えっと、ようやくテストも終わったので一回書いた物を出します。
……僕、『質の向上』を目的に時間をあけた気がするんです。しかし、実際は上がるどころか下がっているかもしれないこの事態はなんでしょうか?
『愁中の紅葉狩り』って題名だったのに、特に何にもない回だったのに。気が付いたら題名は違うし、話のエンドが変わっているし。内容も何度も推敲したのですけどね……。
まあ、今回の話も楽しんでいただければ幸いです。
西打山 鼓湖
「“
「確かに面白いよね」
貴大達がいる西打山の三合目あたりにある鼓湖。この山は西“打”山というだけあって、“鼓湖”“
「そろそろ、昼にしないか?」
「ああ、そうだね。……皆! そろそろお昼にしないー?」
「そうだな」
「それがいいわね」
この場にいるのは貴大・翔逸・勇介・緑だ。叶は良太郎と出かけているようで、この場にはいない。四人は湖のそばにシートを広げて、昼食をとる。
「翔逸。お前、もはや主夫の域だな」
「うん。俺は外食ばかりだから、こういうのは嬉しいな」
「そうね、とってもおいしいわ。それにしても、小学生より家事能力の低い私って……」
「そう? ありがとう」
十人十色ならぬ、四人四色の回答である。翔一の作ったサンドイッチは、味はもちろんだが見た目もきれいだ。ちょっとした芸術になるかもしれない。四人はあっという間に食べ終わってしまった。
「ごちそうさま。いやあ、うまかったな」
「お粗末さま。それで、これからどうするの?」
「そうだな……上に登ってみるか?」
「それがいいんじゃないかな?」
昼食を終えた四人は、上に登るということで準備を始める。
「それじゃあ、行くか」
「「「お~!!」」」
準備ができた四人は掛け声をかけて、上に登り始めた。西打山はそこまで標高が高いわけではなく、歩きにくいわけでもないので、半日でも十分帰ってこれる。今は秋であるため、山を赤や黄色に染める紅葉を楽しめる。まあ、四人はこれを見に来たのだが。
「だいぶ散ってきたな」
「うん。今日を逃したら、もう駄目だっただろうね」
今日は十一月の二週目。今週を逃せば、かなり散っていてあまり楽しめなかっただろう。四人は、景色を楽しみつつ上を目指した。そうしていると、途中で休憩所があった。四人はいったん休憩をしようと、休憩所に入った。中には二人の男性がいて、四人は会釈をしてから少し離れたところに座った。
「疲れたな。今、何合目だ?」
「えっと、確か……七合目だよ」
今の時刻は二時過ぎ。昼を食べたのは一時頃だったので、一時間で四合分を進んだことになる。今から登って行けば、下山し終わるのは六時前といったあたりだろうか。その時、休憩所に誰かが入ってきた。体中傷だらけで、足取りはおぼつかなく、服には“鈴音山岳管理局・西打山支部”と書かれていた。
「み、皆さん」
「あ、あんた大丈夫か!? き、木野!! 手伝ってくれ!!」
「分かった。伊達は怪我を調べろ!!」
木野と呼ばれた男性は手当てできるものを探しに行った。伊達と呼ばれた男性は管理局の人の怪我を見ていた。貴大達は見ていることしかできない。
「ゆっくりでいい。何があったか話してくれ」
「り、リスが……」
「リス?」
「リスが、群れになって、襲ってきて、三人、さらわれて……」
わけがわからない。リスが群れになって襲ってきたというのだ。リスが人を襲うことなど滅多にない。それにリスは群れを作って暮らす動物ではないはずだ。管理局の男性は、先ほど帰ってきた木戸や伊達に治療されていた。少し楽になったのか、伊達の質問に対して返す答えが滑らかになる。
「なあ? リスってこんな大きさだろ? 人がさらえるとは……」
「数百匹単位で襲ってきたんです。この森だけではない、おそらく南吹山や東引山からもきている固体がいます」
管理局の人の話が事実とするならただ事ではない。おそらく、下山して帰ることすらも危険と言える。
