遊戯王 振り子使いの少年と連鎖使いの少女 〜番外編〜   作:DICHI

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*注意!!
このお話はフィクションです。実在する人物も存在しますが、作者の妄想を膨らませただけのエイプリルフール企画です。


このお話は後編です。前編、中編をご覧の上、こちらのお話もご覧ください。


エイプリルフール 怪盗アリアと遊輝の物語  part3 後編

『臨時ニュースです!たった今入りました情報によりますと怪盗アリアと遊輝のコンビがゲートタワーに潜入したとの事です!繰り返しお伝えします!怪盗アリアと遊輝がゲートタワーに潜入しました!現場のジェファニーさん!』

 

『はい!私は今、ゲートタワーの入り口前にいます。現場は怪盗アリアと遊輝のコンビが出現したと情報が流れていますが、ゲートタワーからは何も発表がありません!こちらは非常に混乱しております!見てください!ゲートタワーの入り口ですが、何故かゲート・セキュリティの警備員が警察官を入れさせないようにしております!!どうしてこのような状況になったのか、こちらには何も情報が入ってきません!!』

 

 ピッ・・・・・

 

「・・・・どういう事かな?」

 

とある部屋・・・・・部屋の電気がつけれおらず、薄暗い部屋だが、ガラスケースにだけ照明が照らされていた。そのガラスケースにゲート・セキュリティ社の社長、アンドリュー・ゲートが囚われていた。足元には先程、展示室で放出した黄色い煙が出てきた同じ換気口がある。アンドリュー・ゲートは土下座をして目の前の人物に謝罪している。

 

「も、申し訳ありません!!すでに奴らの足取りは捕らえています!!セキュリティ会社に侵入した形式も、奴らの今後の狙いもわかっています!それと、我々の秘密を知り過ぎた者にも制裁を加えます!!も、もう一度!!もう一度チャンスを下さい!!絶対に失望はさせません!!」

 

「・・・・・・・・・・」

 

椅子に座る人物は少しだけ考え、机のボタンを押す。ガラスケースは上に上がり、アンドリュー・ゲートは自由の身になる。

 

「あ、ありがとうございます!!必ず奴らを捕まえてみせます!!」

 

アンドリュー・ゲートは頭を下げ、すぐに部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほ〜ん、つまりグールは偽の展示室で偽物のコロンブスの日記に掴まされて捕まったと」

 

「多分だけどね。他にも可能性はあるでしょうし、その前に捕まった可能性もあるでしょうけど、何処かで情報に踊らされたのでしょう。実際、この飛行船の情報は極端に少なかったし」

 

飛行船、ハリソン号の1階、コントロール室。ここに怪盗アリアと遊輝は身を潜み、次なる作戦会議をしている。アリアは座り込み、逃げ出した時に落ちてきたペンダントを見つめる。

 

「このペンダント、何処かで見たんだけどなぁ・・・」

 

「あの時に落ちたんだろ?あそこにいる誰かの持ち物だろ?」

 

「そうなんだけど・・・何処だっけなぁ・・・」

 

「それよりその物騒な計画書と模型はどうするんだよ?」

 

「んあ?これ?これはもうネットにアップさせて拡散させているわ。今頃ネット住民が一斉に叩いている頃よ」

 

「物騒なこと考えてやがるとは思っていたが、想定の斜め上をいってやがったな・・・・アリア」

 

「・・・・えぇ」

 

二人は何かの気配に気づき、それぞれ武器を構える。コントロール室の入り口が開く。

 

「いたぞ!」

 

ゲート・セキュリティの警備員達が声をあげ、銃を持ってコントロール室にやってきた。アリアと遊輝はそれぞれ銃と日本刀を構える。

 

「またえらく早いお仕事ね・・・」

 

「アリア、ここは俺がやる。お前はさっさと物を盗ってこい」

 

「下手こいたら罰だからね!」

 

「お前が下手こいたからこんなことになったんだろ・・・・・」

 

アリアはすぐに反対側の扉から脱出。一方、遊輝は3本の日本刀を構え、ゲート・セキュリティに目を向ける。

 

「さ〜て・・・・・お遊びに付き合ってもらうぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とうりゃ!!」

 

「ぐほっ!!」

 

「ガハッ!!」

 

カラン!!カラン!!

 

ハリソン号のコントロール室から脱出したアリアは広い広い廊下を抜け、最初に入ってきたエントランスに戻る。2階の廊下にいる警備員を後ろから殴り倒し、再び展示室へと向かう。先ほど通った展示室の扉の前に立つ。だが、自動扉は空かない。

 

「あれ?・・・・・あぁ、ロックかかってるわね。面倒くさいことしやがって、遊輝ちゃんがいればすぐにロック解除出来るけど」

 

『おうりゃ!!』

 

『グホッ!!』

 

「・・・・お仕事で忙しそうね。仕方ない。確か一階に動力エリアがあったはずだからそっちから回りましょうか」

 

自動扉が開かないのですぐに反転したアリア。目的地をこのハリソン号にある動力エリアへと向かうことにした。エントランスの階段を降り、右側の自動扉に入る。曲がり角を少し覗くと、ハリソン号の私兵達が銃を構えていた。

 

「(へぇ〜・・・・やる気ね。ならこっちも答えてあげましょうか)」

 

私兵を見つけ、通常の突破は困難だと判断したアリアは木の杖を取り出す。

 

「ファイア・イリュージョン」

 

「グアアアアアア!!!!!!」

 

アリアはつぶやく。すると、廊下にいたハリソン号の私兵から大量の悲鳴が聞こえた。やがて悲鳴は消え、アリアは廊下に目を向ける。ハリソン号の私兵は服を真っ黒に焦げて気絶していた。

 

「さて、動力エリアに向かって展示室に戻るわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・ない・・・・ない」

 

時は少し経ち、展示室。

先程、嵐があったとは思えないくらい静かになっていた。そんな展示室にただ一人、キャサリン令嬢が床に目を向けて何かを探していた。

 

「可笑しい・・・・この辺りに落ちているはずなのに・・・・」

 

必死に探すキャサリン令嬢。その時、展示室の扉が開く。何事かと思い、キャサリン令嬢は目を向ける。

 

「はっ!」

 

「グール総帥を裏切った女狐には制裁を加える」

 

そこにいたのは3日前、廃墟で彼女を襲った仮面の斥候だった。彼らはキャサリン令嬢を取り囲み、銃を向ける。キャサリン令嬢は全てを悟り、目を摘りながら立ち上がった。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「覚「女の子一人相手にやることじゃないって言ってるでしょ、仮面の斥候」なにっ!?」

 

何処からか別の者の声が聞こえた。仮面の斥候の舞台は展示室を見渡す。やがて、一人が左奥に動く人の影を見つけた。

 

「そこか!!」

 

バババババババババ!!!!

