すいません。前回、あとがきの最後に[惑]の回って書いてたんですけど、もともと決めていた内容(それだと[惑]だった)から、変わってしまったので、サブタイトルを変えました。
それで、今回のお話。
今回は、タイトルからも予想できるような内容です。
それと、今回から出てくる彼ら。少しだけ注目。
それでは、お楽しみいただければ幸いです。
鈴本町 鈴音駅
「ん~、着いたー」
「詠二君、ここが鈴音市ですか?」
「あ、うん。最近、ネットの一部でここが話題になっているって聞いたから来て見たくなったんだ」
会話する二人の男女。彼らはこの街に来るのは初めてのようだった。
「それにしても、なんで話題になっているんですか?」
女性は男性にそう訊いた。男性の方は、ニコッと子供のような笑顔を浮かべて言った。
「分かんない!!」
「……え?」
「だからね、話題になってるって聞いたらすぐに行きたくなったからよく分かんない」
「じゃあ、どうするんですか!!」
女性がそういうと、男性の方は相変わらずニコニコ笑いながら言った。
「大丈夫だよ。この街の人にでも訊いたらいいだろうから」
「そんなの、街の人でも分かんないかもしれないじゃないですか」
「大丈夫。それが書いてあったサイトから分かることを条件に入れればいいよ」
「それ……どういうことですか?」
「簡単なことさ」
男性はそう言って、道行く一人の男性に声をかけた。そして、その人がこの街の人だと確認すると、こう言った。
「この街で、有名な都市伝説ってありませんか?」
鈴原町 高畑緑宅
「緑さん……」
「何、貴大君?」
鈴原町にある高畑緑宅。そこでは、貴大が緑の下にやってきていた。
「最近、新しいチップが出てきにくいんですよ」
「そうね。多分、日常生活で使用可能になるほどの感情が無くなったのね」
「そういうことですか?」
「そうよ。チップを使えるようにするには特定の感情を一定以上にしないとだめだから」
緑の話したとおりである。ハーツのチップは使用者の特定の感情が一定以上に達することでしようが可能になる。怒り、喜びなどなど……の感情の中にはあまり感じることがなかったり、使用者の性質で上がりにくいなどの理由があげられる。
「そうですか……」
「そうね。だから、今以上に強くなるなら、私が新しい武装を作るか貴大君が今以上にチップを使いこなしていくか、ね」
「今から武装を作るとしたら、どのくらいかかりますか?」
「そうね……年単位になるのは確実ね。出来ても、あまりいい物とは言えないと思うわ」
「じゃあ、俺が頑張らないといけないみたいですね」
貴大は少し疲れたようにそういうと、緑は貴大に言った。
「貴大君。私は食器と調理器具を作っただけよ」
「……え?」
「いい? ハーツシステムっていうのは食器と調理器具。使用者という料理人、“ココロ”という材料。これがないと力という料理はできないわ」
「はい……」
「だからね、料理するのはあなた。どんな料理にするのかも、その過程で何をするのかを決めるのもあなた。貴大君、あなたが仮面ライダーハーツという一つの料理を作るのよ」
料理を使った喩だった。それは、いろいろと小難しく考えていた貴大にはいいものだっただろう。事実、貴大の顔は仮面ライダーになった時と同じような“決意”が籠っていた。
「料理、俺が作る……緑さん!! 俺、もうちょっと頑張ってみます!!」
「うん、頑張ってね」
貴大は先ほどの仕方なく、という感じとは違い意気込んで頷き、緑はそれを子供の成長を見る親のような顔で眺めていた。そして、しばらくすると、貴大が思い出したように話を始めた。
