「織斑、姿勢を直せ。それじゃあいくら勉強しても身に付かないぞ。そして、ここはこうだ。この時は非固定ユニットのpicスタビライザーを使って機体の姿勢を制御するんだ」
「じゃあ、この時は?」
「ああ、ここは脚部と非固定ユニット両方を使って姿勢を立て直す。そのあとpicによって減速する……って感じかな。マニュアルはそう書いてあるけど実際はやる事は同時だろうな……おそらく減速しながらの方が正しいかもしれない。まあ実際乗ってないからわからないけど」
「わかんねぇ〜慣性制御装置ってほんとややこしいな」
「そうだな。操縦するイメージとしては多分無重力なんじゃないかな?だから深いプールで水中を泳ぐ……そうだな、加速する時はpicで常にプールの壁を作って蹴る感じ?」
「ああ、常に泳ぎ始めって事か?」
「そう言うことなんじゃないかな操縦するイメージとしては…でもかなり人それぞれのイメージがあるらしいぜ。背中に羽が生えたようなイメージの人もいるらしいからな…俺は戦闘機だったから操縦桿だったからちょっと飛ぶって感覚が分かりづらいかもな〜戦闘機より体の負担も少ないらしいし……織斑先生に聞くのが早いんじゃないか?」
「でもなぁ〜あんまり千冬姉を頼りたくないっていうか。なんかずっと千冬姉に助けられてる感じでたまには自力というか姉の力を使わないでやってみたいんだよな」
「そうか、まあ乗ったことないから本当に探り探りだぜ」
放課後は先生に頼まれた通り織斑一夏に勉強?を教えてる。と言っても自分も勉強してるんだが本当に探り探りやってる感じだ。だが織斑は飲み込みが早い。やっぱり勉強しないだけなのね……こいつやればとことん伸びるタイプだよなぁ〜
「じゃあ、じゃあさぁ!戦い方はどうすんだ?」
「そうだなぁ〜俺は元々GUYSの士官学校で射撃訓練を一通り受けてるから多分射撃メインになるんだろうけど野球とかスポーツやってたか?」
「ああ、中学上がるまで剣道をな……それなりに腕は立つと思うんだが……三年竹刀振ってないからなぁ」
三年のブランクかぁ〜まあ一週間あれば勘は戻りそうな気がするが体がついてこないよな……
「中学三年間は部活とかなんかやんなかったのか?」
「いやぁ〜家さぁ千冬姉1人で稼いで育ててくれてたんだよ……だから近所の定食屋に無理言ってバイトさせてもらってたんだ」
ちょっとまずいかな……流石に空気が思い。つかこんなことサラサラ言って大丈夫なのか?聞いてしまった自分が悪いのはわかるけど……
「悪いな……変なこと聞いちまって気に触るなら謝る」
「いや、いいんだ。この事はもう中学の時も周りは知ってたから慣れてる」
「そうか……まあとりあえず剣道をやってたって事だからやはり近接格闘になるわけでやっぱり竹刀振って戦いの勘を思い出すべきなんじゃないか?」
「そうか?俺的にはISに乗りたいけどなぁ〜」
「IS借りられたらな……貸し出し予約は再来週までフルで入ってる。とてもじゃないが……先輩に譲ってくれそうな知り合いもいないからな」
うん……昼休みに予約を見に行ったがIS、アリーナ共に狙ったように予約は空いてませんでした。どうやら春休み中や長期休み期間は物凄く人気があるそうで休み期間に予約が取れなかった人間が新学期最初の3週間程度を占拠してしまうそうだ。また整備課などがミスをすれば使用できるISが減ったり………なんてことも因みに新年度に切り替わる時は年に一度の各機体のオーバーホールなどを順次行うため余計に予約が取れないようだ。
「そうかぁ〜じゃあ下手するとぶっつけ本番って事が?」
「そうなる。譲ってくれる先輩がいればな…まあ知識や動かし方をイメージだけしておいても全くやらないよりマシだと思うから今こうしてやってるわけだ。まあ本番飛べずに走って戦うって状態だけはやだな」
「それな……なんか千冬姉の顔だけには泥塗りたくないぜ……」
「そうだな……身内の顔だけには泥塗りたくないな…」
