さて、それでは今回の話。
性別転換世界にトリップ、第二話です。どうでもいいのですが、『優しさの定義』という題名は、使いたいなと思っていて使えなかった話です。いい感じのが思いつきませんでして。今回、使えました。良かったです。
それで、まあ、題名に会うような話にしたつもりです。優しいって何? みたいなのを、僕なりに考えた結果です。不器用な言葉ではありますが、伝われば幸いです。
それでは、お楽しみいただければ幸いです。
鈴元町
「……そう」
「信じて、くれるのか?」
勇樹は、貴子の返事に驚く。貴子は、クスリと笑うと貴大と優希を見た。
「二人が嘘をついてるとは思えないし。それに、永見君が信じてるんだから、私も信じる」
「そ、そうか……」
「じゃあ、情報交換といくか」
「分かったわ。私の家でいいのよね?」
貴大と貴子は、情報交換するということで意見が一致し、四人は貴子の家に向かった。
鈴原町(?) 三坂貴子宅
「……なるほどね。こっちに来た理由はオカルトだけど、向こうの世界は、こっちの世界をハードにした感じかしら?」
「ハード?」
貴大達は、貴子の家で情報交換を行っていた。今は、貴大達の世界についての話が終わったところだ。話を聞いた貴子は、貴大達の世界をハード、と評した。
「ええ。それについては、私達の世界について話せば分かってくれると思うの」
貴子はそう前置きをして、話し始めた。
「まず、私もあなたのように一月ほど前にこの街に来た。そして、私は、紅さん……あなた達の世界で言う、緑さんにあった」
「そこで、“ココロ”について知ったんだよな?」
「ええ。そして、竜崎峰子さん……竜崎龍也さんのことを聞き、“クロソウル”の存在を知った。“クロソウル”は、あなた達の世界で言う“使心獣”のような存在なの」
いったん話を切った貴子。少し話をまとめているようだった。そして、しばらくの沈黙の後、話が再開された。
「両者の違いについて話すわ。“クロソウル”は、“ソウルチップ”と呼ばれるものを動物に取り付けることで誕生する。“使心獣”と違って、倒せば“ソウルチップ”だけが消滅して動物は元に戻る。そして、完全ではないけど……“ココロ”を喰われた人の下にも感情が戻る」
「倒しさえすれば、もう二度と何も感じなくなる、なんてことは無いんだな?」
「うん。……そして、“クロソウル”は“ココロ”の塊みたいなもので、物理的な怪我もほとんどしない。これまでも、そして、これからも……あなた達の世界みたいに街が破壊される、なんてことは無いと思う」
「それが、俺達の世界をハードっていう理由なんだな?」
貴大の問いに、貴子はゆっくり首肯した。そして、今度は胸ポケットに差していたペンを取り出した。
「これは私の変身アイテム、“ハートチェンジャー”よ。魔法少女をイメージしてるらしくて、呪文を唱えないと動かないの」
「あの、必殺技の時のもか?」
「……うん。それで、呪文を唱えて変身するの。そして、“ハートチップ”をペンが変形するステッキに入れることで、そのチップごとに決まった能力が発現するの。そっちで言う“H”のチップね」
「“W”や“A”は無いんだよな?」
「無いわね。……まあ、基本的にはこんな感じだと思う」
説明が終わった。しばらく沈黙が流れたが、不意に優希が貴大に話しかけた。
「三坂君、“P”についてはどうするの?」
「あー……そうだったな」
「“P”? チップの種類?」
貴子の質問に、貴大はうなずいた。そして、手にはまっている腕輪から全部のチップを取り出した。
「俺のチップは、三種類に分かれてる。“
貴大はそう言いながら、チップの中から“
「“
「なるほどな……」
貴大の話を聞いて、勇樹が真っ先に悩み始める。そして、しばらく考えて「だああああっ!!」と叫んだ。