「おいおい、そんな状況でどうするんだ?」
「仲間の一人が入山禁止の知らせを出しました。出ていく人はいても、入る人はいません」
入ってくる人はいないようだ。この状況なら、無事に残っているのはこの場にいる者だけだろう。小屋になっている休憩所はこの場所にしかない。残りは帰ったか、さらわれたかだ。
「他に何か気になったことは?」
「他に……あ、そうだ!! 人がいました。リスみたいな恰好をした人です」
「リスみたいな恰好した人? ……それが犯人か?」
「かもしれません。でも、着ぐるみにしてはリアルすぎたのですが……」
管理局の人の話はそこで止められた。なぜなら、あたりがガタガタうるさくなってきたからだ。全員が外を見る。そこには、大量のリスがいた。
「き、来た!!」
「こ、こんなにいたのか……!!」
ドンドン!! ガタガタ!! と、窓が音を立てる。そんな窓は完全にふさがれ、部屋の中は暗くなっていた。その時、貴大の携帯がうるさく鳴り響いた。それは、貴大の嫌いなあれ、“Hサーチャー”の音だった。
「こんな時に出るな!! ……何っ!!」
「どうしたの?」
「こ、これ……」
貴大の携帯は現在、“使心獣”のいる地点を知らせていた。その場所とは……
……この小屋だった。
「これは人間じゃねえ!! “使心獣”だったんだな!!」
「な、何だい“使心獣”って……」
「この事件の犯人です!! 緑さん、どうやって行きましょうか?」
「どうしたらいいかしら。扉を開けていけば、小屋にリスが入ってるし……」
「そ、それなら……」
貴大と緑が出撃方法を考えていると、管理局の人がおずおずと声を出した。
「どうかしたのですか?」
「いや……小屋を出るなら隠し扉を通ればいいと思います」
「隠し扉があったなら早く言ってください!!」
「無駄です。扉が二重なだけですから、出てもリスの大群に襲われる」
彼が行った二重の扉。これならリスを中に入れないで、外に出ることができる。貴大はそれを聞いて彼に尋ねた。
「扉は?」
「こっちです」
貴大は小屋の端に案内された。そして、壁に手を当てるとぐっと押しこんで、取っ手を出した。
「これで行けます」
「ありがとうございます。それじゃあ……」
貴大はドライバーをつけた。そして、“H”のホルダーから真っ白なチップを出した。貴大はそれを胸の前に持ってきてから言った。
「変身!!」
「
その音声が流れ、貴大は装甲を纏う。それは、都市伝説で囁かれるあの正義の味方になるための物だった。
「か、仮面ライダー……」
「じゃあ、行ってきます!! 念のため、叶に連絡しておいてください!!」
貴大はそう言ってからすぐに一つ目の扉を開けた。そして、それを閉めてからいったん深呼吸をする。そして、チップを取り出した。
「
貴大の手には剣が現れる。それをしっかりと握って、貴大は二つ目の扉を開いた。扉のあたりにはあまりリスはいなかった。貴大は“使心獣”を探す。
「どこだ?」
「隙有りッ!!」
貴大は叫ぶ間もなく上からの攻撃を受けた。背中から伝わった衝撃に乗って、貴大は地面にたたきつけられる。おまけに上に何かが乗っていて起きられない。貴大の口から声が漏れる。
「ガハッ!!」
「ククク……。先制はいただいたよ、仮面ライダー」
「お、お前は……」
貴大は首をひねって、なんとか“使心獣”の姿を確認した。そして、その姿を見て声をあげた。
「り、リスか!!」
「いかにも。僕がNo42ニホンリスの“Sciurus lis”だよ。それにしても、初日から仮面ライダーがいるなんて嬉しいなあ。……あれ? もう一人の方はいないのかな?」
「御生憎様。今日は、俺だけだ!!」
貴大はなんとか離さなかった剣を背中の方に振る。しかし、リスは身軽な動きで剣をよけた。貴大はリスが上からいなくなったので、すぐに起きあがる。リスは小屋の上にいるようだ。貴大はすぐにチップを取り出す。
「
“
「さあ、始めるぜ!!」
