それでは、本編のお話。
今回は、以前、感想に「ディケイドを!!」との話でしたので、本当に出してみました。正直、うまくかけたかは不安です。山石悠なりのディケイド一行を楽しんでいただけたらな、と思います。
それでは、お楽しみいただければ幸いです。
鈴谷町 鈴音東高等学校
「俺は今日からお前らに数学を教えることになった門矢士だ」
鈴音市の南、鈴谷町にある鈴音東高等学校。その二年生の貴大のいるクラスでの様子だ。貴大のクラスの担任は、雪山で遭難していた岡本の件で精神的に病んでしまい入院中である。岡本が助かるのが、もう一日でも早ければ学校に来れなくなることもなかっただろうが。
「お前らは俺の初めての生徒だ! 誇りに思えよ!」
生徒達は教室に入ってくる様子も図々しいと思っていたが、この言葉を聞いて確信した。この教育実習生は俺様キャラであると。そんな中、貴大は士の話を聞き流しつつ、先日であった謎の男について考えていた。
鈴原町 御音通り
「……ディケイド、か?」
「ああ。奴は世界の破壊者だ。この世界も破壊される。戦うのだ、この世界の仮面ライダー」
その時、貴大は学校からの帰りだった。いつものように自宅へ帰る途中、モノクロのオーロラのようなものが現れ、この男が出てきたのだった。
「ディケイドって人のことなのか? ……明日、単語テストがあるから覚えてるけど“
貴大は明日、英語の単語テストがあった。そもそもハーツはチップが英単語なので、英語の単語は特に頑張っているのだ。おかげで、英語の成績は上々だった。
「いや違う。奴は、仮面ライダーの世界を渡り、破壊していく悪魔のことだ。頼む、これ以上、犠牲が出る前にディケイドを倒してくれ!」
「……まあ、そいつが皆を傷つけるっていうなら、俺だって戦うよ」
「そうか! それではよろしく頼むぞ!」
男性はそう言うと、再びオーロラの中に入っていこうとする。だが、貴大はすんでのところで男性を止めた。
「なあ、あんたは誰なんだ? なんでこんなことを教えてくれたんだ?」
「私は鳴滝。私はディケイドを止めるために行動しているのだ。ハハハ!! これでディケイドも終わりだ!」
男性は高笑いを上げながら消えた。貴大はその男の話を信じることができなかった。叶や麗華ならはっきりと分かったかもしれないが、貴大は曖昧な不信感しか得られなかったのだった。
鈴谷町 鈴音東高等学校
「……どう思う?」
「うーん、性格はともかく……授業は分かりやすかったね」
「確かにそうだな。久しぶりに数学の内容がわかったぞ」
「そうっすね。この範囲だけは、いい点が取れそうっすよ」
さっそくあった数学の授業が終わった後。貴大は新二や和馬、響と話していた。内容はもちろん、士についてだった。
「あんなことを言うのはどうかと思うが……」
「それを言えるだけの実力があったね」
はっきり言うと、士の授業はかなり分かりやすかった。皆が理解するのに時間のかかるポイントをきっちり押さえ、丁寧に説明した授業は数学の苦手な生徒でも「分かった!」と思わせることができたのだった。
「とりあえず、テストしてみようか。片山くん、二項定理の一般項について説明して? おさらいで出てきたよね?」
「『(a+b)のn乗』の一般項は、『nCr×(a)のn-r乗×(b)のr乗』っすね」
「はい、正解」
響はつい数時間前まで「一般項? 『
「片山に二項定理や一般項の意味を理解させるとは……門矢先生、恐るべし、だな」
「ちょっ、山宮っち! その言い方は傷つくっすよ!」
「でも……間違ってないよね?」
「西崎っちもディスらないでほしいっす!!」
新二と和馬の罵倒に響が叫ぶ。それが引き金で、四人の間に笑いが起きた。今日も、鈴音市は平和だった。
鈴原町 三坂貴大宅前
「……あれ? お隣さん……」
「ここ、こんな店じゃなかったような……」
貴大の家の前にいたのは、この前あった参観日の振替休日で休みだった翔逸と研究ばかりで家を出なかった緑だった。そんな二人が見ているのは、貴大の家の隣にある建物だった。確か、隣は誰も済んでいない一軒家だったはずだが、“光寫眞舘”という建物に変わっていた。
「入って……みる?」
「入って……みましょうか。光さんの写真館ってことは、あの光司さん関係かもしれないし」
「そうね。なら、貴大君のことも知ってるだろうし」
二人はそう言って、扉を開けた。落ち着いた雰囲気のする館内には、ここで撮られたのであろう写真が飾られている。
「誰もいないのかな……」
「……誰ですか?」
翔逸が声を出すと、中から二十代くらいの女性が現れた。彼女は、訝しげに翔逸と緑を見ていて、翔逸はあわてて弁解した。
「あっ、すいません。ちょっと、気になって……。ここ、空き家じゃなかったですか?」
「いいえ。ここは写真館ですよ」
「そ、そうですよね。後、ここってあの写真家の光司さんと関係……」
「光司? そんな人はいませんよ?」
