遊戯王 振り子使いの少年と連鎖使いの少女 〜番外編〜   作:DICHI

29 / 32
就活中です。しんどいです。内定とれるか不安です。
まぁ、前職で悩みながら仕事しているより遥かに気持ちが楽なんですけど、正直、あんな調子ならまた身体ぶっ壊して何処かで退職せざろう得なかったでしょう。下手にノイローゼや鬱病になるくらいならまだマシです。


*注意・・・・このお話はフィクションです。


怪盗アリアと遊輝

世界最強の怪盗コンビ。
アリアは魔法使いで盗みのスペシャリスト、遊輝は刀を操り、ハッキングのプロ。
今回はロスでカジノをしていると噂が・・・・・


怪盗遊輝

【挿絵表示】


怪盗アリア

【挿絵表示】



氷川絢刑事
日本人の女性刑事、数年前から怪盗アリアと遊輝のコンビ専門刑事として日夜二人を追っている。過去に二人に助けられた経験が?

遠藤桜刑事
期待の若手女性刑事、氷川刑事を師と仰ぎ、並々ならぬ思いで怪盗アリアと遊輝を捕まえようとしている。


エイプリルフール 怪盗アリアと遊輝の物語  part2

それは、あり得たかもしれないパラレルワールドの世界・・・・

もし、前世で孤児院暮らしをしていたアリアが遊輝と一緒だったら、もし二人が亡くならず転生していなかったら・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここはアメリカのネバダ州、ラスベガス、世界有数の繁華街でありカジノの街としても有名である。しかし、今の時間は深夜の4時、ネオン街で有名なこの街も街頭以外のライトは全て消えている。

そんな街のカジノ場の建物から2人、建物の外からロープを使って降りている。それぞれの両手にはパンパンに詰め込んだ布袋を持ち、首にも同じ布袋を巻いている。

 

・・・・・カーンカーンカーン!!!!

 

2人がロープから降りたタイミングでカジノ場から警報音が鳴り響き、サーチライトが照らし出す。そんなことを無視して二人は逃げるように走り出す。

 

「うっひょおお!!!さすがカジノはお金の量が違うなああ!!!」

 

「そんな事言ってないでさっさと逃げるわよ!!ほら車!!」

 

二人は楽しそうに話していた。そう、二人はたった今、このカジノ場から大量のお金を盗み出した強盗犯だ。警察や警備員の厳重な警戒をすり抜けて、カジノの金庫にあったお金を全て盗ってしまったのだ。

2人はそのまま逃走用の車に乗り込んで急発進、後ろから走ってきた警察官もパトカーに乗り込んで二人を追いかけようとする。しかし、エンジンを入れたら車のボンネットが爆発したり、タイヤが外れたり、しまいには車がバラバラに解体されていた。

 

「アハハハハ!!!!バッカじゃねぇの!!!全部俺が改造してやったぜ!!」

 

「やったね遊輝ちゃん!!国営カジノから50億ドルだよ!!これでしばらくは休めるよ!!」

 

「ああ!!!ここんところずっと仕事ばっかだから暫くはリフレッシュしたいな!?何処行こうか!?」

 

「ヨーロッパでゆっくりしようよ!!あそこでバカンス!!!」

 

二人は計画が上手くいったことに笑いが止まらない様子だ、盗んだお金を使って今後の計画を立てている。だが、そんな二人に後ろから水を差す車が1台、猛スピードで追いかけてくる。

 

ピーポーピーポーピーポー!!

 

「ん?警察?変だな、全部壊したんだけどなぁ・・・」

 

運転席で運転していた男はルームミラー越しで後ろに迫ってくるパトカーを見る。そこに乗っていたのは2人の若い女刑事だった。

 

『怪盗アリアと遊輝!!!止まりなさい!!!今度こそ捕まえるわよ!!』

 

「あ〜!誰かと思えば氷川刑事と桜刑事!!ひっさしぶり!!」

 

『今すぐ止まりなさい!!!撃ちますよ!!』

 

「だってさ遊輝ちゃん」

 

「そんじゃ今からレースでも始めるか!」

 

遊輝と呼ばれた男はミッションのギアを入れ替えてスピードを上げる。その後ろを1台のパトカーが追いかける。

 

彼らは怪盗アリアと遊輝、数年前に突如現れた世界を駆ける大泥棒、本人たちは泥棒と言わずに怪盗と言い張るが、実力は本物でこれまで数多くの施設や遺跡から絵画や歴史的秘宝、お金を盗み出した世界中の警察官の敵でもあり、全世界のヒーローでもある。

 

そんな二人を追いかける若き女刑事。運転しているのは期待の若手、遠藤桜刑事、そして銃を構えているのは先輩刑事、氷川絢刑事だ。

 

「桜!」

 

「大丈夫です!」

 

桜刑事はアクセルをさらに蒸し、アリアと遊輝の車に近づく。そして氷川刑事は身を乗り出してアリアと遊輝の車に向けて発砲する。

 

バーーン!!バーーン!!

 

「うっひょ〜〜!!!当てにきてやがる!!タイヤ当てられたら機動力負けるぞアリア」

 

「まっかせなさい。私も銃は鍛えているんだから、それに今日の弾は一味違うよ」

 

アリアは懐から銃を取り出し、弾を一発入れる。その間にも後ろのパトカーから弾の嵐が飛んでくる。そんなこと御構い無しにアリアは車のセンターボックスにあるスイッチを押し、車の天井部分が開いていった。

 

「オープンカーってこういう時便利よね」

 

オープンカーが開ききったところでアリアは椅子から立ち上がり後ろを振り向く。今、氷川刑事は弾を込めている。

 

「狙いは・・・・タイヤ!!」

 

バーーン!!ドーーーーン!!!

 

「やったああああ!!!!!」

 

アリアが構えて撃った銃はパトカーの左前タイヤにあたり、タイヤが破裂、そのままバランスを崩してビルの中に突っ込んでしまった。

 

「さっすがあの情報屋が仕入れた弾は一味違うね!遊輝ちゃん、褒めて褒めて〜」

 

「あぁ、あとでなんか欲しいもの買ってやるよ。さあて、空港まで走っていくか」

 

パトカーを退けた二人は後ろにある大量のお金を抱えてホクホク顔でラスベガスの街を後にする。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

ヨーロッパにある小さな国、バチカン市国。

この国はキリスト教カトリック教会と東方礼典カトリック教会の総本山となる世界でも珍しい宗教国家だ。この国は長らく、キリスト教の行方を決めておりその先導者は世界的な政治力も持っている。

しかし、先導者は今ベッドの上で寝たきりの状態だ。周りには重役が囲み、ベッドの近くにある心電図の動きはゆっくりと、今にも息を引き取りそうだ。

 

「お、おお・・・・・」

 

「ドミンゴ様・・・・・・」

 

「わ、わしはもう・・・・終わりだ・・・・あ、新たな先導者はいつも通り選挙で」

 

「わかっております」

 

「そ、そして・・・・・あの秘密も・・・・」

 

「はっ・・・・・」

 

・・・・・ピーーー

 

○月×日、午後11:26分、バチカン市国の先導者、ドミンゴは静かに息を引き取った・・・・・

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「う〜ん!!なんて気持ちいい天気なんでしょ!!こんな日はビーチに出てゆっくりと過ごすのが一番ね!!」