「緑さん、もうひとつ話があるんですけど……」
「何?」
「あの、ロストっていうライダーのことです。あれ、両親が作ったんですかね?」
「それは無いわね。それなら、叶君が知っているでしょうし。……あれ? 私は作ってないし、先輩たちも作ってない。竜崎君が作るなんてないから……」
貴大はそこまで聞いて、おかしいと思った。そして、その点をすぐに訊く。
「緑さん。“ココロ”に研究にかかわってたのって、俺の両親、緑さんに竜崎の四人ですよね?」
「初めて会ったときにも言ったと思うけど、私が知っている限りは、だけどね」
「……どういうことですか?」
「あの時の研究施設、贅沢過ぎたのよ」
貴大の両親をリーダーにした研究チームは個人研究という扱いだった。だが、緑の知る研究メンバーの中にあれほどの機器を用意できるお金を持っている、もしくは援助を受けられる関係の者はいなかった。と、いうことは……
「……まだ、“ココロ”の研究に関わっていた人がいる、ということですか?」
「おそらくは、そうね。でも、多分だけど、一人か二人だと思うわ。進みが気にならない感じだったからそれほど多くないと思って」
「そうですか」
貴大は緑の考えを聞いて、沈黙した。そして、しばらく黙ったままだったが、ゆっくりと口を開いた。
「緑さん。俺、あいつを見て思ったんです。なんであんな簡単に殺せるのか、壊せるのか、って。それで、気がついたんですよね。俺には覚悟が、“決意”が足りなかったのかもって。“決意”はスペックオーバーはしましたけど、あいつだったらもっと強くなってたんじゃないかって」
「だから、あんなことを……」
「はい。でも、さっきの話を聞いて思ったんです。俺にはあんな“決意”は無い。でも、あいつには光? っていうのかな。明るさ、がなかったんです」
「それは“優しさ”とか、“喜び”みたいなプラスの感情のこと?」
緑が尋ねると貴大は首肯する。そして、話を続ける。
「人には長けてる物と劣ってる物がある。それは、努力で挽回もできますけど、どうしようもない部分もあると思うんです。だから、劣ってる部分を見て嘆いていないで、そこをどう補っていくか考えて、行動しないといけないって、分かったんです」
「貴大君……」
「俺、やっぱりあいつの考えは分かりません。だから、今度会った時にそれについてきっちり話したいと思います」
「そうね。頑張って、貴大君」
「はい!!」
貴大がそう返事をすると、いきなり警告音が鳴りだした。たくさん置いてあるコンピューターの一つが反応してしる。この機械は“Hサーチャー”だ。
「貴大君!! “使心獣”よ!! 場所は……“沢のシ”だから!!」
「分かりました!!」
貴大はすぐに走り出して、“沢のシ”……鈴沢町の始音通りに向かって行った。
鈴沢町 始音通り
「おらおら!! ハハハハ!!!!」
「おりゃあ!!」
「グハッ!! ……だ、誰だ!!」
当たりの建物を破壊している怪物。貴大はそれにとび蹴りをかまして着地した。
「俺か? 俺はこういうもんだ!!」
貴大はドライバーを取り出して着けた。そして、チップを取り出して、ドライバーに入れた。
「変身!!」
「
「か、仮面ライダー!?」
貴大が叫ぶとその周りには装甲が現れ、貴大の装備されていった。そして、それを見た怪物は驚いて、一歩後ずさった。しかし、一瞬止まった後にまた一歩踏み出した。
「こんなに早く来るのは予想外だったが……まあ、いい。今回は仮面ライダーを倒すのが目的だからな」
「そんなこと言ってて、できるのか?」
「ハッ、言ってろ。この俺、No41アカギツネの“Vulpes vulpes”がお前の“ココロ”も体も喰ってやるよ!!」