「いいねえ。僕も君の“ココロ”を喰らってみたいんだ」
これを合図に両者は戦い始める。貴大は剣のリーチを生かして、リスが近づけないように切りつける。リスはその身軽な動きを生かして、攻撃をよけつつ近づくチャンスをうかがう。貴大は少しずつじれったくなって、チップを取り出した。
「
「ハッ!!」
「ほいさっ!! あらよっと!!」
貴大の放つ銃弾をおどけながらよけるリス。貴大のいらいらは募るばかりだった。だんだんと狙いが雑になる。リスの方も“原獣体”と“怪人体”を入れ替えながら攻撃を加える。
「あれ~? どうしたのかな~? 狙いが雑になってきたぞ~」
「ガハッ!! …………ああ!! クソッ!! 当たれ!!」
貴大は下にいる緑達のことも考えると、早く倒さねばならないと思っていた。そのため、少しずつ焦りだす。いや、もう焦っていた。一向に当たらない攻撃を続けながら、貴大は次の手を考える。しかし、思考も雑になってきて、言い考えが出てこない。リスは周りのリスにまぎれて攻撃を放つ。貴大はもう、自棄になっていた。
「当たれ!! 撃たれろ!! くたばれ!!」
「全部お断りー。リス軍団達、仮面ライダーを抑えるんだ!!」
「な、何っ!?」
いきなり飛びかかってくるリス達。貴大は更に焦る。このままではやられてしまう。ああ、良い考えは!! 早くしろ!! 何かないのか!! 支離滅裂になっていく思考。貴大の焦りは速度を増していく。焦りの小さな旋風は大きくなっていく。
「お、重い……」
「ハハハ、圧死するのかな?」
リスの大群に潰されている貴大を見て笑うリス。リスはまだ乗っていないリスにも指令を出す。
「君達も乗るんだ!! 仮面ライダーを押しつぶせ!! ……あ、でもそしたら“ココロ”が喰えないな。うーん……ああ!! 動けない程度にしてよ」
「ぎゃああああ!!!!」
ミシミシと音を立てる小屋。上にのしかかるリスの大群。このリス達に罪はない。貴大はむやみな行動を起こすことができなかった。その時、バキィッ!! という大きな音が鳴る。それは、一点にのしかかった貴大達に耐えられずに折れてしまった小屋の屋根の音だった。貴大達は大きな音を立てて落下した。ドーン!!と大きな音が鳴り、煙が舞う。貴大は先ほどまでのダメージでまともに動けなかった。
「いてて……ぐっ!」
「おや? 動けないようだねえ」
リスが下に降りてくる。そんなことはどうでもいいと、貴大は緑や勇介はどこにいるのかと探す。扉に目を向けた時、扉のしまる音がする。皆は逃げ出したようだ。貴大はそれにホッと安堵する。しかし、完全に安心はできなかった。
「あれ? 逃げちゃったのか。……リス君達!! 彼らを追いかけて、例の場所に護送するんだ。彼らは確実に“貯心体”するように!!」
「貯心体?」
リスの口から出てきた言葉に疑問を隠せない貴大。リスはそれを聞いて、貴大の方を見る。
「仮面ライダー君は知らないのか。仕方ない、冥土の土産に僕が教えてあげよう。彼らは僕らのアジトに送られて“ココロ”をためるタンク、“貯心体”という者になるのだ!!」
「な、何!? は、早く止めないと!!」
貴大は衝撃の事実を聞いた。そして、先ほど以上に焦りだす。それを感じ取ったリスは貴大の声をかける。
「安心しなよ。今捕まえても、迎えが来るのは明日だからね」
「そんなこと関係ない!!」
「うるさいよ。君はここで僕に“ココロ”を喰われるんだ。気にしたって無駄だ」
リスはそう言って、貴大に近づいていく。貴大は先ほどの攻撃があったため、ろくに動けない。少しずつ焦りが大きくなる。貴大の中で起きた“焦慮”の風が外にも漏れ出てくる。それは、少しずつ強く噴出し始める。
「さあ、早く“ココロ”を、喰わせて、も、らう、か、な……」
口調はきつそうだが、着実に一歩一歩近づいてくるリス。それで、とうとう貴大の心のリミッターが外れた。あたりには強力な風が吹き荒れる!!