 

その掛け声で仮面の斥候全員がその場所に銃を乱射する。だが、人の気配はしない。

 

「こっちよ!」

 

「きゃあ!!」

 

すると、誰かがキャサリン令嬢の腕を引っ張った。

 

「そこだ!」

 

ババババババババババ!!!!

 

仮面の斥候はキャサリン令嬢が隠れた柱に向けて銃を乱射する。柱から人が一人駆け抜けていた。右手に銃を持ち、左手に木の杖を持った女性、怪盗アリアだった。アリアは走りながら右手に持った銃を正確に構え二発放つ。

 

バン!!バン!!

 

「グホッ!!」

 

「ガハッ!!」

 

弾は全て仮面の斥候の二人の右太ももと左の腕に命中、出血多量となり戦闘不能となる。そんなことお構いなしに今度はアリアは木の杖を振る。仮面の斥候全員の足元に黒い穴が開く。

 

「ダークホール!」

 

「ギャアアアア!!!!」

 

傷を負った者も含め、仮面の斥候全員はその穴の中に落ち、完全に消えてしまった。アリアは銃を懐に直し、木の杖を消してキャサリン令嬢のところまで近寄る。

 

「ふぅ〜・・・・グールちゃんの部下は何を考えているのよ全く・・・・」

 

「・・・あの、なんで・・・・私はあなたを」

 

「あっ、そうだ。はい、これ。探していた物でしょ?」

 

「えっ?」

 

アリアは銃を直し、ポケットの中から先程拾ったペンダントを取り出しキャサリン令嬢に渡そうとした。一瞬、キャサリン令嬢は受け取ろうとしたが、すぐに手を引き、顔を向けた。

 

「あなたが・・・持っていてください。本当なら仮面の斥候に渡すつもりでしたが、あの様子なので・・・」

 

「・・・貴方と彼らの関係は?」

 

「・・・仮面の斥候の目的を知っていますか?」

 

「表では窃盗集団だけど、本来の目的は大量破壊兵器の撲滅、だったかしら。そういえばこの会社、セイントの研究をしていたわね」

 

「!!さすがです・・・あのセイントは超合金ミサイルのドリルとなり、売られる予定なのです。そのデモンストレーションが1ヶ月前に・・・・」

 

「あの大統領官邸の核シェルターもペチャンコにした事件ね」

 

「そうです・・・・あれから裏組織が超合金の鉱物を売ってくれと押し付けるようになりました。あの超合金に使われる鉱石はコロンブスの日記にある航海地図を読み解かないと手に入れられない代物です」

 

「つまりこのオークションの目的は・・・」

 

「・・・・・鉱物、クリストファーXです」

 

「なるほどね、それでオークションの連中は悪党ばかりな訳だ。これで私たちもチャリティー品を盗むっていう罪悪感がなくなるわ」

 

「あの・・・私は・・・」

 

「あなたはもう大丈夫。良くやったわ、安全な所に逃げてちょうだい」

 

「はい・・・あの、本物の展示室に行くには宝石が必要です!それは130階の社長室に隠されています」

 

「OK」

 

その返事を受け取ったキャサリン令嬢はアリアに頭を下げて、展示室から出て行った。アリアはすぐに無線に連絡する。

 

「遊輝ちゃん」

 

『ああ、聞いた。こっちも片付いた』

 

「私一人で社長室に行くわ。遊輝ちゃんは影からキャサリン令嬢を見守って」

 

『了解』

 

アリアは無線を切る。右手で指を鳴らし、足を屈伸させて軽くストレッチをする。

 

「さあて・・・・もう一踏ん張り頑張りますか!!」

 

走り出すアリア、そのまま展示室を抜け、ハリソン号から一度出て、ゲートタワーに向かう。ゲートタワーは警察官もゲート・セキュリティの警備員も居なくなり、もぬけの殻とかしていた。アリアはなんの苦労もなく130階の社長室へ到達した。壁に取り付けられた液晶テレビに応接対応のソファと机、その奥に社長机、さらに隣にはセメントでできた像が置いてある。

 

「(・・・・・このボタンね)」

 

アリアは社長机に置いてあるボタンを押す。するとセメントの像の後ろにある壁が動き、その像が中に入る。象の口が開いて、口の中からエメラルドの宝石が出てきた。

 

「趣味悪いわね・・・まぁいいわ。これで鍵もゲット出来たわ」

 

『おいアリア!!大変だ!!』

 

「!?どうしたの!?」

 

『キャサリン令嬢がハリソン号の私兵に捕まった!!』

 

「何だって!?」

 

『怪盗アリア、聞こえているな。そこにいるのは分かっている』

 

無線から飛んできた遊輝の焦る声、突如、社長室につけられていた液晶テレビに電源がつき、アンドリュー・ゲートとガラスケースに囚われたキャサリン令嬢が映し出された。

 

「アンドリュー・ゲート・・・!!」

 

『この裏切り者を助けたければ屋上に来い。お前だけじゃないぞ、もう一人の奴も一緒だ』

 

アンドリュー・ゲートはそれだけを伝え、テレビを切った。アリアはエメラルドを握った右手の拳を力強くする。

 

「(・・・・必ず、助けてあげるから!!)」

 

アリアは急いで屋上へと目指す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻はもう夕方になっていた。アリアと遊輝の戦いは半日以上経過している。

ハリソン号が停泊している屋上、その四隅には超合金ミサイルが取り付けられた発射装置がセットされ、業務用のカメラ、大型テレビも付けられている。アンドリュー・ゲートはキャサリン令嬢が囚われたガラスケースにもたれかかっている。キャサリン令嬢はガラスケースに手をかざし、不安そうに見ている。

 

「・・・・・来たか」

 

ゲートはゲートタワーと屋上を繋ぐ入り口を見る。ミサイルの発射装置に隠れていた入り口からアリアがゆっくりと歩き、ヘリポートのマークの中央部分で足を止めた。

 

「喜べ、お前はこのタワーに侵入した滞在記録を更新した」

 

「あら、嬉しいわね。記念に手形でも取っておく?」

 

「結構だ、それよりもう一人はどうした?」

 

「もう時期来るわよ・・・ん?」

 

アリアは囚われたキャサリン令嬢とは反対側に付けられたガラスケースを見る。そこには氷川刑事と桜刑事、二人の刑事も囚われてガラスケースを叩いていた。

 

