仮面ライダーHearts   作:山石 悠

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どうも、山石悠です。前回の[恢]の回を見ていない方は、一話前にお戻りください。

さて、それでは今回のお話。
今回は、いよいよ三将戦の決着です。それぞれ、どのような結末を迎えるのか? お楽しみいただければと思います。そして、龍帝というのは、竜崎龍也のことです。彼が、どんなふうに出てくるのか。そして、最後の敵とは!?

それでは、お楽しみいただければ幸いです。


[怖] 畏怖の龍帝

南吹山 上空

 

「……“神の守り手(アイギス)”」

「ハハッ、なかなか強力な防具だ」

 

 

 爆炎が晴れると、望は自分を守ってくれた防具の名を呟く。そして、その声は風に乗ってワシにまで届いた。

 

 

『……厳しいですね』

『どうするの?』

『相手が飛べて遠距離武器を使う以上、望が最適だ。しかし、今のままでも敗北は見えている』

『ここからは俺様が!』

『お主は飛べぬし、遠距離武器もなかろうが!』

「……最悪」

 

 

 飛行能力は、明らかにワシが上。おまけに、誘導弾を放てる双銃がある。……望のままでもダメだし、それ以外でも悪い。

 

 

『……じゃあ、望の能力のまま俺を出させろ!』

『何言ってるの!? 変わんないよ!』

『なら、我の能力と合わせたらどうじゃ?』

『……どういうことですか?』

 

 

 突拍子もないことを言う願と求。しかし、求の言葉に叶が反応した。そう言ってる今も、ワシの放つ弾丸を相手取っているのだ。

 

 

『いいか? 我の出した水を蒸気にして放つ。そして、望が電撃を放つ。水を通して全範囲に届くのだから、避けられはせん!』

『でも、チップを入れている間に散っちゃうよ!』

『……そうか』

『頼君、どうかしたんですか?』

『……全部、入れてしまえばいい』

『え?』

 

 

 頼はすべてを悟ったようにそう言った。すべて、というのは“D”のチップのことだろう。

 

 

『すべてのチップを同時に入れる』

『……全部の力を発動するってこと?』

『ああ。同時にすべての能力を扱えれば、チップを入れる時間の問題も解消できる』

『でも、そんなことしたことないですよっ!!』

 

 

 叶が思わずそう叫んだ。すると、頼はそれを鼻で笑った。叶が怒ったような気配を漂わせている。それを正面から受けつつ、頼はこう言った。

 

 

『俺達は何?』

『何って……仮面ライダーグラントです』

『そう。じゃあ、その力を言い換えた言葉は?』

『……“創造”ですけど……っ!!』

 

 

 叶はそこまで言って気が付いた。黙っていた祈や願、求も気が付いた。頼はニヤリと笑った。

 

 

『俺達は“創造”。“変換”のハーツに似ているようだが、違う。あいつは既存のものしか作れない。でも、俺達は新しい何かを作れる。それが、特徴であり強みだ。……なら、全部のチップを入れるという新たなことだってできるはずだ』

 

 

 柄にもなく長いセリフを話す頼に、全員が黙り込んだ。彼らは作り手だ。新たな何かを作る者だ。

 

 

『……そうですね。やりましょう』

『えっ!? 叶ちゃん、やるの?』

『ええ。“ココロ”は精神論で片が付くそうですし、何よりも……』

『……やらねば、勝てぬからな』

『はい』

 

 

 結論を出すと、叶は望に声をかけた。望は全て聞いていたようで、避けつつもチップをすべて取り出した。

 

 

「いいのか?」

『はい。……やりましょう』

「オッケー!」

 

 

 望はそう言ってチップを入れた。ドライバーからは音声が流れた。

 

 

「“Ares(アレス)” “Zeus(ゼウス)” “Hestia(ヘスティア)” “Apollo(アポロン)” “Poseidon(ポセイドン)”」

 

 

 ドライバーからはチップの名前が羅列されていく。そして、しばらくの間の後、また音声が流れた。

 

 

Realize(リアライズ)Olympus(オリンポス)”」

 

 

 すると、装甲が変化していく。白を下地に、五つの姿を象徴する色が体中にラインで走っている。ワシは何言が起きているのか分からず、銃を構えて後ろに下がった。

 

 

「何が……」

「……まさか、こうなるとは」

 

 

 喋っているのは叶だった。叶は体中を見回した。そして、様々な武装を装備した。鎌、盾、槍、翼、鎧。たくさんの武装をしているにもかかわらず、ゴテゴテしているようには見えない。