「まあ、戦いの勘を取り戻すのは織斑自身に任せる。一応、俺と織斑も戦うわけだし」
「それもそうだな」
「まあ、お互いやれるだけやってみよう。織斑は日本と男の誇りに掛けて、俺はGUYSの誇りに掛けてってところか?他の人間より弱かったら守れないからな」
「そうだなっ!って俺の方が掛ける物多くねぇか⁈」
「気のせいだ」
勝ち目がないと言ったらまあ無いだろう。よっぽど相手が油断していない限り。が、まあそこで諦めたら終わり…
隊長の一番嫌いな言葉だったっけ?「諦める」のって……
「ふぅ……今日はこれくらいにしとこう。今日一日いろんな事があったからな……織斑は寮か?」
「いや。落ち着くまで自宅かららしいんだ。なんだ?明日夢は寮なのか?」
「ああ、元々転々としてたし、ついこの前だってニューヨークの寮だったからな」
「住むとこないんだよ」と頭を掻きながら笑う
「お前も大変そうだな」
「君程じゃないって」
と笑談していると山田先生が入ってくる。
「よかった。二人とも残ってたんですね。特に織斑くんは……」
すると織斑は首をかしげる
「もしかして織斑も寮なんじゃないかな?」
「はい、そのもしかしてです」
「えっ?聞いてた話と違うんですが」
「織斑、たぶんこれが女子ならはいそうですがで済むだろうけど俺たちはまだ世界に二人だけの男性でのIS適合者、つまり自宅にいればマァッドなサイエンティストやヤバそうな悪党共、あと今日のオルコットさんみたいな思想の過激な連中が襲ってくるかもしれないってわけで寮に入れる訳は安全?も兼ねてるって訳だ。まあ日本のお偉いさんからそういう感じで根回しされたんだろ?俺は元々ニューヨーク総本部直々の御達しだったから日本政府も手早く準備したんだけど……」
その話をするとぁ〜と思い当たる節があるようで納得していた。
「で?部屋はどうなってんです?俺と織斑は相部屋っすよね」
「それなんですが……本当は入学2ヶ月ぐらい前に決まってた事なので急遽、織斑くんと風間くんを入れるとなると相部屋は厳しいので申し訳ありませんが女子と相部屋……という形を……あっ!もちろん仕切りなどを用意しますのでっ!流石に防音はできませんが……」
まあ最低限の配慮だろう。仕切りがなかったら色々まずい……
「俺は別に気にならないのですが同室の女の子はストレスになりませんか?」
「ま、まあ、同室の子にもちゃんと了承は得てますので」
「そうですか……わかりました」
そう言い山田先生から鍵を受け取る。このやり取りをやっているうちに織斑は織斑先生から荷物を渡されて……
「最低限の荷物しかないのか………」
織斑は携帯の充電器と着替えが乱雑に押し込められたボストンバッグを抱えていた。
「ま、まあ俺たち勉強しなきゃまずいから娯楽は無しってところかな……」
「そう……だな……ISの事小学生レベルからやらなきゃいけないんだもんな……」
俺も勉強しなきゃなぁ〜
「じゃあ、一応寮にも門限はありますから遅れないように部屋に行ってくださいね。夕食は六時から7時、浴場はまだ使えませんので各自シャワーで……」
「なんで浴場使えないんです?」
「アホか?急遽俺たちを寮に入れてんだ。俺たちが入る時間なんてまだ作れてないだろう?それとも何か?女子が入ってる浴室に突っ込んで手錠かけられたいか?」
「あっ………それは……勘弁だな」
「とにかく今の所は女子専用って所だ。ウッし帰るぞ門限遅れちまうからな」
「そうだな……じゃあ先生、また明日」
「はい、道草はしないでくださいね」
俺たちは各々荷物を持ち寮へと向かう。
寮といっても学園から離れてる訳ではなく小さな広場を挟んだ校舎の向かい側に位置しているので道草を食う事もない
「さて、俺はこっちだからまた後でな」
「おう、俺は1025だならこっちだ。じゃあな」
織斑と俺は別方向へと進んでいく。
といっても俺の部屋は何故か先生達の部屋に近いんだが………
まさか同室の人って先生だったりする訳?
