さて、それはいいとして(いいのか?)、本編の話です。
今回は、星を見に行きます。僕自身、星は好きなので、そちら関係のことも書きました。まあ、字数等のせいで満足にかけていませんが。
そして、今回は書きたい物と少しそれちゃいました。この前もありましたね。ここ最近、三坂君達が好き勝手に行動するから……。
最後に、少し、今後に関するフラグを入れました。三坂君強化、みたいな……。
それでは、お楽しみいただければ幸いです。
鈴谷町 鈴音東高等学校
「三坂君、星を見に行かない?」
「星?」
「うん、星。……正確にはプラネタリウムもだけど」
鈴音東高校のとある二年生教室。そこでは、優希が貴大をデートに誘っていた。場所は東引山にある“
「具体的にはどんな予定なんだ?」
「えっと、次の土曜日の夕方6時からプラネタリウムを見て、夕食を食べる。それで、しばらくしたら夜中の2時くらいまで実際に星を見るんだ。でも、雨が降ったら夕食を食べて終わりだよ」
「……うん、大丈夫だけど」
「よかった。じゃあ、どこで集まる?」
了承を貰って、ガッツポーズをとって跳びあがりたい優希は、その気持ちを抑えてチラッと麗華の方を見る。麗華は何人かの生徒に囲まれていた。
「氷道さん、これの問題はどうしたらいいんだ?」
「一つ一つ丁寧に訳していけば、他の文が的外れなことを言っているのが分かるから」
「氷道さん、こっちの問題はどうなってるの?」
「それはね、ここの表現に注意ね。これとこれ、どっちが先かを確認してから訳すようにね」
「氷道さん、今週末の予定は?」
「無いわ。でも、デートのお誘いなら断るわよ」
「そ、そんな……」
麗華は成績がよかったようで、大勢のクラスメイトに質問されていた。……一部を除くが。ある時、優希は新二は彼女についてどう思っているか訊いてみたが、彼は「質問する人達に優しく教えているからありがたい」と、クラス委員長として嬉しがっていた。
「……き? おい、優希?」
「……へっ? な、何?」
「どうしたんだ? もしかして、聞いて無かったか?」
「あ、ごめん」
「いいよ。それで、集合は1時に優希のうちで。俺が迎えに行くから、その後に時間になるまで鈴原町にでも行こう。先の予定だと、あんまり話せそうにないし」
「うん。分かった」
優希がそういったところで、チャイムが鳴り、担任がやってきた。優希は自分の席に帰る。そして、先ほどの二人のやり取りを見ていた六人は、二人が少し笑顔になっているのを見て、後でネタにしようと思っていたのだった。
鈴本町 風音通り
「で、何する?」
「考えてなかったの?」
「……来ることしか考えてなかった」
「全く、三坂くんったら」
貴大のミスに、優希はクスッと笑った。そして、優希は貴大の手を取ると、貴大を引っ張りながらこういった。
「じゃあ、星のことについて予習していかない?」
鈴本町 某所
「これ、小学校の時に習ったよね」
「そうだな。確か、おおいぬ座とこいぬ座とオリオン座、だったよな?」
「うん。それで、その三つの中の……シリウス、プロキオン、ベテルギウス、だね」
二人はとある喫茶店で星に関する本を読んでいた。“銅鑼観測所”は基本的に観測所としての機能しかない。強いて言うなら、今回のようなイベントのための宿泊施設がある、くらいだった。プラネタリウムの方も観測所とは離れた位置にある施設で、それを見た後に移動することになっている。なので、星について予習する場所がない。
「オリオン座はすぐに見つかりそうだな」
「特徴的だもんね」
二人は並んで座っていた。そして、その間には本。本は持ち運びやあすようにと小さめで、二人は体を近づけて呼んでいた。
「ねえ、これ見て。ウサギ座だって」
「そんなのもあるのか? ……あ、こっちにはとけい座っていうのがあるぞ」
「本当? 面白いね。案外、知らない星座の中にも面白いのがあるんだね」
そんなふうに話していた優希はある場所を指した。そこには一つの星が描かれたいた。
「ねえ、この“変光星”、っていうの、何だろう?」
「え? “へんこうせい”……っ!!」
貴大は優希の指した場所がいまいち分からず、本を覗き込む。優希の方も、よく見ようと本を覗き込んでいて、二人の頬が触れた。二人は跳ねるようにして、顔を離した。
「す、すまん……」
「こ、こっちこそ……」
二人はこのまま、店員が注文していた飲み物を持ってくるまで固まっていたという。
