遊戯王 振り子使いの少年と連鎖使いの少女 〜番外編〜   作:DICHI

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*注意!!
このお話はフィクションです。実在する人物も存在しますが、作者の妄想を膨らませただけの(2ヶ月遅れの)エイプリルフール企画です。

このお話は2019年の6月に『遊戯王 振り子使いの少年と連鎖使いの少女』に投稿した番外編です。
番外編投稿により、本編の方は削除いたします。



キャラ紹介


・怪盗アリアと遊輝

孤児院生まれの貧乏育ち、子供の頃からスリや空き巣を繰り返し、泥棒生活をしていたが、怪盗としてプロになる事決めた『世界最強の怪盗コンビ』。アリアは魔法使いで盗みのスペシャリスト、遊輝は刀を操り、ハッキングのプロ


フリーサイトを使ってある程度の二人のイラストを作りました。遊輝君はあえてマスクで顔を隠しています。

怪盗遊輝

【挿絵表示】


怪盗アリア

【挿絵表示】



・氷川絢刑事
日本人の女性刑事、数年前から怪盗アリアと遊輝のコンビ専門刑事として日夜二人を追っている。過去に二人に助けられた経験が?

・遠藤桜刑事
期待の若手女性刑事、氷川刑事を師と仰ぎ、並々ならぬ思いで怪盗アリアと遊輝を捕まえようとしている。


エイプリルフール  怪盗アリアと遊輝の物語

それは、あり得たかもしれないパラレルワールドの世界・・・・

もし、前世で孤児院暮らしをしていたアリアが遊輝と一緒だったら、もし二人が亡くならず転生していなかったら・・・・・・・・

 

 

 

 

『ご覧ください!!バンドメンバーのRed SHINEが5年ぶりの凱旋公演のために日本に帰ってきました!!』

 

『きゃあああ!!!渡辺さ〜ん!!』

 

『長谷部さ〜ん!!!』

 

『ファンの声援に応えよるようにメンバーでヴォーカルの奏さんは手を振ります!!Red SHINEの日本凱旋ツアーは来月から福岡のYahoo!ドームで・・・・』

 

ここは世界のどこかの家・・・・のどかな平野の中にある小さな田舎町の家、ここに住んでいるのは女性一人と女性と見間違えるような男性一人。男性はソファに寝っ転がってテレビを見て、女性はそんなことを見ている暇ないとパソコンに向かって必死にタイピングしている。

 

「おうおう・・・・すげぇ人気なこと、んで、次のターゲットってこいつらなのか、アリア?」

 

「依頼人の情報だとねぇ〜、依頼人の狙いは彼等が持っているフランス14世が婚約指輪として使った、当時はどうやって入手したかも分からない、レッド・ベリルと呼ばれるダイヤモンドの指輪」

 

「おっ、すげぇ。現在相場1カラット300万超えているじゃねぇか」

 

「後にアメリカのユタ州でしか採掘出来ないことが分かったけど、段々と採れなくなってきたから希少性が出てきたのよ」

 

アリアと呼ばれた女性は相変わらずテレビに目もくれずパソコンに向かって何かの作業をしていて、画面には「PASSWORD CLEAR」の文字が出た後、何かしらの設計図みたいなものが現れる。

遊輝と呼ばれた男性はテーブルの上に置かれたタブレットを手にしてレッド・ベリルについて検索、そして彼の横には漆黒の刀が3本あった。

 

彼等は世界に名の轟く怪盗コンビ、アリアと遊輝。

数年前、突如現れた怪盗コンビに世界は激震した。有名絵画や歴史的秘宝、世界一安全と言われるホワイトハウスや世界一強固と言われたシンガポールの銀行から数兆ドルとも呼ばれる大金を盗み出した。ただ盗むだけではない、地味と言われる強盗をマジックショーのように見せつけた。

 

やがて彼等は全世界の警察の敵となるが、一般市民にとっては架空の存在、いや、ヒーローと呼ばれるようになった。

 

彼等がヒーローと呼ばれる所以、それはいついかなる時も華麗に盗み出していたことだ。

そして彼等は奪ったものの内、7割以上を貧しい貧困層や大衆に寄付、果てには「気に入らなかったから」「思っていたのと違ったから」と言う理由で持ち主、警察署に返却していた。

 

さらに彼等の盗み出しているのは財宝やお金だけではない。大企業や有名政治家などが隠し持っているスキャンダルや賄賂、違法性のあるデータを盗み出し、世間に大々的に報道する。しまいにはとある国の警察組織と巨大なマフィアの裏関係も暴き、二つの組織を潰した記録まである。

 

彼等の華麗なる盗み、そして富裕層を潰し、貧しい人や一般市民に救いの手を述べる彼等はまさしく世界中のヒーローとなり、彼等が予告状1枚を出すだけで世界中からファンがやってくるほどだった。

 

「にしてもお前にしては珍しいなぁ、昔はともかく、こんな安っぽい物盗る依頼なんて断るだろ?確かに歴史的価値はあるけど」

 

「まあね、この前も大したことなかったけどマヤ文明に隠された財宝探したし」

 

「お前の口から出てくる大したことないは大抵嘘だけどな、あれだけで人間100人くらいの一生を養ってもまだ余裕あるんだぜ」

 

「だってさ〜、頭使って謎解きして出てきた特大の秘宝がこ〜〜んな小さい小さい野菜の種だよ!!」

 

「昔は食い物が貴重だったからな〜、だいたいお前は周りを見ないからだろ、周りには金銀の宝石に昔の硬貨とか歴史的な骨董品とかあったっていうのに」

 

「遊輝ちゃんはロマンがないわね〜!!そんな物なんて所詮それっぽちのものよ!!」

 

「へいへい・・・・で、お前はこの依頼をどう見てるんだ?」

 

「依頼者の偽名なんて良くあることだからね、情報屋には通してみたら、私達から化けの皮を奪われた大富豪の息子だったわよ」

 

「大富豪?」

 

「2年前、ロスのカジノを裏で仕切っていたスネラー・ブライソン、あのオーナーよ」

 

アリアはそう言ってパソコンを操作して一人の男の写真を映し出した。遊輝はソファから立ち上がってパソコンの前に行き、パソコンに映し出された写真の男を見て深く頷いた。

 

「ああ、あいつか。チョロかったなアレ。簡単にパスワード解けて出てくるは出てくるは不正の数、ミサイルなんかも開発しちゃって」

 

「結局、有り金は全部私達が頂いて、ロス警察が捕まえちゃったからね・・・・・っしゃあ!!!銀行の電子パスワード解いたわよ!!活動資金活動資金♪」

 

「んで何だ?そのバカ息子が俺たちに復讐か?」

 

「そうみたいよ。あの事件、バカ息子は関わってなかったからお咎めなしになったけど資産はほぼ全部私たちが持っていったからね」

 