まさかね……でも護衛ならありえるかも
そうして部屋の前に立ちカードキーをかざす。
「開いてる?」
ガチャリとドアを開け目の前にいたのは………
「Hello、Mybrother♪」
金髪で俺よりも少し背が高くかなりのスタイルの持ち主………
「ナタル……はっ?聞いてないんだけど?……っ⁈」
華麗なボディブローによって吹き飛ぶ俺、多分ナタルの呼び方なんだろうなぁ〜
「うげぁっ!解せぬ………」
「元気そうね!Mybrother♪二年ぶりかしら?」
「そ、そうですね……ナターシャお姉様………」
こう言えばいいんだろ?こう言えば‼︎目が怖い目が……
案の定、俺の士官学校での同室だった……いやもっと前から知り合いのナターシャ・ファイルスだった………
一方その頃
日本の某所では白装束の人間達が集まっていた。
「今回の騒動は想定外だったな…さらにあの発言…あのまま行けば…我らの存在が露呈しかけた……」
「アイハラリュウ、先の戦いでの英雄か……」
「さよう……」
「では、GUYSももっと隠密性を重視させるべきだと?」
「いやGUYSの存在は外宇宙への牽制もある。中でもCREW GUYS JAPAN とアイハラリュウ率いる部隊は特に奴らの脅威ですらある」
「メテオール……ですか?」
「ああ、それもあるが彼らの結束力はメテオールのそれをも超えるだろう」
「では、いずれ我々の脅威となると?」
「そうは言ってない。少なくとも我々は平穏を望んでいる。今の社会にも溶け込んでいる。まあ監視はあるがな」
「だが、少しばかり骨が折れましたぞ。GUYSとの契約で記憶の操作もある程度制約が付いてますからな。今回は知っていて当然、だが人前で話は口に出すべきではないワードという形に操作してありますぞ。我々の存在は知らない様子でしたのでそれは弄っておりません」
「ふむ。アイハラリュウや隊長クラスには我々の事をほのめかしても良いだろう。怪獣程度バラされてもGUYSが未だに住民への被害が及ばぬうちに対処してるからな……だが我々は違う。知らないでベラベラとそれらしき事を話されるより知っていて黙ってもらったほうが楽だからな。」
「ではそのように、次の議題ですが騒動の原因の1人である英雄の息子、風間明日夢の件ですが…」
「専用機の件か?」
「はい、専用機と言うのには少し語弊はありますが実質的に専用機と言う形です。GUYSの主力兵器と同様に起動にはメモリーディスプレイが必要なためGUYSクルーでありIS適正のある者であれば使用できる設計です。緊急時以外は風間隊員が搭乗、緊急時は他のクルーがと言う事で、将来的には各国の支部に配備したいと思っていますが……そこは各国の首脳、政府の協力が必要です。」
「そうか、遂にか……メテオール、マニューバモードへの変形機構と動力は積んだのか?」
「メテオールは問題なく詰めたのですがあの動力は現状、量子変換技術を持ってするとそれだけで容量が埋まってしまうので新規設計で補助パーツとして採用する形になりそうです。なにせ一つなら兎も角貴方様方のご要望は三機直列の動力です」
「我等はあの禁断の力をメテオールとして使う未来が見えたのだ……凶悪な者達から命を守るために……」
「人類が前に進む為の力に、マイナスをプラスに変える」
「それで、補助パーツは夏の『福音の鐘』の運用には間に合うのか?」
「現状厳しいかと、ニューヨーク総本部、日本支部の整備班が大掛かりでやっていますが……」
「必ず間に合わせよ。嫌な予感がする。あの軍用機は我等とGUYSが一丸となり宇宙進出をする為の物だ。おそらくそれをよく思わない者たちの介入が少なからずある」
「兎ですか?」
「可能性はある。我々の情報網、捜査能力を持ってしても居場所がつかめん。それにあの頭の中は我々の理解を超えている。自分よりも先に宇宙進出などする者が現れたら奴なら何をするかわからん。歓迎してくれれば嬉しいのだがな……だが言動などのプロファイリングから察するにそれはないだろう」
「さよう。早急に新型機の完成を急がせろ」
「はっ!」
「さらに言えば今回は我等の介入による福音の鐘の設計図その他をGUYSクルー全員への開示をするべきだろう。」
「GUYS総本部は今回は慎重になっていますが」
「だからこそだ。GUYSが団結し備えなければならないのだ。我々の介入は危険だ。なるべく彼らに任せるべきだがな、兎だけでなくまた別の敵が来るやもしれん」
「追っ手ですか?」
「いや、地球を狙い光の戦士達に恨みを抱くエンペラー星人やその他星人が1人だけとは限らないと言う事だ」
「わかりました。ではそのように……」
「これにて地球星警備団の御前会議を解散とする」