ガンダムビルドファイターズ07   作:ジムスキー

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第7話 練習試合包囲網を破れ

横浜Gステーションでの熱戦から少し経ちそろそろ大会予選も見えて来た。

この時期になると陵南中学は練習試合が増える。

おそらくだが弱小校と今の時期に試合をしていい形で予選を迎えたいという事なのだろう。

「そこで、君達に提案なのだが…」

ムカイは言う、練習試合全勝を第一の目的とすると。

当然だ、ナメられたままでは終われない。

試合は三試合組まれた。

ローテーションで三試合を消化すると言うムカイに俺が提案する。

「一回で済ませましょう、一番強いチームと俺が一人でやりますから」

別にチーム戦をバカにしてる訳では無い、だが格下のチームと戦って勝てるイメージを作ろうなんて無礼な奴等がこの先も勝ち残れるとは思えない。

「本気か?」

ムカイは問う、戦いは数だから当然それなりに負担も大きくなる。

「個人戦全国大会用の試作機も使いたいので」

そう言うとムカイは黙って頷いた、互いに実力は知らない間では無い。

そこで次の日曜日に上級生チームが学校で、一年生チームと俺が他校で試合をする段取りとなった。

陵南中学チーム一年の対戦相手は聖北学園中等部チーム聖剣。

去年の陵南中学よりはマシ程度のチームらしい。

チーム上級生の対戦相手は昨年東神奈川の代表予選を優勝したキシリア学園中等部チームスリースターズ。

俺の対戦相手は今年の代表候補の一角である横南高校模型部チームフラッシュナイツだ。

それぞれが各練習試合に向けた準備を始めた。

日曜日

午前中にキシリア学園の選手達が学校へ到着した。

三年のリュウセイの対策としてギャラリーを入れない地味な練習試合になった。

会場は部室のあるプレハブ小屋で三対三でも十二分の広さは確保されている。

「ふむ、公立中学にしては四基のシステムとは中々だな」

中央に居るリーダー格の男が自慢の中型バトルシステムを見て呟く。

「済まないねぇ、此方の事情でわざわざ呼びつける形になってしまって」

部長のリュウセイはそう言うとリーダー格の男に握手を求める。

「まあ構わんさ、試合を頼んだのはこちらだからな」

そう言うと向けられた手を握り返す。

「小さなバトルシステムでは有るが、一般的な学校の小型なバトルシステムよりはマシだろう」

そう言うと笑いながら自分達の立ち位置に向かっていく。

「公立中学の生徒を虐めるなよ部長」

「我が校の大型システムと比べるのは酷ですよ」

他の二人がフォローのつもりかリーダー格の男にそんな事を言っているのが聞こえてくる。

(ボンボンめぇ)

リュウセイはそう心の中で呟きながら、そんな彼等の背中を睨み付けた。

【BATTLE START】

フィールドは砂漠。

上級生チームの機体はリュウセイが赤いジムカスタム、キシダがジムカスタムベースの改修型…ほぼストライカーだ。

アサノはジムキャノン2である。

対するスリースターズの機体はドム三機、かなりの完成度である。

「君達、その機体はプロの作品だね?」

リュウセイは相手の機体を見るなりそれを見破る。

「ああ、我々は勝つ為には投資を惜しむ事は無い」

リュウセイの問いに彼等は悪びれる事無く答える。

ビルダーとファイターが違うというのは良くある話である、だがプロのビルダーに製作をして貰うというのは如何な物かとリュウセイは思った。

「誰が作ろうが勝てば良いのだよ」

リーダー格の男はそう言うと加速しながら攻撃をする。

通常のバズーカでは無い、ビームバズーカだ。

「笑止!」

キシダはそう言うとツインビームサーベルで地面を抉る。

砂漠の砂がそれによって大量に舞い、砂のカーテンを作る。

大気の影響で威力を殺がれたビームバズーカの閃光が舞った砂にぶつかり爆発する。

「小癪な」

三機のドムは綺麗な隊列を組ながら更に突進してくる。

「そこは僕の間合いですよ」

そう言うとアサノのジムキャノンの主砲が火を吹く。

「こちらだって!」

そう言うとドムの一機がキシダのやった様に砂の膜を張る。

「これで!」

そう言って笑うドムの身体を弾丸が貫く。

「実弾だと!?」

直撃を受けた男が自機の爆発を呆然と見ている。

ジムキャノン2の主砲は基本的にビームキャノンである。

それを実弾仕様に改造したのだ。

「ええ、後輩のシンくんのパクりですけど色々付け替えられる様にしてみました」

そう言うとリュウセイを挟んだアサノとキシダはしてやったりと笑う。

先程の砂のバリアもこの実弾を撃つ為の伏線だったのだ。

その事に気付いたか、残る二機のドムは怒りに任せるかの様にビームバズーカを撃ってくる。

「三機同じ装備では連携も組めまい」

最早格の違いは歴然であり、リュウセイは相手の心配をしてしまう。

「舐めるなよ!」

バズーカを振り回せる間合いで無くなると二機のドムは仲良くバズーカを棄ててヒートサーベルを抜刀する。

一連の動きは美しくムダが無いが、援護射撃とか何とかはしないのだろうか。

「ここは僕の間合いだ」

一気に近付くドムの一機をジムカスストライカーが捉える。

大上段からストライカーの頭を狙うドムの両腕を寸断する。

「まだだっ」

ドムの胸にあるビーム砲が光る。

普通なら目眩ましだがこれはどうだろうか?