「んで、お前はこの罠をわざと乗ると」

 

「あったり前よ。なんせ私達は世界最強の怪盗コンビ・・・・・盗めない物は無い、レッド・ベリルはその次いでよ」

 

「するとお前の本命は?」

 

「フランス14世の王妃、マリー・テレーズ・ドートリッシュが愛用した世界一豪華なティーセット、クイーンズ・テッセ」

 

「クイーンズ・テッセ」

 

「そうよ、情報屋の筋によるとその息子がクイーンズ・テッセをどうしても欲しがっているみたい。そしてその鍵となるのがレッド・ベリルの指輪、というわけよ」

 

「OK、じゃあまたあのバカ息子から奪ってやるか」

 

「それじゃまず着替えようか♪」

 

パソコンの電源を落としたアリアは立ち上がり、クローゼットの扉を開く。そこにはたくさんの衣装が並び、その中から黒いマントと黒い目隠しマスクを手にした。

 

「・・・・相変わらずお前の感性が分からん」

 

「何言ってるの!?怪盗の華といえばこのマントと黒い目隠しマスクでしょ!!」

 

「そんな物アニメの世界だと・・・・」

 

「じゃあ遊輝ちゃんも着替えて」

 

「嫌だ!!!何でわざわざ女物の服を着なくちゃいけないんだ!!」

 

「だって世間のイメージは大切だよ♪『噂の怪盗は上品なお姉さんと頭の回転が速い妹』だって」

 

「嫌だ!!!誰がそんなイメージを作ったんだ!!!捏造だ!!」

 

「捏造でも噂が大きくなればそれが真実になるのよ。さあ着替えて♪」

 

「嫌だああああ!!!!!」

 

「それじゃ・・・・・・・作戦開始(ミッション・スタート)

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

『ワアアアアア!!!!!!』

 

「相変わらず凄い数ね・・・・」

 

「でも彼等が今夜見るのは怪盗アリアと遊輝の逮捕劇、今度こそ捕まえてみせる」

 

場所は変わり、日本の東京、日本有数、いや世界有数のビル群が並ぶこの街は多くの人々が行き来をして夜も眠らない街と言われている。そしてそんな街に存在する日本一のホテルと名高いホテルグランド、しかしそんな異名を持つこのホテルの周りは異様だった。何故なら数千と数えられる警察官、そしてそれに劣らない多くの野次馬が集結していた。彼等の目的は一つ、世界最強の怪盗コンビ、アリア&遊輝が予告状を世間に公表したからだ。

 

 

『予告状

 

拝啓、日々市民の安全を守っている日本警察の皆さん、こんにちは

 

さる○月△日のPM10:00、ロックバンド、Red SHINEが大切に持っているレッド・ベリルの指輪を頂戴しに参ります。

 

怪盗アリア&遊輝』

 

 

この予告状は日本の警察のみならず大手マスメディアにも配られた。翌日のニュース、新聞、ネットは一気に盛り上がり、世界中からこの怪盗コンビをみようとRed SHINEが止まっているこのホテルに集まってきたのだ。ホテルの周りは厳重警備な上、戦車や対弾道用ミサイル、空には4台のヘリコプターが飛び回っている。

 

「それで、Red SHINEの皆さんは今どうしてますか?」

 

「まもなく練習から帰ってきます。もちろん裏通路を使って」

 

ホテルを見つめながら話しているこの二人の刑事、名を遠藤桜、氷川絢、遠藤桜は若くから出世したエリート刑事だが5年前から怪盗コンビを捕まえる専門の刑事として配属された。そしてその先輩刑事となるのが氷川絢、彼女は刑事になる前、この怪盗コンビに助けられた過去があるがそれはまた後日。

 

「本当に肌身離さずに持ち歩いているんですか?」

 

「えぇ、どうしても離したくないとのことで」

 

「そうですか・・・・まぁ銀行や美術館の警備システムを抜け出す彼らのことです。下手に預けるより本人たちに持たせる方が良いでしょう」

 

「そうね、それにしても引っかかるわね・・・・・」

 

「えぇ、何故こんなに時間を掛けた割には普通(・・)なのでしょうか?」

 

「これくらいの事ならここまで大きく予告状を出す必要がない、その上何故わざわざこんなにも間を空けるのかしら?いつもの彼等ならすぐ盗みに来るはず」

 

「まるで誰かの為に発表したようなもの・・・・」

 

「桜、レッド・ベリルの事は調べたかしら?」

 

「今調べている途中です。何せ情報が少ないものですから」

 

「そうね・・・・・ん?」

 

「どうしました?」

 

「今あのビルから光ったように見えたけど」

 

「?・・・・いえ、私には見えませんが」

 

「・・・・あのビルは確かこのホテルがよく見えるんだったわね」

 

「えぇ・・・・ああ、すぐに車を手配します」

 

「お願いするわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヘックション!!」

 

「あっ、バレた」

 

「うるせぇ!!いっつもいっつも俺のクシャミを基準に考えるな!!第一寒いんだよこの衣装!!(ズズ〜)」

 

「鼻すすらない!!遊輝ちゃんのクシャミは噂のクシャミだからね。このクシャミは・・・・あの女刑事2組ってところかしら?」

 

クシャミをして顔をしかめるピンクのフリルのスカートを履き、ピンクのフリルのYシャツにノースリーブのピンクのベストを着て黒のマントを羽織って変装用の黒マスクを着けている遊輝、そして同じく淡いブルーの履いて、白いYシャツを着て淡いブルーのYシャツを着て白いマントを羽織ったアリア。もう一度言おう、遊輝は男だ。

 

二人の女刑事が見たビルの先、そこには仕事着の怪盗用の衣装に着替えたアリアと遊輝のコンビが寝そべってスコープを使って目的のお宝が眠っているホテルを見つめている。

 

「んで、中はどんな状況かしら?」

 

「お前も見てるだろ?」

 

「私は中の様子だけよ、遊輝ちゃんは中の電子情報でしょ?」

 

「パスワードは複雑、しかも五重のロックか・・・蟻すら通さないつもりかって、しかも不正アクセスのプログラムまで付けてやがる、さすが自称安全大国日本」

 

「日本の安全性は世界でも有数だからね、で、出来るの?」

 

「俺を誰だと思ってる?俺に解けないパスワードと斬れない物は何一つない」

 

「不正アクセスの侵入は?」

 

「そっちの方が余裕、カップラーメンにお湯入れる前に解ける」

 

「なら行動開始としましょう。あの女刑事たち来たわよ。遊輝ちゃんのクシャミ便利ね」

 

「うるせぇ!!」

 

二人はスコープを外して片目用のメガネ、モノクルに付け替える。フレームに着けている小さな赤いボタンを押してメガネが動き出す。

 