「な、何が起きているんだ!!」
「こんなことさ」
「ど、どうして立ち上がって……」
リスが見た時、貴大は立ち上がりたくても立ち上がれなかった。しかし、今の貴大は立っている。リスが驚く中、貴大は緑色に輝くチップを入れた。
「
貴大の姿が緑を基調とした身軽な姿に変わる。それは“焦慮”を意味するハーツ“
「ギャッ!! グハッ!!」
リスの体のあちこちに切り傷ができる。その風は“鎌鼬”などと呼ばれている。ハーツのチップをスペックオーバーさせ、更に“
「こ、こんなことって……有るかああああ!!」
「いきなり何を!!」
リスはいきなり叫び出す。それはいきなり様子の変わった現実の否定。
相手がいきなり強くなるなんてありえない。
こんなにズタズタにされるなんてありえない。
自分が負けるなんてありえない。
自分は強い。自分は勝つ。自分は負けない。自分は弱くない。
リスは自分に言い聞かせる。たとえ、心の奥底で敗北を認めていたとしても。
「負けない、死なない、やられない。勝つんだ、倒すんだ、殺すんだ。僕は、僕は…………最強だあああああ!!!!」
リスがそう叫んだとき、リスから大量の“ココロ”が出てくる。その膨大なエネルギーが貴大を圧倒する。更にはリスの姿を変化させていく。
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね…………死ねえええええ!!!!」
ありったけの“ココロ”を放つリスだった何か。貴大はとっさに風で盾を作りだして防いだ。だが、その衝撃は傷ついた体に響く。
「ぐっ……早く仕留めないと」
貴大はすぐにチップを取り出す。そして、それを急いで入れた。
「“
「はあああああ!!!!!」
「し、死んでたまるかあああ!!!!」
貴大は風を剣に集束させ、おかしくなったリスの方を向いて構える。そして、それを振った。剣からは風の斬撃が飛んでいく。
「飛ばせ焦慮を!! “
「ガアアアア!!!!!!」
「行けええ!!!!」
リスは貴大の放った斬撃をよけ、天上に跳んで何処かへと逃げだした。貴大はすぐに追いかけようとするが、傷だらけで動けない。貴大の“ココロ”が尽きたのか、変身は解除される。
「ま、待て……」
貴大はそれだけしかつぶやけなかった。飛んでいきそうな意識の中、誰かが入ってくる。貴大はそれを確認することなく、意識を闇の中に落とした。入ってきた人物は貴大を見て口を開く。
「“変換”の少年はまた力を得たのね。“創造”の彼も力を得ているし……。私だけかしら? 力を得ることはできないのは。……まあ、所詮私は“喪失”ってことなのね」
誰かは悲しそうに、それだけを言ってから、小屋を出て行った。
どうでした? ……最近、投稿するごとにお気に登録がマイナス1されていて、精神にダメージが入っています。
それでは、今回は……何を話せばいいのでしょうか。
……え? 何も書くな? ちょ、ちょっとちょっと!! それは困ります!! 僕はこのあとがきのために執筆しているといっても過言ではないのに!!
まあ、今回は最後の人と“焦慮”の疾風について話すことにします。
最後の人ですが……誰ですかね? 分かる人にはわかるかもしれません。分かった方は『ハーツ通』の称号をゲットです!! 称号、ゲットだぜ!!
そして、“焦慮”の疾風。貴大君が立てたのは、風で自分の体を軽くしていたからです。……え? 出力をあげれば、空も飛べる? ええ、理論上は可能です。しかし、空を飛ぶには膨大な“ココロ”が必要なので実質無理です。
以上!! 次回の[慄]の回も見ていただければ幸いです。
See you next time!