狐はそう言って、何かを取り出した。それは、行者の持つ杖のようなものによく似ていた。
「何だそれ?」
「これか? これは錫杖だ。杖としても使うが、武器としてもつかわれる便利なものだ」
「そうか。じゃあ、それがお前の武器、だな」
「そうだ。これが俺の“
狐は錫杖を回してから、地面を叩いた。カンッ!! と、音が響いた。貴大はチップを構えて、次の狐の動きを待つ。狐も貴大が構えたのを見て、錫杖を構えた。お互いに何の動きもないままに、時間だけが過ぎていく。しかし、突然そんな両者の耳に誰かの声が聞こえた。
「陽菜ちゃん!! あれ!! あれ、きっと本物の仮面ライダーと怪人だよ!! おーい!!」
「ちょ、ちょっと、詠二くん!? 何してるんですか!! 襲われちゃいますよ!!」
「大丈夫だって。なんとかなるから」
そんな、なんというか気の抜けるような会話に、貴大と狐はたがいに目を合わせてため息をついた。なんというか、興が冷めてしまったのだった。
「……なあ、あれはなんだ?」
「おそらく、都市伝説のことを面白がって見に来たやつだろ。……うざいから、“ココロ”喰ってやる」
「何っ!?」
貴大が狐の発言に驚くと同時に、狐は二人に襲いかかっていた。
「喰らってやるぜええ!!」
「きゃあああ!!!!」
「やばっ!!」
狐が飛びかかると、詠二は叫んでいる陽菜を掴んで後ろに飛んだ。先ほどまでは飄々としていたが、さすがに今は真剣な目をしていた。
「いや~、予想外。まじでやばかったね」
「詠二く~ん!! 怖かったです~!!」
「くそっ!! 外したガハッ!!」
「隙有り!!」
軽くラブコメっている詠二と陽菜を襲おうとしていた狐は、貴大の側頭部を蹴られて吹っ飛んでいた。
「か、仮面ライダー!! 不意打ちは卑怯だ!!」
「卑怯? 戦う力もない人に襲いかかるようなお前らに言われたくはない!!」
貴大はそう言って、チップを取り出した。貴大は、その黄色に染まっているチップをドライバーに入れて走り出した。
「
「うっ!!」
その音声が流れると同時に貴大の体が電気に包まれる。狐は貴大の纏っていた電気を受けて、軽くうめいた。貴大はしばらく走ってから止まると、右腕をバッ!! と、横に振って電気を飛ばした。すると、そこには黄色い装甲をしたハーツ“
「くっ!! 姿が変わろうが、俺がお前を倒す未来は変わらない!!」
「それはどうかな?」
「
貴大が入れたのは“槍”のチップである“
「はあっ!!」
「ハッ!!」
狐は錫杖を使って、槍をそらしてカウンターを決めに来る。貴大は錫杖をよけつつ、攻撃を繰り出していく。
「おらっ!!」
「セイッ!!」
一進一退の攻防、とはこのことを言うのだろうか。貴大が槍をつき、狐が錫杖でそらして突きを繰り出す。それを貴大がかわして槍を薙ぐ。それを狐が叩いて……と、攻撃してはよける。よけては攻撃する、と繰り返す両者。勝者には怪我はあまりなく、疲労だけが蓄積されていた。
「くそっ、決まらねえ」
「……仮面ライダー」
「なんだ?」
「次、互いの本気で決める、ってのはどうだ?」
「次の一撃で勝敗を決する、ってことか? ……いいぜ、乗った」
両者は後ろに下がる。そして、狐は錫杖を構え、貴大は二つのチップを入れて構えた。
「“
「はああっ!!」
「おおおっ!!」
お互いに武器を構えたまま止まった。貴大はこんな状況で、この時だけ必殺技名はちょっと変えた物にしようか、とどうでもいいことを考えていた。そして、何かを合図に両者は動きだした。
「くたばれ仮面ライダー!!」
「落とせ驚愕を!!