「えぇ・・・・なんで二人も・・・・」

 

「仕事熱心でね、我が社の秘密まで嗅ぎつける勢いだった」

 

「よっと・・・」

 

呆れた表情をしているアリア、その説明をゲートが終えたところで、遊輝がやってきた。いつも通りのカイトを使い、空からゲートタワーの屋上に到達。そのままアリアの隣まで歩く。

 

「何してるのよ」

 

「しょうがねぇだろ。敵に囲まれて少し目を離した隙に囚われたんだから」

 

「帰ったら罰だからね」

 

「はいはい、分かりましたよ」

 

「最期のお話はお終いかね?」

 

「えぇ、それで用件は何かしら?」

 

「これからセイントの威力をお客様に披露する。その的になれ」

 

「分かった分かった」

 

「その代わり、そこにいる3人は解放してあげなさいよ。腐っても取引相手の大事な令嬢でしょ?それに、あんた達もFBIに喧嘩を売るほどの馬鹿じゃないでしょ?」

 

「もちろん」

 

用件を飲んだ二人を見て、ゲートは手元にあるボタンを押す。キャサリン令嬢と氷川刑事と桜刑事のガラスケースが解放される。三人はガラスケースから飛び出し、アリアと遊輝を見る。

 

「アリアさん!!」

 

「アリア!!遊輝!!」

 

「心配しなくていいよキャサリン令嬢、こっちは大丈夫だから隠れていなさい」

 

「刑事さん達もそこで動かないでくれよ。変なことして刺激を与えたら何しでかすか分からないから」

 

キャサリン令嬢と二人にそう言ったアリアと遊輝は互いの背中を押し付ける。キャサリン令嬢は物陰に隠れ、二人の刑事は何も動けないでいた。

 

「あ〜あ、最後に遊輝ちゃんに背中を預けたのっていつ以来かしら?」

 

「ここん所、自分の背中は自分で守ってきたからな・・・・なんか新鮮だぜ・・・・」

 

ギュルルルルルル!!!!!!

 

二人が空を向いてそんな会話している。四隅にあるミサイルの内一台がエンジンに唸りをあげ、ドリルは回転を始める。屋上につけられた画面にはクリストファーXのエンブレムが付けられたコロンブスの航海日誌が映し出された。

 

「皆さん!これより、クリストファーX製のドリルの破壊力をお見せします!実験台は世界の大泥棒、怪盗アリアと遊輝です!」

 

ゲートの紹介により、大型テレビには背中をつけた怪盗アリアと遊輝の姿が映し出される。

 

 ドリュリュリュ!!!!

 

その直後、ミサイルが発射された。ミサイルは屋上の床を抉りながら最短で二人に向かう。そのままミサイルは二人に当たり、爆発する。

 

「い・・・・いやああああああ!!!!!」

 

「!?・・・・・」

 

あまりにも悲惨な出来事にキャサリン令嬢は悲鳴をあげ、二人の刑事は膝を折って下を向いてしまう。

 

「・・・あっけない最後、何!?」

 

「・・・・へっ、大したことねぇな」

 

「本当に爪が甘いわね、ゲート・・・」

 

煙が晴れる。その姿にゲートは驚き、キャサリン令嬢、氷川刑事、桜刑事は喜んだ。二人は無事だった。

 

「くそっ!!」

 

慌てたゲートは追加で二発、ミサイルを発射、ミサイルは再び屋上の床を抉りながら二人に目掛けて進むが、アリアは落ち着いて手に隠し持っていたリモコンを発射装置に向け直す。二発のミサイル起動は二人からずれて、対向にある発射装置を爆発、破壊した。

 

「ば、馬鹿な!?」

 

「ヒュ〜・・・やるね〜」

 

「キャサリン令嬢に感謝しなくちゃ」

 

アリアの右手にはキャサリン令嬢から受け取ったペンダント、そしてそのペンダントが開かれてミサイルのスイッチが握られていた。そして、アリアはそのスイッチを持ち、4発目をゲートの額に向ける。

 

「4発目は貴方に向かうわよ」

 

「!?アリア!!」

 

「!!チッ!!」

 

ババババババ!!!!!

 

何かを感じた遊輝がアリアを抱えて飛び込む。アリアは持っていたスイッチを手放して避ける。弾は二人を避けるが、アリアが持っていたスイッチは破壊された。

 

「ホッホッホッ・・・・やはりダメでしたか・・・」

 

「でやがったな・・・」

 

「ようやく黒幕の登場ね・・・・」

 

アリアと遊輝は自分自身に撃たれた先を見つめる。ハリソン号の入り口、ハリソン号の私兵が銃を構え、スーツ姿の禿げ頭のボディガード二人に守られたお爺さん・・・・ハリソン財閥のトップ、ハリソン・ポーターJrが現れた。

 

「役に立たない人間はいりません・・・・・デモを続けましょう」

 

ハリソンJrは手に持っていたスイッチを押す。最後に残された超合金ミサイルが発射がされる。その標的は・・・・・ゲートだ。

 

「ヒッ!?うわああああ!!!!!」

 

ゲートは動けなかった。そのままミサイルに衝突、爆発してしまった。その様子を近くで見ていたキャサリン令嬢と二人の刑事は口を開けて見ることしかできなかった。

 

「さて・・・・知りすぎたあなた達もご退場願いましょう・・・この世から」

 

ハリソンJrがボディガードと共にハリソン号に戻る。ハリソン号の私兵は二人に向けて銃を乱射しながら、ヘリポートに走り出す。

 

 ババババ!!!!!

 

「遊輝ちゃん!!」

 

「OK!!」

 

アリアと遊輝はそれぞれ銃と日本刀を取り出し、鉛玉が飛び交うこの場を駆け抜ける。遠距離攻撃のできるアリアが的確に銃を撃ち、ハリソン号の私兵の銃を弾き飛ばす。近くまで到達したら遊輝が日本刀を使い、ハリソン号の私兵をノックアウトしていく。

 

「ひ、ひいい!!!」

 

「に、逃げろ!!」

 

二人の戦闘能力で完全にびびってしまったハリソン号の私兵達は銃を捨てて逃げてしまう。そして、ハリソン号のエンジンが動き出した。

 

「乗り込むわよ!」

 

「任せろ!!」

 

『ウオオオ!!!』

 

ハリソン号の飛行船からは追加でゲート・セキュリティの警備員とハリソン号の私兵が出てくる。二人は駆け出し、飛びかかってくる敵達を殴りつけたり、蹴りを入れたり、受け流したりして、飛行船に乗り込んだ。