 

「よっ、ジュース買ってきたぞ」

 

「サンキュー遊輝ちゃん」

イタリア南部の街、ナポリ。この街にアリアと遊輝の二人がいる。目的は休息だ。ナポリのビーチでビーチ傘をさしてのんびりと過ごしている。

 

「いや〜・・・ここ最近はずっと仕事ばっかだったし半年近くは休んでもいいよね?」

 

「大丈夫大丈夫、それくらいの金は稼いだし、休憩後は簡単な依頼から感を戻していこうぜ」

 

ビーチチェアの横にあるテーブルにジュース2本とラジオを置いた遊輝、そのままビーチチェアに横になりラジオを起動した。

 

『続いてのニュースです。昨夜11時ごろ、バチカン市国の先導者にしてローマ教皇、ドミンゴ氏が崩御しました。これにより、バチカン市国はそのしきたりに従い、2週間後に新たなローマ教皇を決める選挙、ならびに新ローマ教皇の即位式を開催すると発表しました』

 

「ありゃ〜、あのローマ教皇亡くなったのか。色んな噂があって面白い人だったんだけどな」

 

『なお、この即位式は伝統に従い、イエス・キリストの時代から伝わる賢者の杖と代々即位式に新たなローマ教皇が被るゴールド・クラウンが身につけられる予定です』

 

「・・・・・いいこと聞いたぁ〜」

 

「えっ?」

 

「遊輝ちゃん、休み終わりよ。バチカン市国に行くわよ」

 

「えぇ〜・・・休暇」

 

「仕事出来たわよ!賢者の杖とゴールド・クラウンを盗りに行くわよ!Let's Go!」

 

「しょうがねぇな・・・・・行くか」

 

砂浜から立ち上がったアリアは意気揚々とビーチから引き上げる。それを見て遊輝はやれやれと肩で息をしてアリアの後を追いかける。

彼らの物語がまた始まる・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから5日が立ち、場所は変わりイタリアの首都、ローマ。そしてここはバチカン市国との国境付近、ヨーロッパはEU内にあるシェンゲン協定によりパスポート・ピザが不要となり、多くの観光客がローマ観光のついでにバチカン市国へと訪れる。この観光名所の一つであるバチカン博物館には長蛇の列が並んでいる。そんな観光客に紛れて、帽子を被った男女のペアがいる。

 

「・・・・流石に人多いな」

 

「戴冠式行われるのは1週間も後なのにね・・・まぁしばらくは観光しながら中の警備体制と噂を確かめましょう」

 

「観光ねぇ・・・荷物チェックどうするよ?」

 

「物騒なもの入れてないし通れるでしょ。第一、そんな所通らないわよ」

 

男女のペアは遊輝とアリアだった。普段の怪盗姿からとても思いもしない普通のTシャツにジーンズ、アリアは清楚なワンピースを着ている。

 

「さてこの長蛇の列、並ぶのは面倒くさいわね」

 

「・・・・裏口か?」

 

「あったり〜」

 

「いけるか〜?警備員馬鹿みたいにいるからちょっと変なことすればすぐ来るぞ」

 

「な〜に・・・・・従業員のように暗証番号を打ち込めばいいのよ、遊輝ちゃん」

 

アリアはゴソゴソとポケットを探り、モノクルを取り出して左目に付ける。遊輝も同じくポケットの中からモノクルを取り出し左目に付けた後、二人は人混みから外れて裏通りに入る。そのままゆっくりと歩いて行き裏口の前に着く。

 

「建物は古いのに警備は最新設備なんだね」

 

「こういう所で無駄な金を使うなっていうの。キリスト教信者が悲しむぞ・・・・・侵入ツール起動」

 

遊輝がボソッと呟く。彼のモノクルがクルクルと回転して動き出す。数秒後、彼らの目の前にあるセンサーのランプが赤から緑に変わり、扉のロックが開いた。

 

「それじゃゆっくりと物色しましょうか」

 

「へいへい、仰せのままに」

 

ゆっくりと扉は閉じられ、扉には再びロックがかかった。従業員用扉から入った二人は物静かに従業員用通路を歩いていき、一般エリアに入る。

 

「従業員用通路の地図は写真撮ったし、まずは本命を狙う前のお宝を物色しましょうか」

 

「う〜ん・・・・しかしデケェ絵ばっかだな。まあここ、裏に図書館あるし本でもいいか」

 

「何言ってるのよ。私たちは世界一の怪盗コンビよ。狙うのは有名作品よ、例えば・・・・このラファエルの『キリストの変容』と『聖母の戴冠』とか」

 

「ぽへぇ・・・・骨が折れそうだ」

 

2人の目の前には大勢のお客さんがお目当てである絵画を観るために列をなしている。1枚の絵画を観るために30分近くかかり、僅か十数秒で終わるため、2人は列に並ばずにそそくさと離れる。

 

「う〜ん・・・しかしめぼしいものは見当たらないわね。絵画以外にもなんかあれば良いのだけど」

 

「そういう訳にはいかんだろ。ここ、言って美術館だし」

 

「まぁ手始めにあの2枚を頂戴しますか。なんか見て回りたいところある?」

 

「いんや、だいたい構造を把握した。他の場所行こうぜ」

 

「それじゃおさらばしましょうか。ご飯食べてから本命の大聖堂に迎いましょう」

 

「おkおk」

 

お目当てのものを決めた二人は帽子を深くかぶり直し、アリアは1枚のハガキサイズの紙を懐から取り出す。右手に持った紙をスナップを効かせて投げる。紙は宙を待って警備員の前に落ちた。

 

「?誰だよポイ捨てした奴は・・・ったく・・・・・!?!?!?た、大変だ!!!」

 

露骨に嫌な顔をした警備員は腰を落として紙を拾う。だが、その紙の中身を見て、驚愕の表情、すぐに守衛室に走っていく。

 

 

『ご機嫌ようバチカンのスイス傭兵さん

 

本日夜12時、この博物館にある『キリストの変容』と『聖母の戴冠』を頂戴しに参ります』

 

怪盗アリアと遊輝』

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴ!!!!!

 

『見てください!!上空にはヘリコプターが10台飛んでいます!!まもなくバチカン市国で行われる新たな指導者を決める選挙、その前夜祭みたいな雰囲気を醸し出していますが違います!!今夜、怪盗アリアと遊輝がこの美術館に現れます!!』

 

『ワアアアアアア!!!!!!』

 

時刻は同日の夜、博物館の周りは異様な雰囲気になっていた。博物館を中心とした半径200mは警察官・イタリア部隊そして関係者以外は立ち入り禁止となり厳重な警備が敷かれている。

そしてその周りには沢山のマスコミと野次馬が博物館を囲んでいる。彼らの目的は一つ、突如予告してきた怪盗アリアと遊輝を見るためだ。

 

「ラスのカジノの次はバチカンの絵・・・・相変わらずやることなす事が早いんだから」

 

「氷川刑事、博物館内の警備システムは大丈夫です」

 

「ありがとう、ただ警戒は怠らないでね」

 

バチカン美術館の入り口には彼ら二人を捕まえることに専属した刑事、氷川刑事と桜刑事がいる。今日こそは捕まえると熱く燃えている。

 

「中々足跡が見つからないと思っていたがまさかイタリアに潜んでいたとは・・・・」

 