「分かんねえ! 多分、効果は直訳するんじゃなくて、意訳しなきゃいけないとは思うんだけど」
「そうだな。そういう小さいことから始めるのも大切だし、ありがとう」
「まあ、気にすんな」
貴大が素直に礼を言って、勇樹は恥ずかしそうに返事をした。そして、ふと真顔に戻ると、貴大に詰め寄る。
「……そう言えば、二人とも、しばらくしたら帰るんだろ?」
「そりゃそうだな」
「……気になったんだが、なんでここで何かをしなきゃいけないって思うんだ? 別に、この世界は貴子に任せて帰ればよかったのに。自分から戦いに行って。本当は今だって、ここにいる理由なんてないだろ?」
そう言われれば、そうだったのだ。なんだかんだで巻き込まれてはいたが、そうでなくてもしばらくはこの世界にいるつもりだったことに気がつく二人。しばらく、理由を考えてみた。
「多分、だけどね……」
「俺達、この世界を見たかったんだ」
貴大はそう言った。そして、ふと、以前、自分の世界を訪れた異世界人の存在を思い出した。
「門矢士、って人がいて、彼も異世界から来てたんだ。彼は、いろんな世界を旅していた。そして、その行く先々で、戦う人がいるにもかかわらず手を出し続けてた」
貴大が士について話しだすと、優希は「先生って、異世界人だったの!?」と驚いていた。
「確かに、彼にはある世界を救うという目的があった。でも、その目的を達成するためにはいちいち戦いに顔を突っ込む必要はなかったんじゃないかって思う。命をかけなくてもいいって、そう思う。でも、彼はそうした。多分、それは、彼が信じる何かがあったからだ。守りたい何かが存在したからだ」
誰も、何も言わない。貴大は、一人で話し続ける。
「俺だって、多分、最初は見たいっていう理由だった。でもな、この世界で誰かの“ココロ”が喰われてるって知ったら、俺は戦う。それが、“仮面ライダーハーツ”だから」
「……そう。私が、心術師になるって決めた時みたい」
「気楽に考えてることを後悔して、こんな辛いことは自分が止めてやる、って。そう決意したんだろ?」
「ええ」
自分の想いを的確に言われ、貴子は驚いた。しかし、すぐにそれは貴大自身の思いでもあるのだと理解した。
「お前の“決意”は、間違ってない。最後まで戦い抜いた俺が、そう保証するよ」
「……優しいのね」
貴大の言葉に、貴子はそう返事をした。少し照れた様子でそういう貴子を見て、優希と勇樹は、軽い嫉妬の念を感じた。
「三坂君?」
「貴子?」
「「……な、何?」」
「「何でもない!」」
二人の“ゆうき”はそう言って、一緒に出て行ってしまった。貴大と貴子は、それを唖然としながら見送るしかなかった。
鈴元町
「何なの、三坂君!」
「全くだ。なんか、いい感じになっちゃってさ!」
お互いに愚痴り合いながら、歩いている二人。周りからは、変なものを見るような視線を向けられているのだが、それにすら気がついていない。
「もう少し、私に優しくしてくれてもいいのに……」
「いや……十分、優しいだろ」
「え、どういうこと?」
優希の言葉に、勇樹がそう言った。優希はどういうことか分からず、首をかしげる。
「貴大ってさ、俺達がぶつかった時、それがよく分かったよ」
「どういうこと?」
「ぶつかった時、貴大は俺達の間に入ってたんだ。ほら、よくあるだろ? 『ぶつかって骨折した。治療代を出せ』みたいな状況。貴大、それを考えたのか、俺と目があった時に警戒してたんだぜ? それも、君が怪我してないかよく探しながらな」
「それ、優しいの?」
「ああ、そう思うよ。カッとならずに、冷静に君のことを想いやってた。それって、ホントにすごいことだと思う。俺なら、しばらくぼっとしてると思うんだ。それに、さっきも話してただろ? 誰かのために戦う。そんなの、優しい奴にしかできないよ」
