遊戯王 振り子使いの少年と連鎖使いの少女 〜番外編〜 作:DICHI
このお話はフィクションです。実在する人物も存在しますが、作者の妄想を膨らませただけのエイプリルフール企画です。
このお話は中編です。ご注意ください。
ゴゴゴゴゴ!!!!!
『ご覧ください!!私たちの目の前にある建物は世界一と言われる警備会社、ゲート・セキュリティが所有するゲートタワーです!!この世界一の警備タワーと言われるビルにあの怪盗アリアと遊輝が予告状を出しました!!地上では多くの警察官が警備をしています!!』
「良いわね!!必ず怪盗アリアと遊輝を捕まえるのよ!!」
『はい!!!!』
怪盗アリアと遊輝が予告状を出してから2日後、舞台となるゲートタワーは物凄い雰囲気を醸し出していた。周りを飛ぶヘリコプター、地上の周りにもカメラマンやマスコミが群がる。ゲートタワーの入り口には1000人近くの警察官がいて、それを指揮する氷川刑事と桜刑事にも気合が入る。氷川刑事は反対側に向き、ゲート・セキュリティの警備員を両側につけたキャサリン令嬢に目を向ける。
「必ず私たちが二人を捕まえます」
「お願いします・・・・・」
会釈をして簡単に挨拶をしたキャサリン令嬢はそのまま入り口へと入っていく。その様子を物影から見ている一人の女性がいた。その女性はその様子を見た後、ゲートタワー近くにある電気室に入り、とある所で床を蹴る。すると電気室の床が自動で動き出し、下に続く階段が見えた。
「・・・・遊輝ちゃん、行くわよ」
『OK、こっちも大丈夫だ』
電気室に入った女性、マスクをつけ、マントをつけ、怪盗服を着たアリアは無線をつけセキュリティ会社に侵入している遊輝と連絡を取り、ゲートタワーに侵入する。
「いよいよ世界最強の警備会社との激突ね・・・・どっちが勝つか、やってやろうじゃない」
アリアは電気室の地下に続く階段を駆け降りる。世界一の怪盗コンビと世界一の警備会社による長い一日が始まる。
ゲートタワー30階、事前に仕入れていたゲートタワーの女性制服に着替えたアリアは順調に潜入していた。アリアは現在、中央の吹き抜けエリアに到達している。。
「・・・・・遊輝ちゃん」
『中央管理室だ。一部の役人しか入れない極秘の部屋で、屋上にある飛行船に行くにはそこから行くしかない、そこの研究室を動かすのには90階にある研究室からカードキーを入手しないといけない』
「90階ね、了解」
通信を終えたアリアは職員のフリをしながら廊下を歩いていく。
「(確か50階で立体認証装置で登録しないと、上にいけなかったわね。職員から話を聞いといて良かったわ)」
「ご苦労様」
「ご苦労様です」
「そっちは警察官が多いから気をつけてね」
「えぇ、ありがとう」
深く考えながらも途中すれ違う職員とは普通に挨拶をするアリア。上に行くエレベーターに乗り、50階のボタンを押す。エレベーターはすぐに動き出した。
「(・・・・・とにかく慎重に行きましょう。何を仕掛けているか分からない物騒な所だわ)」
エレベーターは高速で進み、すぐに50階に到達。エレベーターが開くと、すでに数人の警察官が見回りをしていた。一人の警察官はエレベーターから降りたアリアを見て近づく。アリアは職員のフリをして警察官に話す。
「ご苦労様です」
「ご苦労様です。どのようなご用件で?」
「資料を取りに上に行ってるの。大丈夫かしら?」
「はっ、大丈夫でございます」
「ありがとう」
右手を上げて挨拶をして笑みを浮かべるアリア、警察官も軽く頭を下げて素通りしてしまう。そのままアリアは何事もなく進み、50階の立体認証装置の認証も登録、すぐにエレベーターに乗り、90階へと目指す。