「アジトも見つからないですし・・・・・それにしてもこの時期に行動を起こすとなると・・・」

 

「桜刑事も感じますか・・・・恐らく二人の狙いは2枚の絵画ではなく・・・・」

 

「賢者の杖とゴールド・クラウンですか・・・・」

 

「かなり高いと思います」

 

「今日、バチカン市国の教王補佐には?」

 

「話しておきました、可能性があるとは伝えています。全く信用していませんでしたが」

 

「何も起こらないことを祈りましょう。そして我々は目の前の仕事に集中しましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふえぇ・・・・やばいよ〜、警備多いよ〜」

 

「何あの警備〜、マジやってられないんですけど〜」

 

バチカン市国内の地下、下水管の排水溝に仕事姿に着替えた怪盗アリアと遊輝がいる。遊輝はパソコンを使い、現在の生中継とバチカン博物館の警備システムを見ている。

 

「いや、マジなんなの?数時間でこんなに上がるの?」

 

「骨折れるわね〜。時間ずらせばよかったかも。現状は?」

 

「3割はロック解除と10割のフェイクのシステム完成」

 

「じゃあ後はモノクロに任せましょう。行きましょうか、ここくさいし」

 

「へいへい」

 

遊輝はパソコンをたたみ、懐に戻す。アリアと遊輝はそのままモノクロを取り出して右目に取り付ける。

 

「さて・・・・行こうか。遊輝ちゃん」

 

「OK」

 

アリアの言葉を聞いた遊輝は壁にある階段を上り、その上にある小さなマンホールをゆっくりと開ける。そのまま二人は上に登り、小さな路地裏に着く。路地裏に上がったアリアと遊輝は颯爽と移動する。そして、昼間侵入した裏口まで来た。裏口は警察官一人が立っている。

 

「おやおや〜、電子警備は凄いのにアナログの方は全然じゃないですか〜」

 

「それじゃあいつを襲って1つ・・・・・中にも一人いるな。それで2つだ」

 

「分かったわ・・・・・・スリープ」

 

アリアが小言で何かを呟く。裏口の警察官は一瞬だけアリアと遊輝のいる方に目を向けたがやがて目がウトウトとして倒れてしまった。その間に二人は裏口の入り口前に着く。遊輝は電子ロックの前に立ち、アリアは警察官を動かして服を奪う。

 

「夜中に働いたら健康に悪いわよ〜。風邪引かないように寝ててね〜」

 

「・・・・OK」

 

 ピロリン

 

遊輝が電子ロックを解除した後、何故か二人はすぐに入らずに扉の横に立つ。数秒後、中から扉が開いた。

 

「おいどうした、電子ロックを解除するなん「はいは〜い♪」うぐっ・・・・・・」

 

中から出てきた警察官一人に向けてアリアは警察官の脳天に持っている銃の持ち手部分行き良いよくぶつける。警察官はすぐに倒れて気絶してしまった。

 

「ご苦労様・・・・後はゆっくり寝んねしてね」

 

「・・・・よし、こっちも服奪った」

 

「じゃあ中に入ってお着替えしてからいきましょうか」

 

警察官二人の服を奪ったアリアと遊輝はそそくさに博物館の中に侵入した。すぐに死角となる物陰に隠れ、自分たちの服装から警察官の服装へ変装して帽子を被る。

 

「それじゃ・・・・・・行こうか」

 

「OK」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「け、刑事さん!!絵は本当に奪われないんでしょうか!?」

 

「大丈夫です。私たちが二人を捕まえますから」

 

「桜刑事!!11時50分になりました!!今のところ、異常はありません!!」

 

「よし、もうすぐ時間になる。決して気を抜かないように」

 

「「「「「はっ!!!!!」」」」」

 

一方、こちらは美術室。アリアと遊輝が狙う2枚の絵画が展示されている部屋である。普段から保存のために壁に埋れている。現在は二人に狙われているため、2枚の絵画の周りには銃を持った警察官が10人、待機している。

 

「一体どんな手で・・・・」

 

「10分前を切りましたから恐らく中に入るかと・・・」

 

「ひええええ!?!?」

 

「もしもの話です。これだけ頑丈な警備をしていますから早々に侵入されないでしょうけど」

 

「しかし遊輝さんの刀は非常に厄介です。あの刀は本当に何でも切ってしまいます」

 

「だけど遊輝「氷川刑事!!大変です!!」!?い、いきなり耳元で騒ぐな!!」

 

「し、失礼いたました!2階の廊下で怪しいものを見たという情報が入りました!!」

 

「何!?」

 

「桜!!すぐに5人ほど部下をつけて行きなさい!!」

 

「はっ!!」

 

慌てて入ってきた警察官一人の様子を見て、ただ事ではないと感じた氷川刑事はすぐに桜刑事と警察官数人を2階の方に出向くように命令する。

 

「もしかしたら2人かもしれないわ・・・・警戒を怠らないように」

 

「・・・・・そうね〜、その二人は今ここにいるから」

 

「えっ!?」

 

「そうりゃ!!!!」

 

突如、一人の警察官がポケットから2つの丸い何かを取り出して床に投げつける。すぐに丸いものは破裂してあたり一面が黒い煙に覆われる。

 

「な、何だ!?」

 

「ま、前が見えない!!」

 

「ぐっ!?ゴホッ!!ゴホッ!!か、換気だ!!空調を挙げろ!!」

 

「ダ、ダメです!!前が見えなくてどこにスイッチがあるか!!」

 

黒い煙に覆われた部屋は混乱状態となる。だが、誰かが窓を開けたのだろう、黒い煙はそっちに向かってゆっくりと動いていく。数分ぐらい経っただろうか、やがて黒い煙は全て無くなった。

 

「ゴホッ・・・ゴホッ・・・・」

 

「け、刑事!!だ、大丈夫ですか!?」

 

「馬鹿野郎!!私の心配よりも絵画の心配を「絵なら私たちがちゃんと頂戴しているよ♪」なっ!?」

 

咳き込む氷川刑事を心配した警察官だが、すぐ絵画の方に指を刺す。そこには2枚の絵画をそれぞれ1枚ずつ持った怪盗アリアと遊輝の姿がいた。

 

「いや〜、超初歩的な罠に引っかかってくれて助かったよ♪」

 

「おかげで壁から外すのに余裕を持てたな」

 

「動くな!!!今すぐ絵画を置いて手をあげろ!!」

 

二人の会話を耳にせず、氷川刑事が大声で叫ぶ。すぐに二人の周りに銃を構えた多くの警察官が二人を狙う。

 

「おぉ怖い怖い。か弱い二人の乙女にそんな物騒なものを向けないでよね」

 

「だから俺は男だって言ってるだろうが!!!」

 

「さっさということ聞かんか!!」

 

「まぁそんなことしている暇ないんですけどね〜」

 

 フュン!!!・・・・・・・ガタン

 

突如、何かが切れる音が聞こえた。その音に僅かに全員首を傾けた。その間に部屋の中央にある柱がゆっくりと滑り始めた。

 

「!!!お、おい!!!柱が倒れてきてるぞ!?」

 

「なっ!?」

 

「に、逃げろ!!!逃げろ!!!」

 

「ちょっ!?ま、待ちなさい!!」

 

「さっすが遊輝ちゃん!!」

 

「んじゃねぇ〜」

 

