仮面ライダーHearts   作:山石 悠

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どうも、山石悠です。いよいよ、竜崎龍也も登場して、クライマックスです!

それでは、今回のお話……というか、題名の話。
題名の『恿気』ですが、“恿”というのは“勇”の異字体、古字体です。実際は、『ユウ』の読みはないのですが、異字体、古字体ということで使いました。正しい読みは『ヨウ』などです。

と、言うことで、本編に行きたいと思います。

それでは、お楽しみいただければ幸いです。



[恿] 守護者の恿気

北鳴島 “使心獣”研究所

 

「なんで……どうやって」

「No,0の力……“特殊技能(アビリティ)”」

 

 

 “Seoul(ソウル) Arms(アームズ)”によって得られる力、“特殊技能(アビリティ)”。竜崎は、貴大を連れて研究所に入っていった。

 

 

「竜崎龍也……変な名前だろう? この名前は、急遽付けられたものでね。もともと、女だと言われていた両親は、男が生まれて慌てたらしい。それで、男だから強くなるように……竜と龍を重ねた。昔は、龍のように強い男になりたかった。しかし、体が弱くてね、そうはなれなかった」

 

 

 竜崎は、どんどん先に進む。貴大は、何も言わずに後に続いて行った。

 

 

「私は、自分でいうのもなんだが、頭がよかった。私は研究者になった。しかし、周りに合わせるのが苦手で、学界では弾き者だよ。そんな私を可愛がってくれたのが先輩達……君の両親だった。二人は私を“ココロ”の研究チームに入れてくれた。そして、途中から高畑も入り、四人で頑張ってきた」

 

 

 研究所の金属の壁や床が寒々しかった。いくつもの分かれ道を進む。しかし、まだ目的の場所にはつかないようだ。

 

 

「しかし、二人は消えた。私はデリートされた“ココロ”の基礎理論をサルベージして持ち出した。そして、犯人だと思っていた学会の人間達への復讐のため、何かを作ろうとした。その時、小さいころのことを思い出した。私は、龍を作ろうと……龍になろうとした。“ココロ”は未知のエネルギーだ。突然変異で龍が生まれる可能性もあると考えたんだ。しかし、生まれたのは“使心獣”だった」

「……それが“使心獣”誕生の秘密」

「初めは、失敗した。しかし、研究を重ねることで、五十一体の成功体を作り出すことができた。その中で、一番早く生まれ、一番強かったのがNo,0だ。No,0はね、アメーバだったのだよ」

「……は?」

 

 

 予想外だった。どんな生物なのかと思っていたNo,0の正体はアメーバだったのだ。

 

 

「予想外だったろう? でも、私には予想通りだったのだ。なぜなら、No,0には一番感情がなかったからだ」

「……どういうことだ?」

「強い“使心獣”になるには、二種類の方法がある。一つは強い生物であること。三将がいい例だろう。そして、もう一つは感情がないことだ」

 

 

 とうとう、扉の前についた。竜崎はパスワードを入力して扉を開けた。すると、そこにはいくつもの大きなガラスの管があった。

 

 

「ここでは、私が来る前にある研究が行われていた。“罪”や“妖怪”“神話”……そんな言葉があった。私のように、未知の力をもとに架空の妖怪や怪物を作ろうとしていたようだ。もしかしたら、龍も作られていたのかもしれない」

 

 

 いきなり話を変えた竜崎。貴大は黙っていた。

 

 

「ここに来て、No,0が謎の力……“特殊技能(アビリティ)”を持っているのを知った。それを発現させるのが“Seoul(ソウル) Arms(アームズ)”だ。しかし、No,0だけは初めから持っていた」

 

 

 竜崎はガラス管の一つに触れると、愛おしそうな。だが、悲しみも混じった表情をした。

 

 

「彼の持っていた力は、秒間で倍に増殖できる“個体複製(オリジン・レプリカ)”。そして、全てを飲み込みそのモノのすべてを取り込む“完全融合(パーフェクト・フュージョン)”」

 

 

 貴大は、それを聞いて竜崎が龍になった方法を悟った。竜崎は、アメーバに他の“使心獣”を取り込ませ、その後で自分自身を取り込ませたのだ。

 

 

「あんた……危険なことを」

「そうだな。一歩間違えれば、消えていた。しかし、私は逆に彼を取り込んだ。そして、龍になったのだ」

 

