……っていうのが、最近というか今日の僕でした。それでは本編のお話に行きましょう♪
今回は題名の通り、逃走者が出ます。敏い皆様なら予想は付いているかもしれません。今回から数回、この「逃走者」君が物語の針を一気に進めます。
ということで、今回もお楽しみいただければ幸いです。
鈴谷町 廃工場
ガタンッ!
「ヒッ! ……なんだ。缶が倒れただけか」
とある廃工場。ここにとある青年が隠れていた。彼は何かしらの理由で逃げているらしい。お陰でかなり弱っている。
「……もう、誰も来ないし大丈夫なのかな?」
「おい! ここ、よくないか?」
「お、確かにいいっすね。さすがリーダーっすね」
彼が、独り言をつぶやいていた。その時、彼が隠れている工場に何者かがやってきた。それは何人かのグループで、おそらく不良の集団なのだろう。
「ヨッシャ。それじゃあ、今日からここは俺たちの根城だ! ここから俺たち鈴音連合は日本一を目指すぞ!」
リーダーらしき人物がグループの目標を語るなか、隠れている青年はこれからどうしようか悩んでいた。今出て行くのはよくないだろう。不良たちがいなくなったところで逃げ出してしまおう。と、青年はばれないように工場の奥の方に向かう。だが、世の中とは偶然の産物だ。青年は先ほど倒れてしまった缶を蹴飛ばしてしまった。
「ハッ、しまった!」
「おい! 誰かいるのか? いるなら出てこい!」
ばれてしまった。青年は“あれ”になろうと考えた。だが“あれ”になるのは今を切り抜けても、これからのことを考えると使えないと思った。なので彼は、おとなしく“そのままの姿”で不良たちの前に出てきた。
「……は、はい。な、何でしょうか」
「お前、いつからいた」
「え、えっと、何週間か前から、です」
青年は不良のリーダーと思われる人物から、質問される。正直に答えながら、様子を見ている。周りではほかの不良たちががやがやと、青年をぼこってやろうとか、奴隷にしてやろうとかそういう内容のことを話していた。リーダーの方もこれからどうしてやろうかと思っていたらしい。そして、ようやく答えを出したらしい。
「おい、お前。ちょっと遊ぼうぜ」
「な、何するんですか?」
「簡単さ。俺たち全員とお前で喧嘩だ。勝てば見逃してやる。負ければ、これからずっと俺たちのサンドバックだ。それじゃあ、スタート」
リーダーのスタートのコールで周りにいた者たちが飛びかかってくる。青年は精いっぱいよけたり反撃しようとした。だが、彼はここ最近逃走したこともあり、疲労していた。おかげで彼はやられるばかりだった。
「ハハハ、やっちまえ!」
「おらおら、起きろよ!」
不良たちは青年をボコボコにする。青年の方はもう“この姿”では勝てると思えなかった。このままでは彼らにやられてしまう。彼はどうしたらいいのか精いっぱい考えた。そのうち“あれ”を使ってやろうとした。その時にこれからのことも考えたが、これからのことなんて知らない。もう、こいつらみんな“喰ってやる”! と、彼らしからぬ思考。彼の本能が全てを決めた。そして、青年は残っている体力を使って叫んだ。
「ガアアアアアア!!!!!!!!」
青年がいきなり叫んだことに不良たちはひるんで離れた。青年はゆっくりと立ち上がると、憎悪をこめた眼で青年達をにらむ。それと同時に青年の体が、人ならざるものへと変化していく。その姿は、小さいころに子供たちが潰したりするあの生物、蟻を連想させるものだった。
「キサマラ、ツブス」
青年……蟻は不良たちの方へ走りだし、彼らに襲いかかる。彼らを襲う蟻の持つ憎悪の感情はこの場だけのものだけではないのかもしれない。過去に自分達の家族を、仲間を殺されたことも含まれていたのではないだろうか。
「ガアアアアア!!!!!!!」
狂ったように叫ぶ蟻は不良たちを逃げられないようにする。そこにいるのは全員。彼は一人ずつ前に引きずり出して“ココロ”を喰らう。それは他の者たちの恐怖を大きくさせた。蟻はゆっくり、ゆっくりと“恐怖”を喰らい続ける。そして、ようやくリーダーの番になった。蟻はゆっくりと彼に近づく。リーダーはガタガタと体を震わせながら命乞いを始める。
「お願いだ。い、命だけは、命だけはどうか……」
彼の言葉を聞いた蟻は彼の前で止まり、彼を、そして周りをじっくりと見る。彼を含めた全員は足をけがして、歩くことなどできないだろう。蟻は再び彼の方を見て言った。
「アンシンシロ、イノチハトランサ。……タダシ、“ココロ”ハクラッテヤルガナ」
「あ、ああ……。あ゛あ゛あ゛あああああ!!!!!!!!!」
リーダーが叫ぶ。蟻はそれを見て嬉しそうに嗤った。やがて、リーダーの“ココロ”が喰われると、蟻は再び人の姿に戻った。青年はしばらくの間何もしなかった。その間に彼の本能が戻り、理性が出てきた。