西打山 山麓科学館三階
西打山の麓に位置する山麓科学館は、理科科目に関した展示等がある施設である。科学館、とはいうが、化学を始めとして、物理学、地学、天文学に関しての展示もある。地上三階、地下二階のこの施設は階ごとにジャンル分けされている。天文学の展示は地上三階だ。
「あ、あそこだよ三坂君」
「ん? ……あ、本当だな」
今の時刻は5時30分。集合自体は5時45分なので、余裕を持ってこれたと言えるだろう。
「すいません」
「あ、はい。天文ツアーに参加される方ですか?」
「はい。これ、チケットです」
「はい。……お二人様ですね。カップルでお越しのお客様には、二人分の大きさの毛布がございます。外に出る観測所と、リアリティを追求し、外と同じ気温になっている本施設のプラネタリウムでお使いください」
制服をきっちりと着こなした女性は、そう言って毛布を取り出した。観測所とプラネタリウムで使うように言われた毛布。はっきり言って、そんなリアリティの追及は不要だと思う。その毛布を出され、貴大はカップルではない、と断ろうとしたが、優希がそれをすぐに受け取った。
「ありがとうございます」
「ゆ、優希?」
「いいでしょ? ね、三坂君?」
「……わ、分かった」
優希に押し切られた貴大はそれを抱えたまま、プラネタリウムに入っていった。
「寒っ!!」
「確かに寒いね……」
プラネタリウム内はその時の外の天気に合わせていた。なので、気温はかなり低くなっていた。二人はすぐに近くの席に座って、貰った毛布をかけた。毛布は二人にピッタリの大きさで、なおかついい素材なのか肌触りも良く暖かかった。
「いいな、これ」
「そうだね」
プラネタリウムの手すりは可動式で、二人は間にある手すりをあげて、体を近づけていた。お互いの顔が赤くなっているが、あたりが薄暗いのでよく分からない。
「なんで、こんな寒さにしたんだ?」
「そうだよね。リアリティの追及、って言ってたけど、さすがにやりすクシュ!!」
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫だクシュ!!」
「全然、大丈夫じゃないだろ!!」
貴大はそう言って、毛布を優希の方に持っていった。優希はそれを少し押し返しながら言った。
「ダメだよ。三坂君の分が無くなるよ」
「俺は大丈夫だから。今は自分の心配をしろ」
「でも…………あ、そうだ」
「ん? どうした……っ!!」
「こうすればいいね」
優希は貴大に抱きついた。貴大の頭の中はパニックになっているが、優希はそんなこともお構いなく抱きついている。だが、しばらくすると優希の方もパニックになり始めた。先ほどまでは、貴大が寒くないようにする方法を考えていて、羞恥心などは一切合財無視だったのだ。しかし、そういうことに目がむくようになると……今の状態になる。
『キャーー!! 三坂君に抱きついてるーーー!! ど、どうしよう!?』
『ゆ、優希の体温が直に伝わって……っ!! こ、これは!? まさか……む、む……』
お互いにパニック状態だった。落ち着くには離れればいいのだろうが、お互いの体が言うことを聞かない。本能が離れまいとしていた。そのおかげで、お互いの体温が、感触が、相手に伝わっていく。
「えー、皆さま、本日は当ツアーにご参加いただきありがとうございます。本日、皆さまのガイドをいたしますは、私、歌星玄太郎です。どうぞ、よろしくお願いします」
その時、放送が流れた。今回のツアーのガイドをする青年、玄太郎が貴大達の前方でマイクを持っていた。
「それでは、予習のためにプラネタリウムで星について少々解説させていただきます。予習とは言っていますが、そう硬くならずにご覧ください」
玄太郎はそういうと、天上に輝きだした星について、語りだした。
東引山 銅鑼観測所
「いよいよ本物だね」
「ああ、そうだな」
貴大と優希の二人は夕食をとり、一休みしてから銅鑼観測所の外に出ていた。天気は良好で雲一つない空だった。二人はブルーシートの敷かれた地面に寝転んで毛布をかぶっている。
「あれ? もう準備しているんですか? 早いですね」
「あなたは……歌星さん」
「あ、そんな固くならずに。玄太郎、でいいですよ」
そこにいたのは玄太郎だった。厚手のコートを着て、手にはコンパスと星座早見がいくつかあった。
