てんこうぐらし!~SCHOOL LIVE! IF STORY~ 作:委員長@バカ犬
プロローグ「ろじょう」
「意外と路上にはいないんだね…」
「せやな、多分…仕事とか、学校とか行っとるんちゃうかな」
S県巡ヶ丘市、徐々に繁栄を取り戻しつつあった街だった。あの日がくるまでは…
あの日、突然「あいつら」が現れた。
あいつらは人を食らい、噛まれればたちまち同じ「あいつら」になってしまう。まるでゾンビ映画のような光景が現実のものとなってしまったのだ。
この路上もそんな惨劇の爪痕があちこちに残っている。
衣装店には乗用車が突っ込んでおり、あちらこちらで玉突き事故も起こっていた。だが、ここには誰もいない。
死体はいくつかあったが。
「学校…か、また通えるのかなぁ…?」
「うーん…まあ、何とかなるんちゃう?生きてりゃ何かしら良いことあるやろ!」
「うん……そうだね!」
そんな路上を歩く2人の少女がいた。1人は足を怪我したらしく、もう1人に背負われていた。
「あぁもう…そんなに悲観的になってどないすんねん
、圭(けい)!」
「うん…そうだね、ありがとう弥涼(いすず)ちゃん」
2人は学校も違えば、友達だったわけでもない。こんな状況になった路上でばったり出会っただけだ。
足を怪我したのは圭の方で、歩けなくなっていたところに弥涼が現れた。
弥涼は圭よりも頭一つ小さいにも関わらず、軽々と圭を背負って歩いていた。
「それで…モールはどっちの方やったっけ?」
「んっと、もっと東だね」
「わかった!ほな走るでー!」
「えっ!?大丈夫なの!?降ろしてもいいよ!?」
「だいじょぶだいじょぶ!圭くらいの重さやったら楽勝やって!」
そう言うと弥涼は圭を背負いながらも意気揚々と走り出す。
それから一時間後…
「だから降ろしていいって言ったのに…」
「し…死ぬ…疲れた……」
流石に体力が持たなかったのか、バテて横になっていた。
「まだもうちょっと距離あるし……どうしよう…」
圭がそう言いながら当たりを見渡すと、ふと視界に原付バイクが見えた。
鍵は刺さったままになっており、車体も殆ど傷付いていないように見える。元の運転者も怖くて乗り捨てて逃げてしまったのだろう。
「あれ…使えるかな?」
「ん…?どれや?」
「ほら、あのバイク」
「どれどれ…?んしょっと…」
汗だくながらも起き上がり、弥涼もバイクの様子を確かめる。
「…うん!使えそうやな!ガソリンもだいぶ残っとるみたいやし!ウチ、バイクの免許は取っとるから運転できるで!」
「ごめんね弥涼ちゃん…まだ歩けそうに無くって…」
「ええって!友達を助けてあげたいんやろ……?
……ウチももう後悔したくないしな」
何か思い詰めるような表情を一瞬見せるが、すぐに笑顔に戻り、圭に荷台に座ってもらう。
「ヘルメットは流石に無いか…ま、安全運転でいくで!しっかり捕まっとってや!」
「うん!」
本来ならノーヘルと二人乗りで捕まってしまうであろう。だが…ここには警察もいやしない。
気にする暇はなかった。
圭が言うには、ショッピングモールに友達と、一匹の犬を残して、1人で助けを呼びに行こうとしたようなのだ。
早く助けてあげなきゃいけない。もう誰かを失う後悔はしたくない。
物語は一度、圭と出会う前、1ヶ月前に遡る。
pixivに弥涼のイラストをいくつか投稿しています。
田無弥涼と検索すれば出るはずです。