気付いたら遊輝の手には1本の刀が握られていた。だが、それに気付いた時は遅かった。辺りは先ほどと比べようがないくらいに混乱している。氷川刑事が色々と叫ぶが、我先にと逃げ出す警察官。その間にも柱は滑り、やがて傾き出した。そのどさくさにアリアと遊輝は逃げ出した。

 

「ま、待ちなさい!!」

 

「あっ、それ以上来ない方がいいよ」

 

ポチッ、グイーーーン

 

逃げていく怪盗コンビを追いかける氷川刑事、だが怪盗コンビを追いかけていると突如何かが押した音が聞こえ、二人の四方から網が出てロープが上に上がる。網の中央にいた氷川刑事はそのまま網に囚われてしまった。

 

「んな!?」

 

「んもう、言うこと聞かないから」

 

「んじゃまたな〜、すぐ会うことになろうけど」

 

「ま、待ちなさ〜い!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや〜、余裕だったわ!」

 

「ああも簡単に初歩的な罠に引っかかるなんて相変わらず馬鹿だな〜。んで、これどうするんだ?」

 

「んあ?適当に不味そうな孤児院の玄関にも置いときましょう。寄付してそこの孤児院の資金にしてもらいましょう」

 

「おっ、カメラがこっち向いてるぞ」

 

「おい!!!来たぞ!!!」

 

博物館から脱出したアリアと遊輝はそのまま博物館の屋根の一番上に登った。戦利品を手にしてアリアは満面の笑みを浮かべる。一方で遊輝は下の方に向けて、カメラがこっちを向けていることに気付いた。周りのガヤも二人が屋根のに登っていることに気づき、ヘリコプターのライトとスポットライトが二人を照らす。

 

「バチカン市国の皆さん、今晩は〜♪約束通り、『キリストの変容』と『聖母の戴冠』は頂いたわよ〜♪」

 

「「「「「「「ワアアアアアア!!!!!!」」」」」」

 

「まぁ俺たちの目当てはこれじゃないんで、これは近くの孤児院にも寄付するよ」

 

「何だと!?」 「俺にくれ!!!」

 

「押すな!!!これ以上の侵入はするな!!!」

 

アリアと遊輝がガヤ相手に盗んだ絵画を見せつけて、孤児院に寄付すると言った。これを聞いたガヤたちは一斉に騒ぎ出し、二人に近づこうとする。警察官達は慌てて押さえ込もうとするがガヤは言うことを聞かず、今にも警察のバリヤードを突破しそうな勢いである。

 

「まあまあそう慌てない慌てない♪これはあくまでも前菜♪次は即位式の日に賢者の杖とゴールド・クラウンを頂戴するわね♪」

 

「おい聞いたか!?」 「即位の日ってもうすぐじゃないか!?」「また二人を観れるのか!?」

 

「じゃあ今日はこれで帰るわ、みんなも夜更かしするなよ〜」

 

「いた!!動くな!!」

 

遊輝が締めの挨拶をして脱出を図ろうとした時、下の方からが聞こえてきた。二人は一緒に下を覗き込む。そこにはベランダに氷川刑事と桜刑事がいて、2本の梯子を使い、屋根に乗り込もうとする警察官達がいた。

 

「あれ?もう来たの?偉く早く脱出したわね〜」

 

「しょうがねぇな。まあ後は逃げるだけだし、さっさと行くか」

 

「動くな!!お前たちは陸も空も包囲されている」

 

氷川刑事は叫ぶ。確かに下からは警察官が登ってきて、例えそれを突破しても博物館の周りには多くの警察官とガヤがいる。そして上空には二人を照らす10台のヘリコプターが二人の動きを注意深く監視している。

 

「確かに、上も下もめんどくさいわね〜」

 

「じゃあ俺たちのすることは・・・・・」

 

「「真ん中から逃げる!!」」

 

上と下を見たアリアと遊輝はお互いの顔を見て笑顔になる。アリアは何処からか箒を一つ取り出して二人はそれに跨る。

 

「じゃあ行くよ!!」

 

「いっけえええ!!!」

 

「なっ!?ま、待て!!!」

 

アリアがジャンプする。すると二人を乗せた箒は空に浮き上がる。そのまま加速をして二人は空を駆け出す。10台のヘリコプターは二人を追いかけるがスピードが追いつかない。

 

「いやっほおおおおお!!!!!」

 

「ヘリコプター何か目じゃないぜ!!」

 

「このまま目に入った孤児院に行くわよ!!」

 

「おうよ!!!」

 

アリアと遊輝はそのまま箒に跨いだまま暗闇に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『おはようございます。さて、今朝のトップニュースですが、今日深夜0時、怪盗アリアと遊輝がバチカン市国のバチカン博物館から『キリストの変容』と『聖母の戴冠』を盗み出しました。その数時間後、イタリアのローマ郊外にある孤児院から盗まれた2枚の絵画が見つかりました。なお、二人は、1週間後に行われるバチカン市国の即位式に犯行予告を出しています』

 

「いやだわ〜犯行予告って、私たちは物を頂戴するだけだよ。まるで人殺しみたいに」

 

「そんな物だろ、実際」

 

イタリアのローマ市街、中心部から少し離れた沢山のアパートが並ぶ建物の中の2階の部屋に二人はいた。しばらくはここを拠点として活動をしているみたいだ。

 

「まあどうでも良いけど、遊輝ちゃん」

 

「警備のレベルは上がってるけど、1週間も前からこんな厳戒態勢だったら当日疲れるな。第一、警備が急過ぎて間に合わない可能性もある」

 

「んじゃいけるわね・・・・・ん?」

 

「?どうした?」

 

アリアが窓の外を覗き込み、路地を見る。その様子を見た遊輝も窓の方に見る。下の方には幼き子供が何かを持ちながら必死に走っている。

 

「?何だ?」

 

「待て盗っ人!商品を返せ!!」

 

「へぇ〜・・・・やるわね。露天から盗むとは」

 

「どうするんだ?」

 

「もちろん、助太刀♪。よっと」

 

アリアは窓を飛び越えて、そのまま下に着地する。そのまますぐ後ろの商店らしき大人の背後にピタリと付きながら走る。

 

「やれやれ・・・しょうがねぇな」

 

その様子を見て、遊輝も窓を飛び越える。既に子供の姿は見えなくなっているが、何処で曲がったのかは見えていたのでその方向に曲がる。そこには壁に追い詰められた少年と怒っている商店の大人がいた。

 

「ようやく追い詰めたぞ!店の物を勝手に盗み「お邪魔しま〜す♪」んぎゃ!!」

 

少年に対して怒っていた大人はアリアの存在に気付けなかった。背後にピタリといたアリアは大人の後頭部に持っていたピストルの持ち手をぶつける。

 

「う、うう・・・・・・・」

 

「もう大丈夫だよ」

 

「お前やるな〜、露天から盗むとは大した根性じゃねぇか」

 

アリアと遊輝は気絶した大人を無視して少年に近づく。露天から盗むんだ少年はその物を隠すようにしている。

 

「あっ・・・あっ・・・」

 

「あ〜ごめんごめん、心配しなくても大丈夫だよ。僕の物は盗まないよ」

 

「ほ、本当に?」

 

「ああ、何だったら俺たちもお前と一緒で盗っ人だから」

 