女性がそう言うと、今度は白い髪の老人と女性と同い年くらいの男性が現れた。
「おや、お客さんかい? さ、どうぞどうぞ」
「そうそう。ここのコーヒー、うまいからさ」
「……どうぞ」
「「お邪魔……します?」」
二人はそのまま、写真館の中に入っていった。そして、二人はそこにあった絵を見て絶叫した。
「緑さん、あれって……」
「チップよね? ドライバーも? それも、ハーツだけじゃなくてグラントやロストのまで」
そこに書かれていた絵は、大きなハートのマークをバックに黒い動物の影とそれを抑え込むようにしておかれたハーツ達のチップやドライバーだった。
「あなた達、この世界の仮面ライダーを知ってるんですか?」
「この世界の仮面ライダー、は誰のことか知らないけど……この街の仮面ライダーなら、知ってるわ」
「え? 緑さん? 喋っちゃっていいんですか?」
「翔逸君、この人達、ハーツについて少しは知ってるわ。きっと、遅かれ早かれ分かることでしょう。なら、せめて敵にならないようにするのが最善だと思うの」
「……分かりました。とりあえず、これを家置いてきます」
「なら私も……」
「結構です。緑さん、どこに何を置くか知らないじゃないですか。それに、知ってても緑さん雑なんですから」
「うっ……」
翔逸は手に持った買い物袋を掲げて荷物を置きに行った。
鈴谷町 鈴音東高等学校
「門矢先生。先生、趣味はなんですか?」
「写真を撮ることだ」
昼休み。生徒たちに囲まれながら、士は首にかけられているカメラのシャッターを切った。例の授業で、人気者になった士は生徒たちの質問に答えながら昼食をとっていた。
「先生はどうして教師になろうと思ったんですか?」
「今回は、これが俺の役割だからな」
「役割? どういうことですか?」
「気にするな」
少し離れたところから士達の話を聞いている貴大は、近くにいる叶と麗華に話を聞く。
「なあ、あいつ……何か、変なんだよな。あんなに偉そうなのって……」
「いや、変なのは……」
「あなたの方だけど?」
「お、俺か!?」
肯定してくれると思っていた二人のまさかの言葉に驚く貴大。そんな貴大を呆れた目で見ながら二人が言った。
「この前言っていた鳴滝って男ですけど、僕達も会いました」
「あの男は信用できないわ。だから、そこはあなたの方に賛成できる。あの男は何か裏があるわね」
「でも、門矢先生に限っては、ちょっと……」
「そうね。ただ単に、あなたの苦手、もしくは嫌いなタイプっていうだけじゃないかしら?」
「そ、そんなことは……」
「ありそうよ? あなた、今の自分の心が見えてる? 嫌悪感と疑念だけよ? 間違いなくあなたの勘違い。……はあ、大事な話だっていうから付き合ってあげたのに、無駄だったようね」
「鳴滝という男の件について話せたので、無駄だとは思いませんが……確かに、余計なことの多い話し合いでした」
「そ、そんな……」
二人は弁当やパンを食べ終わったようで、席を立った。貴大は二人を引き留めようとするが無駄だった。
「とりあえず、今は落ち着きなさい」
「そうです。鳴滝やディケイドはともかく、門矢先生のことについては気にする必要はありませんね」
はっきりと言い切られ、貴大はがっくりうなだれる。だが、確かにそうかもしれないと納得もしていた。貴大は、ああいう自信家で尊大な態度の人間は好きではない。どっちかというと、謙虚な人間の方が貴大の好みだった。
「勘違い、か……。まあ、もうしばらく様子を見てみよう」
貴大は弁当を食べる。この弁当を作ったのはもちろん翔逸で、冷めてもうまい。貴大は笑顔になって声を漏らした。
「この炒め物、冷めてるのにうまいな。さすが翔逸、いい仕事してる」
貴大はもう、士のことを気にしてはいなかった。だから、士の様子の変化にも気が付かなかったのだった。
「……あいつが、この世界のライダーなのか?」
かつて旅した先にも学生でライダーだった者達がいたから、彼が仮面ライダーでもおかしくない。士は、後で貴大と接触してみることに決めた。
鈴本市 鈴音市立博物館
「探せ―!! まだ館内にいるはずだー!!」
三日前、この博物館には泥棒がやってくるという連絡があった。いつもなら、ただのいたずらで済ませてしまうこともできたが、今回は“技術者達のキセキ展”というものがあり、価値のある資料もあったために、人員が割かれていた。そして……本当に、泥棒が入った。
「どこだ? どこにいる?」
警察官としての仕事で、勇介もここの警備にあたっていた。勇介はあたりを見回しながら、怪しい人物を探す。
「どこだ……っ!! す、すいませ……って、ああーー!!」
「見つかってしまったね」
「見つけたぞー!!」
勇介は、道の角でぶつかった泥棒を追いかけながら叫んだ。すぐに応援が来て、この泥棒を捕まえるだろう。
「なんで、盗みなんてするんだ! そんなこと止めて、警察に投降しなさい!」
「僕に命令できるのは僕だけだ。君こそ、おとなしく諦めたまえ」
