それでは、今回のお話!
今回は三回目、後篇ですね。今回は題名通り、“愛”と“盾”が今回の注目ポイントです。
それでは、お楽しみいただければ幸いです。
鈴浜町 鈴音港D区画
「きつかった……」
腰を足をマッサージしながら広場にやってくる少年、三坂貴大。彼は穴に落ちた後、“
「遅い」
「悪かったな。穴に落ちてたんだ」
「何があった!?」
“使心獣”の悪態に真面目に返す貴大。しかし、彼にはその返事の意味がよく分からなかったようだ。一瞬?が浮かんだが、すぐに気にしないことにする。
「まあ、いいや。始めるぞ」
「良いぜ。ここも勝つ!……変身!」
「
貴大の中にある膨大な“ココロ”は、チップによって貴大の装甲になる。それは、貴大に装着された。貴大は少し跳んでから言った。
「仮面ライダーハーツ、行きます!」
「来い! このNo5シロナガスクジラの“Balaenoptera musculus”が相手する!」
貴大は何処かのモビルスーツが発進しそうなセリフをいい、クジラはそれにこたえる。遊戯の後半戦が始まる。貴大はいくつものチップを取り出して、すべて入れた。
「
「はあああ!!!!」
「ぐっ!」
貴大は四つのチップを一気に入れた。“
「はあ!! だあ!! せいやあ!!」
「ガハッ!」
しばらくして、クジラは金縛りが解ける。寸前まで来た貴大の攻撃をなんとかよけて、その大きな体で体当たりをかます。貴大は攻撃途中で、よけられずに正面から受けた。攻撃を受けた貴大は、うめきながら起きあがった。
「……きっついな」
「そっちだって、いきなりなんてことするんだ」
互いに悪態をつきながら向き合う。そして、仕切り直しだという感じで、再び走り出した。
鈴浜町 鈴音港E区画
少年、夢乃叶はE区画の遊戯の舞台に来ていた。彼を待ち受けるのはエイのような姿をしている“使心獣”だ。叶はそれを見て尋ねた。
「エイ、ですか……」
「ああ。俺はNo26アカエイの“Dasyatis akajei”だ」
叶はマンタと呼ばれる生物をしっている。オニイトマキエイとも言うその生き物は、ほぼ害がない。プランクトンを食べ、性格はおとなしい・好奇心旺盛・人懐っこい。という、かなり安全な生物だ。そんなマンタと同じエイである。危険など一切ないだろう。叶はそう考えていた。だが、叶は知らない。エイの中には危険な種もいることを。
「始めるか」
「ええ。そうしましょう」
エイは緊張感を持っている。かなり本気だ。一方叶は少し油断というか、慢心している。
「変身!」
「
その音声が流れ、叶の周りには装甲が出てくる。叶はそれを装備した。
「……さあ、殺し合いを始めようぜ」
「ああ、そうだな」
願は手元から大きな槍を取り出す。願はそれを振り回しながらエイに突撃した。ブンブン振り回されている槍はエイに襲いかかる。
「おらおらああ!!!!」
「うっ。こいつ、意外に速い」
エイは槍の動きをく見てかわす。そして、尾を鞭のように操って攻撃する。願はそれを槍ではじきながらよけた。
「そんな戦い方をするのかよ」
「そうだが。なんだ? 降参でもするか?」
「ハッ! 誰が」
エイの言葉を一蹴した願はまた走り出す。今度はチップをとりだした。
「こいつを使うのは趣味じゃねえが、仕方ねえ」
「
その音が流れると、エイはなぜか恐ろしくなってきた。目の前にいる眼がとてつもなく強い存在だと思えてくるのだ。一体何が起きている? 今の自分は勝てるのか? 自分が負けるヴィジョンしか見えない。恐怖・狼狽・混乱、そう言った感情がエイを支配する。
「効いてきたか」
願はそうつぶやく。“
「な、何を……」
「チップで、お前の感情を操作したのさ」