エレベーターは数分間上昇、90階へと到達。エレベーターが開き、廊下を歩くアリア。不気味なくらいに人はいない。
「(・・・・認証装置があるくらいだし、ここは一部の人間にしか使われていないのかしら・・・)何これ?」
廊下を歩き、突き当たりの部屋に入ったアリア、その部屋は今までの部屋とは全く違っていた。研究室のような見た目をして、中央部分にはミサイルの模型が飾ってあり、壁の電子ボードには設計図が映し出されていた。
「はぁ〜、物騒な研究をしてるわね。世界最強の警備会社は世界最大の武器製造組織かしら?おっと・・・・カードキーみっけ。遊輝ちゃん」
『聞こえている。そのまま30階まで降りてくれ。その間に俺も中央管理室を動かせるようにしておく』
「センキュセンキュ」
『それと、50階の警備が一気に強くなった。あの二人もいるみたいだぞ』
「面倒ね・・・・・しょうがない。裏道を使って行きましょう。着いたら連絡するわ」
『了解』
無線を切ったアリアはそのまま研究室の天井を見つめ、換気扇を見つめる。机に立ち、換気扇を外し、換気口を見つめる。
「ここからなら行けるわね」
アリアはそのまま換気口の中へと入っていった。
ゲートタワーから数km離れたオフィス街。多くのビル群がならぶこの街にある5階建ての建物。この建物はゲートタワーを外部から管理しているセキュリティ会社である。そんな会社の1階に一人の眼鏡をかけた社員がビニール袋を持ってぶつぶつと何かを呟きながら歩いている。
「(さて、いよいよ俺の本領発揮だな。中央管理室を動かせるのは3階だったな)」
彼は遊輝、現在進行形で侵入しているアリアを手助けするため、数ヶ月前から単身でこのセキュリティ会社に偽名を使い、サラリーマンとして侵入していた。彼の頭にはゲートタワーのセキュリティがどこの担当なのかハッキリと分かっている。
彼はすぐにエレベーターに乗り、1階から3階へと移動、近くにある部屋に入った。部屋は中規模の大きさで目の前に大きな画面が映り出されている。そんな画面を一人の職員が管理していた。遊輝はその職員の近くまで移動して肩を叩く。
「いようお疲れ!」
「ん?ああお疲れギラン。お前も休日出勤か」
「そうなんだよ。ったく、折角社長が気前よく休みを配ったのに」
「俺たちついてないな」
「全くだよ」と遊輝は一言言って、彼の隣に座った。実はこの休みというのは予め遊輝が仕組んでいたものだ。予め社長と副社長に偽の出張話を入れて出張させて、重役たちがいないタイミングでほとんどの社員に休みを申告していたのだ。
「ほらよ、コーラとポテチだ。これ飲んであと数時間頑張ろうぜ」
「おっ、分かってやがるな」
遊輝は手にしていた袋から500mlのペットボトルのコーラ2本とポテトチップスを取り出す。社員は気前よく受け取り、ペットボトルを開けて、豪快に飲む。
「・・・ぷはぁ!喉が渇いていたから一気に飲んでしまった」
「豪快だなお前」
「ふわぁ・・・なんか眠くなってきたな・・・」
「おやつ後の昼寝か?別に良いぜ。俺が見ておくし」
「そうか・・・・サンキュー」
豪快にコーラを飲んだ社員は欠伸をしてしまい、自分が座っていた椅子から立ち上がり、部屋の隅にある休憩ソファに寝っ転がってしまう。そのまま欠伸を立てて寝てしまった。その様子を見た遊輝はニヤリと顔を笑い、パソコンを操作する。
「(ニヒヒヒ・・・・あのコーラ、睡眠薬仕込んでおいたのさ。パスワードは複数あるが予め副社長から全部聞いて、どれがどのパスワードか検討付いている。ここは・・・・これだな)」
カタカタとキーボードを操作してパスワードを打ち込む遊輝。画面には「OK」の文字が出て、30階の中央管理室の電源が入る。
「・・・・アリア、中央管理室の電源が入った。近くにある壁のスイッチを押せば入れるはずだ」