 

 それが、真実。竜崎が行き着いた結末だったのだ。

 

 

「さて……私の話も終わった。最終決戦といこうではないか」

 

 

 竜崎はそう言うと、近くのキーボードに向かい階段を出現させる。そして、貴大を連れて階段を上り始めた。

 

 

「さあ、決戦の舞台へ案内しよう」

 

 

 

北鳴島 闘技場

 

「いい眺めだろう? ここでは、戦闘訓練を行っていた。もちろん、ジャミングなどはしてある」

 

 

 北鳴島の一番高い場所だろう。鈴音市もよく見える。竜崎は貴大の方を振り返った。龍の姿をした竜崎は、いきなり貴大に殺気を放った。

 

 

「さあ、殺しあおうじゃないか。“ココロ”の存在は秘匿されるもの。どちらもの陣営が残っていては、意味がない。仮面ライダーが滅ぶか、“使心獣”が滅ぶ。二つに一つだ」

 

 

 竜崎はそう言って、手を挙げた。貴大は思わず身構えた。そして、竜崎は手を振り下ろした。貴大はいきなりの攻撃に備えたが、無駄だった。

 

 

「ぐはっ!!」

 

 

 貴大は、自分の血を纏った槍を見た。そして、後ろを振り向く。発射口があり、そこから貴大の心臓を貫いたのだろう。貴大は、胸を押さえ込んだ。

 

 

「な、なんだ、これ……」

「バカ正直に戦うつもりはない。生き残るために手段を問うつもりはないんでね」

「なんて……」

 

 

 貴大は膝から崩れ落ちた。膝立ちになって、天を仰いだ。

 

 

「……俺は、“恐怖”に、サメに勝った」

「六月ごろは暴走したのに、よくやったモノだ」

「ああ。……ようやく、“想い”だけで戦えるようになったんだと思う」

 

 

 貴大はそう言うと、何も書かれていないチップを取り出した。

 

 

「“(恐怖)”を超えた先に見える“光”がある。……俺は、それを見つけた。手にれた、と思う」

「その光とはなんだい?」

 

 

 貴大の持っている、何も書かれていないチップが光りだした。まばゆい光が放たれ始めた。

 

 

「……簡単なことだよ」

「簡単なこと? なら、どうしてここまで手に入れるのに時間がかかったんだい?」

 

 

 竜崎は、簡単だったという貴大の言葉に困惑した。

 

 

「何かを“決意”する。何かに立ち向かう。何かを実行する。そんな時に、自分の背中を押してくれる……」

 

 

 光が収まった。貴大は、ゆっくりと立ち上がった。

 

 

「な、何!?」

 

 

 そこには、あったはずの胸の穴が消えていた。貴大はニヤリと笑った。

 

 

「俺は“Hearts(ハーツ)”……これは、いろんな人の“Heart()”を表しているんだ。でも、俺にも複数の“Heart(ハート)”があるんだ」

「複数の“Heart()”があるとでも?」

 

 

 そう言った竜崎に、貴大は一つ質問した。

 

 

「……“Heart(ハート)”の意味は?」

「……感情、心だろう」

「そうだ。だが、まだあるだろう?」

「まだ……っ!? ありえない。そんなこと、できるとでも!?」

「現実、できたんだから……できるんだろうな」

 

 

 貴大が言いたいことを悟った竜崎。しかし、それは到底受けいられることではない。竜崎は震えそうになった。

 

 

「……“Heart(心臓)”」

「その通りだ」

「心臓を作ったとでもいうのか? バカな、ありえない……」

「俺は、作るんじゃない。変換するだけだ。“ココロ”を、装甲に変えるように。銃に変えるように。剣に変えるように。……心臓に変えるだけだ」

 

 

 心臓、及び、その周辺組織を“ココロ”を変換することによって修復した貴大。もしも、他の場所だったなら、治すことはできなかったのだろう。

 

 

「緑さん曰く……『精神論で何とかなる』だからな」

「高畑……本当に、すごい物を作ったな」

「だろ?」

 

 

 自分のことのように喜んだ貴大。そして、チップを竜崎に突き付けた。チップは、金色に輝いていた。

 

 

「さあ、いやでも正々堂々やってもらう!」

「……しかたない。これ以上、何をしても無駄だろうから」

 