「まずは潜入ね。Red SHINEのメンバーは最上階のスイートルームに集められているから下から登っていくわよ。失敗したらエッチィ罰よ」

 

「骨がかかるし、上司はパワハラにセクハラかよ」

 

2人は立ち上がり、マントをヒラリとはらう。その数秒後、二人の女刑事2人がこのビルの屋上にやって来た。

 

「・・・・・いませんね」

 

「いや、逃げられたわね。ここ触って」

 

「・・・・暖かい。体温程度の温度がある」

 

「つまりここから見ていたわけね。しかもこの暖かさからついさっきよ」

 

「・・・・相変わらず神出鬼没」

 

「急ぎましょう。既にホテルに向かっているわ」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

「まずは地下の従業員さん、ご苦労様でありま〜す」

 

「「「「「・・・・・・・・」」」」」

 

あのビルからホテルの地下駐車場まで来た怪盗の二人組は下で警備していた警察たちを催眠ガスで眠らさせて、入り口の鍵を解除作業を始めた。

 

「・・・うっし、簡単簡単」

 

カチャ

 

「さぁいくわよ・・・・・・」

 

二人はコソコソと潜入、そのまま従業員用の階段や排気口の通路を伝って最上階へ目指し始める。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・ねぇ」

 

「分かっているわよ・・・・あと30分」

 

「・・・・周りの警察官が俺たちを見て回っているけど」

 

「た、確か予告だと10時に」

 

「怖いこと言わないでよ!」

 

そのホテルの最上階、スイートルーム。この部屋に集められたバンドメンバーのRed SHINEは不安そうな表情をしていた。

 

「これに・・・・これにどんな秘密が隠されているのかな?」

 

そしてメンバーの一人である渡辺は手にしている宝石の箱を開ける。その中には彼らが予告状で盗むといったレッド・ベリルの指輪が存在した。

 

「・・・・・これは私たちを繋げてくれた大切な物、だけど」

 

「ああ・・・・今はこいつは俺たちを付き纏う悪魔だ・・・」

 

「あいつが・・・・あいつがいなければ・・・・」

 

なぜか指輪を見つめて不安そうな表情をしている5人。

 

・・・・・カチャ!!

 

「な、何!?」

 

「て、停電!?」

 

「いや〜驚かせてごめんね〜。今ちょ〜と野暮中でね、あと30秒ほど待ってくれるかしら?」

 

・・・・・パン!!

 

突然の停電で5人は一斉に辺りを見渡し、何処からか声が聞こえてきた。30秒後、部屋の電気が点いた。そしてリビングには怪盗コンビがマントを持って優雅に立っていた。

 

「なっ!?」

 

「あ、あなたたち!?」

 

「は〜い♪世界最強と言われる怪盗コンビ、アリアさんと遊輝ちゃんの参上よ〜」

 

「け、警察!?警察は!?」

 

「無駄無駄〜、日本人は働きすぎだからな〜。少し休みを取ってもらった」

 

「あ、あああ・・・・・」

 

「じゃあそういうわけでこのレッド・ベリルの指輪、戴いていくわね♪」

 

「・・・・あっ!?い、いつの間に!?」

 

怪盗アリアの手には既にレッド・ベリルの指輪が存在していた。慌てた渡辺は自分の手元を見たが、宝石箱の中はもぬけの殻だった。

 

「それじゃ、少し早かったけどおさらばね〜。良い歌聴かせてよ〜」

 

「・・・・ま、待ってください!!!!」

 

「わ、私たちを・・・・・私たちを助けてください!!!」

 

「ん?」

 

「助ける?」

 

全ての用事が終わった二人は色々と言いたそうな5人に目もくれず立ち去ろうとしたが、突如聞こえてきたすっきょんとんな答えに二人は固まり後ろに振り返る。そこには頭を下げている5人がいた。

 

「あ、貴方達!!世界を股にかける泥棒なんですよね!?」

 

「泥棒って言い方は気に入らないわね。怪盗よ怪盗」

 

「わ、私たちの・・・・・私たちの背後にいる人を盗んでください!!」

 

「・・・・どういうこっちゃ?」

 

訳がわからず返事をしてしまった遊輝、そしてメンバーの一人である奏が口を開けた。

 

「そ、その宝石の指輪はこのバンドを結成したとき、みんなでなけなしのお金を払って骨董市で買った、私たちの絆の宝石です。まともに売れずに、努力してもお客さんは目にくれず、明日も見えない日々を送っていた私たちにとって、その宝石の輝きはどれよりも輝いて見えました」

 

「私たちはヴォーカルの渡辺が右手の人差し指につけてもらいました。『いつか必ず、この宝石のように輝いて、右手の人差し指を高く突き上げる』と」

 

「その宝石が今ぐらいの価値をついたのはそれから1ヶ月後でした・・・・・そして同時期に・・・・奴が、あいつがやってきた」

 

「あいつ?」

 

「ブライソンJr・・・・・あなた達がかつて暴露した大富豪の息子です」

 

「何?」

 

「そいつはいきなり『俺とプロモーション契約を結んでもらう』とか言い出した。こっちの意見も聞かずに」

 

「だけどそこから生活は一変した。売れなかった曲が突然売れ始めた。それも数万程度じゃない、数百万程度に・・・・・」

 

「信じられなかった・・・・今までの俺たちの努力はなんだったのかと・・・・」

 

「それじゃずいぶん幸せな生活を送れたじゃない」

 

「そんな事はない・・・・待っていたのは地獄の日々だった・・・・毎日毎日缶詰の毎日、新曲を毎日作らせて、失敗した時は暴力も振るわれて」

 

「それだけじゃねぇ!!!!あいつ、メンバーの身体を台無しにしてきやがった!!俺がその事に怒って殴り込みをかけたら銃で足をやりやがって・・・・・」

 

「私たちの意見なんて聞いてもらえなかった!!!私たちの作りたい音楽を!!私たちの奏でたい音楽をあいつは全部無茶苦茶にしやがった!!!」

 

「それだけじゃない・・・あいつは3ヶ月前、私たちの大切にしているこの宝石を寄越せと言ってきた。それだけは出来ないと断ったら『誰のために売れたと思っている』って・・・・・」

 

「私たちはもう・・・・引き返せないところまで戻ってしまった・・・・・だけどその指輪だけは・・・・どうしても譲れなかった」

 

「あの男は執拗に指輪を迫ってきた・・・・・もうダメだと思っていた時にあなた達が現れた・・・・」

 

「あなた達がこの指輪を盗みに来る・・・・不安と同時に安心感が生まれた。もしかしたらあの男の魔の手から離れられるかもしれないって・・・・」

 

「あなた達に指輪を奪われて決心したわ・・・・・お願い!!!私たちを助けて!!」

 