『OK、ちょうど着いたところよ。いや〜、氷川刑事とか桜刑事がいて焦ったわ〜・・・・これね』
「そのまま中央管理室から100階に行ってくれ、そしたら110階に行くエレベーターがあって、そこに重役室がある。その部屋に飛行船の展示室の鍵となるカードキーがある」
『了解、何かあったら連絡するわ』
無線を切った遊輝、彼はそのままパソコンを操作する。
「(・・・・この会社でかかるセキュリティはこれで全部のはず。後は・・・ん?)」
パソコンを操作している途中、遊輝は画面に映っている一人の女性を目にした。先ほど、アリアがいた90階の研究室にその女性が入ってきたのだ。
「(ハリソン財閥の令嬢がなんでそんな所にいるんだ?・・・・まぁ良いか)」
彼は少し悩みながらもすぐにこの部屋から出る。そして部屋の横にあるパスワードに自信の端末から伸びたコードを繋げ、部屋のパスワードを変更、誰もこの部屋から入れない、出られないようにした。
「(これでよし・・・・さて、俺も本丸へと目指しますか)」
中央管理室に乗り込んだアリアは壁にあるカードリーダーにカードキーを挿入する。そのまま管理室ごと上に上昇していく。この管理室ごとエレベーターになっている仕組みのようだ。ここから先には一部の役人しか入らない秘密のエリアとなっている。ゲートタワーの制服も役に立たないと判断したアリアは制服を捨て、怪盗服に着替え直した。そのまま管理室は100階に到達。入った時とは反対側の扉が開くと目の前にあった物に目を開いた。
「うわぁ・・・セイントにドリル型装甲、核弾頭って・・・・なんて物を開発しているのよこの警備会社」
中央管理室から抜けた研究室は武器開発研究室となっていた。先ほど見たミサイルとは比にならない。核弾頭など様々なものが研究、開発されているのが目に入った。アリアはじっくりと研究室の中を見て、持ってきたタブレットに写真を撮る。そして一つの武器を目にする。
「(・・・・・1ヶ月前にホワイトハウスの核シェルターをペチャンコにしたドリルね。ますますこの会社黒じゃない)」
ため息をついたアリアはその模型と設計図を盗み、自身のカバンの中に入れたタブレットを取り出し、写真を撮る。そのまま操作してネットの世界にアップした。
「さて・・・・お仕事の続きといきましょうか。110階の重役室に置いてあるカードキーを取らないといけなかったわね」
アリアは研究室を抜けてエレベーターに乗り込んだ。エレベーターは先程までとは違い、ゆっくりと上に上昇していき110階に到達、エレベーターの扉が開き、アリアはそのフロアを見る。先ほどまでの社員が通るような廊下ではない、大理石が詰められた高級感のある廊下となっている。その廊下を歩き、一つの部屋の前に立ち、部屋に入る。目の前に大きな机がある。目的の重役室に着いたようだ。壁の四方に等間隔で人間の絵が飾られている。
「(・・・・・随分多く絵が飾ってあるわね。逆に不自然だわ)」
アリアは壁に近づき、1枚1枚絵を叩く。4枚目の目を叩いた時、空洞のような響く音が聞こえ、アリアはその絵を壁から外す。目論見通り、そこにはカードキーがあった。
「これ・・・・ん?」
パッ、バババババ!!!!!!
「わわわわわわ!!!!!!」
突如、重役室に入ってきた謎の武装集団、彼らは一斉にアリアに目掛けて銃を乱射、アリアは慌てながらも回避して机に隠れる。アリアは懐から銃を取り出し、安全引き金を抜く。
「いててて・・・・危ないじゃないの仮面の斥候!何してくれるのよ!!」
「そのカードキーをこちらによこせ、そうすれば危害は加えない」
「あいにく、天気予報と悪党の言葉は信じない主義でね!」
バン!!バン!!
