……あ、まだ変身しません。っていうか、次も敵についてのお話だったりで変身しません。
ごめんなさい。変身して戦うのが見どころなのに。
まあ、とにかくスタートです。
少年side 鈴本町 鈴音駅
「ここが、父さんと母さんが住んでいた街か。まずは家に行って、それから地図に書いてあった所へ行くか」
俺の両親は、一か月前に書置きを残して俺の前から姿を消した。俺は、書置きのとおりに前に住んでいた街からここ、鈴音市へとやってきた。家は昔両親が使っていたところで、そこに住むことにし、それから俺を助けてくれる人がいるそうなので、その人の所へ行くつもりだ。これから困ったら助けてもらうことにしよう。その人、家の隣らしいから。
俺がここに来ることは、長い間両親に反対されていた。あの両親が理由も教えてくれないところから相当の事情なんだと想像はつくが。だから、俺は、ここには、一生来ることなどないと思っていたのだが、まさか、両親に行くように言われるなんて……。
俺の両親は、三坂大我と三坂愛衣といって、それなりに有名な科学者だったらしい。らしいというのも、俺が物心ついたころには、研究などしておらず、資料のようなものすら見たことがないからだが。おそらく、二人がここに来ようとしないのも、研究の関係で何かあったからだと俺は考えている。はたして、ここで何があったのか。ここに来れば分かるということだったので、必ず理由を見つけるという、とても大きな志を持ってここまで来た。そうこう考えていると、我が家に着いた。
「ふぅ、よし! 必ず見つけてやる!」
「何を見つけようというの」
「え? あの、その、えっと……」
「ここはね、私の先輩たちのうちなの。あなたみたいな、どこのだれかもわからない子供の来るところではないわ」
いきなり、見知らぬ人に話しかけられた。目の前には、ぱっと見て二十代ぐらいの女性。この人、父さんたちの知り合いなのだろうか。もしかして、この人が俺を助けてくれる人かもしれない。
「どこのだれかも分からないのは、自己紹介してないからですよね。どうもはじめまして、俺は、三坂貴大。ここに住んでいた、三坂大我と三坂愛衣の息子です」
「へ? う、嘘つくんじゃないわよ。あの人たちが子供作り方なんて知ってるわけないでしょう。恋人は何をするのか分からない、そもそも恋人とは何だ、とか大人になっても言い出すような人たちなのに」
今、ものすごいことを聞いた。いや、確かにそんな感じがするとは思っていたが、昔は、そんなにひどかったか。そうだそんな事より、俺がこれでしっかり説明しないと家にも入れない。さあ、考えるんだ、三坂貴大。君ならできる。Yes,we can!……いや、youか。
「俺の顔を見てください。昔から、両親そっくりだといわれてましたから。こいつが証明です」
「う~ん、まあ、確かに似てるわね。目は大我さん、鼻や口は愛衣さんそっくりね。ふ~ん、まあいいわ。信じてあげる。さ、荷物を置いて隣のここに来なさい。ここに来る人を助けるように頼まれていたから。まさか、息子だったなんて」
ミッションコンプリート! 俺は、なんとか説得したぞ。さ、両親のことをたっぷり訊いてやる。
新人警官side 鈴矢町 土音通り
「答えていただき、ありがとうございました」
「いやいや刑事さん、そんなことないよ。でも、このことには関わらないべきだ」
はぁ、何を聞いてもみんな同じようなことしか答えない。そして、最後の忠告も一緒だ。いったいどんな凶悪な奴がいるんだろうかと考え込んでしまう。何しろ、皆が恐れているんだから。仕事仲間たちもこれにかかわろうとしない。おかげで、俺一人で、このことを調べることになってしまった。
ここまで調べて分かったこと
・まず一つ目が、例の都市伝説のとおり“ココロ”を喰われている(?)人がいるということ。ある人は、何があっても喜べないなど話と同じだ。
・二つ目が、被害者に共通点はなく、強いて言うならこの街にずっと住んでいる人間が被害にあいやすいということだ。
・最後に最近これが活発になってきて、被害者がそろそろ人目に付く所でも始まると噂になっている。もし、本当なら大変なことだ。
俺は市民を守る。そういう、志を持ってこれからも、犯罪者たちと戦う。
男の子side 鈴波町
ここ鈴波町は鈴音市の中でもかなり治安が悪い。不良があちこちにいて、気をつけないと大変なことになる。そして、もうひとつこの街で一番なことがある。それは、奴らの出現率だ。大体、六割くらいがここに来ている。おそらく、不良なら喰ってもばれにくいとかそんな理由だろう。
僕は、ずっとここに住んでいる。父さんや兄さんがここで、トップにいたかららしい。でも、父さんは母さんと一緒に死んだし、兄さんは、壊れてしまった。もしも兄さんが死んだら僕は、どうしたらいいのだろうか。いや、そんなことにはならないんだ。兄さんの“ココロ”は喰われた。でもきっと立ち直る。僕が、立ち直らせるから、絶対自殺なんてしないで。
ガチャ
扉をあける。いつもの、2DK。僕らが暮らす家。ここの住人は、少しずつ減って、そう遠くないうちにゼロになるんだろう。……いや、ゼロになんてしないから、悲しいことはやめよう。そうだよ、今日は兄さんが跳んで喜ぶ唐揚げなんだから。
「兄さん、ただいま。今日はさ、兄さんの好きな唐揚げなんだけどさ。食べられそう?」
返事がない。いやなことがたくさん思い浮かぶ。いや違う、きっと寝ているだけ。全く兄さんてば、寝るのは、お月さんが昇ってからって言ってるのにな。
「ねぇ、兄さん……兄さん!」
遅かった。
兄さんは、キッチンを血の海に沈めていた。その目にはもう、輝きなどなくこの世界に絶望していたのだと簡単に分かった。せめてもの救いなのは、その顔が嬉しく……いや、ようやく苦しみから解放されるとホッとしていたことだ。これで、家族全員が死んだ。そうじゃないか、僕以外がみんな死んだ。
僕の志は、作ったそばからたたき壊された。もっと早く帰ってくればと、後悔する。でも、今の心を埋め尽くすのは、今まで感じたことのない厭な感じ。
そうか、これが、孤独なんだ……
ありがとうございました。
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