 

「桜!!私たちも行くわよ!!」

 

「はい!!」

 

一方、アリアと遊輝が乗り込んでいるときに氷川刑事と桜刑事も銃を取り出し、ゲート・セキュリティの警備員とハリソン号の私兵を叩き飛ばす。そのまま二人の刑事も飛行船の中へと飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「退け!!」

 

「ぐはっ!!」

 

「邪魔しないでおねんねしてなさい!!」

 

「ゴホッ!!」

 

ハリソン号に乗り込んだアリアと遊輝は飛行船を止めるため、動力エリアへと向かう。途中、出てくるハリソン号の私兵を次々と蹴散らしていき、目的となる動力室に入る。

 

「・・・・・・・・」

 

「!!キャサリン令嬢!!」

 

「!!アリアさん!!」

 

銃を構えて部屋に入るアリア。中には逃げたはずのキャサリン令嬢が動力室のパコソンを動かしていた。

 

「何でまた危険なことに・・・逃げなさいって言ったでしょ・・・」

 

「養父を止めたいんです・・・今の養父はお金儲けなんて目にも暮れてません。自分が世界を動かすことしか頭にありません。そんな養父をもう見てられません」

 

「全く・・・・」

 

「こっちを手伝ってください」

 

「分かったよ・・・」

 

「・・・!!」

 

バン!!!

 

「なっ!?」

 

銃声が聞こえた。その瞬間、キャサリン令嬢は倒れる。アリアは飛び込んでキャサリン令嬢が地面に着く前に抱え込む。

 

「大丈夫!?ねぇ!?」

 

「う・・・うぐ・・・・」

 

「テメェ・・・・ハリソンJr!!」

 

遊輝は日本刀を構えて銃声が聞こえた方向に目を向ける。そこには銃を構えたハリソンJrがボディガード一人を連れて立っていた。

 

「飼い犬との別れはいつも淋しいものです・・・・こいつらの始末は任せます」

 

「待ちやがれ!!」

 

遊輝は声をあげる。だがハリソンJrは別の出口から出てしまった。突如、そのボディガードの身体が光りだす。

 

「ぐ、・・・・ぐああああ!!!!」

 

「!?」

 

「さ、サイボーグ!?」

 

天に向け、咆哮を上げる。上着のスーツが破れ、身体が電気で帯び、体から電気コードの回線が見える。サイボーグは右手につけられた電気に帯びた鉄球を二人に向けて放つ。

 

「チッ!!」

 

「遊輝ちゃん!!」

 

遊輝がアリアの前に立ち、日本刀で斬りつけて防御する。

 

「ここは俺に任せろ!!お前はここから離れてその子の応急処置を頼む!!」

 

「頼んだわよ!!」

 

アリアはキャサリン令嬢を抱え込み、動力室から出る。動力室の入り口で緊急警報装置のボタンを押しながら部屋を出た。動力エリアに緊急装置が鳴り、動力室の扉が固く閉じられる。

 

「時間はねぇ・・・さっさと片付けるぞ!!」

 

「ぎゃあああああ!!!!」

 

日本刀を両手に持ち、構えた遊輝とサイボーグはお互いに駆け出してそれぞれ日本刀と鉄球をぶつける。反動で互いに吹き飛ばされるが、重量が軽い遊輝が少し飛ばされ、壁際に追い込まれる。

 

「(力任せじゃダメだな。あいつ、素早さは無さそうだし・・・・)」

 

「ぐぎゃああああ!!!!」

 

「敵に向かって突進かよ・・・・筋肉バカめ!!」

 

遊輝は突進してきたサイボーグをギリギリまで引きつけてジャンプ、サイボーグは壁に激突して左手の部品が取れる。

 

「ぎゃ・・・ぎゃあああ」

 

「案外脆いな。だったらあまり時間をかけずにすみそうだ!!炎舞ー蝶の舞!!」

 

サイボーグは左手が取れたことお構いなしに、遊輝に向けて電気を帯びた鉄球を飛ばす。遊輝は左に素早く避けて日本の日本刀を優雅にまわし、サイボーグの右手と鉄球を繋げているワイヤーを斬る。

 

「ぎゃ!?ぎゃあああ!!!!!」

 

「へっ、攻撃手段失って自暴自棄か!!じゃあさっさとトドメ刺してやるよ!!!!炎舞ー龍の舞!!」

 

両手を失い、当たり構わず攻撃をするサイボーグ。そんなサイボーグに目掛けて遊輝は走り出し、サイボーグの首元を掴み上に投げる。そのまま自身も大きくジャンプしてサイボーグが落ちないよう高速で斬り続ける。十数秒後、体を切り刻まれ、回路の線が全て切られたサイボーグは地面に大きな音を立てて背中から落ち、そのまま爆発した。地面に着地した遊輝はその様子を見ようともせず、背を向ける。

 

「へっ、大したこともねぇな・・・ん?」

 

余裕そうな笑みを浮かべている遊輝だが、足元に妙な熱を感じた。足元を見ると、ズボンの裾とマントが爆発した衝撃で火を纏っていた。

 

「くそっ!!最後の最後まで可愛げのないやつめ!!服がダメになったらあのクソ上司の罰が重くなるんだよ!!あっちいい!!!」

 

慌てて火を消そうとするがなかなか消えない。さらに先程の戦闘のせいで動力エリアのエンジンがおかしくなり、今にも崩れそうな雰囲気をしている。

 

「畜生!!一旦撤退だ!!」

 

慌てて火を消しながら遊輝は動力室から抜け出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遊輝が動力室でサイボーグと戦っている時、撃たれたキャサリン令嬢を介護したアリアはハリソン号の客室にいた。キャサリン令嬢をソファに寝かせ、隣にあった医務室から包帯を取り、応急処置をする。

 

「う・・・・う・・・・」

 

「大丈夫、もう動かなくていいから」

 

「ご、ごめんなさい・・・私・・・何も役に立てなくて・・・」

 

「そんな事ないよ。あなたがくれたこのペンダントのお陰で私たちは助かったんだから。ほら」

 

アリアは握りしめていたペンダントをキャサリン令嬢の右手に返し、握りしめるように渡した。

 

「う・・・お願い・・・・です。養父を・・・止めて・・・」

 

「分かってるよ」

 

「私・・・・・仮面の斥候の一員だったの・・・」

 

「えっ?」

 

「3年前・・・グールに誘拐されて・・・・そのときに初めて養父の目的を知って・・・私は仮面の斥候の一員となった・・・だけど、それが・・・養父にバレて・・・グールを裏切らないと・・・・子供たちの命が無いと・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

「お願い・・・・養父を・・・・日記を・・・・処分して・・・・・・」

 

「・・・・・心配しなくていいわ。コロンブスの日記は予告通り、私たちが頂く。あんたの養父の罪は警察がしっかりと暴いてみせるわよ。ね、氷川刑事」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

ソファに寝転び、今にも息が絶えそうなキャサリン令嬢にアリアは額に手をかけて優しく声をかける。そして、客室の入り口に目を向ける。そこには全ての事情を知った氷川刑事と桜刑事がいた。

 

「・・・・・・・・・」

 

「氷川さん・・・・」

 

ゴゴゴゴゴ!!!!