願はそう言うと、また武器を取り出して攻撃する。今度はエイの動きが鈍っていて、攻撃はどんどん当たった。
「ハハハ! もっとだ! もっと!」
「うう……っ! そこだ!」
「何!? グハッ!」
願が攻撃している途中でチップの効果が切れ、エイは願に尻尾を刺した。願の肩に刺さった尾は抜けない。
「ぐっ! い、痛みが……」
「当り前だ。俺の尾には毒があるんだからな。おまけに返しがあるから抜けない」
「そ、そんな馬鹿な。エイに毒なんて……」
「あるんだよ。お前が知らなかっただけだろ?」
声を絞り出す願にエイは淡々と返事を返す。そして、その尾を動かして願にさらなる痛みを与える。
「あ、ああああ!!!!」
「痛いだろ? さあ、もがいて死ね。苦しみぬいて地獄に堕ちろ」
憎しみのこもった声で、ドンドン尾を動かす。更に足で腹を蹴る、手で顔を殴る、という攻撃もする。願は苦しみながらも、なんとか二つのチップを入れた。
「“
「必殺技だと!?」
願がいきなり必殺技を放ってくることにエイは驚く。エイはすぐにでも逃げ出したいが、自分の尾が願に刺さっていて抜くことができない。慌てている間にも願のためは終わった。
「道連れ、だ」
「し、死んでたまるか!」
「死ぬんだよ。願式必殺術“
願の周りに出てきた武器は一斉にエイに向く。そして、それは願をよけるようにしてエイにすべて命中した。
「まあいい。貴様はどの道、死ぬ」
エイは諦めたのか、襲ってくる武器をすべて受け止めながらそう言った。そして、大爆発を起こす。そばにいる願も爆発にのまれてダメージを受ける。
「ガアア!!!!」
願はなんとか助かったようで、体を引きずりながら一人を解放した。そして、解放した人に他の人を解放するように頼んで移動する。今の自分には戦えない。だから、もう一人の戦士であるハーツに後を任せるために彼のもとへと向かった。
鈴浜町 鈴音港E区画
斧を持った貴大はクジラに切りかかる。クジラはそれを間一髪でよけて、体当たりをする。貴大は慣れてきたようで、すぐにしゃがんで足を払いに行く。しかし、それもよけられる。一進一退の攻防、というのがぴったりな戦況だった。
「やるな」
「そっちこそ」
互いの強さを認め合うと、また攻撃を始める。貴大は斧を捨て、新しい武器を取り出す。
「
その音声が流れると、貴大の手には鞭が握られていた。貴大はそれを使ってクジラに攻撃を加える。
「ハッ! はあ!!」
ビシッ! という音がして、クジラに攻撃が当たる。それを繰り返すごとに、貴大の方が優勢になってくる。
「どうだ!!」
「くそっ! 負けてたまるか!!」
貴大の言葉に躍起になったクジラは、反撃しようとするが近づけない。貴大はそろそろ終わらせるために、二つのチップを取り出す。
「“
「喰らわんぞ!!」
ためを始めた貴大を見て、クジラは攻撃をよけようと構える。
「届けろ決意を! “
「ハッ! ハッ! はあああ!!!!」
鞭による猛攻がクジラに襲いかかる。一回目はなんとかよけたが、二回目以降は失敗した。縦横無尽に襲ってくる鞭が最後の一撃を与えたと同時に、クジラは爆発した。
「勝った!」
貴大はそれだけ言うと、すぐに人質の解放を始める。
「大丈夫ですか?」
「ああ! ありがとう!」
「いえいえ。それより、他の人たちと一緒になって早くここから逃げてください」
「分かったよ」
人質の解放はすぐに終わり、貴大は一息をつく。これで、あとは二戦か一戦。叶の方がどうなっているのかが分からないので、どちらかはわからない。だが、確実に終わりに近付いていると思うと嬉しくなっていた。
「み、三坂君……」
ドサッ
「か、叶!? 大丈夫か!?」
「エイ、の毒が……」
「ど、毒!?」