「もう懲り懲りなの・・・・あの男が背後で操っているのは・・・・」

 

「俺たちは疲れているんだ・・・・暫くは休みたい」

 

「お金は幾らでも払う・・・・私たちの全財産をつぎ込んでもいい。だから・・・・だからあの男を私たちから盗んで!!!」

 

5人の思いを聞いた2人、その内遊輝はマスクをグイっとあげて5人に向かった。

 

「なるほどな・・・・・だけどそれは出来ねぇ相談だ。俺たちは怪盗、盗むのはモノだ。人を誘拐するポリシーは持たない」

 

「そ、そん「その代わり・・・・」!?」

 

今度は遊輝の横にアリアが立ち、遊輝の肩を持つ。

 

「その代わり、その男の裏情報を盗んできてあげるわよ」

 

「!?!?ほ、ほんとですか!?」

 

「安心して、私たちは世界最強の怪盗コンビよ、私たちに盗めない物はないわ」

 

「じゃ、じゃあ・・・・・」

 

5人はお互いの顔を見合わせた。アリアと遊輝は窓ガラス付近まで歩き、5人の方に振り向いて、アリアは右手を突き出してレッド・ベリルを見せつける。

 

「このレッド・ベリルの指輪もクイーンズ・テッセも貴方達を後ろから操る人の情報もぜ〜んぶ、私たちが盗んであげるわ♪」

 

アリアのその一言、その一言を聞いた5人はお互いの顔を見て、膝をつき、頭を下げる。

 

「「「「「お、お願いします!!!!」」」」」

 

「任せてちょうだい、だから今はゆっくりとお休み・・・・」

 

そう言ってアリアは左手に持っていた催眠ガス入りの手榴弾を5人の目の前に投げる。煙が部屋に充満して5人はバタバタと倒れていき、眠っていった。

一方、アリアと遊輝は屋上まで登り、最後の大詰めの準備をしていた。

 

「お前、全部分かってて早めに盗んだんだろ?やけに急かすと思ったら」

 

「Red SHINEは突然売れたからね。裏の存在も調べるわよ。でも、それは5人の大切な幸せを奪っていた・・・・・・それじゃ遊輝ちゃん、今年最大のショー、皆様の前で見せてあげましょう」

 

「あぁ・・・・俺たちの真骨頂を披露してやるぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ガヤガヤガヤガヤ・・・・・』

 

『おい、そろそろ10時だよな・・・」

 

『あと2分よ・・・・』

 

『二人は来るのかな・・・・』

 

「桜!!状況は!?」

 

「ダメです!!最上階から連絡がありません!!」

 

一方その頃、地上では騒ぎが段々と大きくなっていった。約束の時間まであと少しとなり、野次馬達は早く怪盗コンビが出てくることを願い、警察達は一向に連絡がないホテル班に苛立ちを募らせていた。

 

「ひ、氷川刑事!!地下駐車場の班、裏通路の班全員が眠らされて縛られていました!!」

 

「な、何だと!?」

 

「不味い・・・あと3秒・・・!!」

 

・・・・・・カシャッ!!!

 

『オオオオオ!!!!!』

 

『来たぞ!!!!!!』

 

ホテルの屋上、その角にヘリコプターがライトを当てる。そこには膝を建物の角に立てて構える怪盗アリアと横にグライダーを持った怪盗遊輝の二人組みがいた。

 

「今晩は日本の皆さん、元気にお過ごしですか?」

 

「約束通り、午後10時、確かにレッド・ベリルの指輪を頂戴しました♪」

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

怪盗アリアの右手には月光に照らされて赤く光る。双眼鏡を手にしているものは怪盗アリアの右手を見て、レッド・ベリルの指輪が輝いているのを確認、瞬く間に観客からは大喝采が巻き起こった。

 

「な、何だと!?10時になってから1秒も経たないうちに盗み出すだと!?一体どんな手を使って!?」

 

「ひ、氷川さん!!そんなこと言っている場合じゃないです!!あの二人直ぐに逃げ出しますよ!!」

 

「本日はせっかくお集まりいただいたのに、非常に短いショーとなって誠に申し訳ありません」

 

「その為、皆様には1ヶ月以内に何かしらのサプライズをすることを約束いたしましょう」

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

「では、さらば」

 

「ひ、氷川さん!!二人がグライダーで」

 

「ヘリ班!!!直ぐに追跡せよ!!!」

 

氷川刑事の指示で上空に待機して二人を見つめていた4台のヘリ、そんなこと御構い無しに怪盗遊輝はグライダーの角度を調整してアリアを手にして空へと飛んでいった。直ぐに4台のヘリが二人を追いかけ始める。

 

「遊輝ちゃん!!」

 

「舵は任せたぞ!!俺に斬れないものは・・・何一つない!!」

 

怪盗アリアと遊輝は空中で華麗にポジションを変え、アリアが舵席に移動する。その間に遊輝はグライダーの羽の上に移動、直ぐにジャンプして手前のヘリコプターの上に立つ。

 

「なっ!?き、貴様!?」

 

「あばよ、下にはクッション敷いてあるから死にやせんよ!!」

 

怪盗遊輝の手には2本の刀があり、それを目に見えぬ速さで斬りつける。すぐさま遊輝は次のヘリコプターへと飛び移り、最初のヘリコプターは空中で解体されて操縦士諸々、下に落ちていった。

 

『ワアアアアア!!!!』

 

「お〜らよ!!仲間が待ってるぜ!!」

 

1台目のヘリコプターが無残にも斬り付けられて解体させられる様子を見た2台目の操縦士達、だが直ぐに遊輝が斬りつけて自分たちも同じ目にあう。同様に3台目、4台目も斬りつけていき、遊輝は大きくジャンプしてアリアの左手に手にした。

地上でパトカーに乗って追いかけていた氷川刑事と桜刑事だったがそこから先は海へとなり、二人は遠く海の彼方へ消えていく。

 

「じゃあね〜氷川刑事に桜刑事〜、私たち直ぐに別の仕事があるから〜」

 

「ま、待ちなさい!!」

 

そのまま二人は海の地平線へと消えていった。

 

「く、くっそ・・・・またしても、またしても逃してしまった!!」

 

「ひ、氷川さん!!見つけました!!レッド・ベリルの指輪の謎!!」

 

「何!?」

 

氷川刑事は桜刑事が持ってきた資料を奪い取るように取り、資料を簡単に見る。

 

「こ、これは・・・・・まさか本当に」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「う〜ん・・・・対して輝いているように見えないわね〜」

 

「お前の目はくすんでいるのか?ちゃんと光が透き通っているだろ?」

 

「頭悪いね〜遊輝ちゃん。この宝石の中が透き通ってないのよ。年代物だから若干ヒビが入っちゃってるわね」

 