机から身を乗り出したアリアは懐から取り出した銃を二発撃つ。その弾を武装集団は避けてアリアが隠れる机に接近する。
「!?いない!!何処だ!?」
「ここよ!!セイ!!」
「グホッ!?」
武装集団は机に潜んでいるアリアに向けて銃を向けたつもりだったが、誰もいなかった。そのアリアは後ろに周り込み、襲ってきた二人の頭を殴りつける。
「この野郎!」
バババババ!!!!!バン!!
やられた二人を見て、残りの一人がアリアに向けて銃を乱射、それをアリアは部屋を駆け抜けて回避、そのまま男の右手に銃を一発撃つ。
ガン!!
「ぐっ!?」
「この武器は貰っておくわよ!」
「チッ・・・・撤退だ!」
右手に持っていた銃に当たり、男は反動と痛みで手放してしまう。それをアリアは奪い、逆に男に向ける。男は舌打ちをして起き上がった二人に撤退命令を出し、武装集団は逃げていった。
「ふぅ・・・・」
アリアは奪った銃を捨て、カードキーを懐に入れて重役室から出る。そのままぶつくさと文句を言いながら角を曲がる。
「どうなっているのよこの会社・・・・変な集団は出てくるし、物騒な研究はしているし、警察は多いし・・・・・ん?」
文句を言い続けるアリアは曲がり角を曲がったところで足と意識が止まってしまう。その対面には警官を引き連れた桜刑事がいて、彼らも角を曲がったところで足が止まった。
「・・・・アリア!!逮捕よ!!」
『わあああああ!!!』
「今度は桜刑事!?」
桜刑事は引き連れた刑事に大声を出す。アリアは襲ってくる警官の一人に顔面に蹴りを入れて、もう一人にもう一人に顔面でグーでパンチを入れる。蹴りを入れた警官の頭を踏み台にしてジャンプ、そのまま逃げ始める。
「待ちなさい!!」
「待てって言われて待つバカはいないでしょ!!」
アリアはそう叫び、そのまま廊下を走って逃げ始める。桜刑事や複数の警察官も廊下を走りアリアを追いかける。
「止まらないなら撃つわよ!!」
バン!!バン!!
「ひいいい!!!!暴力反対!!暴力反対!!」
「だったら止まって両手を上げなさい!!」
後ろから聞こえてくる銃声、横をすり抜ける大量の鉛弾、アリアは必死になって逃げる。そして目の前に扉が閉じかけているエレベーターが目に見えた。
「チャンス!!」
アリアはそのエレベーターに飛び乗る。エレベーターは閉まり、上へ上昇し始めた。
「くっ!!半分は階段を使って上に行きなさい!!残りは私と一緒に待ちなさい!!」
「はっ!!」
「はぁ〜!!死ぬうう!!・・・うぐっ!?」
バン!!!