「……あれ? ここ、は。……うっ」
青年はあたりを見回した。そして、その光景を見ると、何かがこみ上げてきた。だが、彼の中は空っぽだった。吐きだしてしまいたいのに、何も吐き出せない。そんな苦しさをしばらく味わった後、彼はその場から逃げだした。そして、この光景は翌日、散歩をしていた人に発見された。
「ほぅ。奴め、かなりの“ココロ”を喰らったな。それで、これからどうするか、楽しみだ」
上空から先ほどの阿鼻叫喚図を見ていた蜂のような、人のような何かは一言つぶやいてから、逃げ出した青年の向かった方へと飛んでいった。
鈴原町 御音通り
「きょ~のご飯は な~ににしよっかな~♪」
この楽しそうに歌いながらスーパーに向かう少年は中森翔逸である。今や三坂家ばかりか高畑家の台所すら支配下に治めてしまった彼は、夕飯の買い物に行くのだった。しかし、彼の目の前に血が付いた服を着た青年が倒れていた。
「だ、大丈夫ですか!? え、えっと、お兄ちゃんを呼ぼう」
翔逸はすぐに駆け寄って声をかける。多くの人が何事かと様子を見るが助けはしない。翔逸はすぐに貴大に連絡して、青年のけがの状況を見る。しばらくすると、貴大がやってきた。
「おい、翔逸! けがしてる人って、この人か?」
「うん、そうだよ。はやく家につれていこう」
「ああ、分かった。緑さんにも電話しとけよ」
貴大は青年を背負って自宅へ向かう。翔逸の方も緑に電話をした。二人は急いで家に帰った。そして、ベッド(空き部屋の)で寝かせた。貴大は青年の様子を見ている。翔逸はお粥みたいな食べやすいものを作っていた。緑は救急箱などを用意していた。
しばらくして、青年が起きた。貴大はビクッ、と飛び起きて青年の方に声をかける。
「おい、大丈夫か?」
「……あ、はい。大丈夫です。それで、ここは?」
「ここは俺の家だ。お前、怪我して倒れてたんだが何があったんだ?」
貴大がそのことを尋ねると、青年の方はうんうん唸ってから申し訳なさそうに言った。
「す、すいません。何にも覚えてないんです」
「え? ああ、それって記憶喪失っていうのなのか?」
「さあ、それなのかはよく分かりません。ですが、今までのこと全部覚えてないのは確かです」
貴大はこれを聞くと困ってしまった。なぜなら、青年が何も覚えていないのなら原因もみんな分からないからだ。しばらく貴大が悩んでいると緑と翔逸が部屋に戻ってきた。
「あ、起きたんだ。それじゃあ、これ食べますか?」
「そうね。それを食べてから話を聞きましょうか」
青年は翔逸の作ったお粥を食べていた。その間に貴大は二人に今の青年の状況を説明した。二人は話を聞いて悲しそうな顔をした。
「何にも覚えてないんだね。どうしようか」
「多分彼は精神的なショックで記憶をなくしていると思うのよ。ひどいけがもしてないみたいだし、しばらくここに置いてあげたらいいんじゃないかしら?」
「ああ、それがいいな。お前もそれでいいか?」
「迷惑じゃないですか?」
「気にすんな。大丈夫だよ」
「それじゃあ、決定だな」
こうして、青年が記憶が戻るまで、この三坂家に滞在することが決定した。そして、ここでも上空から彼のことを見ていた何かがいた。
「フフ、まさか仮面ライダーの下に行きつくとは。面白くなってきたな」
そうつぶやくと、何かは小さな生物になった。それは危険な虫として有名なスズメバチであった。
鈴原町 三坂貴大宅
青年のけがはすぐに治った。だが、彼の記憶は相変わらず戻りはしなかった。彼はこの家で庭にでいろんな生き物を見ているのが好きだった。そして、彼の名前は何にするか考えようということで未だに決まっていなかった。だが、ある日翔逸がこんな名前はどうかと言いだした。
「
「理由は何だ?」
「えっとね、『この世界の総ての存在を慈しむ』って感じかな。ほら、いつも庭でいろんな生き物とか見てるでしょ」
「おお、それいいかもな。それでお前はどうだ?」
「いいんですか? そんな良い名前もらって」
「当り前だよ。それじゃあ、今日から総慈ね」
こうして青年の名前は総慈となった。総慈は嬉しそうに笑ってありがとうと一言皆に言った。総慈は翔逸と一緒に家事などをした。総慈のおかげで翔逸の負担が減って、翔逸は感謝しているようだった。
「総慈さん、ありがとうね。すっごい助かるよ」
「いやいや、僕は何にもしてませんよ」
こうして楽しく生活しつつも、総慈の記憶が戻るようにいろいろなところを巡ったりした。だが、なかなかいい反応がない。もちろん何か思い出しかけたものもある。それは公園だ。彼が、寝転がった時に何か思い出しかけたのだ。……結局分からなかったが。だが、何か関係があるのだと分かったのは大きな収穫だろう。