「そっか……」
優希は、勇樹の話を聞いて少しだけ罪悪感がわいてきた。そして、チラリと勇樹の方を見やると、勇樹の方も何か神妙な表情をしていた。
「どうしたの?」
「いや、今言ったことって、全部自分にも言えることだなって思って……」
「ああ、なるほど」
貴大を貴子。優希を勇樹に当てはめれば、確かに通じるだろう。
「でも、いいと思うよ? 悪い感情は、排除する物じゃないと思うから」
「そうなのか? 無い方がいいと思うんだが」
「ううん。……生物の授業でやったんだけど、生物の進化ってすごくてね。生物には、いらないものなんてないんだ。全て、今の環境を生き抜くために必要なもの。それって、感情も一緒だと思うの。誰かを愛する気持ちだって大切。でも、誰かを怒ったりする気持ちだって、同じくらい大切なんだよ。この気持ちは、絶対に敵じゃない。きっと、私達の味方であり続けてくれるものだよ」
優希は、言いたいことを全て言って少し恥ずかしくなってしまった。あまり、こういうことを話すようなことは無かったからだった。
「……なんか、慰められたな」
「それはこっちのセリフだよ」
優希と勇樹はそう言って笑った。お互い、違いは性別が違うことくらいだ。そして、それ以外はほとんど一緒だった。だからこそ、互いの気持ちに共感できるのだ。
「……結局、あの二人は優しいんだね」
「そうだろ。俺達には、優しいが、まだ分かってないのかもしれないけど」
「誰かが傷ついている……」
「誰かが守らないといけない……」
「「……だから、戦う」」
偽善かもしれない。しかし、偽善でもいいのだ。それで、誰かを救うことができるのであれば。
「……帰る?」
「そうだな。二人とも、困ってるんじゃないか?」
二人はそう言って笑いあった。互いに、口元をほころばせて。しかし、その時、目の前で誰かの悲鳴が聞こえてきた。二人は、顔を見合わせた。
「「く、“クロソウル”っ!!」」
二人はそう言うと、そちらに向かって走り出した。……勇樹が貴大に尋ねたことを、彼自身もしている。結局のところ……この二人も“優しい”に適った人間なのだろう。何かは分からないが、確かに存在する。その、よく分からない線こそが、優しさの定義なのだ。
鈴元町 衣音通り
イロハ順に並んでいるこの世界の鈴音市の通り。二人がそこに来ると、人が襲われている。二人は、“クロソウル”の目を盗んで人々を遠くに運んでいった。
「走って!」
「早く逃げろ!」
“クロソウル”は、二人が誘導しているのに気がつく。そして、二人に向かって歩き出した。
「お、俺を置いて先に行け!」
「な、何言ってるの!?」
「片方がおとりになれば、もう片方は間違いなく助かる。ここは、身体能力の上な俺の方が適任だろ?」
「で、でも……」
「いいから行けって! もうすぐ、貴子達も来るから!」
二人が言い合いをしている間にも“クロソウル”は、二人の間に入っていった。そして、二人を捕まえようと手を伸ばした。
「「待て!!」」
「三坂君!」
「貴子!」
そこにいるのは、ドライバーをつけた貴大と、ペンを持った貴子だった。二人はそれぞれ同時に変身し始めた。
「これ以上“ココロ”は喰わせない……変身!!」
「
「希望の光は高き天に、慈悲の涙は深き海に、決意の鎧は堅き地に! ……そして、見えざる心は汝の内にあれ!」
「“
二人の変身が完了した。貴大の周りには、白い機械的な装甲が現れ装備された。貴子の方は、着ている服が光と共に白く可愛らしい衣装へ、ペンが杖へと変わった。
「“クロソウル”……っ!!」
「グロロ……ニンゲン、“ココロ”、クラウ」
「しゃ、喋った!?」
「喋らなかったのか?」
「ええ。この“クロソウル”……何かが違う」
「……オレ、“クロソウル”。デモ、“シシンジュウ”トイウノニモ、ナッタ」