エレベーターで130階に到達したアリア、すぐにエレベーターから降りて道なりの廊下を進み、そのまま角を曲がる。だが、運悪く曲がった先は扉が開いていて、その扉にぶつかってしまった。
「?・・・はっ!?ご、ごめんなさい!!」
「い・・・いいの良いのこれくらい!!」
「あ、あれ・・・・あなた・・・」
「んあ?・・・ああ、キャサリン令嬢!?」
「アリア!!!」
「あっ、まず・・・・じゃあ時間だから、またね!!」
「あ、あの・・・・」
「ん?」
「アリア!!何処にいるの!?」
桜刑事が130階に到達、逃げたアリアを探す。角を曲がった先にソファに座っているキャサリン令嬢を見つけた。
「っとと・・・・すみませんキャサリンさん。怪盗アリアを見つけませんでしたか?」
「怪盗アリアですか?・・・・そう言えばさっき変な服にマントをつけた人があっちに逃げて」
「あっちよ!!すぐに追いかけなさい!!ご協力感謝します!!」
「い、いえ・・・・」
「怪盗アリア!!待ちなさい!!」
桜刑事はすぐに部下に指示、キャサリン令嬢にお礼を言って自身もすぐに追いかける。桜刑事が出て行ってしばらく、キャサリン令嬢は誰もいなくなったことを確認して、ソファの座椅子の部分を上げる。
「・・・もう大丈夫ですよ」
「ふぃ〜、助かった助かった。ありがとう」
座椅子の中にアリアが隠れていた。アリアはソファの中から立ち上がり、軽く背伸びをする。
「それにしても何で私の手助けをしたの?あなた、私の敵でしょ?」
「・・・・・・・・・」
「キャサリン令嬢?」
「・・・・コロンブスの日記はハリソン号の2階の展示室です。これ以上は何も言いません」
「ちょ、ちょっと!?」
キャサリン令嬢はそう言い残し、この場から走って去ってしまった。アリアは手を伸ばして捕まえようとしたが、逃げられてしまった。
「(・・・・・何かあるわね。8割9割は罠、そして彼女自身も何かを抱えているわね・・・)まぁ良いや、さっさとお宝を盗りましょうか」
アリアは去ってしまったキャサリン令嬢とは別の、そして桜刑事とは違う道を走り出す。すぐに屋上への階段を見つけ、その階段を登り出す。そして、屋上へと辿り着いた。目の前には目的のお宝が眠っている超巨大飛行船、ハリソン号が停泊していた。
「・・・・着いたわ、ハリソン号。一体、どんな罠を仕掛けているのか、楽しみだわ」
アリアは屋上で停泊しているハリソン号の中へと侵入していく。
ハリソン号の中に潜入したアリア、エントランスは飛行船とは思えない豪華な作りとなっており、高級ホテルのロビーを漂わせる。
「(あの爺さん、金だけは本当に持ってるわね。次いでだから色々盗んで寄付してあげましょうか。確か、令嬢の話では2階の展示室だったわね。目の前に地図があるわ・・・・登って左ね)」
アリアはハリソン号に入ってすぐ見えた地図のところまで歩き、目的の部屋を確認する。そのまま忍足で階段を登り、展示室へ向かう。
「(・・・・・人の気配なさすぎ、明らかに誘ってるわね)」
階段を登り、左側の部屋に入り、廊下を歩く。不自然なくらいに人がいないこの雰囲気にアリアは確実に何かがあると睨んでいる。だが、当の本人は関係ないとどんどんと廊下の突き当たりまで進む。そして、大きな扉と横にカードリーダーがある部屋に突き当たる。
「ここね・・・」
アリアは懐からカードキーを取り出し、カードリーダーにカードキーを差し込む。カードリーダーは反応して、扉がオープンされる。アリアは展示室の中に入る。飛行船の中の展示室はこじんまりとしており、所々に古代の貴重な物がある程度だ。アリアはそんな物を一才目にくれず、真っ直ぐ歩き目の前に目的のものが見つめる。
「・・・・これがコロンブスの日誌ね」
アリアは目の前にある古い日記と綺麗に光り輝く透明な宝石のエンブレムを見る。目的のコロンブスの航海日誌だ。アリアはそれに手をかけようとした次の瞬間、上から防弾ガラスでできた侵入者を捕らえるガラスケースが落ちてきた。
「!!フン!!」
アリアはすぐに体を回転して回避、そのガラスケースから脱出、ケースの中からは黄色い煙が出てきた。
「うわ〜・・・・見るからに身体に悪い煙ね」
「そんな余裕、いつまで持ってられるかな?」
ヒュルルル!!バシ!!