「もう準備している人がいるとは思いませんでした。ほとんどの方は、寒いので時間ぎりぎりで出てくるのですが……」
「まあ、確かに寒そうですよね」
「そうですね。……あ、そうだった。お二人はこちら、お使いになりますか?」
「あ、ありがとうございます」
「いえいえ、お気になさらず」
玄太郎は笑ってそういうと、二人に星座早見を渡した。比較的大きいタイプで、二人一緒に見ることもできるほどの大きさだった。源太郎はそれを渡すと、あたりを見回して言った。
「少し早いですが、少し解説をしましょうか? ……って、お二人の時間を邪魔するのも悪いですね」
「「そ、そんなこと無いです!!」」
「プッ……お二人は仲がいいんですね」
玄太郎はそう言ってまた笑った。二人はあまりの恥ずかしさに顔を赤くしてうつむいた。玄太郎はそれを見てまたクスリと笑うと、地面に腰を下ろした。
「では、少しだけお話ししますか。まずは……冬の大三角から行きますか」
そう言ってから、玄太郎は話し始めた。冬の大三角は小学校でも習う有名なものだ。それを作る星が含まれる三つの星座の中で最も見つけやすいのはオリオン座だろう。中央にある特徴的な三つ星は、冬の星空の中で戸ともよく目立つのだ。そして、オリオン座はほかの星座を見つける手がかりとなる。
「そうなんですか」
「予習してきたのに、知らないことがあったね」
「予習してきたんですか?」
「はい。今日、日が出ているときに」
「そうですか。じゃあ、結構いろいろ知っているんですか?」
玄太郎が興味津々、といった様子で二人に訪ねてくる。それを聞いて、優希が手を振った。
「いえいえ、全然です。さっきのお話も知らなかったし」
「そうですか。……あ、もうこんな時間か。すいません、もうすぐ時間なので、また後にさせてもらえますか?」
「あ、はい。ありがとうございました」
「いえいえ、星に興味を持ってくれる人が出てくるのは嬉しいことですから」
そう言って玄太郎は建物のほうに入っていった。そして、しばらくすると、悲鳴が聞こえてきた。
「うわあっ!!」
「おらあっ!!」
玄太郎は叫びながら外に吹っ飛ばされた。貴大と優希は素早く立ち上がって、玄太郎に駆け寄った。
「大丈夫ですか!?」
「あ、ああ、なんとか」
「……あら? まだ意識があったの、って、他にもいるし……」
「お前……」
外に出てきたのは、貝を彷彿とさせるような姿の生き物だった。貴大はドライバーを取り出して構えた。
「はあ……冬に海に出るイベントなんてめったにないから、こんな山の中にこのくちゃならんのだ。なあ、あんたらもそう思うだろ?」
「え、ええっと……」
「だいたいな!! 人とのかかわりがないところで襲えって、ふざけるのも大概にしろよ!! 俺だって、寒いの我慢してたんだ!! 俺を出すなら夏場にしやがれ!!」
この、貝の“使心獣”は何やら怒っているようだった。その怒りは止まることを知らないのか、地団太を踏んでから貴大達の方をにらんだ。
「あれだけの人間を捕まえたんだ。一人や二人……三人か。殺したって、問題ないよな?」
「お前、人の命を……!!」
「何? 命を取るなんて許さねえって? 馬鹿だな。世の中、強い奴が生き残って、弱い奴らはみんな死ぬ。お前ら人間もこの俺、No36イモガイの“Coninae”には勝てねえよ」
そう言うと“使心獣”……イモガイは、15センチほどのストローのような物を取り出した。貴大はすぐに“H”のホルダーから、白いチップを取り出し、ドライバーに入れた。
「変身!!」
「
「何っ!! 仮面ライダーか!?」
貴大のドライバーから音声が流れ、イモガイは驚いて少し後ずさった。貴大は装甲の装着が終わると同時に、ドライバーからチップを取り出した。
「
「ハッ!!」
貴大は手元に現れた銃をイモガイに向けて撃った。銃から圧縮された空気の弾丸が跳び出す。不可視の弾丸は、予想外のことにひるんでいたイモガイに命中した。
「いってー!! これでも喰らえ!!」
「っ!!」
イモガイはストローのようなものを口にくわえ、何かを吹き矢のようにはなった。放たれた何かは、注射針のようにチクっと太ももに刺さり、貴大は倒れこんだ。
「どうだ? なかなか効いただろ?」
「これは……毒か?」
「そうだ!! これは、コノトキシンという神経毒だそうだ。“使心獣”になってから、こいつのことを知ったよ。それまでは、あって当たり前だったからな」