 

「わわわ!!!ちっ!!船を出すつもりね!!刑事さん!!」

 

「桜!!キャサリン令嬢を頼む!!ドクターヘリを屋上に呼んだわ!!私はアリアと一緒にハリソンJrの所に行く!!」

 

「はい!!」

 

桜は急いでキャサリン令嬢を抱え込み、客室から部屋を出る。氷川刑事は銃を取り出し、弾を装填する。アリアは氷川刑事の横に立ち、同じく銃に弾を装填する。

 

「おたく、銃の腕前は?」

 

「心配しなくても日本時代に射的選手権で5連覇してます」

 

「弾は?」

 

「18発」

 

「へぇ〜、じゃあ一時休戦としますか」

 

「盗みは許しませんからね」

 

お互いに確認とって笑みを浮かべたアリアと氷川刑事はハリソンJrがいるであろう展示室へと駆け出す。

一方、キャサリン令嬢を抱え込んだ桜刑事はハリソン号のエントランスからゲートタワーに移ろうとする。

 

「!?まずい・・・」

 

だが、ハリソン号はすでに動き出し、少し間が空いていた。この距離を飛ばないとキャサリン令嬢が助からない。意を決した桜刑事は二、三歩下がり、大きくジャンプする。

 

「そうりゃ!!」

 

「捕まれ!!」

 

ジャンプした桜刑事の身体にゲートタワーの飛行船乗り場にいた遊輝がワイヤーを飛ばす。ワイヤーは桜刑事の身体に纏わり付き、遊輝はワイヤーを思いっきり引っ張り、二人を抱き抱える。

 

「大丈夫か!?」

 

「今は大丈夫です!!もうすぐドクターヘリが来ます!!」

 

「よし・・・・あとは任せたぞ、アリア」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと戻ってきたわ・・・・こいつね」

 

展示室にたどり着いたアリアと氷川刑事。アリアは展示室に飾られていた宝石箱を見つける。その展示品の横にあるボタンを押し、ガラスケースをオープン、宝石箱にゲートタワーの社長室から盗んだエメラルドの宝石をはめ込む。展示室に少し地響きが起き、天井から螺旋階段が降りてきた。

 

「ここから本物の展示室に行くのね・・・」

 

「と・・・その前に・・・」

 

氷川刑事は銃を構え、階段に登ろうとしたがアリアは宝石箱と反対側に飾られていた望遠鏡を手にして鞄の中に入れる。

 

「また勝手に盗み出して・・・」

 

「良いじゃん。どうせ直ぐに所有者はいなくなるし」

 

「後でキッチリお灸をすえます。覚悟してください」

「分かってるよ・・・・行くわよ」

 

アリアを戦闘に二人は螺旋階段を駆け上がる。すぐに上にある本物の展示室に入り、アリアは辺りを見渡す。偽物のコロンブスの航海日誌があった場所とちょうど真上の同じ場所にそれらしき場所があった。アリアは笑みを浮かべ、その場所に駆け寄る。

 

「・・・!!チッ」

 

 バン!!

 

だが、その場所に日誌は無かった。アリアは舌打ちをして、すぐに銃声が聞こえる。その場所に目を向けるとハリソンJrがコロンブスの航海日誌が入っているであろう手提げ鞄を抱え込み、アリアに向けて銃を撃っていた。

 

「ハリソン!!」

 

「やはり来ましたね・・・・」

 

バン!!バン!!

 

ハリソンJrはこうなることを予感していたようだ。すぐに二発目、三発目と撃つが照準を合わせてないせいか動いていないアリアに弾が当たらない。

 

バン!!バン!!カチャ、カチャ

 

「チッ!!」

 

弾切れを起こした銃にハリソンJrは苛立ちを隠さず、銃を投げ捨てて逃げ始める。アリアと氷川刑事はハリソンJrの後を追う。ハリソンJrは廊下を走り、扉を開けて逃げる。アリアと氷川刑事もその扉を開け、顔を押さえつける。

 

「くっ・・・風が強いわね。マントは直しましょう」

 

時刻は夜、既に飛行船は動き出し、街を抜けて海上を飛んでいる。アリアはマントを外して鞄の中に直し、非常用梯子を使いハリソンJrを追いかける。上空を飛んでいるため、風の抵抗が凄まじく走っているようでなかなかスピードが出ない。やがてアリアと氷川刑事は数台のヘリコプターが並ぶ簡易の飛行場の場に辿り着き、ハリソンJrを追い詰める。

 

「貴方方はコロンブスの最大の発見をご存知でしょうか?」

 

「知らん」

 

「くだらない話に付き合いません」

 

「クリストファーXですよ。最も、コロンブスは旅の記念にエンブレムを作っただけですがね、なんせ水に溶けてしまう役立たずの鉱石なんですから。ですが熱を加え、加工することでダイヤよりも硬く、鉄よりも強度で、熱にも強い合金になることを発見したのですよ」

 

「興味ないわ」

 

「どうでも良い話ね」

 

「クリストファーXは戦争を変えます。私はこの鉱石で世界のトップになるのです」

 

ゆっくりと歩き、ジリジリと追い詰めるアリアと氷川刑事。だがハリソンJrの後ろにヘリコプターがあることを二人の目に入っている。どうにかして詰めようとするが、なかなか前に進まない。やがて、ハリソンJrがヘリコプターの扉に手をかざそうとする。

 

 ・・・・ドカーーーーン!!!!!!

 

「ぐっ!!」

 

だが、飛行船のどこかで大きな爆発が起きた。先程、遊輝が倒したサイボーグが動力室で最後の爆発をしたのだ。これにより、飛行船の一部は飛行船本体から分離、墜落してしまう。さらにこの衝撃で飛行船は水平移動を維持できなくなり、傾いてしまい、大量のヘリコプターが雪崩のように滑り落ちてしまう。

 

「ああ!!!!!」

 

ヘリコプターに滑り止めをつけていなかった。そのことにより全てのヘリコプターは海へと落ちてしまった。

 

「・・・・悪運が尽きたようね」

 

「ハリソンJr、貴方を1ヶ月前の大統領官邸の襲撃事件について取り調べを行います」

 

「・・・・悪運が尽きたの貴方達だけですよ?」

 

スタッ!!!