 

 

「さあ、行くぜ!」

 

 

 今度は願。武器を構えたまま……グラントは攻撃を開始した。飛んでくる弾丸をすべて弾き飛ばす。見えない位置まで始めるのは、野生の勘であるとしか思えない。

 

 

「“霧散(スコーチング・ミスト)”」

 

 

 そんなことを言うのは、おそらく求だろう。求を中心に霧が発生する。そして、霧は風に乗ってワシのもとにまで届いた。

 

 

「目くらましか?」

 

 

 そう言った途端、一気に体に電撃が走った。体に強力な電撃が走る痛みを感じていると、声が聞こえてきた。

 

 

「サンダーっ!!」

 

 

 望の言葉が聞こえてくる方向に向かって、銃を向た。

 

 

「“特殊技能(アビリティ)”……“巨大幻影(ファントム・ヒュージ)”“加速幻影(ファントム・アクセル)”」

 

 

 明らかに口径よりも大きな弾丸が高速で放たれたが、すぐに盾に弾かれるような音が聞こえてきた。

 

 

「当たらないよっ☆」

 

 

 聞こえてきたのは祈りの声だ。グラントは必殺技をはなとうと、ホルダーに手をかけた。ワシは、すぐに次の攻撃をはなとうとしていた。その時、頼の声が聞こえた。

 

 

『待て! 風が来る!』

「風!?」

 

 

 グラントはすぐに、西からの横風の用意をした。そして、風が吹きワシは軽く煽られた。グラントはすかさず炎を放ち、ワシを落とす。そして、チップを取り出した。

 

 

「これで、終わり」

 

 

 そんな頼の言葉が聞こえた。チップを入れると、音声が流れた。

 

 

「“Olympus(オリンポス)” “Emphasize(エンファサイズ)” Desire(デザイア) Liberation(リブレーション)

「これが、僕達の創るモノ! “Olympus(オリンポス) Demise(ディマイズ)”」

 

 

 グラントから槍、矢、炎など、様々なものがワシに向かって飛んでいく。そして、落ちているワシに避けるすべはなかった。

 

 

「か、仮面ライダああああっ!!」

 

 

 その声を最後に、爆炎が上がった。グラントはその爆炎が消えるのを見ると、息を吐いた。

 

 

「ためらっていては、何も創れない。必要なのは、未知を恐れぬ勇気なのかな」

 

 

 

鈴本町 鈴音駅前

 

「“多義斬波(ライト・ライト)”」

 

 

 ライオンの右手の獣王剣から光の斬撃波が放たれ、麗華はそれを“Lost(ロスト)”の力で消し去った。今できるのは、こうやって“多義斬波(ライト・ライト)”の効果を消しさることだけであった。

 

 

「何か、突破口は……」

「時間稼ぎしかできんか!」

 

 

 もうフェンスは破壊されつくされており、街中で戦いが行われていた。再び、ライオンは右手を振り上げた。その瞬間、麗華は悟った。

 

 

「“多義斬波(ライト・ライト)”」

Function(ファンクション)Darkness(ダークネス)”」

「はあっ!!」

 

 

 光の斬撃波が放たれようとしていたが、“Darkness(ダークネス)”によって消された。あたりは、いまだに暗黒に包まれていた。

 

 

「そういうことか……」

「……何がだ?」

「その攻撃は“Light(ライト)”の意味しか付加できないのね?」

「……何が言いたい」

 

 

 麗華にはもう分かっていた。麗華は相手の、考えていたよりもずっと少ない数の効果を持つ攻撃について語った。

 

 

「あの攻撃には、三種の“ライト”がすべて使われていた。……まず“Right(ライト)”については、放つ場所。つまり、右手を指していたの」

「……使いすぎたか」

 

 

 ライオンは“多義斬波(ライト・ライト)”をすべて右手から放っていた。それは“Right()”ということだったのだ。

 

 

「そして、“Write(ライト)”。これは、斬撃。……空中に書く、というのを表していた」

 

 

 空中に書く。もしかしたら、書いて送る、という意味合いでの“Write(ライト)”なのかもしれない。

 

 

「だから、効果を付加するのは“Light(ライト)”だけ。効果は……火、光、薄い、軽い……くらいかしら? 後は、戦闘に向くとは思えないから、除外しても構わないでしょう」

「……正解だ」

 

 

 “光”と“火”については語るまでもない。“薄い”は“Rejection(リジェクション)”の効果を弱めた時で、“軽い”は高速移動を可能にした時のものだろう。

 