「それにしても僕どうしてこんな事しているよ?お父さんとお母さんは?」

 

「お父さんはいない。お母さんは・・・・・」

 

「ん?」

 

「お母さんは・・・・まだ帰ってきてないんだ・・・」

 

「帰ってきてない?」

 

「お母さん、キリスト教の教会で働いていて・・・・前までは毎日帰ってきてたのに、半年前から帰ってきてなくて・・・・」

 

少年は泣いていた。大事な母が居ない寂しさなのか、それとも孤独を味わった事なのだろうか、アリアと遊輝に見守られて少年は泣いていた。

 

「お母さん・・・・お母さん・・・・・」

 

「ちなみにお母さんって何処の教会で働いていたの?」

 

「ヒグッ・・・・バチカン市国の教会・・・・お母さん、そこで頑張って働いて・・・」

 

「ああもう、泣くなよ。綺麗な顔が台無しだぜ」

 

遊輝はポケットからハンカチを取り出して少年の顔を拭く。少年は盗んだ物を落として泣き続けた。

 

「お母さん・・・・お母さん・・・・」

 

「・・・・・分かったわ。私たちが君のお母さんを探してみるよ」

 

「!?ほ、本当に!?」

 

「その代わり、必ず見つかるという保証は持てないわ。最悪の時は覚悟していおいて」

 

「う、うん・・・・・」

 

「とりあえず今は家に戻りましょう、僕もおいで。まともにご飯を食べてなかったのでしょう?しばらくは私たちの家で過ごすと言いわ」

 

「あ、ありがとうございます!!」

 

アリアと遊輝は少年を家に連れて行くことにした。身寄りのない少年は何の疑いもなく二人について行く。

 

「お前運が良いな〜。俺たちじゃなかったら明らかに悪い大人にやられる所だったぞ」

 

「お兄さんとお姉さんは優しいからそんなことしなさそうだから」

 

「ハハッ、僕は人を見る目があるね〜」

 

少年はアリアと遊輝の間に入って一緒にアパートの中に入って行く。さながら親子のように見える。三人は家に帰って少年はソファに横になって眠り出した。

 

「やれやれ・・・・子供が来るなんて思いもしなかったぞ」

 

「まぁ仕方ないじゃない。あんな状態を放っておけるほど私達は子供に厳しくないし」

 

「そうだな。俺たちのような苦い経験はあんな子供にさせるわけにはいかないし・・・・それよりアリア・・・・さっきの話」

 

「ええ・・・・嫌な予感がするわね。あの噂のこともあるしもしかしたらね」

 

「・・・・じゃあ俺出かけるわ」

 

「OK、私も情報屋をつけるわ」

 

少年の母を探すために二人は動き出す。まずは遊輝が一人、部屋を出る。

 

「さて・・・・まずは教会の中に侵入するか」

 

遊輝はアパートの裏道から商店が並ぶ表通りへと向かい、そこから人混みに紛れる。そのままゆっくりと前に進み、バチカン市国との国境近くまで来た。国境周りの警備は怪盗アリアと遊輝の犯行予告を受けて厳戒態勢となっており、荷物チェックから指紋認証をしている。遊輝は周りをチェックして、少し離れて携帯を取り出した。

 

「(・・・・アリア、国境近くに着いた。国境の警備は前より少し厳しいくらいだ。変装したらいける)」

 

「(分かったわ。少年はゆっくり寝ているわ。ご飯食べたらもう少し落ち着きそうね)」

 

「(OKOK、じゃあこっちもバチカン市国に入る。中に入ったら連絡はそんなに取れなくなる)」

 

「(失敗しないでよ)」

 

「(もちろん)」

 

携帯の通話を切った遊輝は建物の中に入る。数分後、少し高貴な黒いハットを被り、黒い服を着たジェントルマンが現れた。その男性はそのまま国境の方へ歩いて行く。

 

「ボンジュール、キリスト教王の即位式を見に行くためにバチカン市国を訪れたのですが何事ですか?こんな厳重な警備で」

 

「怪盗アリアと遊輝がバチカン博物館の絵画を盗んだだけじゃなくて、即位式の日に犯行予告を送りつけてきた。そのために厳重警備をしているわけだ」

 

「それはそれは・・・なんとも面倒な時期に来日することになりましたね」

 

「爺さんも気を付けろよ。ほらっ、爺さんは大丈夫だ」

 

「メルシー」

 

ジェントルマンは黒いハットを少し上げて、そのままバチカン市国に入国した。男性はそのまま歩いていき、サン・ピエロ広場に到着する。ジェントルマンは広場から見える教会を見て、ニヤリと笑った。

 

「(ニヒヒヒ・・・・・馬鹿な奴め、さて、活動は夜からだな。それまでにあの教会の警備を確認しようじゃないか)」

 

ジェントルマンの状態は変装した遊輝だった。パスポートも偽造している、変装も完璧だった。遊輝の目的は一つ、アリアと合流する前に教会に忍び込み、お宝の場所の探索と教会にまつわる黒い噂の調査だった。

 

「(さ〜て・・・・・・じっくり調べさせてもらいますよ)」

 

ジェントルマンの変装をした遊輝がそのまま人混みの中に隠れて行く。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「どうするんだ!?今日が即位式だと言うのに全く警備の問題は解決してないじゃないか!?」

 

「し、しかしあの二人は神出鬼没でどこから侵入してくるか分からず・・・・」

 

「だったら警備を増やせ!!」

 

サン・ピエロ広場にある大教会は混乱に満ちていた。今日は新たなローマ教王をお披露目する即位の日、だが1週間前に起きたバチカン博物館の強盗、その犯人である怪盗アリアと遊輝の犯行予告により、この教会に目を付けられた。

 

「し、新教王。ここは賢者の杖とゴールド・クラウンを身を付けずに」

 

「バカヤロ!!あれを身につけないと世界の政治家や資本家に権力を見せつけられない!!あれがあってこそ、ローマ教王は世界最強の証となるんだ!!身に付けずに即位式なのありえん!!」

 

「で、では・・・・」

 

「即位式は必ずやる!!ワシが世界最強を示す!!そして忌々しい怪盗を捕まえて処刑台に吊るす!!」

 

新教王、イワン教王は周りの部下に怒鳴り上げる。彼は何としてでも賢者の杖とゴールド・クラウンを身につけて即位式に望みたいみたいだ。

 

「クソ・・・・下の様子を見てくる。誰一人入れるなよ!!」

 

「「「「「ハッ!!!」」」」」

 

イワン教王は部下に命令を下し、自身はそのまま部屋を出る。長い廊下を歩く。そして廊下の突き当たりの部屋に入る。そこには白衣を着た研究員たちが3人ほど中にいて、部屋にあるパソコンを操作して、機械を制御している。

 

「おい、核弾頭とミサイルは?」

 

「はい、何の問題もありません」

 

「製造は?」

 

「目標の100発と2000発まで後2年と言うところでしょう」

 

「よしよし・・・・この装備が完成して、軍が整えれば再びキリスト教は世界の覇権となる。そしてそのこの鍵がゴールド・クラウンと賢者の杖だ」

 

イワン教王は画面に移った大量のミサイルを見て、先程の怒り顔から笑みを浮かべる。

 

 

 