 

意味深な言葉をかけるハリソンJr、その直後、破壊された飛行船の一部から上半身が裸のサイボーグが飛び出てきた。あの屋上の際にハリソンJrを守っていたボディガードの一人だ。

 

「グワアアアアアア!!!!!!!!!!」

 

「まだこんな切り札隠して持っていたのね」

 

「良いでしょう。とことん相手にしてあげます!!」

 

「グワアアアアアア!!!!!!」

 

アリアと氷川刑事は銃を取り出し、それぞれ反対方向から大回りで走り出す。サイボーグを挟み撃ちにする。その間にアリアは木の杖も取り出す。

 

「フン!!」

 

バン!!バン!!

 

開幕の狼煙にアリアが銃を二発、サイボーグに向けて撃つ。サイボーグは自身が撃たれる前に青色のバリアを貼り、アリアの攻撃を防ぐ。

 

 バン!!

 

「ギャアアアア!!!」

 

「背中がガラ空きですよ!」

 

サイボーグが前を守っているとき、氷川刑事が後ろからサイボーグの背中目掛けて一発放つ。サイボーグは前しか見ていない。アリアの攻撃は簡単に防いだが、氷川刑事の攻撃はいとも容易く受けてしまう。

 

「グキャアアアア!!!!!」

 

サイボーグは自身に展開していたバリアを解除、後ろを向いて口を大きく開き、レーザー光線を放つ。氷川刑事は走りながらそのレーザー光線を横にかわし、崩れた鉄屑を壁にしてガラ空きとなっている口に銃を放つ。

 

 バン!!ゴン!!

 

「ギャアアアア!!!!」

 

「筋肉バカじゃなくて能無しサイボーグね!!」

 

氷川刑事の銃がサイボーグの左手に当たり、また後方からアリアが木の杖を降り出したファイアボールをサイボーグの後頭部にぶつける。

 

「な、何をしておる!!さっさとあいつらを倒せ!!」

 

防戦一方のサイボーグにハリソンJrは慌て始める。だが、サイボーグの回路が後頭部に攻撃を加えられたことで可笑しくなり、挙動がままならない。何とか右腕からレーザーで出来た剣を作り、アリアに向かって高速移動する。だが、アリアは木の杖に乗り、その攻撃も難なくかわす。

 

「遊んでいる時間はありません!!さっさとトドメを刺します!!」

 

「これで・・・・・終わりよ!!」

 

バン!!バン!!

 

アリアと氷川刑事が撃った鉛弾はそれぞれサイボーグの胸と頭を貫通する。回路とエンジンを撃ち抜かれたサイボーグは完全に動きが止まってしまう。

 

「アッ・・・・アッ・・・・」

 

バコーーーーン!!!!!

 

電気回路がショートしてそのまま背中から倒れる。そして地面についた所で爆発して粉々になってしまった。

 

「ひ、ひいいい!!!!」

 

ハリソンJrは日誌を入れた鞄を抱え込み、爆風に耐える。顔を上げるとアリアと氷川刑事の二人が近くにいた。

 

「パ、パートナーになりませんか?私と一緒に世界を制しましょう」

 

「興味ないね・・・・こいつ以外は」

 

「ひっ!?」

 

アリアはハリソンJrから鞄を引ったくる。氷川刑事は手錠を取り出してハリソンJrに近づく。

 

「ハリソンJr、大統領官邸襲撃事件の容疑で緊急逮捕します」

 

「あ、ああ・・・・」

バコン!!

 

「あれ!?」

 

氷川刑事が手錠をかけようとしたとき、再び飛行船の動力エリアで爆発が起き、飛行船が大きく揺れる。アリアと氷川刑事はその衝撃でバランスを崩してしまい、そのタイミングを見てハリソンJrがアリアが引ったくた手提げ鞄の手提げの片方の部分を引っ張る。

 

「が、返せーーー!!!」

 

「ぐっ!!返すんだったらはなっから盗ったりしないわよ!!!!」

 

「がえ゛ぜーーーー!!!!」

 

ビリッ!!

 

「ひっ!?」

 

力が強すぎたのか、はたまた鞄の手提げ部分が弱っていたのか、ハリソンJrが持っていた手提げ部分が鞄から外れた。ハリソンJrはその反動を止めることは出来ず、飛行船から落ちてしまう。

 

「ああああああああ!!!!!!!!!!」

 

ハリソンJrの悲鳴は段々と聞こえなくなった。その様子をアリアと氷川刑事は真顔で見守っていた。

 

「・・・・小悪党に相応しい情けない最期ね」

 

「えぇ・・・・」

 

バーーーーン!!!!!

 

「ちっ!?もう持たないわよ!!どうするのアリア!!」

 

「ここは危ない!!前に避難しましょう!!」

 

アリアと氷川刑事はここで待つのは危険と判断、すぐに走り出し、まだ安全地帯となっている飛行船の前方部分へと走り出す。爆発して炎が辺りに舞い上がっている中、炎をかき分けて前方部分に到達する。

 

 バーーーーン!!!!

 

「チッ・・・・」

 

「不味いわね・・・もう数分も持たないわよ」

 

「アリア!!!!!」

 

「!?遊輝ちゃん!!」

 

海上を飛んでいる飛行船、暗い夜空の中に声が響く。アリアと氷川刑事は声が聞こえた方向に目を向ける。そこにはドクターヘリを運転する遊輝とドクターヘリの扉からロープを垂らした桜刑事がいた。

 

「二人とも!!ロープに捕まってください!!」

 

「くっ!」

 

「はっ!!」

 

桜刑事の言葉に従い、二人はロープに捕まる。それを見た桜刑事はボタンを押し、ロープを引き上げる。その状態のまま、遊輝は墜落を始めている飛行船から離れる。

 

 バーーーーン!!!バーーーーン!!!