 

 竜崎は構えた。貴大も、チップを持った手を胸の前に持ってきた。

 

 

「俺は勝って帰る。お前に、これ以上、誰かを心を傷つけさせはしない!」

「私は、勝つ。これまで戦い、敗れ、命を散らしてきた者達のためにも」

 

 

 竜崎はどこからか鏡のような刀身をした一メートルほどの大剣を取り出した。

 

 

「“討騎士剣(ドラゴン・スレイド)”。……さあ、変身したまえ」

「ああ。見てろよ? これが、“(恐怖)”を超えた先に見える……」

 

 

 貴大はチップをドライバーに入れた。ドライバーからは音声が流れた。

 

 

「……“(勇気)”だっ!!」

Heart(ハート)Brave(ブレイブ)”」

 

 

 “Brave(ブレイブ)”……その意味は“勇気”。黒い装甲が金色の装甲に変化していく。

 

 

Weapon(ウェポン)Sword(ソード)”」

「……さながら、“龍滅騎士(ドラゴン・スレイヤー)”というところか」

「騎士っていうほど、崇高な精神はないけどな」

 

 

 貴大は少し笑うと金色に輝く両手剣を抜いた。剣を引き抜いて構えるその姿は、まさに伝説の英雄(ブレイバー)だった。

 

 

「さあ、行くぜ!!」

「来るがいい!」

 

 

 貴大は剣を振り上げた。そして、龍に切りかかった。龍はそれを受け止めると、力押しで吹き飛ばして切りかかった。

 

 

「はあっ!!」

「あぶねっ!!」

 

 

 貴大は剣を吹き飛ばされる勢いを使って、後ろに飛び退いて着られないほどの距離を作った。

 

 

「おいおい……体が弱いんじゃなかったのかよ!」

「融合して丈夫になったようだ」

「まじかよっ!!」

 

 

 貴大は絶叫すると同時に、剣を前に構えて龍の攻撃を防いだ。龍は一気に加速して貴大の切りかかっていた。

 

 

「これで、どうだっ!!」

「っ!?」

 

 

 貴大は一気に光った。そして、目をつぶした龍に切りかかる。光を纏って……光速移動する貴大の攻撃は、衝撃波を伴って龍を襲った。

 

 

「ガッ!!」

「“瞬間発光(フラッシュ)”。そして、“光速移動(アジリティ)”」

 

 

 その場で技名を付けた貴大。攻撃を受けた龍は少し後ろに動いた。しかし、大したダメージになっていないようだった。

 

 

「次はこちらの番か」

 

 

 そう言うと、龍は剣を腰のあたりに当てて構えた。貴大は、次の攻撃に備える。

 

 

「“龍帝斬波(ドラゴニック・スラッシュ)”」

「クッ……」

 

 

 龍頭の斬撃波が貴大を襲う。貴大はそれを剣で後方に受け流した。そして、再び切りかかった。

 

 

「おらあっ!!」

「ふんっ!!」

 

 

 貴大は横に剣をふるった。龍はそれをしゃがんで避けると、切り上げを放った。貴大は足で剣を蹴り飛ばして攻撃をそらす。そして、反対の足で回し蹴りを放った。

 

 

「フッ!!」

 

 

 竜崎は、それを後ろにのけぞるようにして避けた。すぐに貴大が剣を振り下ろし、龍が剣を振り上げた。それは、お互いの剣はぶつからずにお互いを切り裂いた。

 

 

「うわっ!!」

「ぐふっ!!」

 

 

 お互いが倒れこんだ。二人とも、急いで立ち上がって剣を構えた。貴大は剣の切っ先を龍に向けた。龍は手を貴大に向けた。

 

 

「“直線光撃(レーザー)”」

「“龍帝炎撃(ドラゴニック・フレア)”」

 

 

 光と炎がぶつかった。しかし、すぐにお互いにすり抜けて相手へと飛んでいく。避けるべきか、続けるべきか。両者はしばらく悩み……

 

 

「はあっ!」

「おおっ!」

 

 

 ……続ける方を選択した。光と炎がお互いに当たり、大ダメージを与えた。

 

 

「クソッ……」

「強いな……」

 

 