いきなり、叶がやってきた。叶はやって来ると同時に倒れ、毒にやられているという。見たところ、今から病院に行っても間に合わないように見える。つまりこの場で直すしかないのだ。貴大はそれに気づき慌てる。
「何かいいチップは……っ! あれなら、なんとかなるかも!」
貴大は使ったことのない、あのチップに賭けることにした。これがだめなら、彼にはもう手段がない。
「
“
「頼む! 叶の毒を消してくれ! 傷を治してくれ!」
貴大がそう祈ると叶は光に包まれる。そして、少しずつ傷が治り顔色が良くなる。しかし、毒はまだ体を回っているようだ。
「ど、どうすれば……。何か効果を上げるチップは……」
「み、三坂君。これを……」
「これは」
叶が渡したのは、“強調”の“
「
その音声が流れると叶の傷は完全にふさがり、毒の方もなんとかなったように見える。叶は起きあがると、体の調子に驚いた。
「き、傷がない! 疲れも無くなってる!」
「そう、か」
「三坂君! 大丈夫ですか?」
「大丈夫。多分お前のチップを使ったら、“ココロ”を大量に消費したんだ」
貴大は自分のではないチップを使ったことにより、叶より疲れていた。叶は貴大に向かって言う。
「後は任せてください。僕がきっちり勝ちます」
「ああ、分かった」
叶はそう言うと、最終決戦の場へと急いだ。
鈴浜町 鈴音港F区画
「……来たか」
ぽつりと一人の青年がつぶやく。彼はそのままニヤッと笑う。残るは自分ひとり。他の奴らは皆負けたが、自分は勝つと思っている。理由は簡単だ。最終戦ということは大なり小なり疲労や怪我があるのだから。彼は六人の中では最も強いのだから。彼は自分の対戦相手を待った。
「ここですか?」
「ああ、ここだ」
やってきた少年、夢乃叶の問いに答えを返す。そして、おもちゃやお菓子を前にした子供のような目をして言った。
「さあ、始めるぞ」
「分かりました。……変身!」
「
叶についているドライバーからその音声が流れると、叶の周りのは装甲が出てくる。叶はそれを装備した。そして、出てくる人格が叶から願になる。
「お前もさっさと準備しやがれ!」
「ああ、そうだな」
青年はそう言うと姿を変える。それは“海のギャング”や“
「ハハハ! 最終戦を始めようぜ、仮面ライダー!」
「当り前だ!!」
その会話で試合が始まる。願はすぐに槍を出す。そして、それを使って攻撃を仕掛けるが当たらない。逆に近寄られて、鳩尾のあたりを蹴られる。願はその痛みで少し下がった。
「……くっ、こいつなかなか強い」
「当り前だ」
平然と言いのけるシャチ。願はそれを見て悔しいと思うことしかできない。願は内側にいる叶と望に話しかける。
『どうすんだよ!』
『俺っちにかかれば、か~て~る~♪』
『うっせえ! お前はすっ込んでろ! ……叶はあるか?』
『……神田さん』
『ア゛ア゛?』
叶のつぶやきがよく分からない願。だが、望の方は分かったようだ。
『あ~た~ら~し~い~♪ チップを~♪』
『仕方ねえ。俺がぶっ飛ばしたかったが、今回は勘弁してやる!』
願はそう言うと“D”からチップを出した。シャチはそれを見て言った。
「ん? 新しいチップか? ……良いだろう。それもつぶしてやる」
「ほざいてろ!」
「
その音声が流れると願の装甲がゴツゴツとした物から女性用にも見える装甲になる。白と赤を基調としているその左手には大きな盾がある。その変化が終了すると口を開いた。
「あはっ☆ 皆のアイドル
「……は?」
世界のどこにいるだろう。ついさっきまで乱暴口調で喋っていた奴が、いきなりキャハ☆ なんて喋り出しそうなキャラになると。……それが、いたのだ。今、このシャチの目の前でキラッ、という効果音が出そうなポーズを決める敵。これのせいでシャチの調子が完全に崩れた。