ゴールド・クラウンと賢者の杖・・・・・大昔からキリスト教王の証とされていたが、実は裏には大量の武器を収納している格納庫の鍵の役割をしていた。大昔、神聖ローマ帝国の時代に賢者の杖とゴールド・クラウンはこの時期に作られた格納庫の鍵となっていた。昔は鍵を開けて教王自らが確認をしていたが、最新の技術により、鍵を開けなくてもこのように管理している。そしてそれは、格納庫に収納されている武器も進化していた。そしてそのスイッチもこの2つだ。

 

 

 

 

 

「ここ数百年はアメリカに奪われた世界の覇権・・・・あと数年、あと数年持ち堪えたら我々の時代へと変わる!!既に国際連合の爺婆供には我々の兵器を見せつけて怯えている!!フハハハハ!!!!!」

 

イワン教王は笑いながら部屋から出た。一方、部屋に残った研究員達は変わらずにパソコンを動かしている。

 

「ふぅ〜・・・・次の新教王は横暴な性格だな」

 

「前教王も野心化だったけどそれでも良心はあったからな〜」

 

「全く、毎日毎日研究させられて大変だよ」

 

「だな。おい新入り、お前も大変な時期に入ったな。まぁ仲良くしようぜ」

 

「・・・・・・・・」

 

「?おい新入り、どうした?」

 

2人の研究員はたわいもなく話していたが、もう一人の研究員は話を聞いているか聞いていないか分からない状態でした」

 

「・・・・・・・・」

 

「どうしたんだよ?昨日まではあんなに気さくに話しかけていたのに」

 

「・・・・・・・(ニヤリ)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究室から出たイワン教王は再び廊下を渡り、今度は石造りの薄暗い廊下の端にたどり着く。突き当たりには二人の兵士が牢屋を守っていた。

 

「おい、中に通せ」

 

「「はっ!」」

 

兵士の一人が鍵を開け、イワン教王は牢屋の中に入る。その中には数十の痩せ細った女性が裸のまま、鎖に繋がれていた。

 

「へへへッ・・・いつまで経っても女を抱くのは心地よいのぉ〜」

 

いやらしい顔つきになったイワン教王は舌を出して舐めずり回す。それを見て、数人の女性が「ヒッ」と声を出して後ろずさむ。

 

「さて・・・・まずはお前か「教王、申し訳ありません。怪盗コンビを選任するFBIの刑事2人が来ました」ッチ、良い時に・・・・しょうがねぇ」

 

牢屋の外にいる見張りの兵士の知らせを聞いたイワン教王は舌打ちをしてこの教会に来た刑事を恨む。しかし、教王としての責務を果たさないといけない。それにここで無視していれば、この場所の事もバレる可能性がある。

 

「どこで待ってやがる」

 

「応接室です。FBIの捜査官とイタリアの警察官、およそ1000人ほど連れて来ています」

 

「ふん、手薄な警備の増強にはなるか。分かってやがる」

 

牢屋を出た教王は見張りの兵士の話を聞いて足早に応接室へと向かって行く。長い廊下を歩き続け、再び大理石の廊下へと出て、そのまま部下が立っている応接室の入り口に立つ。部下たちは教王が来たことを見て、応接室の扉を開き、教王は中に入る。教王が入って来たのを見て、ソファに座っていた刑事2人が立ち上がった。

 

「こんな大変忙しい中、面会を申し入れて申し訳ありません。私、怪盗アリアと遊輝の選任刑事をしています氷川と言います。こちら部下の桜です」

 

「よろしくお願いします」

 

「わざわざどうも、座ってくれて結構」

 

教王は少し上から目線の口調で二人の刑事に行った。面倒くさい面会と思っていた彼の目にはとても美しい女が二人、ノコノコとこの教会にやって来た、そう感じていた。

 

「(いい身体しているじゃねぇか・・・・あの怪盗をとっ捕まえるがてら、この女二人も捕らえるか)して、二人は予告をしてきた怪盗アリアと遊輝の選任刑事とお耳したが?」

 

「はい、我々は怪盗アリアと遊輝を捕まえる事を任されたFBIの刑事です」

 

「君たち二人の実力がいかはなな物か分からないが、5年近く捉えられていないあの二人を捕らえられるのか?」

 

「もちろんです。我々にお任せください」

 

「(・・・・・信用ならんがこの二人を捕らえる為にもここは任せるか、失敗すればその口実を使って二人を捕らえたら良い)分かった。FBIに協力しよう」

 

「ありがとうございます」

 

協力を得たイワン教王と氷川刑事、桜刑事は立ち上がり握手を交わす。

 

「失礼します。新教王、そろそろ準備の方を」

 

「分かった。ではワシは言ってくる。晴れ舞台を邪魔させるなよ」

 

「もちろんです」

 

応接室に入ってきた部下に連れられて教王は部屋から出て行く。その後を追うように二人の刑事も部屋から出て、自分たちの本陣へと戻る。

 

「(・・・・桜、あの教王、裏があるぞ)」

 

「(えぇ、バチカン市国のキリスト教会本陣は黒い噂を絶えません)」

 

「(調査、お願いできる?)」

「(もちろんです)」

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

『もうまもなく、新教王になられるイワン教王があちらのサン・ピエトロ大聖堂に姿を現し、就任後、初めてのミサが行われます!!既に教会では先日亡くなった前ドミンゴ教王との引き継ぎ式は終わったと見られています』

 

『ワアアアアアア!!!!!!』

 

『こちらの広場には大勢の見物客がおります!新たなローマ教王のミサをご覧になられる方もいらっしゃいますが、中には先日犯行予告を出した怪盗アリアと遊輝を一目見ようとする見物客もいらっしゃいます』

 

「新教王!!早くお姿を!!」

 

「アリアと遊輝!!早くゴールド・クラウンと賢者の杖を奪ってしまえ!!」

 

即位式、広場は大勢の人の声が響き渡った。それだけ今回の新教王の就任には関心が寄せられている。もっとも、それは神教王に対する物ではなく、怪盗アリアと遊輝による犯行予告を期待してのものだ・・・・・

 

『あっ!扉が開かれました!!いよいよ新教王、イワン教王が姿を現します!!』

 

『ワアアアアアア!!!!!!!』

 

いよいよその時が来た。前任のドミンゴ教王が死して2週間、新たな教王となったイワン教王が広場に姿を見せた。その様子を見た見物客は割れんばかりの歓声を上げる。教王は笑顔で手を振る。彼の頭の上にはゴールド・クラウン、そして右手には賢者の杖が握られていた。教王はマイクの前に立ち、賢者の杖を高く天に突き上げた。それを見た見物客は一斉に黙る。

 

「この度はキリスト教の新たな教王となった私のミサに来てくれてありがとう。私が新教王、イワンだ。我々は先祖キリストの教えを大事に守り、世界の平和を願う」

 

パチパチパチパチパチパチ!!!