この鈴音市にちなんで、中二なネーミングの必殺技を放った貴大と破壊の意思でできた“ココロ”を込めた錫杖を突きに行った狐。狐は貴大も突きに来ると思っていたため、動きが止まる。その間に迅雷を纏った槍は狐の胸に刺さった。
「か、仮面ライダー……」
「なんだ?」
「さっきまで突きで戦っていたのに、最後だけ投擲なのか……」
「文句あるのか? まあ、騙すみたいな感じだけど、一撃で決めるっていうだけで、攻撃の内容について何も触れなかったから、別に何でもいいかと……」
完全に騙して勝利を勝ち取ったようになってしまった貴大。まあ、言いだしたのは狐なので狐にも非があると言えば、ある。狐は悔しそうな表情をして叫んだ。
「こんな負け方認められるかああ!!!!」
しかし、空しくも狐の体は貴大によって叩き込まれた“ココロ”によって飽和状態になり、爆発した。貴大はボーっとしている詠二と陽菜の下に向かった。
「あの、大丈夫ですか?」
「……あっ、ああ。大丈夫」
「あの、大丈夫と分かったら、ひとつお願いがあるのですが……」
「何?」
貴大はこの前の荘太郎の件を思い出しながら、詠二に言った。
「この事、秘密にしといてもらえますか? 忘れろとは言いませんから」
「え? ああ、そんな事なの? 全然大丈夫、安心して」
「そうですか。ありがとうございます」
「うん。……あ、でも、一つだけ条件をつけてもいいかな?」
「条件、ですか?」
「うん。それは……」
貴大のお願いを、条件付きで受けれるといった詠二。詠二は貴大にその条件を話そうとしたが、何者かがその場にやって来た。
「もう終わっちゃったの?」
「そうね。……また見られたの?」
それは、グラントとロストだった。二人とも変身しており、グラントは“
「あ、ああ。そうだな」
「じゃあ、この前と同じように……」
「ちょっと待て!!」
「……何?」
麗華はすぐにチップを入れようとしていたが、それを貴大が止める。麗華は怪訝そうに貴大を見つめ、貴大は麗華の前に立って話し出す。
「お前、どうしてそんなやり方しかできないんだ? もっといい方法はたくさんあるだろ」
「……何言ってるの? これが最善よ。確実に私たちや“使心獣”のことが広まらないわ」
「確かにそうだ。でもな、人の記憶はそう簡単に消していいものじゃない!!」
「“使心獣”に喰い殺されるか、記憶を消されるか。選ぶなら後者でしょ?」
「お前、本気で言ってるのか? 俺たちはその二つの選択肢に、何もされない、という三つ目の選択肢を作らないといけないんだろ」
「あなた、本当に甘いのね。世の中、そんな理想論が通るほど優しくないのよ」
二人の話は少しずつヒートアップして来る。祈はその間に詠二と陽菜を何処かに逃がしたようだった。
「お前は、殴りでもしないと分からないのか?」
「あら? 口がだめなら手を出すの? 思考も子供なら、やり方も子供なのね」
「言っても聞かねえ分らず屋には、これが一番だろうが」
「まあ、いいわ。あなたに、世の中あの厳しさを教えてあげるわ」
そう言って、二人は武器を構えた。祈はそれを見て、慌てて二人を止めに入ろうとする。
「な、何してるのよ!! 喧嘩なんて、お姉さんは許しません!! ぷんぷん」
「……ふざけてる暇があったら、武器を構えなさい。二対一で戦ってあげるわ。それとも何? 今この場で切り捨てられたいの?」
麗華は鎌を構えたまま、意識だけを祈に向けてそう言った。祈は、ああもう!! と、叫んでから、チップを入れて貴大の横に立った。
「もう、私じゃ無理!! 願ちゃん、よろしく!!」
「
「ア゛ア゛、俺様の出番か……」
祈から願に交代したグラントは大きな槍を構えた。貴大も、先ほど使っていた槍を構えて立っている。互いに相手の動きをうかがっている。そんな中で、動き出したのは……
「はあっ!!」
……貴大だった。貴大は素早く麗華の下に走りこんで、槍を放った。麗華は鎌で槍をはじいて少し下がった。しかし、すぐにお返しとばかりに鎌をふるった。
「ハッ!!」
「うっ!!」
貴大が鎌をかすらせながらも後ろに飛んだ。そして、貴大と入れ替わるように願が槍を突き出した。
「おらあっ!!」
「セイッ!!」
麗華は鎌で槍の軌道をそらしながら、願の腹部に蹴りを入れた。体が前に動いていた願の腹部に麗華の足がめり込んで、いやな音が鳴る。願は槍を取り落として、倒れこんだ。
「ガハッ!! ガハッ!! ……く、くそっ!!」
「が、願!! 一人じゃ無理だ!! 協力していくぞ!!」
「分かったよ!!」