こうして、二週間が過ぎた。今は六月の二週目。日が長くなってきたころでもあるし、雨が多くなってきたころでもある。ここ数週間、“使心獣”の反応がなく、貴大は“嵐の前の静けさ”という言葉を思い出したほどだ。
そして、ずっと総慈を監視している蜂といえば、人と蜂が混ざった姿でまた上空から彼を見ていた。
「記憶をなくしたようだが、未だに戻らんのか? まあ、そろそろ報告に行かねばならんからな。その時にこれからのことを聞いておくことにしよう」
そういうと、今度は総慈のもとを離れ、北東に向かって飛んで行った。そして、その様子を見ていた一人の少女がいた。その少女は………
「あ、あれって怪人かな!? 私、何かすごいもの見ちゃったのかな!? 三坂君に話さないと!」
……県立鈴音東高校、都市伝説研究部、部長の永見優希だった。
鈴谷町 鈴音東高校
「み、三坂君! き、昨日ね。み、見ちゃったの」
「見たって何をだ?」
月曜日、学校で貴大と優希が話していた。その内容は優希がみた怪人のことだった。
「昨日ね、“原のミ”で怪人がいたんだよ。空飛んでたんだ」
「ほ、本当かっ!」
貴大はあまりの驚きに大声出して、立ち上がるという周りの視線を集めるようなことをしたが、今の彼には気にならない。彼は更に優希に話すようにいう。
「それで、どんな奴だった? 何してた?」
「えっと、蜂みたいな感じでしばらく何処かを見ていたんだけど、北東の方に飛んで行ったんだ」
「そうなのか。それで他には?」
「ごめん、これ以上は何も分からないかな。それにしてもすごく気になってるみたいだね」
貴大は優希にそう言われて、うっ、と詰まってしまった。確かにあそこまで聞くのはおかしかったかもしれない。貴大は必死に言い訳する。
「ほ、ほら、俺だって都市研の部員なわけで。それなりに興味もわくというか……」
「そうだね。それにしても、ここまで熱心になってくれるのはうれしいな」
なんとか言い訳に成功したみたいだ。貴大がこんなにも気にしていたのは部員だからとかではなく、ハーツとしてやっぱり見逃せないからだ。貴大は信じてくれてよかったなと思っていたからか、彼の友人達(新二や和馬、響の三人)は怪しそうな眼で彼のことを見ていたのには気がつかなかったらしい。
??? ???研究所
「ドクター、報告に来ました」
とある研究所。ここに一人の科学者と総慈を監視していた蜂がいた。
「No48の様子はどうだい?」
「はい。それが、奴は記憶を無くしており、ただいま仮面ライダーの下で総慈という名で人として生活しています」
「それは本当かい? フフフ、No48は特殊だと思っていたけど、ここまで僕を楽しませてくれる」
「……ドクター。それで、これからどうしますか?」
蜂の質問に科学者はしばらく悩んでから、目の前にある機械の画面を見ながら答えた。
「そうだね……。それじゃあ、彼を失うのは痛かったが記憶を無くされてはもう使えないからね。それじゃあ、始末しておけ。期日は………」
科学者の前にはカレンダーが現れ、そこにはいろんな計画が書きこまれていた。そして、彼が差したのは来週の土曜日。
「この日だ。この日に仮面ライダー達全員の前でNo48を処刑しろ。だが、この日の前に誰かを送り込んでみるから、記憶が戻れば処刑は中止、ここまで連れてこい」
「分かりました。それではまた向こうに戻ります」
「よろしく頼むよ。もう何体もの“使心獣”が彼にやられている。君達も彼に一矢報いたいだろう?」
科学者がそういうと蜂は一礼だけして出て行った。そして、蜂とは入れ違いに今度は三将の一人と名乗った、青年が現れた。
「おい、ドクター! なんで仮面ライダーを消さねえんだよ。今なら俺が一撃で喰い殺してやるのによ」
「おいおい、君は荒っぽいね。……でも、彼はもう少し観察しておきたいのさ」
「はあ、あの猿といいドクターといい分かんねえな。弱い奴なんて見る価値もねえのによ」
「いい加減にしないか。それ以上口答えするなら……消すよ」
科学者がそういうと青年は軽くおびえた。そして、科学者の影を見てつぶやいた。
「……全く、名前の通りの影だな」
どうでしたか? 最近、だんだん文章が悪くなっていってる気がします。ただでさえ悪いのにこれ以上悪くなってどうするんでしょうか……?
それでは本編のお話です。
今回は「逃走者」の総慈君が出ました。どっかで、「僕は天の道を往き……」とか「おばあちゃんが言っていた。……」とか言ってほしいですね。記憶がないから二つ目は無理だけど。
それでは、父親の監視の目が光っているので、このくらいにしておきましょう。次回の[懼]の回も見ていただければ幸いです。
それでは。
See you later!