てんこうぐらし!~SCHOOL LIVE! IF STORY~   作:委員長@バカ犬

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遅くなってすみませんでした!!
いよいよ、本編と繋がっていくと思います。


第6話「おてがみ」

「……す………ん……」

 

声が聞こえる。これは、誰の声?

…聞いたことがあるような…

 

「…すず…………ん…」

 

自分を呼んでいる?

 

「………すずちゃん……」

 

ーーーーそうだ。これは、水奈の声だ。

大事な、とても大事な親友の声だ。

でも……水奈はもう……自分が……

 

「……………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

   『ど う し て こ ろ し た の』

 

 

 

 

 

 

「……弥涼ッ!!」

 

「……ひッ!?」

 

圭の声が聞こえたが、弥涼には別人の声にでも聞こえたのだろうか。咄嗟に飛び起き、圭の方へ振り返った。

 

「け……圭……?」

 

「大丈夫?うなされてたよ…?」

 

いつの間にか眠ってしまっていたようだ。

額にはおびただしい量の汗が流れていた。

 

「……また、あの夢を見たんやな……」

 

水奈に限って、あんなことを言うはずはない……。

あれは、自分が罪悪感から産んだ妄想なんだ。

そう思っても、どうしてもあの夢を見てしまう。

 

ーー結局、弥涼は自身の罪を無意識で許していないのだ。

 

「弥涼……」

 

圭には、弥涼が経験したことはわからない。

でも、街に蔓延る「あいつら」を見ると、何があったのかは察しがついた。

だから、深くは聞かないことにした。

 

あれから……二人でショッピングモール「TRON」での避難生活を始めて数日経つ。

やはり、救助は来なかった。

弥涼も三日に一度程はこうやって眠るとうなされることがある。

自分を守るために木刀一本で「あいつら」と戦っている。

精神的にも、肉体的にも疲労が溜まっているに違いない。

 

「弥涼、今日は見回りもしなくていいから…休もう?」

 

「うん……そうさせて貰うわ……」

 

汗を拭い、弥涼は深呼吸でもしようと思い、窓を開けて外の景色を眺めてみた。

 

澄みきった青空、舞い踊る鳥達。都会のはずなのに車の排気ガスの匂いすらしない。

ここまでは……平和に見えた。

下には所々に「あいつら」の姿が見える。

「あいつら」を見ただけで現実を思い知ってしまう。

 

圭の友達……美紀は果たして、無事なのだろうか?

 

「……ん?」

 

視線を再び空に戻した時、何かが見えた。鳥ではない……目を凝らしてみる。

 

「……風船?」

 

風に流され、いくつかの風船が飛んでいた。更によく見てみると、風船の紐の先には四角いものが括り付けてある。

 

「圭、圭ッ!!」

 

「えっ…どうかしたの?」

 

「あれ見てみ……!」

 

「嘘…ッ!?風船!?」

 

「誰か…生きてる人が飛ばしたんや!!」

 

偶然にも、そのうちの一つがこっちの方へ飛んできていた。

 

「なんか棒みたいなもんは……これかっ!」

 

腰にさしていた木刀を取り出し、風船の紐へ引っ掛けて取ろうとしてみる。

 

「ん……こなくそぉぉぉ……ッ!!」

 

左手で窓枠を掴み、精一杯身を乗り出し、緩やかに飛んでくる風船へむけ、右手で木刀を伸ばす。

そして……紐へ上手く引っかけられた!

 

「圭ッ!!取れたで!!……うわぁっ!?」

 

取れたことに喜び、気を抜いたその時にバランスが崩れ、左手を離してしまった。

 

「弥涼っ!!」

 

すぐそばにいた圭は咄嗟に弥涼の腕を掴み、思いっきり引っ張った。

すると風船を持った弥涼も含め、圭も部屋の中……というか、床にたたきつけられた。

 

「いったぁぁぁっ!?!?

……っててー……もっと優しく引っ張ってやぁ……」

 

「ご、ごめん…助けなきゃって必死で…えへへ……」

 

何はともあれ、風船を拾う事は出来た。風船の紐に括り付けてあったものがなんなのか、確かめようとする。

 

「…手紙?」

 

「なるほど!こうすれば誰かに生きていることが伝えられたんだ!!」

 

子供なら誰もが一度はやってみたいと思う、伝書鳩のようなものだ。こんな状況だったから考えもしなかった。

相当遊び心のある人間なのだろう……そう思った。

 

「ねぇねぇ、手紙読んでみようよ!」

 

圭に急かされ、手紙を開いてみようと思ったが、その前に、裏に絵が描かれていることに気付いた。

 

四人の女の子と、先生と子犬がデフォルメされた絵に、上には『わたしたちは元気です』とメッセージが書かれてあった。

 

「あれ…この制服……圭のとこと同じやない?」

 

「うそ?どれどれ…?」

 

圭もその絵を見てみる。

その瞬間、圭の目から涙が流れてきた。

 

「お、おい…圭?どないしたん…?」

 

「これ……っ!この子……ッ!!」

 

涙ぐみながら、圭は5人の内、右端の銀髪のショートカットの少女を指差した。

 

「まさかっ…!」

 

「間違いない……美紀だよ……美紀……ッ!!太郎丸も……っ!!

良かった………生きてたんだ……………ッ!!」

 

ぽたぽたと手紙に涙を滴らせてしまう。

生きていてくれた……そのことがなによりも嬉しかったのだ。

 

「この子が……美紀……それと…太郎丸……他の人は知っとるか?」

 

「ううん……多分、真ん中の三人は三年生だと思う……左の人は確か………先生だったと思う」

 

「ってことは……この人達と美紀は合流出来たってことやな……あっ!住所が書かれとるでっ!!…それと…経緯?」

 

「この住所って……私の学校だっ!!」

 

「ってことは……美紀も学校におるってことやな!」

 

「弥涼っ!!はやくっ!!早く学校に行こうよ!!」

 

「待ちや圭!!……もう一つ、手紙が入っとるで……圭宛ての」

 

圭が美紀の絵を見ていた間、弥涼はもう一つ手紙が入っていることに気がついていた。

 

「私宛てっ!?美紀が書いたのかな…っ!!」

 

「……ウチが読んだる」

 

一度深く息を吸い、読み上げる。

 

 

 

 

 

『圭、お元気ですか?

私は新しい場所で、新しい友達が出来ました。

私は元気です。

太郎丸も元気です。

ここのみんなの、おかげです。

うん、生きているって素晴らしいよ。

 

露落ちて 花残れり

花しぼみて 露なほ消えず

 

いつかまた、私の行く道の先で、あなたと出会えますように……』

 

 

 

 

「……っ!!……!!!」

 

もう、声にならない。鼻水が垂れてこようが構わない。圭はひたすら泣き続けていた。

 

「ごめんね…ごめんね…美紀……太郎丸……ッ!!

心配かけちゃったね……ッ!!」

 

「圭、それは……美紀と太郎丸に会って、直接言わなアカンやろ?」

 

そう言って弥涼は手紙をしまい、木刀を担ぎ、立ち上がった。

 

「行こう!圭っ!!学校へっ!!」

 

「……うんっ!」

 

弥涼が差し延べた手を、圭は強く握りしめた。




次回、いよいよ巡ヶ丘高校へ向かいます!!
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