 

飛行船はそのまま爆発を繰り返し、ゆっくりと海面に到達、最後に大きな爆発をしてハリソン号は海の藻屑へと化した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これがコロンブスの航海日誌、でこれがコロンブスの望遠鏡、さらにこれがクリストファーXよ」

 

「へぇ〜、望遠鏡もあの爺が持っていたのか」

 

「そうよ、全く。どこを探しても見つからないわけね」

 

ハリソン号から脱出したアリアは後部席からドクターヘリを運転する遊輝の間に入り、戦利品をマジマジと見る。下を見るとまだまだ海上が広がる。相当遠くまで来たようだ。

 

「これでようやくコロンブスの財産を探しにいけるな」

 

「そうだね。ところで遊輝ちゃん、私、いっぱい質問あるけど良い?」

 

「何だ?」

 

「何でドクターヘリなんて運転してるのよ?」

 

「キャサリン令嬢を運んだヘリをちょっと借りたんだ。キャサリン令嬢は無事だぞ」

 

「それなら良かった。それと、その焦げた服は?」

 

「サイボーグと戦っている時に焦げた」

 

「・・・・罰ゲーム追加ね、それと、これはどういう状況かしら?」

 

「しょうがねぇだろ。ヘリコプター借りた時にこいつも一緒に乗ってきたんだからさ〜」

 

「文句言ってないでさっさと操縦してください」

 

アリアは遊輝の運転席の隣の運転席に目を向ける。そこには桜刑事が拳銃を持って片手で操縦バーを握り、遊輝の運転をアシストしている。さらによく見ると、遊輝の両手は手錠が嵌められて、シートベルトは抜けないように特殊な鍵がかけられている。

 

「ってかよくその状態で運転できたわね。上のボタンの操縦、どうやって触っているのよ」

 

「私が操作してますよ。彼ほどではありませんが私もヘリコプターの操縦免許を持っていますので」

 

「へぇ〜・・・・・・それでこのヘリはどこに向かってるのかしら?」

 

「近くの警察署よ。変な真似しないで貴方もさっさと盗んだものを鞄に直して両手をこちらに向けなさい」

 

アリアの後頭部に銃が向けられる。一緒に戦った氷川刑事は既に停戦協定を外し、二人を捕まえることに頭をシフトしている。

 

「その両手の物とシートベルトの鍵、どうして外さないの?」

 

「ヘリコプター運転しながらそんな器用なこと出来ねぇよ。ドクターヘリはいつものヘリと違って大きいし操縦方法も複雑なんだから」

 

「じゃあ私が運転したら外せるっこと?」

 

「あったり前「ダメです。遊輝さんがそのまま運転してください」・・・・・」

 

「貴方も良い加減両手を差し出しなさい」

 

「・・・・・じゃあこれで手を打ちましょうよ」

 

アリアは頭を運転席から氷川刑事の方に目を向け、コロンブスの航海日誌にあったクリストファーXのエンブレムを氷川刑事に渡す。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「それ、世界中の軍事国が涎を垂らしながら欲しがってるわよ」

 

「・・・・・・・フン」

 

「あっ・・・・」

 

氷川刑事はピンとクリストファーXを弾く。ドクターヘリの窓は空いていて、クリストファーXは海へと落ちていった。

 

「あ〜あ、もったいない・・・」

 

「私たちの仕事は貴方達を捕まえることよ。軍部を喜ばすためにここにいるんじゃないの」

 

「さっすが〜、クリストファーX以上の堅物ね」

 

「さっさと鞄に直して両手を出しなさい。次何か言ったら足撃つわよ」

 

「こ、こわ・・・・・わ、分かりましたよ。言うこと聞きますから・・・」

 

氷川刑事に銃を突きつけ威嚇を浴びて、アリアは萎縮してしまった。観念したアリアはコロンブスの航海日誌を奪った鞄に入れて両手を出す。すぐに氷川刑事から手錠をかけられる。手錠をかけた後、氷川刑事はアリアが盗んだ品を手元に引き寄せた。アリアは手錠を見つめて、溜め息を吐いた。

 

「はぁ〜・・・・せっかく苦労して手に入れたのに、これじゃ水の泡だよ」

 

「苦労をかけるところを間違えてるんです。そのまま何もせずじっとしていなさい」

 

「・・・・・・はい」

 

「お〜い、街見えてきたぞ。どっち行けば良いんだ?」

 

「今見てる方角から左に30度に機体を向けてください。15分飛んだら警察署が見えます」

 

「へいへい」

 

氷川刑事に拳銃を突きつけられ、アリアは肩を落とす。ヘリコプターは海上から陸地へ移動、遊輝は何処に向かうのか問い、桜がすぐに答え方向転換する。遊輝は桜に言われた指示通りにヘリを動かす。しばらく飛んでいると目の前にスポットライトが当てられているヘリコプター場が目に見え、近くに警察署が見える。

 

「もうすぐ警察署です。すでにFBIと地元警察が囲んでいますので無駄な抵抗はやめてください」

 

「いよいよ貴方達も年貢の納め時よ」

 

「あ〜あ、嫌だな〜」

 

「ん〜・・・・どうしたものか」

 

「余計なこと言ってないでさっさと・・・なっ!?」

 

「?桜、どうし!?な、何これ!?」

 

二人の刑事は驚いた。アリアと遊輝にかけた手錠がいつのまにか自分たちに嵌められていた。それだけではない、アリアと氷川刑事を助けるために使った昇降用のロープが破壊されていて、二人を座席で縛り付けていた。

 

「じゃあ俺たち、ここで帰るから!!後の運転よろしく!!」

 

「遊輝ちゃん!!」

 

「おうよ!!」

 

バン!!

 

「ま、待ちなさい!!」

 

アリアはドクターヘリの扉を開ける。盗んだものを入れた鞄を手にして遊輝とアリアは飛行中のドクターヘリから飛び降り、すぐにカイトを広げて闇に消えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う〜ん・・・・・・ここがこれで・・・これが西インド諸島のカリブ海だから・・・その近くかしらね」

 

数日後、サンフランシスコの郊外、アジトに戻ったアリアは手にしたコロンブスの航海日誌に挟まれた航海地図と望遠鏡、日記に残されたメモを頼りにコロンブスの財宝の隠された島を探している。

 

「もう少しで分かりそう・・・・・あっ、3時だ。遊輝ちゃ〜ん、コーヒーとおやつ頂戴〜」

 

壁に飾ってある時計が3時を過ぎているのを見て、アリアは航海地図と望遠鏡を机に置き、遊輝の名を呼ぶ。そんなアリアの所にメイド服を着た見た目が小学生か中学生に見えるメイドが一人、顔を真っ赤にしてコーヒーとモンブランを2つずつお盆に乗せて持ってきた。

 

「////お、お嬢様・・・・本日のコーヒーとモンブランです」

 

「センキュセンキュ、じゃあ一旦休憩に入りましょうか。遊輝ちゃんも一緒に食べましょうか」

 

「////畜生・・・何でこんな目に・・・・・」

 