アジトに戻ったアリアと遊輝、遊輝はパソコンの前に座り、カタカタとキーボードを鳴らす。アリアは盗んだ宝石を拡大鏡で見つめ、宝石の中身を調べていた。

 

「それでどうなんだ?」

 

「宝石自体は本物ね。中に細工とか仕込まれていないわ。となるとこの宝石は鍵となる可能性が高いわね」

 

「ふ〜ん」

 

「そっちは?」

 

「もうすぐだ・・・・おっ、行けたかなぁ」

 

遊輝がEnterキーを押す。ダウンロードの読み込み時間とパーセントが画面に現れて100%になった瞬間、画面には大量に保管されていたPDFの書類が次々と画面に映し出された。アリアはソファから立ち上がり、遊輝と一緒にパソコンの画面を見る。

 

「上手いこといったぞ。やっぱ蛙の子は蛙だな、色んなことに手を出してやがる。ご丁寧に署名と写真付き」

 

「暴行に恐喝、賄賂と性行為、おまけに薬物の売買までライブの裏でしちゃってるよ〜。遊輝ちゃん」

 

「大丈夫、直ぐにダウンロードした」

 

「さっすが!」

 

「しかし肝心の雇用契約書が見つからないなぁ・・・あの5人が書面でやったって言ってたけど、パソコンには保存してなかったか」

 

「まぁそれも盗み出せば良いでしょ、蛙の子は蛙ならどうせ金庫の中に隠しているわ。時期に向こうからお誘いが来るわよ」

 

・・・ピロン

 

次々と映し出されるPDFの途中、パソコンから音が聞こえてきた。遊輝はPDFの解凍作業を一度中断し、メールボックスを開いた。

 

「おっ、噂をすれば、どれどれ・・・・」

 

「『ご苦労だった、次はフランスで王が恨んだ城で会おう』これは・・・」

 

「王ってことはこの宝石の持ち主ってことか?ルイ14世が恨んだ城?あいつ宮殿暮らしで城なんか興味持たねぇんじゃね?」

 

「馬鹿だね〜遊輝ちゃん。ルイ14世が生きていた時代はまだ戦争が起きていた中世ヨーロッパ史、フランスも領土拡大中の戦争を続け、まだまだ城がその国の象徴だった時よ」

 

「でもよ、ルイ14世は太陽王って言われたくらいだろ?そんな奴が嫉妬するような城なんてあるか?」

 

「あるわ、ヨーロッパ史、特にこのルイ14世のことを深く掘り下げないと出てこないマイナーな城が・・・・・・・さて、色々と準備してから行きましょう」

 

「そうだな。備品を買い揃えるか」

 

「それとこのアジトもそろそろおさらばね」

 

「えっ?」

 

『怪盗アリアと遊輝!!!!お前たちはすでに包囲されている!!!素直に捕まってもらうわよ!!』

 

遊輝のすっきょんとんな返事に答えるように外から拡張器を使って声を張り上げてきた。遊輝が少し驚いた表情をして外をチラッと見ると現地の警察のパトカーに囲まれて、先導には氷川刑事と桜刑事がいた。

 

「・・・・何故ばれた?」

 

「さぁ?時期的にはもうそろそろかな〜と思ったけど。やっぱズボラかまして銀行強盗はバレやすいかな〜?」

 

「えぇ〜・・・・・お前新しい家探すの大変だぞ」

 

「大丈夫大丈夫、手伝ってあげるから。それじゃ・・・・・Go!」

 

会話を挟んでいるうちに二人は最低限の荷物だけを手にして、アリアが何かを投げる。すると家中から白い煙に覆われて、それは外にいる警察官をも覆った。

 

「え、煙幕!?」

 

「上は!?後ろは!?」

 

「後ろからは出てないです!!」

 

「う、上に登った形跡もないです!!」

 

・・・・・・ブオオオン!!!!!!!!

 

「なっ!?」

 

煙が舞って見えない中、何かしらのエンジンの爆音が聞こえ、家の中から1台の大型バイクが飛び出し、パトカーの上をジャンプして乗り越えた。

 

「に、逃げた!!追いかけるわよ!!」

 

「は、はい!!」

 

 

 

 

 

 

 

「行け行け遊輝ちゃん!!!!そのままフランスまでドライブよ!!!」

 

「その前に後ろにいる鼠を払いたいもんだな!!」

 

ピーポーピーポーピーポー!!!!

 

家を捨ててバイクで逃走したアリアと遊輝、警察に追われているのに日常茶飯事みたいなことで何の緊張感も得ていない。それくらい二人は警察に追われることに慣れてしまったのだ、そして、警察への対処法も・・・・・

 

「じゃあアリア」

 

「OK、今度は私の番ね!!『アイスコフィン』」

 

二人乗りの後ろに座っていたアリアは右手を口の前に持ってきて、何かをゴソゴソと呟く。すると二人が乗っているバイクの後ろから道がカチコチに凍ってしまった。

 

キューーー!!!ドカン!!!キューーー!!!!

 

全速力で二人を追いかけていたパトカーは突然地面が凍ったことに対応出来ず、タイヤがスリップしてしまい、そのまま横転、追突を繰り返してあっという間にパトカーのスクラップができてしまった。それを見たアリアは満面の笑みを浮かべる。

 

「こちら、タネも仕掛けもないマジックでございま〜す♪」

 

「そりゃそうだろうな、お前は本物の魔法使いなんだから」

 

「遊輝ちゃんもいい加減魔法習おうよ〜」

 

「生憎だがそこまで人外になろうとは思ってないんでね!」

 

「つまんないわね〜、じゃあこのままフランスへGo!!」

 

「おう!!」

 

遊輝がアクセルをさらに回し、バイクはさらにスピードを上げて道を駆け抜けていく。二人は目指すゴールはまだまだ先だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・コツ、コツ、コツ

 

夜のフランス、パリから百数十キロ離れたところにあるヴォー・ル・ヴィコント城。かつてこの城はかつてルイ14世の側近の一人、ニコラ・フーケによって建てられた城、あまりの豪華さにルイ14世から嫉妬を買い、嫌がらせを受けたとも言われている。

そんな城の近くに一人の男が足を鳴らしながら待っていた。彼は待ち合わせをしていた。その為にこの暗い時間、不気味な場所で待機していた。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「待たせたな」

 

「・・・・・静かなる岩」

 

「川の流れ、そして海へと」

 

「間違いないな」

 

そんな男の前にマントを羽織って全身が黒ずくめの男が現れる。待っていた男は何かを呟き、男はそれに応えるように返答した。約束の合言葉が帰ってきたので男はニヤリと笑った。

 

「例のブツは?」

 

「ご覧の通り・・・・」

 

マントの男は懐を漁り、宝石箱を取り出して開ける。その中にはこの前盗んだレッド・ベリルの指輪があった。男は宝石箱から指輪だけを取り出し、手に取って高らかに笑う。

 

「フ、フハハハハ!!!!!!よくやったぞ!!!やはりお前たちは最高の泥棒だ!!!これでこの地図と合わせてクイーンズ・テッセを「おりゃっ!!」なっ!?」

 

高らかに笑ってポケットから取り出した一枚の紙、男は両手を築き上げて喜んでいたがその両手にあるものはどこから飛んできたのか、ロープによって結ばれて男の手から離れてしまった。

 

「な、ど、どういう事だ貴様!?」

 

「お前言ったよな・・・最高の泥棒だって・・・・だから俺たちはお前からそいつらを盗んだ、それだけだ」

 

「き、貴様!!!」

 

バーーン!!!!

