てんこうぐらし!~SCHOOL LIVE! IF STORY~   作:委員長@バカ犬

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今回、ようやくプロローグと繋がります!!


第4話「はじめまして」

車を追うことは出来なかった。当たり前だ、人間より遥かに速い乗り物に追いつけるわけがない。

 

それでも十分だ。希望はある。きっとまだ他にも生きている人はいる。そう思うことにした。

 

「よし、気を取り直して行くでー!」

 

久しぶりに笑顔になれた気がする。大きな声を出したが、あいつらは寄ってこなかった。

 

「せやかて…どこ行けばええやろなぁ…」

 

とりあえず車が進んでいった方角に真っ直ぐすすむことにする。

 

「となると……この先は巡ヶ丘駅やなかったかな?」

 

そう呟きつつ前へ、前へと歩む。

途中、いくつか行き止まりがあった。

あいつらが群れていたり、交通事故で進めなかったり。

そんな道は迂回して回った。

そろそろ日照りが強くなってくる。

夏が近付いてきてるんだな、と思った。

 

「しっかし……暑いなぁ……」

 

「嫌ぁぁぁーーーっ!!」

 

「っ!?……声っ!?」

 

女の子の悲鳴が聞こえた。そう遠くない場所からだ。

 

 

「そこか……!!」

 

ビルとビルの間の路地裏だ。そこにあいつらが集まってきている。

きっと、そこにいるはず……!

 

「待っとれよ……!今いくで!!」

 

木刀を構え、路地裏へと入っていく。そして勢い良く側に停まっていた乗用車の車体を木刀で殴った。

 

ゴオォォンッ!!っと鈍く車体の凹む音がする。

 

「さぁ……こっちへ来んかい!!」

 

あいつらの注意がこっちに向いた。

そして見えた。生存者の姿が。

あの制服は確か……巡ヶ丘学院高校だったはず。

 

「ひっく……うっ………助けて……」

 

かすかに助けを求める声が聞こえてくる。

多分、噛まれてはいない。見える範囲では傷口は見えなかった。

ただ、どうやら足を挫いたようだ。立ち上がれなくなっている。

 

「待っとれよ……!!」

 

視線をあいつらに向ける。見える範囲で4体、多分……これ以上はいないはず。みんな男だった。

ホームレスのように見えた。服は傷と関係なくボロボロになってる部分があるし、みんな痩せ型だったからだ。

 

「んなこと気にしとる場合かっ!」

 

自分に言い聞かせつつまずは近くにいた一体に真っ直ぐ突っ込む。

そしてその頭蓋目掛けて勢い良く突きを放った。

メキメキッと頭蓋骨の割れる音と共に思った以上に軽い身体が吹っ飛ぶ。

 

「1つ……!!」

 

残りの3体は群れて襲いかかってきた。

でも、あいつらの動きは結構鈍い。

落ち着いて動けばかわすのは容易いはずだ。

 

一度走ってあいつらの後ろに回る、そして拾った小石を向かいにある乗用車にぶつける。

 

車体に当たる音にあいつらは釣られていく。

音と光に敏感なことには数日倒していく内に気付いたことだ。

あいつら、余り目は見えていないみたいなのだ。

 

「今のうちに……」

 

音を立てずに女の子のもとへ向かった。

 

「あ、あの……」

 

「しーっ……話は後で、な?

歩けへんのやろ?」

 

「あ……うん」

 

「ほないくで!」

 

茶色い髪を後ろで束ねていた。ヘアスタイル的には弥涼に似てる部分もあるが、この子はあまり長くはなかった。

今はそんなことは気にせず、弥涼は軽々と女の子を背負い、バレないようにそっとあいつらから離れていった。

 

 

 

 

 

「……ふう、この辺でええかな」

 

大分歩いたと思う。とりあえず大通りで女の子を降ろした。

 

「えっと……その……ありがとう……ございました」

 

「そんな他人行儀にせんでええって!タメ口でええよ!」

 

「……じゃあ、そうするね」

 

何故か顔を赤らめている。恥ずかしいのだろうか?

 

「私は……祠堂圭(しどう けい)。あなたは?」

 

「ウチは田無弥涼や。よろしゅうな」

 

少しでも元気付けてあげようと、今できるとびきりの笑顔を見せる。

 

「…クスッ」

 

小さく、笑ってくれた。良かった……

 

「無理しなくて、いいんだよ?」

 

そして、ばっさりとそう言われた。

今、自分がどんな顔をしているのかわからなかった。

 

すると、圭はおもむろに鞄から手鏡を取り出し、弥涼の顔を映してくれた。

 

 

 

「……あれ?」

 

すごく、引きつっていた。にやけている…わけでもない。笑っているのだけれど、凄く震えているのだ。

 

「…1人でいたんだね、弥涼ちゃんも。

その気持ち、わかるよ?」

 

言葉に出さなくても、この子は自分のことをわかってくれている。そう直感で感じた。

1人でいるのは寂しかった。怖かった。辛かった……。

 

「良かった……良かった……生きててくれて…………良かったぁ…………!!」

 

助けたはずの自分が、号泣してしまった。

圭はそんな自分を優しく抱きしめてくれた。

 

「よしよし……」

 

そして、あることを口にした。

 

「あのね……弥涼ちゃん。私……助けたい人がいるの」

 

「うぅ…………えっ?」

 

「本当は…大人の人とかに頼みたかった……でも、もう時間がないの!!」

 

「えっと……どういうことや?」

 

涙を拭いながら、圭の話を読み解いていく。

 

「巡ヶ丘のショッピングモールに……友達と、犬が……まだいるの!!」

 

まだ、生存者がいる……!

あの車だけじゃなかったんだ。

なんだ、まだまだ希望はいっぱいあるじゃないか!

嬉しくなる一方で、一つの疑問が生じた。

 

「あれ……なんで圭はそれを知っとるん?」

 

「そ、それは……」

 

酷くうなだれた。どうしてか、何となく察した。

 

「もしかして……助けを呼ぼうとして置いてきた?」

 

「……う、うん……

………いや、違うの……!!」

 

一瞬肯定したにも関わらず、少し間を空けて否定してきた。

 

「私と友達……美紀(みき)って言うんだけど……

私達はあの時モールにいたの。そこで巻き込まれて……慌てて逃げ込んだところが倉庫だったおかげで、しばらくは生活出来たよ。

でも…………」

 

そこで、言い詰まってしまう。

 

「耐えられなかったの……!!

あんな所にいたって……絶対助けなんかこない……!助けを呼ぶ手段だってない……!!

美紀はここにいようって言ってたよ……でも、生きてるだけじゃ……ダメじゃない!!」

 

「……そんなこと、ない!」

 

ガッと、圭の両肩を掴む。

 

「生きてるから……ウチと会ったやん!助けてもろたやん!

ほら。ええこと、あったやろ?」

 

「あっ……」

 

ハッと目を開く。やっぱりそこには複雑そうな笑顔を浮かべた弥涼の顔があった。

 

「ーーーー生きてるって、素晴らしいことなんやで?」

 

「あっ……ああぁ……!!

美紀!ごめんなさい……!!ごめんなさい……!!」

 

「ウチは美紀って子やないで!?

…いや、それより…!はよ助けに行こ!!」

 

「……うん!!!」

 

 

 

 

 

 

こうして、2人の物語は始まったのだった。




ようやく圭と出会えました。
お察しの方もいると思いますが、この物語のストーリーのベースはアニメ版となっています。
しかし、細かい部分は原作漫画も読んだので、そちらの要素も取り入れております!

次回、いよいよショッピングモールへ入ります!!
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