「し、“使心獣”!?」
……なぜか、“使心獣”にもなっている“クロソウル”。なぜかは分からないが、“クロソウル”では得られなかった知能まで会得している。
「……“クロソウル”だけど、“使心獣”のような恐ろしさがあるかもしれない」
「気を引き締めていくぜ……っ!」
貴子は貴大に忠告する。彼女の言う“使心獣”の恐ろしさとは、“ココロ”が決して戻らない。理性的な破壊行為、といったモノのことだ。
「最初っから、全力だ!」
「
貴大の装甲が金色に変化した。貴大の持つ“H”のチップの中で、もっとも強力なもの。それが“
「行くぜ……“
「私も……“
二人の光の攻撃が“クロソウル”めがけて放たれた。まばゆい光が辺りを包んで、真っ白に染まる。
「やった!」
「……っ!! まだよ!」
「グロロロ……キカ、ナイ」
効かない。そう告げた“クロソウル”は、片手を天に伸ばして言葉を発した。
「グロロ……“
その言葉と共に、空間のあちこちが裂けていく。現実ではありえないことが起こり、貴大と貴子は戸惑いで一歩後ずさった。
「な、何が……」
「テキニ、ハメツヲ。イノチニハ、シヲ。コノセカイニハ、ヒトシク、シュウエンヲ、アタエヨ」
そう言って、手を振り下ろした。裂け目から黒い球体が現れ、針のような形に変化していく。そして、それは貴大達めがけて放たれる。
「まずい! “
「
「きゃああああっ!」
貴大は急いで、光の雨……“
「グロロロロロロロロロロロロロォォォォォォォォ!!!!!!」
「ぐうううっ!」
“クロソウル”が獣のような雄たけびを上げ、貴大は苦痛にうめいた。黒い針と光の雨は、互いを相殺し合うが少しずつ針の方が押し始めていった。
「グロオオオオオオオオオオ!」
「あああっ!」
「きゃあっ!」
貴子と貴大は、針の直撃を受けて吹きとんだ。光の雨のおかげで、ほとんどの針は消滅していたが、それでもまだ多くの針が残っていた。
「く、クソ……っ!」
「あり得ないほど強い……」
始め、貴大は“クロソウル”と“使心獣”を足したものだと思っていた。しかし、そうではなかった。実際は、掛け合わされたような強さになっていたのだ。
「三坂君……」
「貴子……」
優希と勇樹も、心配そうに二人を見た。あの“クロソウル”、格段に強化されている。おそらく……いや、きっと、今のままでは勝つことはできないだろう。何か、二人の能力をあげるようなものは……
「……あ!」
「どうした?」
「そうか。そう訳せばいいんだよ」
優希はいきなり叫び出し、何か納得したようにつぶやいた。隣の勇樹はそれを心配そうに見つめている。
「三坂君!」
「ゆ、優希……」
「三坂君! 進化だよ! 発展、進歩。つまり……」
それは、あの腕輪についた新しい力のこと。“
「……“
「そ、そうか……」
意味が分からなければ、必要な力は分からない。どんな能力を与えてくれるのか分からないのだ。間違え、敗北し、失敗しても。そのたびに、新たな何かを得ていく。それそこが、新たな力……“
「はあ、はあ……」
貴大は、ゆっくり立ち上がった。そして、腕輪を見る。腕輪から……ある一枚のチップから、まばゆい光が放たれている。
「……新しい、力?」
「ああ、そうだ」
貴子のつぶやきに、貴大はそう言い返した。他のチップは、相も変わらず使えないし、何かも分からない。しかし、この新しいチップには文字がしっかり書かれている。イラストチックに書かれたその文字を見て、効果を理解した貴大は、変身する時のようにチップを構えた。
「……行くぜ。これが新しい力………………“
その言葉と共にチップを入れた。
「
音声が流れるが、特に変化はない。しかし、貴大はゆっくり貴子に歩み寄ると手を差し伸べた。
「行こうぜ。ここからは、俺達も一緒になってな」
「…………うん」