 

男は懐から銃を取り出してマントの男に発砲、銃弾は男に当たったがその直後爆発してしまう。煙が晴れるとそこには誰もいなかった。

 

「な、何!?」

 

「残念だったな、本物はこっちだよ」

 

「!?き、貴様ら!!!」

 

男は声がした方に振り向く。そこで目にしたのは大きな木の上に登っていた白いマントに白いYシャツとピンクのベストを着て、白いマスクを持った怪盗アリアと黒いマントに黒い中世貴族のような服に黒ズボンの上からスカートのように羽を腰に巻き、黒マスクを手にした怪盗遊輝だった。

 

「いや〜、本当単純な罠に引っかかってくれて助かるわ〜ブライソンJr」

 

「なっ!?な、なぜ俺の名前を!?」

 

「怪盗として依頼人を調べるのは当たり前じゃない♪もちろん、あなたの裏情報も・・・・」

 

そう言ってアリアはUSBと1枚の紙を取り出した。男はそれを暗い中じっと見て、顔を真っ青にした。

 

「そ、そそそそそ、それは!?」

 

「そう、あんたが違法に結んだRed SHINEの労働契約書、そしてこのUSBにはあんたの悪事がわんさかと乗っているわ。いや〜、あんたの家に侵入するの大変だったし、金庫は無駄に頑丈で手間取ったわ〜」

 

「まっ、あれくらい俺たちには余裕だったけど」

 

「き、貴様ら!!!そいつを返してもらうぞ!!」

 

「別に構わんけど、もう世界中にばら撒いたぞ」

 

「なっ!?」

 

「今頃あんたの家にはマスメディアと警察官による家宅捜査がはいっているんじゃないかしらね〜?ほら、ネットニュースにも乗っているわよ」

 

「おお、すげぇ反響だな。トップニュースの項目全てしめたぞ。よかったなお前、有名人になれたじゃねぇか」

 

「き、貴様ら・・・・・私の父親だけじゃなく私までもコケにするとは・・・・許さんぞ!!」

 

バン!!バン!!

 

頭に血が上った男は手にしていた銃を乱射する。しかし二人は余裕の表情で飛び上がり、弾を避ける。

 

バン!!バン!!

 

「クソッ!!!クソッ!!!!」

 

バン!!バン!!カチャッ、カチャッ、

 

「ちっ!?」

 

男はそのまま撃ちまくったが銃が弾切れを起こして銃を投げ捨てた。その間にアリアが男の目の前までやってきた。

 

「ひっ!?」

 

「人を不幸にした罪は重いわよ・・・・・『ギルティ・クラウン』」

 

「う、うわああああああ!!!!!!!!!」

 

アリアは男の顔の近くで魔法の呪文を詠唱、すると男はいきなり騒ぎ出して頭を押さえ始めた。

 

「う、うわああああ!!!!あ、悪魔が!?悪魔がああああ!!!!!!」

 

「遊輝ちゃん!!!」

 

「俺に解けないパスワードと斬れない物は・・・・・何一つない!!!!」

 

ズバッ!!!!!

 

男が狼狽えている間に遊輝は刀を一つ取り出し、円状に太刀を描いて男に向かって走り、斬りつける。最後に刀を鞘に収めると、男の突然静かになり、バタッと倒れてしまった。

 

「さて、こいつはもうすぐ来る警察官に引き渡すとして、私達は仕事を続けましょう」

 

「さあて、このお城の何処に目的のものがあるかな〜」

 

二人は何事もなかったようにして、アリアはレッド・ベリルと指輪と男が持っていた古い地図をポケットから取り出して城の中に入っていった。そして二人がお城に入ってすぐにパトカーのサイレンの音が響き渡る。

 

・・・・・ピーポーピーポーピーポー!!!!!

 

パトカーは気絶した男の周りを囲み、1人の警察官がパトカーから降りて男の様子を確認する。その後、桜刑事と氷川刑事がパトカーから降りてきた。

 

「氷川刑事!!ブライソンJrを見つけました!!どうやら気絶しているようです!!」

 

「・・・・これは」

 

「え、えぇ・・・・昏睡状態に近い状態。この状態はあの二人に嵌められた容疑者全員と同じ症状です」

 

「となるとあのお宝はここに・・・するとアリアと遊輝も」

 

「私達2人で行きましょう。みんな!!このお城を取り囲んで!!アリアと遊輝は間違いなくこのお城にいる!!絶対に取り逃がしてはダメよ!!」

 

『はっ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

コツ、コツ、コツ、コツ・・・・・

 

「怖えぇ・・・・」

 

「相変わらずビビりね〜、これくらいどうってことないでしょ!!だらしのない少女怪盗さん!!」

 

「うるせぇ!!怖いもんは怖いんだよ!!それと少女怪盗とか言うな!!」

 

「もうすぐよ・・・・・ここね」

 

白の奥深くまで進んだアリアと遊輝は地図で目印が付いた部屋に入った。古い城で管理されているので物などはあまり置かれてなく、本棚やテーブルぐらいしかない

 

「ここは・・・・普通の部屋か?」

 

「う〜ん、ちょっと違うわね。客を招き入れる部屋だから少し豪華なはずだけど、塗装が剥げちゃってるわね」

 

「さて・・・・・何処にヒントがあるかな?」

 

「地図的には・・・・・この辺だけど・・・うん?テーブルのこれ・・・」

 

アリアはテーブルの上に置かれていた置物を一つ手にした。いや、置物のように見えた四角い物体だった。

 

「・・・・・これ、ここに穴があるわね」

 

「じゃあそこに・・・」

 

「そうね、それと多分地図の場所は・・・・・」

 

アリアはレッド・ベリルの指輪を穴の中に嵌めて、本棚の方に向かう。少し様子を見て、不自然な隙間を見つけ、その隙間に先ほどの置物を入れて時計回りに90度回す。

 

・・・・ゴゴゴゴ

 