 戦力は拮抗していると言えるだろう。お互いに思うようにダメージを与えられない。大ダメージを与えるには、自分がそれを受ける覚悟をしなければならなかった。貴大はそんな極限状態で、一つだけ疑問を解決することにした。

 

 

「……竜崎」

「なんだね?」

「……お前、目的は復讐だったよな?」

「ああ、そうだ」

「でも、その理由は勘違いで……」

「知っている」

「何!?」

 

 

 竜崎は、貴大の両親が消えたのを学会の人間のせいだと思った事をきっかけに“使心獣”を作った。しかし、俺は勘違いだった。

 

 

「知っている。しかし、引くことはできない」

「なぜ……」

「私の研究に出資する団体がある。そこは、私を逃がさないだろう」

「だから、戦うのか?」

 

 

 竜崎は貴大の問いに首肯した。足を引いて、剣をじりじりと後ろに持っていく。貴大も、半身になって剣を引いた。

 

 

「ああ。もしも、私が勝てば“使心獣”のデータは彼らに渡される」

「まだ、渡してないのか?」

「君に勝つまでは渡さないことにしている。代わりに、君に負ければデータごと……研究所ごと消すことにしている」

「何!?」

 

 

 貴大は驚いた。しかし、これに勝てば、貴大達の……仮面ライダーの完全勝利だった。竜崎は、剣を引き終えたのか動きが止まる。

 

 

「さて……話はこのくらいにしておこう」

「そうだな……」

 

 

 お互いに構えた剣をふるった。龍は大地を蹴って加速する。そして、横なぎに剣をふるった。

 

 

「ふんっ!!」

「おりゃあっ!!」

 

 

 貴大は居合の要領で剣を振った。貴大の剣が龍の胸を切り裂こうとしたが、龍はすぐにそれをたたき落として、上方に飛んだ。そして、空中で左足がうなった。

 

 

「ハッ!!」

「フッ!!」

 

 

 蹴りを後ろを向いてかわすと、貴大は斬撃波を放つ。龍はもう右足で蹴りを放っていた。

 

 

「ぐっ!!」

「クッ!!」

 

 

 斬撃波が龍の左足を切り裂き、貴大の顔面を蹴りが襲った。お互いに、距離を開けてたった。

 

 

「力が……」

「足が……」

 

 

 貴大は、軽い脳震盪を起こして動けない。龍は足を怪我しているためか走れない。飛べばいいように見えるが、飛ぶときにもバランスを取るために足を使う。

 

 

「くうっ……」

「むうっ……」

 

 

 貴大はしばらく冷静にしてると、意識がはっきりしてきた。普通なら、こんなものでは終わらないだろうが、ハーツの力だろう。龍も、少し力を込めるようにすると怪我が治った。

 

 

「……決まらないな」

「そうだな」

 

 

 このままでは、お互いが疲弊して動けなくなるだろう。貴大は、チップを取り出した。次に、かけることにした。

 

 

「必殺技、これ以上疲れたら使えそうにないんだ」

「……奇遇だな。私もだ」

 

 

 龍はそう言うと、構えた。剣に炎が集束し、強力な一撃が放たれる予感がする。貴大は、剣を大地に突き刺した。

 

 

「“Brave(ブレイブ)” “Kick(キック)” Final(ファイナル) Attack(アタック)

「はあああああっ!!」

 

 

 貴大の右足に光が集束する。そして、走って跳んだ。

 

 

「照らせ勇気を! “Brave(ブレイブ) Strike(ストライク)”」

「“龍帝纏炎斬撃(ドラゴニック・フレア・スラッシュ)”」

 

 

 龍は剣をふるった。極大の炎の剣が貴大を切ろうと襲い掛かる。

 

 

「おりゃあああ!!」

 

 

 貴大の叫びが聞こえ、炎をにあたった。そして、炎の光エネルギーだけを奪っていく。龍は剣を手放した。攻撃をあきらめたようだ。貴大は避けられると思いつつも、全力を込めた。

 

 

「行けえええええええ!!!!」




どうでしたか? ……え? ここで終わりか? ミスってないかって? いいえ、あってますよ?

「行けえええええええ!!!!」で、今回は終わりです。次回は最終回です。はっきり言うと、次回はあとがきが長くなる予定なので、短めにしておきます。詳しいことは次回で!

それでは、次回の[穏]の回も見ていただければ幸いです。

See you next time!
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