貴子も、先ほどのチップの効果は理解していた。いろいろと、思うところはあるのだが、貴子はその手を取った。二人の体が、光って融合した。
「は、はあああ!?」
「ま、まじかよ!?」
優希と勇樹から驚きの声が漏れる。貴大と貴子の体は、まだ光っていて何かを形作っていく。そして、しばらくしてその光が消えた。
「……騎士?」
「グロロロロロ……」
それは騎士、というのがぴったりだった。体つきは中性的で、外から見ているだけでは性別の判断がつかない。そして、貴大の機械的な装甲と貴子の可愛らしい衣装を組み合わせたためなのか、白っぽい服に甲冑をつけたような姿だった。腰にはドライバー、手には剣に変じた杖があった。
「……さあ、行こう」
二人が同時に喋っているかのような声が聞こえてくる。二人は、剣を構えて“クロソウル”と対峙する。そして、一気に走り出した。
「“
輪を描くようにして接近する。そして、剣が綺麗な弧を描いて“クロソウル”の体を切り裂く。“クロソウル”が後ろに下がる。二人は、さらに接近して攻撃を仕掛ける。
「“
「グロオオオオオオォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」
剣の刀身が白い光を放つ。どうやら、それだけでも“クロソウル”には大ダメージを与えるようで、苦しそうに叫び声をあげた。
「一気に決める!!」
二人が声高に叫んだ。剣に“ココロ”を集束する。まばゆく輝く白い筋となった剣が、ゆっくりを腰のあたりに運ばれた。
「我の想いは我のモノ。汝の想いは汝のモノ。悠久の時が流れども、それこそが永劫不滅の普遍の真理! 秩序を乱す存在よ、あるべき所に想いを返せ!」
「グロロ……オレ、マダ、シナナイ」
二人の詠唱が始まり、徐々に光が収束する。“クロソウル”は、それを阻止しようとするが光のせいで進むことができなかった。
「“
「ガアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
“クロソウル”に、大量の“ココロ”が叩き込まれた。そして、飽和量に達して爆発を起こした。青い空に、黒い煙が立ち上って消えていく。
「…………
二人がそう唱えると、融合と変身が同時に解除された。その顔は、少し恥ずかしそうに紅く染まっている。優希と勇樹は、融合から様々な妄想が膨らんだ。
「み、三坂君? どうしたの?」
「た、貴子? 何かあったのか?」
「「そ、その……」」
「「その?」」
貴大と貴子は、恥ずかしそうに顔をかいた。
「「…………思ったよりも中二病な言葉が多くて辛かった」」
普段から言い慣れてはいたのだろうが、貴大にとっては詠唱するのは初めてで、貴子は貴大に感情が引きずられたのかもしれない。優希と勇樹は、安心したような様子でため息を吐いた。貴大と貴子が不思議そうにしているが、二人はそれを無視して話を進めた。
「それにしても、無事でよかったよ」
「ああ、これで、大丈夫だな」
「ああ、そうだな」
「さっきの“使心獣”と融合した“クロソウル”、二人がこの世界に来たことが影響してるのかも」
「……どういうことだ?」
貴子は、自分の推論を述べた。移界の祠によって、俗に言う異世界の壁、のようなものが弱くなっている可能性がある。ということだ。
「じゃあ、私達が来たせいで……」
「いや、あまり関係ないと思う。多分、薄くなったせいで、二人が来たと思うから」
「ってことは、その壁が元に戻ったら帰れなくなるってことか?」
「そう、ね……」
貴子の言葉を最後に、貴大と優希は顔を見合わせた。そして、一回だけ大きくうなずいて貴子と勇樹を見た。
「俺達、行くな」
「うん。ちょっとだけだったけど、ありがとうね」
「いや、何にもしてないし」
「むしろ、助けてもらったんだから。お礼を言うのはこっちよ」