「おっ、動いた動いた」

 

「こんなのアリアさんにとっては朝飯前よ♪」

 

壁の仕掛けが動き、壁が後ろに弾いた後に横にスライドする。その壁の向こうには戸棚が隠れてあり、その中にティーセットが飾られていた。

 

「ほぇ〜、こんなに種類あるのか。これは驚きだ」

 

「クィーンズ・テッセは一つのポットに数種類のティーカップ、ソーサラーが付けられていた記録が残っているのよ。お客に合わせてティーカップとソーサラーは変えていたけどこの大きなポットだけはこれ一つで使っていたのよ」

 

「へぇ〜、しかしこれどうやって持ち運ぶんだ?ちと数が多すぎるだろ?」

 

「心配しなくても大丈夫♪」

 

そう言ってアリアは少し大きめのアタッシュケースを2つ取り出して中を開ける。その中はクッションが敷いてあった。

 

「じゃあこれに入れて・・・・・・・OKOK〜〜」

 

「よっと・・・・・食器は重いな」

 

「じゃあ帰りましょ「動くな!!」・・・・・へぇ、すり足上手くなったわね、刑事さんたち」

 

「・・・・全く気づかなかったわ」

 

全てのティーセットを入れ終えた段階でアリアと遊輝は脱出を図ろうとしたが部屋の扉の方から声が聞こえ、振り向くと氷川刑事も桜刑事が二人の頭に銃を構えてこちらを見ている。

 

「御託はいいからそのアタッシュケースを置きなさい」

 

「それと、あなた達が持っている武器も全て出しなさい」

 

「武器なんて物騒な物なんか持ってねぇぞ」

 

「嘘つくのはやめなさい。あなた達のことは調べ上げています。アリアさん、あなたは銃と杖をこちらに差し出しなさい」

 

「遊輝さん、あなたは日本刀3本です」

 

「hu〜〜・・・・流石に長い付き合いだけあるわね」

 

アリアと遊輝は前に振り向いてアタッシュケースを置き、懐から銃や杖、そして3本の刀を手にして前に突き出す。刑事たちは銃を突きつけたまま、2人から武器を奪い取った。

 

「2人とも、後ろ向いて両腕を回しなさい。手錠をかけるわよ」

 

「大人しくしてなさい」

 

「はいはい」

 

アリアと遊輝は大人しく後ろに振り向いて両手を後ろの背中の方で組む。桜刑事と氷川刑事は手錠を取り出して二人に手錠をかけ、腰縄をかける。

 

「ようやく捕まえたわよ・・・・長かったわ」

 

「本当に捕まえたかしら?これからまた長くなるかもよ」

 

「負け惜しみ?そんなこと言ってないで付いて来なさい」

 

「へいへい・・・・んん〜鬱陶しいなぁ。この縄外してくれよ。歩き辛ぇよ」

 

「ダメです。あなた達は手錠すり抜けの名人ですしいつ逃げ出すか分かりませんから」

 

「きっちぃこと言うなぁ、お前らは鬼かよ」

 

刑事たちはアリアと遊輝の頭に拳銃を突きつけ腰縄を持って二人を部屋から連れ出し、外へと誘導させる。

 

「いや〜まさか忍び足身につけられるとは思わなかったわよ、お宝に夢中で全然気づかなかったわ」

 

「本当、危機センサーが無反応だったな」

 

「うるさいです。お喋りなら牢屋の中でしてください」

 

「無愛想だな〜、別に話すことくらい許してくれよ。どうせこの後暇なんだから」

 

「・・・・・・・・・何故、泥棒を続けるのですか?」

 

「ひ、氷川さん?」

 

ペチャクチャと話し続けるアリアと遊輝に桜刑事は黙るように話す。しかし、一向に話が終わる様子がなく、さらに氷川刑事が話を始めてしまった。

 

「ん?怪盗を続ける理由?そうね・・・・・私たちのプライドとかかしらね」

 

「そうかもな〜。俺たち2人、孤児院育ちで大したことも出来なかったけど、ガキの頃からこう言うことが得意だったし」

 

「・・・・悪いことしている自覚なんて無かったのですか?」

 

「自覚?そんな物感じなかったわよ。最初はそうしないと生きていけなかったし」

 

「それにこれを仕事として続けたら誇りとか名誉とか手に入れちまったからな。俺たちも満足しているし、この生活は楽しい」

 

「・・・・・・私はね、貴方達二人に助けられたのよ」

 

「ん?」

 

「へっ?」

 

突然訳の分からない事を言われて立ち止まり、後ろを振り向いてしまうアリアと遊輝。しかし隣にいる桜刑事が拳銃を突きつけて目で「早く行け」と訴えてきたので二人はそのまま前を向いて歩き出す。

 

「私の家はシングルマザーで、すごい貧乏だった。母が体を壊しながらも私を高校に入学させてくれたけど、高校の授業料なんて払えるか払えないかの状況だった。だから私もバイトはした。けれど、授業料に手一杯で自分の食料とか文房具とか買えない日々、友達は色とりどりのお弁当と沢山の文房具を買っていたけど私には出来なかった。一度、文房具屋の前で立ち止まり、万引きしようかと頭によぎったわ」

 

「すれば良いじゃない」

 

「それでも食料とか文房具は盗もうと思わなかった。常々母から『悪いことだけは絶対にしないで』って言われて来たから。 私も捕まりたくなかったし、こんな事して物を手に入れても罪悪感しか残らないと思ったからやらなかった。でもそんな時、家に戻って来た母が涙を流して私にこう言ったわ。『今まで苦労をかけてごめんね、でもこれからは普通の暮らしができるようになるから』って」

 

「ひ、氷川さん?それはどういう意味でしょうか?」

 

「・・・・私の家の前に大量のお金があった。それだけじゃない、私たちの近所にもお金が置かれていた。目撃情報もあって確信的な情報が町中に広まったわ。『怪盗アリアと遊輝がこの街にお金を恵んでくれた』って」

 

「覚えてないわね〜、どんだけ世界中に寄付したのか、100回超えるあたりで数えるのやめちゃったわ。遊輝ちゃんは?」

 

「俺に聞かなくても分かるだろ、そんなこと一々覚えてやしない」

 

「・・・・・私の心は葛藤したわ、確かに私の家はそのおかげで普通の暮らしを得ることが出来、私は高校を卒業してこうやって刑事の道に進むことが出来た。だけどそのお金は盗まれたお金だという事実に変わりはない。母はこれからの生活が楽になると延々と泣いていたが、そのお金は悪い人たちが盗んだお金だと分かっていたはずなのにそれでもそのお金に手を付けた」

 

「・・・・・別に良いんじゃない?私たちはね、さっきも言ったけと孤児院暮らしで貧乏生活をしてきた。ろくに食事なんか取れずに野菜すら贅沢品だったわ」

 