 

「そして我々は先日、世界的怪盗から犯行予告を受けた。一部の物はこの賢者の杖とゴールド・クラウンをこの場にお披露目せずにミサと言っておったが、私が却下した。このように来てくれた世界中の信者をガッカリさせる訳にもいかない。そして我々はあのにっくき怪盗コンビから逃げるつもりはない!」

 

『ワアアアアアア!!!!!!!』

 

「このように天高く賢者の杖を突き上げる。我々は卑劣な怪盗コンビを断じて許さない!!キリストの名に誓って!!」

 

「へぇ〜〜、大層な事を。世界平和を願う奴が物騒な武器を作っているくせによく言うわね〜〜」

 

「なっ!?」

 

「お、おい今の声・・・・・」

 

教王のミサの途中、突然女性の声が何処からか聞こえた。広場の見物客にも聞こえるようにマイクを通しているみたいだ。この声を聞いた見物客は先ほどまで沈黙していたのにザワザワと騒ぎ出した。一方、教王側も慌しくなってきた。

 

「だ、誰だ!!ワシのミサの途中にガヤを入れたのは!!」

 

「わ、私ではないです教王!あの声は怪盗コンビです!」

 

「クソッ!!何処にいやがる!!姿を表せ!!」

 

「そんじゃ・・・・・お言葉に甘えて・・・そりゃっ!!!」

 

バン!!!

 

「なっ!!!ゴ、ゴールド・クラウンが!!」

 

「う、上だ!!!」

 

何処からか音が聞こえた。その音が鳴ってすぐに教王が被っていたゴールド・クラウンが無くなっていた。周りの部下は辺りを見渡し、一人の部下がすぐ上の屋根を指差す。そこにはゴールド・クラウンを持った怪盗アリアの姿があった。

 

『ワアアアアアア!!!!!!』

 

『怪盗アリアだ!!!!』

 

『ほ、本当に現れた!!』

 

「ご機嫌よう皆さま、まずは約束通り、ゴールド・クラウンを頂戴いたしました」

 

「き、貴様!!!!それを返せ!!」

 

「返すんだったら最初っからここに来てないわよ。さて、もう一つの物も頂戴させて貰うわよ」

 

「お、おい!!この賢者の杖をすぐに保管庫へ!!」

 

「はっ!!」

 

教王はすぐに賢者の杖を近くにいた部下に渡し、保管庫に戻すように指示する。そして、アリアを睨み付ける。

 

「よ、よくもゴールド・クラウンを・・・・そこで待ってろ!!すぐに貴様を捕らえて処刑台に行かせてやる!!」

 

「んもう〜、か弱い女の子に物騒な言葉を掛けないでよね〜。それより教王、あんた馬鹿なの?」

 

「な、何だと!?」

 

「私たちは世界最強の怪盗コンビ(・・・)よ」

 

『おい!!もう一人は何処にいるんだよ!?』

 

『遊輝さんがいねぇじゃねぇか!!!』

 

「・・・・!!!そ、そうだ!!もう一人いたんだ!!すぐにそいつを「おいアリア、こいつ本物か?めちゃくちゃ朽ちとるぞ。すぐに補強しないと折れちまう」なっ!?」

 

「まあでも中身は本物だから問題ないけど」

 

教王から保管を頼まれた一人の部下は受け取った賢者の杖を右手で振って左手をパンパンさせて、品物を確認する。その様子を見ていた教王と他の部下は呆気に取られた。

 

「しかしこいつの素材はマツだろ?よく数千年も保ってられるよな」

 

「そ、そいつを捕えろ!!」

 

「・・・・・よっと、ハハーン、さては杖の素材だけ変えたな。この中身の宝石は変えずに」

 

「くっ!!このっ!!」

 

「ほっと!!」

 

杖を持った部下は次々と捕らえようとする兵士たちを軽やかな身のこなしで避けていく。そして、倒れた兵士の背中を踏み台としてジャンプ、そのまま高く飛び上がり、自身の服を脱ぎ捨てて屋根に到達した。教王の部下として変装していた遊輝だ。

 

「ようっと、じゃあ約束どおり。賢者の杖も頂きましたよ」

 

『ワアアアアアア!!!!!』

 

『アリアさあああん!!』『遊輝さああああん!!!』

 

「き、きききききき貴様ら!!!!!よ、よくもよくもよくも!!!!」

 

「そんなに怒っていたら脳内の血管がプッツンしてぶっ倒れるよ新教王。後、私たち、あんた達から盗んだものがもう一つあるのよ」

 

「なっ、何だと!?」

 

「遊輝ちゃん」

 

「は〜い号外だよ号外!!!!見れない人はそこら辺のテレビを見て!!」

 

遊輝は賢者の杖をアリアに渡し、何処からか新聞みたいなものを取り出す。そして教会の屋根から走り出し、広場の周りの建物の屋根に飛び移りながら、それを広場の見物客に向けて投げまくる。広場の見物客はその新聞を手にして、中身を見る。

 

『・・・・・な、何だこれ!?』

 

『か、核兵器にミサイルだと!?』

 

『おい裏面見てみろよ!!歴代の教王達が街の女性を捕まえてレイプだと!?』

 

「なっ!?なっ!?」

 

『どうなってるんだ教王!?』

 

『世界平和の為に祈りを捧げているんじゃなかったの!?』

 

広場の見物客達は新聞の内容を、また近くのテレビを見ていた人たちは臨時のニュースを見て教王達に怒号を浴びせた。イワン教王は焦った顔をした。今までトップシークレットにしていたことがここにいる見物客の目に止まってしまった。それだけではない、今日の即位式の為に世界各地のテレビ局が生中継をしている。ここにローマ教王最大の秘密が明かされたと各局のテレビクルーは教王を移す。

 

「なっ・・・・なっ・・・・」

 

「いや〜あんた達の黒い噂は絶えなかったからね〜。調べさせてもらったよ、『世界平和を望みます』だって、笑っちゃう」

 

「お、おい!!!今すぐ武器庫を隠せ!!」

 

「無駄無駄、この教会のコンピューターシステム、全部俺が書き換えて乗っ取った」

 

「なっ!?」

 

武器庫を隠すように指示をしたが変装していた遊輝が乗っ取った宣言をしてしまった。さらに公然の場で武器庫を隠すように指示、これが全世界中に中継されてしまった。

 

「いや〜、変装して侵入して研究員になりすまして地道に書き換えて良かったよ〜。あんな物騒な物飛ばされたら地球が滅んじゃう。まぁそもそも、スイッチとなる物が無いから武器庫は今じゃ誰もが閲覧可能な物になってしまったけど」

 

『どういう事だ教王!!!』

 

『戦争を起こすつもりなの!?そんなゴメンだわ!!』

 

「あっ、あと、今頃FBI辺りがこの中に入って家宅捜索しているんじゃない?誘拐と強制性交等罪辺りで?そっちは私たち関係ないけど」

 

「じゃあ俺たちは帰るから、後は警察達とゆっくりお話をしていてね〜」

 

既に大混乱となっている教会内と広場。もうアリアと遊輝を捕らえようする者はいなかった。二人はこの大混乱に紛れてパラグライダーを取り出して教会から飛び立った。

 

『女性をさらってレイプって貴方それでも教王なの!?』

 

『しかも歴代の教王のほとんどがヤッているじゃねぇか!!!』

 

広場の見物客の怒りは収まる気配がない。広場から唯一、教会に繋がる扉の前には兵士がいたが、すでに兵士としての機能はしておらず、見物客が今にも流れこもうとしている。

 

「ま、不味い・・・・不味い・・・・」

 

「教王!!大変です!!世界各地のキリスト教指導者達達がローマ教王の指示を止めると宣言しています!!」

 

「きょ、教王!!FBIの捜査官が武器庫と牢屋の捜査に入ってしまいました!!」

 

