといてやるよ……///」
と言った。
ツンデレ乙!
まさにそう言ってやりたいうずめのこのぶっきらぼうだが何処か嬉しげな雰囲気を漂わせる態度。
ノワールほどとは言えないが、
「うずめ、ナイスツンデレ!」
そうそうナイスツンデレ…………ってネプ子よ、お前は何故一々そうやって思った事を口に出す。
「だ、誰がツンデレだよねぷっち!?何言ってんのか超意味分かんないんですけどぉ!?」
ほらな?こうやって意固地になってグワーッと全力否定するだろ?
しかも羞恥心で顔の赤面度が広がってるし、またギャル口調が出てるし。動揺感がズビズバ伝わりまくりだよ……。
「お、お姉ちゃん……!いくらそう思ってもこういうのはあんまり口に出すのはダメだよ!」
「でもネプギアだってそう思ったでしょ?」
「それはまあちょっとは…………ふぁっ!?」
あっ、ギアちゃん墓穴った。
「ぎあっちも!?うぅ〜!二人してうずめの事バカにしてぇ〜……オコだよオコ!マジオコだよ!!」
うわ〜、こっちはもうキャピギャルモードにまで発展しちゃってる……。
腹を抱えて笑い倒すネプ子。アワアワとテンヤワンヤにキョドるネプギア。涙目で猛抗議するうずめ。
クエスト開始前だというのに完全ハッチャケムードが広がるこの場。
しかし、このままでは今日のクエストが終わらない。
せっかくお天道様がバーニングフィーバーしてる昼間にやってきたというのに、このまま時間が潰れてしまえば、夕方になってお天道様がグッバイシーユーアゲインしてしまう。
そうなってしまったら、この中に潜むブルーベリーボーイズ達のチャンスタイム、これどこのホラーゲーム?って言いたくなる展開へ。
それだけはまずい。ムードが出るから夜に行きたいと宣ったバカを、現実的に考えて危険極まりないから昼間に行くと論破してきたのにこのままでは奴の思い通りとなってしまう!
それだけはまずい!それだけはまずいのだよ!
大事な事なので三回言いました。
「ほら三人とも、馬鹿やってないでさっさとクエスト終わらせるぞ」
だからそう声を掛けながら、俺は三人を素通りして門を通過、荒れた土地の中をスタスタ歩いていく。
そうすればほら、女々しくて女々しくて馬鹿騒ぎしてた美少女達が慌てて着いてくる。
こうすれば簡単な事だ。誰しも、置いていかれそうになったら慌てて着いて来るもの。自然の摂理ってもんだ。この子達が素直って事も要因してるんだろうけど。
さて、じゃあ気を取り直して、本日のクエストを達成するとしますか!
待ってろよブルーベリーボーイズ!
ワンターンキル、無双、いずれもマッハでかましてやるぜ!
さてさて、ヒロム達を待ち構えるブルーベリー色の大男とは一体?
わかる人には分かるだろうけど、とりあえず、ネクストエピソードをチェック!