「あれ? どうしたのかなっ☆」
「…………よ」
「悩み事かな? それならお姉さんが聞いてア・ゲ・ル・ゾ☆」
ご丁寧に人差し指を動かしながら喋る祈。おかげで、シャチの限界を超えてしまった。
「なんでそんなにキャラが変わるんだよ!!!!」
「なんでって、人格が願ちゃんから私になったんだもん」
「だからってそんなのはねえよ!!」
「そんなに怒っちゃダメだぞ☆ お姉さんの方が怒っちゃうんだから、ぷんぷん」
もう、ふざけているとしか思えない祈を無視して、シャチは“ビークール”を合言葉に落ち着く・深呼吸・手のひらに“人”と書いて飲む・素数を数える……etc。できることはみんなした。そして、落ち着いて考える。これは敵の作戦だ。こちらの調子を崩して倒す。なんとも恐ろしい作戦だろう。シャチは、あれは素でやっているんじゃない、演技なんだと自分に言い聞かせて祈の方を見る。
「な、何かな? そ、そんなに見られたら恥ずかしい……」
「…………」
「や、やめて!! そんなかわいそうな物を見る目で見ないで!!」
「…………」
「そんな目で見られたら……何かに目覚めそう!! アッ! ああっ!」
演技だ。あれは素ではない。何かに目覚めるのもきっと嘘だ。大丈夫、何を怖がることがある。さっさと倒せばいい。シャチはじっくり自分に言い聞かせ直す。そして、攻撃を開始する。
「はあああ!!!!!」
「きゃあ! お、女の子に攻撃するなんて、男の子がすることじゃないぞ! お姉さん怒っちゃうんだから」
祈は装備されている盾ですぐの攻撃をはじく。盾は丈夫なようで傷一つついていない。シャチはそれを見て、舌打ちした。
「硬い。硬すぎる」
だが、攻撃手段はないはず。そうシャチは考える。あの喋り方であんなに大きな盾を持っているのだ。武器などあるわけがない。シャチは相手の疲弊したところで勝負をつけようと考えた。
「ほら、今度はそっちの番だ」
「よーし! お姉さんはりきっちゃうぞっ☆」
そう言うと、祈は盾を構えたまま右手を突き出す。そして、言った。
「ファイヤー!!」
「な、何ィ!?」
シャチはいきなりの攻撃に驚く。なぜならいきなり、祈から炎が出てきたからだ。その炎はシャチにヒットする。シャチはあまりの熱さにすぐに退散して怪我がないか調べる。すると、体のあちこちがやけどしていた。
「くそ! 火が使えるなんて聞いてない!!」
「当り前だよ。誰にも言ってないもん☆」
シャチの悪態にいつもの調子で返す祈。シャチは心身ともにピンチである。祈はそれに気がつき、チップを出す。
「これで終わりにするよっ☆」
「“
「これで決めるよっ☆」
祈はくるっとターンして、ポーズを決める。そして、目の前に集まる火球の方を見ながら続きを言う。
「ヘスティア・マジック“
「ぎゃ、ぎゃああああ!!!!」
祈の撃ちだした火球はシャチに当たった。シャチは叫びながら爆発した。祈はシャチが倒されたことを確認して人質を解放した。人質を皆助けて変身を解除してから、貴大がやってきた。
「おい、叶! 俺たち、勝ったな!」
「はい。なんとか全勝できました。三坂君のあのチップが無かったら無理でしたよ」
「そうか。それはよかった」
二人は勝利の喜びを分かち合う。この戦いは“愛”と“想い”と“願い”で勝利を勝ち取ったと言えるだろう。二人の戦いはこれからも続くだろう。しかし、今回と同じようにきっと彼らは勝ち続けてくれる。二人はこれからも人々のために戦う。
どうでしたか? 不安なんですけど。
今回はグラントの新たな人格“
今日は、宿題があるのでこのくらいにしておきます。
それでは、次回の[憫]の回も見ていただければ幸いです。