「あんな経験は俺たち二人だけで充分だ。俺たちは勉強すらろくにさせてもらえなかった。だから俺たちは怪盗になって盗んだお金を貧しい人たちや普通の人たちに寄付しまくった。俺たちのような苦しい経験をこれから先の子供達には絶対にさせない」

 

「だから私たちは怪盗という職業にプライドと誇りを持ってやっているのよ」

 

「・・・・なるほど、それがあなた達の答えですか。では私も言わせてもらいます。私はあなた達の事を命の恩人だとは思っています。ですが、あなた達の行いを許すわけには行きません。私の正義があなた達を必ず裁きます」

 

「へぇ〜、言ってくれるじゃない。だけどそれはいつになるかね〜・・・・」

 

「・・・・!?なっ!?」

 

「よっと、ああ〜、肩凝った」

 

話に夢中になっていた桜刑事と氷川刑事はいつのまにか二人の手首から手錠がなくなっていて、縄から抜け出していることに気がついた。アリアと遊輝は二人の刑事から距離を取り、肩を回したり、手首を回したりする。

 

「い、いつの間に!?」

 

「私たち、手錠されてもいいように色々仕込んであるんでね〜♪」

 

「この(ガチャ)!?」

 

「その手錠と縄は返しておくんで二人仲良くランデブーを過ごすんだな」

 

アリアと遊輝を縛っていた手錠はいつの間にか二人の刑事の両手を交差するように付けられていて、縄で縛られていた。二人が持っていた拳銃や刀等はアリアと遊輝が奪い返していた。

 

「じゃあ刑事さん、いいお話ありがとう〜、またね〜♪」

 

「ま、待ちなさい!!」

 

アリアと遊輝はそのまま手を振り、アタッシュケースを置いた部屋へと戻る。刑事たちも二人を追いかけようとするが手錠をかけられてしまい、うまく走れなかった。

 

「く、くそ・・・・・」

 

「お、覚えていなさい・・・・必ず捕まえてやるから!!」

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「んん〜!!美味しい!!やっぱインドのダージリンは別格ね!!」

 

「・・・・お前の価値観ほんと良くわかんねぇわ。クィーンズ・テッセを何のために盗ったと思えば紅茶を飲むだけに・・・」

 

「あったりまえじゃない!!!これはこのためにあるんだからね!!」

 

「ティーセットなんかそこら辺にあるんだからそれで飲めば良いんだろ」

 

「何言ってるのよ!!これで飲むから美味しいのよ!!」

 

世界のどこか、海が見える高級住宅街、新しいアジトを手に入れたアリアと遊輝は今はベランダに出てティータイムの時間をしている。

 

「それより遊輝ちゃん、あれは返したの?」

 

「ああ、ちゃんと本人達の前で返してきたさ。みんな泣きながら喜んでいたよ」

 

「良かったわね、これで心置きなく自分たちの音楽を奏でられるわよ」

 

二人は机の上に置かれたタブレットを見る。そこには楽しそうな表情をしているRed SHINEのメンバーの写真が撮られていた。

あの後、部屋に戻った二人はレッド・ベリルの指輪も戻し、遊輝が単身、Red SHINEに指輪を返しにきた。「この指輪のおかげでお宝が手に入った、俺たちはこの指輪いらないから返してやる」と言い、レッド・ベリルの指輪を返したのだ。

 

「5人の様子はどうだった?」

 

「写真の通り、凄い晴れ晴れとしていたよ。日本でのドームツアーが終わったらしばらくは休みたいってさ」

 

「3年近く休まずに作らされてきたからね〜、どこかで休息は必要よね〜」

 

「ドームツアーだけは意地でもやるってさ、『例えお客さんが一人しか来なくても、私たちはその一人のために自分たちの最高の音楽を奏でる』って」

 

「あの5人ならすぐにまた駆け上がっていくわよ」

 

「そうだな」

 

「ところでところで遊輝ちゃん、今度の耳寄りな情報なんだけどね〜〜」

 

「ん?何だ?」

 

ティーカップを置いたアリアは遊輝に耳打ちをする。それを聞いた遊輝は口元の口角を上げる。

 

「どう?盗みがいがあるでしょ?」

 

「良いねぇ・・・やってやろうじゃん」

 

ティーカップに入った紅茶を飲み終えた二人は次の仕事のために準備を始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今宵、世界のどこかに眠るお宝やお金は怪盗アリアと遊輝によって盗まれるかもしれない・・・・・

 

「私たちに盗めないものは何一つ無いわよ♪」

 

「全く・・・・無駄な時間(ロック)かけても全部同じなのに、俺が全部解除して斬ってやる!」

 




遊輝「・・・・・・何これ?」

アリア「超楽しかった!!!」

いや、まぁエイプリルフールだよ。

遊輝「ずいぶん遅いエイプリルフールですね、これ撮影したの5月の初めなんですが」

だって思いつきがゴールデンウィークだから。

遊輝「あと、設定が訳わかめ。何故こんなことになった?」

ゴールデンウィーク期間中、バイト先で風邪ひいてバタンキューになった時、暇だから動画見ていたんだけど丁度その時、とあるアニメの製作会社がルパン三世の過去作3シリーズと最新作の1話だけ期間限定公開していたんだ」

アリア「あ〜、あったね」

遊輝「お前も見ていたのか」

それで、ルパンはやっぱ面白いなぁ〜とか思っていたからふと、「これ、アリアと遊輝でやれば面白いんじゃね?」と思って執筆しました。

遊輝「それがエイプリルフールって・・・・まぁそれはもういい。この中途半端な配役は?」

元は小説メンバーに出てもらう予定だったんだけど、書いている途中に「リアル感ないな〜」って。ネオドミノシティとか架空の街でさ、なんかピンと来なかったんだ。

アリア「あ〜、設定が妙にリアル話を入れるからね」

それで小説メンバーは抜けていったんだけど、刑事役だけは残ってもらおうと桜と絢にしたんだ。

遊輝「いや、そのチョイスが謎なんだけど」

何となく。

遊輝「・・・・・・・・・・」

アリア「いいじゃん。私は楽しかったに」

遊輝「俺はまた黒歴史が一つ増えた・・・・」

まぁあれだな。好評だったら続く・・・・ってやつ。

遊輝「えぇ・・・・・・」

アリア「いいねぇ!!今度は自前で作るよ!!」

遊輝「お前が作るな!!絶対に女物の服しか作らないだろ!!」

アリア「えっ?そんなの当たり前じゃない」

遊輝「この変態魔女め!!」

アリア「何っ!?」

・・・・ま〜た喧嘩始まった。えぇ、主役二人が喧嘩したので、今回はこれまで。ご視聴いただきありがとうございました。
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