 

「なら、その四種類を封じればいいだけ。これで、あなたの攻撃……“多義斬波(Light Write)”は封じれる」

「封じれるとでも?」

 

 

 “薄い”の効果なら、この暗黒すらも消し去る、とはいかずともあたりが見える程度にはできるだろう。

 

 

「ええ、多分ね」

「ならばやってみるがいい!」

 

 

 ライオンはそう言って、右手の獣王剣を振り上げた。麗華はチップを取り出して、それを入れた。

 

 

Function(ファンクション)Hunt(ハント)” Function(ファンクション)Shock(ショック) Wave(ウェーブ)”」

「ハッ!!」

 

 

 麗華は、ライオンが斬撃波を放つ前に鎌をふるった。鎌から放たれた波動はライオンに当たった。ライオンは右手を振り下ろした。

 

 

「“多義斬波(ライト・ライト)”……っ!?」

「うまくいったわね」

 

 

 ライオンの右手からは、何も出てこなかった。そう……“薄い”は麗華が奪ったのだった。

 

 

「もしかしたら、他のは使えるかもしれないけど、光源となる“光”や“火”は消し去られるだけね?」

「使えるのは、“軽い”だけか……」

 

 

 ライオンは事実を言葉にした。これで、攻撃もそれを封じるものの対応もできなくなってしまった。

 

 

「まあ、いい。実力で倒すだけだっ!!」

 

 

 ライオンは音の聞こえるほうに向かって走り出した。麗華は攻撃を避けると、チップを取り出した。いつかのような、矛盾はしているが、正常な狂気が感じられた。

 

 

「私は私の望む未来を手に入れる。そのためにも、あなたはこの場で死んでもらう!!」

Function(ファンクション)Silent(サイレント)”」

 

 

 麗華は自分周りにいる敵を切り裂くように、鎌をふるった。そして……音が消えた。

 

 

「……………………!! ……!?」

 

 

 ライオンの叫びすらも聞こえない。麗華はライオンの両手についた獣王剣を破壊した。ライオンは、接近に気付かなかったことや武装を破壊されたことに驚く。

 

 

「……………………!!」

「………………………………」

「………… ………… ………… …………」

「…………………! ………… …………」

 

 

 麗華の鎌がライオンの体を切り裂いた。その時、麗華のチップの効果が切れた。

 

 

「……貴、様……」

「……私は、悪なき世界を目指している。みんなから悪を消し去れればいいけど、きりがないわ。だから、悪を切り捨てることにしたの」

「我は、悪か」

「ええ。私から言わせればね。だから、殺す」

「……フッ、死神とはよくいったモノだ。名付け親はセンスがいいと見える」

 

 

 ライオンはそれだけ呟くと、地面に倒れ伏した。そして、爆炎が上がる。麗華は爆炎を見つめながら、つぶやいた。

 

 

「悪なき世界のためには、悪を切り捨てる。……悪に相対する、勇気がいるのね」

 

 

 

日本海 橋上

 

「……まだかよ」

 

 

 貴大は走っていた。本当は乗り物を使いたいが、ここで逢うのはサメだろう。海からの襲撃を考えて、すぐに動けるように走っていたほうがいいはずだった。

 

 

「そろそろ半分か、っ!?」

 

 

 貴大がそう言った瞬間、貴大は体をひねった。右後方から何かが飛んできた。何かは、ホルダーを切り裂いて貴大の前方に立った。

 

 

「チップがっ!?」

 

 

 ホルダーによって、チップがばらまかれる。おまけに、遮るものがないため、大量のチップが海の中に落ちた。貴大は急いでチップを回収した。残っているのは、六つだけだった。

 

 

「“Kick(キック)”、“Sword(ソード)”、“Gun(ガン)”、“Decision(ディシジョン)”」

「チッ、外したか……」

 

 

 チップ確認の途中だったが、その声に貴大は顔を上げた。そして、体中に恐怖だ走った。そこにいたは、貴大の探していたサメだった。“人間体”であるのに、想像以上の恐怖が走った。

 

 

「それで? 確認は終わったか? さっさと殺してやるよ」

「……ああ、終わった」

 

 

 チラリと下を見て、残った二つを確認した。……何とも作為的な残り方だな、と。貴大は、“事実は小説よりも奇なり”という言葉を思い出していた。

 

 

「……俺、ずっと考えてたんだ。なんで、Change(チェンジ)なんだろうって」

「はあ?」

 

 

 貴大はそう切り出した。おそらく、変身の時の話しだ。

 