「キャサリン令嬢を相手の手にやった罰、刑事さんを連れてきた罰、そして何よりもの重罪がアリアさんの服を黒焦げにした罰」

 

「////お、お前だってミスしたじゃん」

 

「お嬢様をお前発言と馬鹿にした罪、ー20点」

 

「//////うわああああ!!!!」

 

指を折りながらアリアはメイドに手を突き出す。メイド服を着たメイドは遊輝であった。彼は男である、もう一度言おう、彼は男である。だが、見た目はそこら辺にいる小中学生のメイドにしか見えない。発狂して顔を机に伏せている遊輝を置いといて、アリアはフォークを手にしてモンブランを崩し、一口食べる。

 

「ん〜!!美味しい!!やっぱ遊輝ちゃんの手作りケーキは世界一ね!!+2点」

 

「////な、なぁアリア・・・そろそろ着替えたいんだけど・・・」

 

「あっ、お嬢様抜いた。文句も言った、ー5点ね」

 

「/////うがあああああ!!!」

 

「下品な言葉、ー10点ね」

 

アリアはこの前の遊輝への罰として、メイド服を来て、メイドとしてアリアをご主人様にするよう奉仕する罰を受けた。最初は0点から始まり、30点になれば罰ゲーム終了だが、現在の彼の点数はー53点である。この前の件から数日経って、まだ罰ゲームは続いているのだ。

フォークをお皿に乗せ、コーヒーを一口飲んだアリアは再び航海地図と望遠鏡を手にして島探しを続ける。

 

「それより遊輝ちゃん、グールちゃんって特赦状で刑務所から出るんだっけ?」

 

「////は、はい・・・・ハリソン財閥とゲート・セキュリティの非合同の研究が世間に知れ、それを暴こうとしたグールは特赦として釈放されると」

 

「それにキャサリン令嬢ももうすぐ退院だったわね・・・・・ここね」

 

望遠鏡を持ったアリアはコロンブスの航海地図を持って、ある部分を見つけニヤリと笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数ヶ月後、西インド諸島のとある無人島。東西に少し山形に盛っており、海岸線の砂浜と少しの草原、そしてヤシの木しか見えない小さな無人島、ここに一組の男女のペアがいた。

 

「確か・・・・この辺りのはず」

 

「グール〜〜」

 

「おっと、どうしたんだ」

 

「なんか・・・こんな無人島に二人でいれるなんて・・・嬉しくて・・・・」

 

彼らの名はグールとキャサリン、彼らはとある人物からの手紙を受け取り、この未開の地にたった二人だけで足を踏み入れたのだ。グールとキャサリンは手にした地図だけを頼りに砂浜の海岸線を進んでいく。二人はいつしか沈んでいく太陽を見つめている。

 

「・・・・綺麗な夕陽ね」

 

「ああ・・・・まさか夕陽でこんなに感動するなんて・・・キャサリン!!」

 

「・・・はっ!!」

 

体を反転させたグールはキャサリンを呼ぶ。その先に見える洞窟には水色に輝く、大きい鉱石が大量に地面から生えていた。

 

「・・・クリストファーXの洞窟」

 

「グール!!見て!!」

 

キャサリンが指を指す。洞窟の少し奥に黄金に輝く財宝が大量に隠されていたのだ。金の延棒から始まり、大量の宝石に当時から使われていたであろう金貨・・・・彼らはコロンブスのお宝を見つけたのだ。キャサリンは地図と一緒にもらった手紙を手にする。

 

『グールちゃんの特赦祝いとキャサリン令嬢の退院祝いにささやかなプレゼントを送る。

 

 

怪盗アリアと遊輝』

 

「全く・・・・これの何処がささやかなプレゼントだよ、あいつら」

 

「・・・これで、不幸な子供達を救える」

 

「ああ・・・・」

 

グールはキャサリンの肩を組み、二人はそのお宝を見つめていた。一方、この幸せな二人を見ている二人組がいた。彼らは双眼鏡で幸せな二人を見て喜んだ表情をしている。

 

「・・・良かったな」

 

「えぇ、これで私たちみたいな子を少なくできるわ」

 

彼らは怪盗アリアと遊輝。二人よりも先にこの島に到達して、わずかばかりの金貨だけを手にして残りを全て二人に渡したのだ。二人は双眼鏡を外し、体を反転して流れ落ちる滝を見つめる。

 

「・・・・・綺麗だな」

 

「そうね・・・船乗りのコロンブスにとって、水はどんな宝石にも変えがたい貴重なものだったはず。あの航海地図と日記は本当はそのためのものだったはずよ」

 

「そうだな・・・・」

 

「もう・・・この地図もいらないわね」

 

そう呟いたアリアは苦労して手にしたコロンブスの航海地図を手放す。航海地図は風に流されて海へ辿り着き、そのまま漂流した。

 

「ところで遊輝ちゃん」

 

「何だ?」

 

「次の仕事なんだけど・・・・」

 

アリアは遊輝の耳元を耳打ちする。それを耳した遊輝は口元をニヤリとする。

 

「良いねぇ・・・腕がなるぜ」

 

「じゃあ、行きましょうか!!」

 

「ああ!!」

 

遊輝の返事を聞いて、二人は滝から離れカイトに乗りこの島から離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今宵、世界のどこかに眠るお宝やお金は怪盗アリアと遊輝によって盗まれるかもしれない・・・・・

 

「私たちに盗めないものは何一つ無いわよ♪」

 

「全く・・・・無駄な時間(ロック)かけても全部同じなのに、俺が全部解除して斬ってやる!」




遊輝「/////・・・・・・・」←メイド姿

アリア「いや〜今年も楽しかった」

いや、3年目の今年は最初からこの作品を取り扱おうとしたけど、想像以上に長かった・・・

アリア「でも一番楽しかったよ!ねぇ遊輝ちゃん!!」

遊輝「////な、何で・・・何でまだこんな目に・・・・」

アリア「あっ、文句言った。ー3点」

遊輝「/////うわあああ!!!!!」

・・・・ありゃ下手したら1ヶ月続くな。
一年目は「派手なデビュー」、二年目は「実力」、三年目は「個人技と結束力」をテーマに書いてきましたが如何だったでしょうか?来年どうしようかな〜。

アリア「来年はもっと可愛い怪盗服にしようね!」

遊輝「/////嫌だ!!」

アリア「主の命令無視、ー10点」

遊輝「//////うわあああ!!!!!」

というわけでここまでの閲覧ありがとうございました。また来年もエイプリルフールは頑張りたいと思いますのでよろしくお願いします。
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