四人はそう言って笑いあった。そして、ひとしきり笑うと貴大と優希が一歩を踏み出した。
「それじゃあな。また会えたら、会おうぜ!」
貴大の、その言葉を最後に二人は去っていった。そして、二人の影が見えなくなったころ、勇樹が大きな声で叫びだした。
「な、何? どうかしたの?」
「俺、やっちまったかも……」
「何を?」
「実は……」
勇樹は、ガタガタと首を動かすと、貴子に話す。
「二人が来たのは、俺が願ったからだったろ?」
「ええ」
「俺、連れてこい以外にも、言っちゃったんだ」
「……なんて?」
「……いろんな世界に、連れて行ってやれ! って」
「それって……」
「うん。そういうことだ」
……二人が帰るのは、まだまだ先のことになりそうだった。
After Hearts~想いは彼方に~
悠「さて、番外編も二話目。このあとがきも二回目です!」
会場から拍手。
悠「ありがとうございます。……それで、今回は三名のゲストを呼んで、歓談といきたいなと思います。それでは、お三方どうぞ!」
緑・翔逸・勇介「「「こんにちは」」」
また、会場から拍手。
悠「はい。ということで、今回は物語の序盤から登場しました、高畑緑さん、中森翔逸君、神田勇介さんです! ……さて、物語も終わりました。実際のところ、一番最初の設定から、一番乖離した方でもありますけど。そこも含めてどうですか?」
緑「私は、あまり変わらなかったのよね。ただ、後、一つ変身アイテムと強化アイテムを作る予定だったのよね」
勇介「俺は、二人目のライダーになる予定だったんだよな。ただ、少し辛い、ということで叶君にバトンタッチだったけど」
翔逸「僕は、父さんや兄さん達が、この物語に大きく影響するっていう案があったんだよね?」
悠「そうそう。もともと、三坂君、神田さん、中森君。この三人を、アギトのような感じでいさせたかったんだ。でも、一人称はどうかって話をきっかけに、この先の見通しをして、その結果の変更だったんだよね」
勇介「俺も、変身したかったんだけどな」
悠「そのフラグも、ちょっと用意してあったのにね。でも、まあ、夢乃君が間接的にかなえてくれましたけどね」
翔逸「そういえば、僕はどうなる予定だったの?」
悠「正直に言うと、あまり考えてなかったんだ。でも、その“ココロ”が特殊すぎて竜崎さんに狙われる。実は、家族も同じで……見たいな感じなのはあったかな」
緑「私、変わって無いんじゃない?」
悠「まあ、凡人、みたいな事を書いてたけど、実際はかなりの才女で、三坂君の両親にも匹敵する実力がある、ってことになるつもりだったんだけどね……」
勇介「じゃあ、この物語で、一番変わった人と変わらなかった人って誰なんだ?」
悠「うーん……比較し辛いから三人と三坂君だけにするけど、一番変わったのは中森君。変わってないのは三坂君かな。彼は、イメージを貫いたね。ただ、『ふぅ……よし! やってやる!』の口癖は、『さあ、お前の罪を数えろ』レベルにするつもりだったんだけどね」
緑「へえ……そうだったのね」
悠「そうなんだよ。……って、おっと、もう、九百字を越えたね。それじゃあ、まとめに入ろうか」
悠「それでは、次回は未定です!! ごめんなさい。決まり次第、書いていきたいと思います。コラボの件ですが、ただいまWを見直しておりますので、時間がかかりそうです。すいません」
勇介「それで、このあとがきは、次回以降のゲストを誰にするか募集中だそうだ。誰か、出てほしい人がいれば、生死や登場回数を問わずに募集するそうだ。名前の無いキャラでもいいらしいよ」
翔逸「感想、アドバイスなど、どんどんお待ちしてます!」
緑「それでは、次も見てくれると嬉しいわ」
悠・勇介・緑・翔逸「「「「See you next time!」」」」