 

「叶は“D”を入れれば必ずRealize(リアライズ)で、氷道はドライバーに入れれば必ずInstall(インストール)だ。でも、俺はChange(チェンジ)Heart(ハート)だ」

 

 

 確かに、貴大は二種類だった。貴大は神妙な様子で話し続ける。

 

 

「それで、この前ウサギに言われてから思ったんだ。あの時は否定したけど、俺は自分の心を殺してる、っていうか、Change(切り替え)てるんじゃないかって。……“決意”が“想い”を抑え込んでるように思えた。だから、俺は抑えきれなくて、こいつを使えなかった」

 

 

 貴大はホルダーを直した。……“Attachment(アタッチメント)”の効果は無機物にまで及ぶようだ。そして、そこに四枚のチップをしまった。

 

 

「……“想い”に向き合えば、使える気がする。っていうか、いやでも使わなきゃ勝てないけどな。そして、勝てば……向き合えば、新たな何かが見つかる気がする。……だから、俺は逃げない!」

「怖いんだな?」

「ああ、怖いさ。だからこそ、この“恐怖”に向き合うべきなんだ。俺は一度逃げた。逃げは間違いじゃない。だって、この現実に気付けたんだから。次は、逃げずに向き合う番なんだ!」

 

 

 貴大は、何も書かれていないチップをしまった。そして、残ったチップをドライバーに入れた。

 

 

Heart(ハート)Terror(テラー)”」

 

 

 以前、暴走してしまった“恐怖”の力。“決意”の鎖で“想い”を抑えてきた。しかし、それのできない程に強力な“恐怖”には、向き合わなければならないのだ。写真展で司が話してくれたことが貴大の中にあった。

 

 

「お前に、勝つ!!」

「面白い! あの時の、雑魚のままではないみたいだな!」

 

 

 そう言うと、サメは“怪人体”に変化した。その体には、甲冑のようなものを装備している。

 

 

「甲冑か?」

「そうだ。津王鎧“屠る甲冑(アーマー・オブ・イーター)”」

 

 

 甲冑であるにもかかわらず、屠る、という言葉が使われているのを考えると、何か攻撃機構があると思った方がいいのかもしれない。

 

 

「さて、喰らってやろうじゃねえか!」

「来いっ!!」

Weapon(ウェポン)Sword(ソード)”」

 

 

 貴大は黒を基調とした刀を手に取った。そして、襲い掛かって来たサメに刀を振り下ろした。サメは左手で抑え込むと、右手で貴大を殴った。

 

 

「ぐっ!!」

「おらあっ!!」

 

 

 刀の威力が緩むと、サメはさらに追撃を加える。一回転をしながら右ひじで貴大を殴る。貴大は刀を取り落して倒れこんだ。

 

 

「おいおい。こんなもんか?」

 

 

 サメは刀を蹴り飛ばして、貴大の腹を足で踏みつけた。貴大が足をのけようとするが、うまくいかない。貴大は必死に考える。上を見上げると、太陽がまぶしい。こんな時なのに、現実逃避かどうでもいいことを考えてしまう。こんな天気なら、外遊びもできるのだろう。鬼ごっこや缶けり、影ふみなんかも……

 

 

「っ!? そうか!」

「ア゛?」

 

 

 サメがそう言った途端、足に激痛が走った。思わず足をどけた。足からは大量の血が流れている。刺されたような痛みが走っているが、何の痛みなのだろうか。

 

 

「何がっ!!」

「……影だよ」

「何?」

 

 

 貴大は自分の足元を指した。足元には貴大の影がある。そして、貴大は影に手を当てて、何かを引っ張り出した。

 

 

「物理的に、ありえねえよな……」

 

 

 貴大の手には、刀の形をした影がある。貴大はそれを構えて、少し考察する。

 

 

「……光をはじく? 遮る? ……光を受け入れない何か?」

「ごちゃごちゃ言いやがって……ぶっ飛ばせば同じだ!!」

 

 

 サメはそう言って、殴りかかってくる。貴大はそれを避けて、すれ違いざまに一閃。しかし、それは甲冑に防がれてしまった。

 

 

「……くそ、めんどいが使うか」

「何を……」

「“特殊技能(アビリティ)”……“切断機構(ザ・スラッシャー)”“刺突機構(ザ・ピアッサー)”」

 

 

 そう言うと、甲冑のあちこちから刃や針のような部分が出現した。先ほどの、ただの甲冑とは違う……攻撃的なものに変化していた。

 

 