そういいながら、イモガイは貴大ににじり寄る。わざとゆっくり歩いて、貴大の恐怖を呼び起こそうとしているのか、ニヤニヤと笑っている。
「さて、仮面ライダーは見つけ次第、捕獲するように命令されているんでな。大人しく来てもらおうか。安心しろ、その毒は俺の意思で無力化できるからな」
貴大は体中に麻痺が広がり、もはや動くどころか喋ることすらできない。イモガイはニヤニヤと形容できる笑いを浮かべながら貴大に手を伸ばした。
「うわああ!!!!」
「何!? 離せ!!」
「誰が離すか!!」
「三坂君!! 今、何かチップを出すから!!」
中腰の体勢になっていたイモガイに飛びついたのは玄太郎だった。玄太郎はそのままイモガイを抑えつける。優希はその間に、チップを出して回復に使える物を探す。しかし、貴大は痺れていて優希に伝えられなかった。ハーツのチップには、自分を回復させるチップは存在しないことに。
「無い!! どうしよう……あっ!!」
「離せっ!!」
「うわっ!!」
玄太郎がイモガイに飛ばされたその時、優希は思い出した。桜色のチップに治癒効果があったことに。
「桜色、桜色……あった!!」
優希はそれをドライバーに入れた。イモガイはゆっくりと貴大と優希に近づいて来る。先ほどまでイモガイのいた所には玄太郎が気絶していた。
「
「どけ!!」
「きゃあ!!」
貴大が“
「邪魔な奴だな。先に始末するか……」
「っ!!」
イモガイは吹き矢を構えて、優希の方を向いた。優希は目をつぶって固まってしまった。そして、イモガイが吹き矢を放った。
「フッ!!」
「きゃあああ!!!! …………あ、あれ?」
「な、なぜ!?」
「おい、貴様……」
そこにいたのは、イモガイの方に銃を向けている貴大だった。イモガイはあまりの驚きに目を見開いた。
「な、なんで動けるんだ!?」
「こいつの効果だ。俺の持つチップで治癒効果があるのはこいつだけだ。だがな、こいつは俺の大切人だけしか癒やせない」
「なら、なぜ……」
「そこで出て来るのが二つ目の効果だ。こいつは、俺が大切な人が傷つけられそうになる時に、能力が通常の数倍に跳ね上がる」
「そ、そんな……」
イモガイの持っていた毒は貴大の“ココロ”によって、抑え込まれていた。あくまで抑えられているだけで、その致死性は消えない。もっとも、今はイモガイも威力を制御しているので死なないのだが。
「さて、それじゃあ、最後にするか……」
「ヒッ!!」
イモガイは悲鳴をあげた。目の前にいる貴大は、絶対零度のような圧力を放っていた。辺りは凍りつき、イモガイも動けない。貴大は光るホルダーを無視して、二枚のチップを取り出し、ドライバーに入れた。
「“
「想え愛情を! “
「ぎゃああああ!!!!」
桜色に輝く光の弾丸はまっすぐ放たれ、イモガイを打ち抜いた。イモガイは叫びをあげて爆発する。貴大は、それを見届けると同時に倒れこんだ。変身も解除され、ピクリとも動かない。
「三坂君!!」
優希がすぐに駆け寄るが、貴大は一切反応しない。人にとって永遠にも等しい時間を生きる天上の星が輝く中、優希の叫びだけが木霊した。
どうでしたか? 今回、僕が言いたいのは「必ず最後に愛は勝つ」です。はい、節をつけて歌えそうですね。信じることさー♪
……もしかして、これって違反になる?
ま、まあ、それはいいとしましょう。それでは、今回のお話です。
今回は、書きたいこと書きました。反省してますけど、後悔はしていません!!
実は……今回出る敵って、牛にするつもりだったんですね。闘牛。おうし座からの連想です。しかし、今回理由にしていた“貯心体”にする人間を密かに集める、という目的に外れる気がしたので変更。毒で動けないようにしよう!! と、思って麻痺性毒持ちの生物を調べて今回のイモガイに行きつきました。
しかし、ここでも問題発生。命に別状がないと思っていたコノトキシンが解毒法の無い致死性のある毒でした。そこで、イモガイが操作しているという設定をねじ込んで……と、やっていたら、変わってしまいました。
おまけに、いつの間にか伏線まで張ってくれやがりました。好き勝手行動しないで三坂君!!
と、なかなかきつかったです。そのため一月かかりました。まあ、僕が堕落しすぎてパソコンの使用に制限がかかったことも原因の一つですけどね。
それでは、次回の[忙]の回も見ていただければ幸いです。
See you later!