泥棒は飄々とした態度で言った。だが、勇介は止まらない。
「君が何と言おうとも、窃盗は犯罪だ! おとなしくしなさい!」
「……しつこいな。僕はお宝を探して、手に入れる。それだけでいいんだ。……じゃあね」
泥棒は、指鉄砲を作って勇介を撃ちながら角を曲がった。勇介もすぐにその後を追う。しかし……
「……き、消えた……」
「神田!! 犯人は!!」
「……すいません。見失いました」
勇介は、道の向こうからやって来た同僚の方を見ながらそう言った。犯人は、煙のように消えてしまった。
鈴谷町 風音通り
「……なんで、こうなってるんですか?」
「それは、俺と三坂の帰り道が同じだからに決まってるだろ」
そんなことも分からないのか、という様子で話す士に貴大は嘆息していた。
「三坂、俺の授業はどうだった?」
「……分かりやすかったですよ」
「そうだろう!! 俺は何に関しても天才だからな!」
「……はあ」
貴大がそう言った途端に、カチッ、というシャッターを切った音が聞こえた。貴大がそちらを見ると、そこでは士が写真を撮っていた。それを見て、そういえば写真を撮るのが趣味だったなと思いだした。
「写真、好きなんですね」
「ああ。だが、どこの世界も俺に撮られたがらない。この世界はどうだろうな」
「……もしかして」
貴大はそこまで言って黙った。もしかして、この教育実習生は写真を撮るのが苦手ではないのだろうか。それの言い訳として、あんな言い方をするのだ。どこの世界も取られたがらないと……。
「……ん? どこの世界も?」
「どうかしたか?」
「いえ、何でもありません」
貴大の中でのこの教育実習生の好感度は微増、といったところだった。俺様のように見えて、その芯はなかなかいい奴そうであった。貴大が、そう考え込んでいる時、いきなり貴大の携帯が鳴りだした。この音声は、久々に聞く“Hサーチャー”の音だった。
「“使心獣”かっ!!」
「……何か来るのか」
貴大が携帯を開く。その目標はこちらに向かっているようだ。なら、目的はおそらく……
「……俺か!!」
「そうだ! 仮面ライダー!!」
「こいつがこの世界のライダー……」
貴大は前に出て、“使心獣”から目を離さずに、士に告げる。
「先生、早く逃げてください」
「いや、いい」
「ふざけたこと言ってないでいいですから!! 早く逃げろ!!」
「……ちょうど良い。三坂、今から実技指導だ」
「ちょっと、あんた、何を言って……」
士はそう言って、何かをつけてバックルを開く。待機音が鳴りだすと、士はカードを取り出して前に突き出した。
「変身!!」
「
「ディ、ディケイドだと!?」
士の前に何かの姿が現れ、士にぶつかる。そして、赤いラインが飛び出して頭の部分に刺さった。
「き、貴様っ!! まさか、四人目のライダーか!!」
「知らんな。さて、三坂。俺の手本は一回だ。お前は黙ってノートでもとってろよ」
士は手に取った剣をなでながらそう言うと、一気に飛び出した。“使心獣”はすぐにトンファーを取り出して構える。
「このNo,28オオミノガの“Eumeta japonica”が相手してやるよ!!」
「オオミノガ……ミノムシか。お前が鳴くのは、秋なんだがな」
士はそう言って、カードを取り出す。
「
「ぎゃあ!!」
ミノムシは士の斬撃が直撃して吹っ飛んだ。だが、すぐに起き上ってトンファーを巧みに使って攻撃をする。
「はあっ!! とりゃあ!!」
「そんなんもんか。フッ!!」
「ぎゃあ!!」
士はミノムシを軽くあしらって剣をしまって、バックルの部分を回す。待機音が鳴る中、カードを入れた。
「
「はあっ!!」
士とミノムシの間に現れた何枚ものカード。士が声を上げて跳ぶと、カードも動く。そして、そのまま必殺のキックを放った。
「……まさか、四人目が出るとは……」
ミノムシはそう呻きながら爆発した。士は貴大の方を見る。その目は見開かれており、口がパクパク動いている。
「あ、あんたは……」
貴大は驚きで、ゆっくりにしか動かない口を一生懸命動かした。
「……ディケイド、なんだよな?」
「そうだ」
「あんたは、世界を、破壊するのか? みんなの、心を傷つけるのか?」
貴大は、士をにらみながら本当に聞きたい部分を問うた。
どうでしたか? いい感じに書けていたでしょうか?
僕、最近になって気づいたのですが……他人様のキャラを使うのが苦手なようです。氷道さん然り、ディケイド一行然り。
僕は原作を大事にしたいと思う人なのですが……正直不安ですので、おかしいと思ったら教えてください。頑張って直します。
最後に、アンケートをさせていただきたいと思います。答えていただければ幸いです。
今回、ディケイドが出てきました。そしたら、当然“
案のある方は、僕にメッセージを送っていただければ幸いです。
では、そろそろ終わりますかね。
それでは、次回の[噯]の回も見ていただければ幸いです。
See you later!