キシダは考えた。

この完成度のドムである、おそらくは…

ビームの光が消えたとき、そこには立ち尽くすドムと無傷のジムカスストライカーが居た。

「やはりバトル用の機体では無かったか」

キシダは呟くと勇敢なドムに止めを刺す。

残るはリーダーだけだ。

「部長、三対一ですがどうしますか?」

アサノが問う。

「知れたこと」

リュウセイは目を見開き加速する。

 

【BATTLE END】

その後三機による一方的な戦い方でスリースターズとの戦いを終了させる。

「後輩でも無い連中の心配をさせられる筋合いは無い」

リュウセイは格好をつけて言うが、勝ち方は決して格好良くは無い。

 

同時刻、俺は横南高校を訪ねていた。

この学校も公立だがガンプラバトルに力を入れている学校の一つだ。

とは言うものの高校生のチームが格下の中学生のチームと戦いたいと言ってしまえるのは、ある意味で根性が据わっていると言えるか。

そんな連中相手に一人で相手をしようと言う俺も人の事は言えないけど。

「一人で、ですか?」

顧問の先生は眉間にシワを寄せて露骨に嫌そうな顔をする。

あまり詳しく無ければこちらが一年生一人を送り込んだのを塩対応と見るのも無理はない。

「まあ、陵南中学校さんは今の時期は色々と忙しいですからねぇ」

嫌味と取れる事を言う相手の顧問。

「では此方も一年生を一人…」

これ以上ナメられても堪らないので顧問の言葉を遮る。

「構わないんでレギュラー三人連れて来てください」

 

わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ

案内された体育館は割れる様な大歓声だ。

「君の所の部長さんが派手好きと聞いて全校生徒に見学をお願いしていたのですが」

(こいつ、まさか…)

「一年生とはいえ遠慮はしませんよ、少尉」

このオッサン、とんでもない食わせ物である。

 

【PLEASE SETYOUR GANPLA】

俺は何時ものジム改修型をセットする。

今回は全国大会用のパーツの試作パーツではあるが。

「シン、ジム出る!」

フィールドは宇宙、有利不利はないハズだが。

目の前にアラート、巨大なビームが俺のジムを包む。

だが、俺はダメージを受けない。

「魔法のつもりだろうが今時アブソーブシステムで誰が驚くか!」

敵の一人が言う。

だが何も分かっていない。

このシステムはビームを無効にするシステムでは無い、敵から奪った粒子をどう使うかがキモなのだ。

俺はバックパックのサーベルを抜刀した。

「プラフスキーブレイク…」

俺はコンソールのSPパネルをクリックすると静かに技の名前を口にする、本来必要無いのだが要は気分だ。

背中の特大ビームサーベルが今までに無い大きさになる。

そして、それが砕けると無数の欠片が飛び散る。

「何をしようがこのハイパーメガバスターの前では無力だ!」

相手の一人が巨大なビーム砲を撃とうとしたが何も起こらない。

(さあ、ホラー映画に付き合って貰おうか…)

相手の混乱は大変な物だ。

自慢の巨大兵器も作り込んだファンネルも作動しないのだ。

慌てて隊列を乱す機体を見付けると、その背後に近付きナイフを突き刺す。

「何が起きてる!」

突然仲間を倒されて混乱はピークに達する。

ライフルもサーベルも作動しない、苦し紛れに関係の無い場所に放つグレネードの爆発が俺を再び闇に隠す。

左右をキョロキョロと忙しく顔を動かすジャスティスの頭上の隕石に逆立ちする形で立つ俺のジム。

「三次元戦闘は不慣れかい?」

俺の言葉にジャスティスのファイターが慌ただしく俺を探す、そんなジャスティスの頭上からナイフを突き刺す。

(あと一機…)

サエコの派手なファイトの真逆を目指してみたが、少々嫌らしいか?

魔法を解いてガチンコでやりたい気持ちも有るが、これをやるとバトルステージでも変わらない限り魔法は解けないのが珠に傷だ。

とは言えアサシンゴッコもいい加減悪趣味が過ぎるので相手の前に顔を出す。

「やっと出て来やがったか、ペテン師野郎!」

この程度でペテン扱いでは全国や世界は目指せまい。

「どうやらプラフスキー粒子の動きを制限する物なのだろうが残念だったなぁ、俺の前に顔を出した時点でお前の負けは確定したぜ」

相手の高校生はアストレイレッドフレームの改修型で、腰から刀を引き抜く。

「粒子変容素材の刀だ、タダで済むとは思うなよ?」

そう言うとレッドフレームは突進する。

激しい金属音の後、レッドフレームの刀を俺のナイフが切り裂く。

「バカな…」

やはり魔法の効果が今一つ理解していない。

粒子に強い干渉をするのだから粒子変容素材もそうなってしまえばただのプラスチックでしかない。

そんな物を切って捨てるのは雑作でもない。

 

【BATTLE END】

刀と共に心も折れたファイターを倒すのは苦では無い。

向かい側で三人は顧問の先生に集められる。

「分かったか、お前らの未熟さで全国だの世界だのと軽々しく口にするからこういう負け方をするのだ!」

先生の手厳しい言葉に三人は首を竦める。

成程、勝って良し負けて良しの二段構えという訳か。

ここの顧問の先生は侮れないなと思うのだった。

 

一年生チームは午後からなので今から行けばまだ試合に間に合う、そう思い聖北学園へと足を運ぶ。

 

【BATTLE END】

試合会場となった体育館は氷付いていた。

フィールドの中央に仁王立ちするウチの一年生トリオのガンプラは無傷であり、そこらに相手のチームのガンプラがバラバラになって散らばっている。

ダメージレベルは低いので単にパーツが取れているだけなのだが、それでもバトルの凄まじさは伝わってくる。

いいイメージで大会をという考えはそれぞれ砕かれる結果となった。

 

それにしても一体…

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