「!?チッ・・・」
目の前に飛んできた物をアリアは木の杖を取り出して受け止める。木の杖はロープを絡んでしまう。展示室の入り口にはキャサリン令嬢とキング・セキュリティの社長、アンドリュー・ゲートがいた。さらにその二人の後を追うようにゲート・セキュリティの警備員がアリアを囲む。アリアとアンドリュー氏は杖を使って綱引きを続けている。
「さすがキャサリン令嬢、そしてさすが怪盗アリアだよ。この罠も簡単に避けてしまうなんて」
「これがグールちゃんが言っていたつまらんミスね・・・・・」
「さぁ大人しくお縄についてもらおうか、君は我が社の秘密も嗅ぎつけそうだから生かしてはおけない」
「物騒な研究をしている悪党が何をほざいているのよ。それにしてもこんな崇高な偽物まで用意しておいて、本物は一体何処かしら?」
「本物のコロンブスの日誌は上の展示室に展示されている。だが、君には関係のない話だ。君はここで捕まるんだから」
「・・・・・ありがとうね、遊輝ちゃん!!」
「合点承知の介!!」
バン!!!!
「なにっ!?」
突如、横の壁が斬られ、崩れる音がした。そこにいたのは両手に一本ずつの黒い日本刀を持ち、アリアと同じ怪盗服にマント、そしてマスクをつけた怪盗遊輝だ。
「な、仲間が来たぞ!!そいつも捕らえろ!!」
「アリア!!左前方にニ発!!」
「了解!!」
バン!!バン!!
アンドリュー氏の命令で警備員はアリアと遊輝を囲むようにする。その前に遊輝は時計回りで走り出し、アリアに指示をする。アリアは左手で懐から銃を取り出し、二発放つ。その鉛弾に遊輝は狙いを定めて、手にしている左手の日本刀で一発、そして右手の日本刀でもう一発打ち返す。その弾き返された弾は天井にあるスプリンクラー、そして壁にある消火栓に当たる。
プー!!プー!!
部屋にあるスプリンクラーと消火栓は爆発と誤作動を起こし、消火栓の煙とスプリンクラーの水が展示室の中を充満する。その煙によって展示室は見えなくなり、さらに大量のスプリンクラーによって足下が滑りやすくなる。その間に遊輝はロープを斬りつけて、アリアの元による。
「サンキュー遊輝ちゃん!」
「とりあえずこの勝負はドローってことで一旦撤退しますか!」
「そうしましょう!」
「く、くそ!!逃すな!!グヘッ!!だ、誰だワシを殴ったのは!?」
「セイヤ!!」
ドドドドドドドド!!!!
「な、何だこれは!?」
「半分の精鋭隊は突っ込め!!怪盗アリアと遊輝を逃すな!!」
「オオオ!!!」
現場は混乱していた。さらに氷川刑事と桜刑事がこの場に到着、警察を導入したことでさらにカオスとなる。その中で遊輝は床に日本刀で斬り込み、二人は下に脱出する。
「助かったわ〜、あの檻に捕まったら変なもの吸わされるところだったわ」
「全く、何してるんだよ・・・」
「いて・・・・ん?何これ?」
アリアは上から落ちてきたペンダントを手にする。緑色の紋章が入った少し大きいペンダントだった。
「おい、そんな事より行くぞ」
「は〜い」
「きゃあ!!」
「キャサリン令嬢!!ここは危険です!!非難を!!」
「ま、待って!!わ、私の・・・きゃああ!!」
「ガハッ!!誰だ私を殴っているのは!?」
「桜!!スプリンクラーを止めて窓を開けるんだ!!」
「はい!!」
桜刑事が部屋の周りを歩き、窓を開けてスプリンクラーのスイッチを止める。水の放出は止み、消火栓の煙も全て消えた。そこに怪盗アリアと遊輝の姿はいなかった。彼らは床に開けられた穴から脱出してしまった。その様子を見て、ゲート・セキュリティの警備員と警察官たちは互いに身内同士を攻撃していたことに気づき、手を止めた。
「くっ・・・・また逃げられてしまった!!覚えておきなさい!!怪盗アリアと遊輝!!」
氷川刑事の声だけが偽展示室の中に響き渡る。