「なんだ、それ……」

「“Seoul(ソウル) Arms(アームズ)”によって得られる力だ。正直、好きじゃねえが。三将なんでな、四つ持ってる」

「多いな……」

「ほとんどの奴は一つだしな。陸は二つだが、空は六つもある。俺は真ん中だ」

 

 

 貴大はそれを聞いて、途端に叶と麗華のことが心配になった。どちらかはそんなものと戦っているのだから。

 

 

「さて……切って、穿つ!」

「何を!」

 

 

 貴大はすぐに応戦する。サメの腕についた“切断機構(ザ・スラッシャー)”と刀がぶつかって、音が鳴る。しかし、片腕と両腕。貴大がサメを押した。そして、甲冑の裂け目に向かって刀を差した。

 

 

「貴様っ!!」

「戻れ」

 

 

 サメは刀を引き抜いて貴大に切りかかった。しかし、貴大が一声かけると、刀は虚空に消えた。武器をなくして驚くサメに、貴大は影で強化した足で蹴りを入れた。影が“刺突機構(ザ・ピアッサー)”を防いで、サメは飛んだ。

 

 

「まだまだ!!」

 

 

 貴大はサメに接近し、二人の影が重なった。その瞬間、サメの体が宙に浮いた。サメの体の下には、ハンマーのようなものができていた。

 

 

「ガハッ!!」

「おりゃあ!!」

「ぐはっ!!」

 

 

 サメが地面に倒れ伏した。甲冑にはひびが入り、“切断機構(ザ・スラッシャー)”や“刺突機構(ザ・ピアッサー)”も消えている。貴大はチップを取り出した。

 

 

「“Terror(テラー)” “Kick(キック)” Final(ファイナル) Attack(アタック)

「遮れ恐怖を! “Terror(テラー) Strike(ストライク)”」

 

 

 貴大の足に影の装甲が作られていく。そして、貴大は一気にサメに蹴りを放った。サメは海に落ちて爆発した。貴大はそれを見届けると、“北鳴島”に向かって走り出した。

 

 

 

北鳴島 “使心獣”研究所

 

「やあ、三坂貴大君」

「……竜崎」

「その通り。私が、竜崎竜也」

 

 

 貴大が北鳴島に着くと、いきなり声をかけられた。そして、出てきたのが彼だった。

 

 

「竜崎。No,0を倒して、お前に聞きたいこと、全部聞いてやるよ」

 

 

 貴大は竜崎に向かってそう言った。しかし、竜崎は何も知らない貴大を笑いながら見つめていた。

 

 

「それは無理な話だ」

「どうして!」

「No,0はもういないからだ」

「何!?」

 

 

 貴大が倒すべき敵、No,0はもういないという。では、四体目はなんなのだろうか。

 

 

「私が知る限り、No,0はもういない。彼は、私と一つになったのだ」

「は? 何言ってるんだ?」

 

 

 竜崎は笑いながら、その姿を人ならざるものに変えた。貴大は驚き、黒い体から電気をほとばしらせた。

 

 

「私は、No,0だけではない。No4、No,11、No,12、No,15。計五体と融合してね」

「そ、その姿……」

 

 

 貴大は一歩後ずさった。爬虫類のような体。翼が生え、強そうな爪がある。その姿はまるで……

 

 

「……龍?」

「いかにも。私は、この竜崎龍也の名の通り……」

 

 

 彼は、背中に生えた翼を軽く動かすと、ニヤリと笑った。

 

 

「……龍になったのだ」




どうでしたか? 驚きました? 彼、龍になりました。伏線自体は、張ってありましたけどね。

さて、何について話したものか……あ、三坂君の件で行きましょうか。Change(チェンジ)については、いつか書きたいと思っていましたが、ここまで来てしまいました。
言ってしまえば、三坂君は心優しいとは言っても、ただの高校生です。あんな力を得たら、普通は道を踏み外すと思います。実際、僕は自分が道を踏み外す未来しか見えません。でも、彼はそうならなかった。そうなる理由の一つとして、『三坂貴大としてのココロ』と『仮面ライダーハーツとしてココロ』の二つを用意したのだと思います。そして、その切り替えを表すのがChange(チェンジ)。僕は、そう思っています。力を持っているのは、仮面ライダーハーツであって、三坂貴大ではない、と。もちろん、頭で理解はしているでしょう。しかし、心の中ではしていないのだと思います。
……と、いう話でした。お付き合いいただきありがとうございます。

それでは、次回の[恿]の回も見ていただければ幸いです。

See you next time!
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