呻いていた願に貴大が声をかける。願は貴大の考えに賛同し、貴大の傍に向かう。麗華は二人を冷ややかな眼で見ていた。
「何をするっていうの? 実力の差が分かったでしょ?」
「関係、無いね」
「なんですって?」
貴大はいつになく“決意”の籠った目で麗華を見た。貴大はゆっくりと三つのチップを取り出しながら話す。
「人の考えなんてそれぞれ違う。似ていることはあるが、同じということはきっとない。だから、敵対することがあるんだろうな。俺は、お前の考えは受け入れられない。でも!! それを、受け入れる努力くらいはしたいと思っている」
「…………」
麗華は貴大の話に何も答えようとしない。貴大は出したチップをドライバーに入れるのを止めて話す。
「お前にも、俺たちの考えは受け入れがたいかもしれない、でも、俺たちの考えを受け入れて貰いたい!! だから、俺は、俺の気持ちをぶつける!! 俺のあふれ出て来る“ココロ”をぶつける!! 頼む!! この、俺たちの想いを知ってくれ!!」
麗華はしばらく何も言わなかったが、しばらくして口を開いた。
「くだらないわね。本当に、くだらない」
「何?」
「だってそうでしょ?」
麗華は相変わらずの冷ややかな目で貴大を見る。そこから感じられる重圧は、ヘタをすれば今まで戦ってきた“使心獣”よりも強かった。
「相手と考えが違う。想いが違う。だから何? それをぶつける意味なんてないわ。私の往く道を遮る者は敵よ。そいつらは皆、消し去る。それだけでいい」
「なんでだよ!! そんなの、そんなの悲しすぎる!! 冷たすぎる!!」
「…………のよ」
「え?」
貴大の叫びを聞いた麗華はうつむいて何かをつぶやいた。貴大は思わず訊き返すと、麗華は顔をあげて叫んだ。
「人間なんて、人間なんて!! 皆、冷たいのよ!!」
「そんなことない!! 暖かい心を持った人はたくさんいる!!」
「嘘よ!! 私はいつも奪われてきた!! 無くしてきた!!」
「ど、どういう……」
貴大は麗華の言葉を否定するが、麗華は貴大の言葉に耳を傾けようとはしなかった。気持ちの高ぶっている麗華は、また叫び出す。
「親だって!! 先生だって!! 友達だって!! 皆、みんな冷たかった!! だから、だから私は!! ……消す力を得た。皆も、私とおんなじ“喪失感”を味わえばいいのよ!!」
「
麗華はチップを入れる。すると、あたりが暗くなり、何かが貴大と願を拘束する。二人の四肢には麗華の“ココロ”でできた鎖が結びついていた。
「あなた達は、私と目的が同じだから、殺しはしないわ。でも……死ぬほど痛い目に合わせてあげるわ。現実を……この世の真理を知りなさい!!」
「“
麗華は動くことのできない貴大と願の横にやって来る。そして、二本の鎌を二人の首もとにつきつけると、抑揚のない声で言った。
「沈みなさい闇に……
ザクッ、貴大は何かが切り裂かれたような音を聞いた。途端に、意識が遠くなっていく。貴大は必死になって願と麗華を見る。願は貴大と同じ状況だった。そして、麗華は静かに二人を見下ろしていた。しかし、ふと麗華の声が聞こえてきた。
「………は………ね」
貴大はその、それを聞くことができないまま、意識を闇に沈めた。
どうでしたか?
今回は氷道さんとのバトル回でした。
氷道さんは冷たい人です。“ココロ”を喰われた人をあっさり見捨てたり、“使心獣”は容赦なく殺す。そんな人です。
今回の彼女の叫びは僕がどうしてそんな考えになったのかを、勝手に想像して決めました。すいません。
きっと、ライダーとして悪を許さない正義の心が、彼女にはあります。でも、その冷めた思考のせいでそれが隠れがちになると思います。
正義の形は人それぞれです。三坂君のような正義もあれば、氷道さんのような正義もある。その正義、どちらも否定することはできません。多分、どちらも正解です。
両方、正解だからこそ自分の正義を信じすぎる。
正義という目に見ることができず、特定の形を持たないそれについて考えることはかなり大変です。
でも、多分ですが……答えに意味があるのではなく、考えることに意味があると思います。
まあ、要するに何が言いたいかといいますと、
冷たいからって氷道さんを嫌いにならないで上げてください、という僕からのお願いみたいなものです。
冷たくても、彼女は彼女なりの正義を貫いているのだと、温かい目で見守ってあげてください、ということでした。
さ、話も長くなってしまいましたが、このくらいで終わります。
それでは、次回の[恒]の回も意味いただければ幸いです。
See you next time!