「あ、あわわわわわ・・・・」

 

「教王、強姦罪の罪で署まで同行願いますでしょうか?」

 

「貴方達もですよ」

 

慌てふためき、固まってしまった新教王の前に氷川刑事と桜刑事の二人が自分たちの部下を連れてやってきた。

 

 

ローマ教会最大のスキャンダルは新教王、イワン教王とその側近、関係者の逮捕という形で終わってしまった。

格納庫にあった核兵器やミサイルはFBIによって取り押さえ、厳重保管となり、囚われた女性達はイタリア警察が保護に当たった。世界中のキリスト教会信者が今回のスキャンダルにガッカリし、世界各地のキリスト教会は今後しばらく、ローマ総本山とは関わらないことを決意表明した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・かつて、イエス・キリストは貧しい民衆を救う為にヨーロッパを歩き渡り、神様として崇められた。そしてイエス・キリストは後世の人達も同じように貧しい民衆を救うことを望んだ」

 

「その為の賢者の杖、そして栄光を示すためのゴールド・クラウンだったのに、結局、人間の欲を満たす道具に成り下がったな〜」

 

即位式の翌日、二人はローマ郊外のアパートにいた。奪ったゴールド・クラウンと賢者の杖は品定めが終わったのか、壁に飾られていた。

 

「にしてもこの新聞社面白い記事書くな〜、あれだけ俺たちの事を叩いていたのに、今日の記事じゃ俺たち英雄扱いだぜ。確かここってローマ教会の息の根が掛かっていたんだろ?」

 

「あんな情勢でローマ教王の指示を書くわけないじゃない」

 

「んまぁ関係ない事だけど・・・・・」

 

「あ、あの・・・・・」

 

二人は新聞のこと関係なしにたわいもない話をしている時、少年が二人の間に割って話してきた。

 

「あ、あの・・・・二人ってあの怪盗アリアさんと遊輝さん・・・なのですか?」

 

「そうだよ。盗賊やっているって言ってたでしょ?」

 

「す、凄いですね・・・・ほんとうに賢者の杖とゴールド・クラウンを奪うなんて」

 

「それをするのが俺たちの仕事だから」

 

「っと、そろそろ時間ね。僕、一緒に出かけようか」

 

「えっ?」

 

アリアと遊輝は少年の着ぐるみを綺麗にして一緒に外に出かける。もちろん二人は帽子をかぶってバレないようにしている。

 

「さて・・・・ここだな」

 

「ここって・・・警察署?」

 

「もう出てくる時間じゃねぇか?」

 

「・・・・・・ソル!!」

 

「!?・・・・お、お母さん・・・・・」

 

二人を見ていた少年は懐かしの声が聞こえて振り返る。警察署の入り口から痩せ細った女性が一人出てきていた。少年は女性の姿を見て、駆け出した。

 

「お母さん・・・・・お母さん!!!」

 

「ソル・・・・良かった、無事で」

 

「うん!!あの人達が助けてくれたんだ!!」

 

「あの人達?」

 

「奥さん、ちょっとこっちにきてもらいますか?」

 

アリアは少年の母を手招きして、アパート近くの路地裏へと戻った。

 

「さて・・・・良かったな、お母さん帰ってきて」

 

「うん!!ありがとうお姉さん!!お兄さん!!」

 

「あの、ありがとうございます・・・・私がいない間、息子の面倒を見てくれたみたいで」

 

「いえいえ、褒めるのは僕ですよ。僕は強い子ですよ。半年間、一人で生き抜いたんですから」

 

「・・・・・ソル、ありがとう。ずっと教会に囚われていたけど、貴方の事は一度たりとも忘れてた事はなかったわ」

 

「お母さん・・・・・」

 

「これ、二人の再出発の祝議にどうぞ。しばらくは生活に困らないくらいはありますので」

 

遊輝は少年の母に厚めの封筒を渡した。少年の母は封筒の中身を見て、驚く。その中には500ユーロ紙幣が束となって入っていた。

 

「な、何ですかこれ!?」

 

「ざっと5万ユーロぐらい入ってます。これで暫くは生活できますよね」

 

「ご、5万!?貰えません!!確かに暫くの生活には困りますが、これだけも必要は」

 

「良いの良いの。私たちからのご祝儀としてありがたく受け取って」

 

「・・・・・・・す、すみません。何から何まで」

 

「じゃあね僕。今度会えるか分からないけど」

 

「んじゃあな〜」

 

「・・・・・あ、あの!!!ありがとうございました!!」

 

「ん?」

 

ご祝儀を渡したアリアと遊輝はそのまま後にしようとしたが、少年が大きな声を出して二人にお礼をした。

 

「あ、貴方達は僕の憧れです!!僕も貴方達のような存在になって、世界中の困っている人を助けます!!」

 

「・・・・・・・・そうね、頑張りなさい。貴方ならできるわ」

 

「でも俺たちみたいに泥棒にはなるなよ」

 

その言葉だけをかけて、アリアと遊輝は少年と母から離れていった。

 

「・・・・・分かっています。僕は貴方達みたいな才能はありません。僕は僕のやり方で人々を幸せにします」

 

「・・・ねぇソル、あの人達って何者?これだけのお金と泥棒って」

 

「あの人達は怪盗アリアと遊輝だよ!!世界最強の怪盗コンビだよ!!」

 

「・・・・・えっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さ〜て遊輝ちゃん。ようやく仕事終わったわね〜」

 

「そうだな〜、ようやっと休みが取れるな」

 

バイクで二人乗りをしているアリアと遊輝、既にローマのアパートは売り払い、すべての荷物を持って、ローマから飛び出した。

 

「んで、次は何処に行くんだ?俺としては休みたいんだけど」

 

「そうね〜、ナポリは今警察がうるさいし、フランスはこの前のことがあるからね〜・・・・・」

 

・・・ピーポーピーポーピーポー!!!!

 

「ん?警察?」

 

『止まりなさい怪盗アリアと遊輝!!!貴方達の行動はすべて把握しているわよ!!』

 

「おお、氷川刑事に桜刑事か〜、ご苦労な事だな〜」

 

「そうね〜、とりあえず警察との鬼ごっこが終わってからバカンスとろう!!」

 

「おう!!!!」

 

遊輝はバイクのアクセルを上げて加速、二人はイタリア北部へと走っていき、その後ろを100台近くパトカーが二人を追いかけていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今宵、世界のどこかに眠るお宝やお金は怪盗アリアと遊輝によって盗まれるかもしれない・・・・・

 

「私たちに盗めないものは何一つ無いわよ♪」

 

「全く・・・・無駄な時間(ロック)かけても全部同じなのに、俺が全部解除して斬ってやる!」




アリア「いや〜楽しかった♪」

遊輝「・・・・・続くくんかよこの企画」

そこそこ人気あったし、エイプリルフールのネタは1年に1度だからゆっくり考えられるから。

遊輝「いやこれの為だけに海外でスタンド撮りにいくのやめない?しんどい」

アリア「楽しいから良いじゃん♪」

遊輝「俺は割と恥さらしだと思うんだけど・・・・なんか黒歴史がどんどん増えていく・・・」

アリア「次はどんな衣装でやろうかな〜♪」

遊輝「え、えぇ・・・・またやるのかよ」

というわけでエイプリルフール企画は続くのじゃ。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。