D.Gray-man-悪魔の旋律ー 作:ティム
全ての事に意味のない事なんてない。
俺はそう思う。
起きてるのだって、意味がある。
食事するのだって、意味がある。
スマホ弄るのだって、意味がある。
歩くのだって、意味がある。
学校行くのだって、意味がある。
勉強するのだって、意味がある。
帰るのだって、意味がある。
寝るのだって、意味がある。
生きているのだって…意味がある
今までのことが走馬灯のように駆け巡る。
父親、母親、姉、弟、友人、先生、彼女、スマホ。
……こんなときにまでスマホが出て来るなんてスマホ依存症の末期だな。
人生楽しかった?と聞かれれば、まぁそれなりに楽しかったと答える。
何が一番嬉しかった?と問われれば、彼女が出来たことが一番嬉しかったと応える。
まぁ、彼女は遊び半分で付き合ってくれたらしいが。
クラクション音を鳴らしながら突っ込んでくるトラックをスローで見ながらそう考えた。
赤信号だけど、車がいないから渡ろうなんて思わなければ良かったな。
死ぬのが怖い?と言われれば、もちろん怖いさと言う。
死の恐怖は誰だって怖い。動物は生存本能がすごいからな。
だけど、死ぬのにも意味がある。
もしかしたら、俺が死んだおかげで何処かの誰かが助かったのかも知れない。
もしかしたら、俺が死んだおかげで何処かの誰かが生まれてきたのかもしれない。
そう…思いたい。
ドンっという鈍い音が響く。グシャリと何かが潰れる音がする。
宙に舞った感覚の後に、ザザザッと言う音と共に地面を滑った。ここはコンクリートのはずだが、肉を擦り切れながらなら誰でも滑れるらしい。少し大根おろしの気持ちがわかった気がする。
痛みは撥ね飛ばされる前から無い。脳が瞬時に判断して、痛覚を切ったらしい。
救急車特有の音がBGMとなって脳内に響く。
あぁ、瞼が重い。
ゆっくりと閉じて行く。
人の叫ぶ声が聞こえる。聞いたことのある声で、優しく包み込んでくれる声……母さんかな?
ははっ、母さんには迷惑かけてばっかだな。主に金銭面。
高校の学費が少し高い私立に馬鹿なばかりに入ってしまったし、これからも迷惑かける。具体的には100万円ぐらい。まぁ、すこし金欠な母さん達が開いてくれるとは限らないけど。
そういや、親孝行あまりしてないな…。
今は眠いから、起きてからでいいかな?ねぇ?母さん。
じゃぁ-------
--------おやすみ。
歌が聞こえた。
幼くまだ声変わりしてないと思われるその声は妙に心に浸透してきて、落ち着いた。
母親が赤子をあやすこの歌は随分前から知っているようで、心が安らぐ。
ずっとずっと聞いていたいけれど…それより歌の主が気になって、目を開けた。
眩しい光が満ちてきて、反射的に目を細める。
まだ寝ぼけている目を擦りながら、覗き込んできた少年に目を向ける。
ドクンっと脈を打った。
今し方、生命の光を、活力を受けたようで、思い出したようで、すぅっと優しい空気が喉を通った。
その事に少し感動を受けていると、目の前の少年は口を開けた。
「あ、起きたんだね。僕はマナ」
ま……………な………?
「おはよう」
-------あぁ、おはよう