てんこうぐらし!~SCHOOL LIVE! IF STORY~ 作:委員長@バカ犬
決断してからの行動は早かった。
二人は持ち運べる程度の乾パンなどの非常食を学生鞄に詰める。あの手紙を見た限り、5人程で学校に籠城しているのだろうと思ったからだ。
弥涼は更に木刀を手に取る。そして圭の方は小さな巾着袋を持っていた。
「ほな、これからの手順を確認するで。
まずは二階まで降りる。二階までなら段差もあるし、あいつらも少ないはずや。
それから「それ」を使って一階に降りる」
弥涼が言った「それ」とは、圭が持つ巾着袋だった。
「急いで外に出たら、着たときに乗ったバイクで学校を目指す……ええな?」
「うん、私だって一度ここから出たことあるんだもん。きっと出来るよ」
「ホンマかー?怯えとるのがバレバレやで?」
「クスッ……弥涼こそ、震えてるよ?」
当たり前だ。もし失敗すれば間違いなく死ぬ。怖くないはずがなかった。
「……よし、行くで」
そうして、2人は避難所をそっと後にする。
「美紀……待っててね……!」
裏口の階段を伝い、二階までは無事に到達できた。運良くまだあいつらとは遭遇していない。
だが、一階となると話は別だった。
生ける屍がたむろしている。ほんの数週間前は賑やかなショッピングモールだったのに……いや、今でも賑やか…ではあるのだろうか。
無数のうなり声が響いてくる。
次の獲物をずっと求めているのだろう。
「……ほな、アレを使うで」
「わかった」
小さな声でやりとりし、圭は巾着袋から何かを取り出す。
それは学生の時に必ず貰っていたであろう。小さな防犯ブザーだった。
先生に「もし危ない目に合いそうな時に鳴らすように」と言われていたであろう。まさしく今がその時だ。
圭は躊躇なく防犯ブザーの栓を引く。耳をつんざかんばかりの高音が鳴り響く。
それを一階ロビーに置かれていたピアノの上目掛けて投げた。
ブザーの音とは別に、カーンッ!とピアノの屋根に当たる音が聞こえる。
勿論あいつらはそれに気付き、一斉にピアノへ群がっていく。
偶然あいつらの手が鍵盤に当たり、ジャーンジャーンと不協和音も鳴り響く。それが余計に周囲のあいつらも引き寄せる。
陽動はまさしく大成功だった。
「っよし!行くでっ!」
すかさず2人は階段を駆け降り、一目散に正面玄関を目指した。
正面玄関へのルートには入ってきたばかりのあいつらが2人ほどいた。
「……南無三ッ!!」
圭の前に出てすかさず木刀で近付くあいつらの頭を殴っていく。
悪いが弔ってやる余裕もなかった。
「弥涼っ!バイクあったよ!」
圭の指差す方向に、二人がここへ来るときに乗ったバイクがあった。
まだエンジンもかけれそうだ。
「よぉーし!ウチの後ろに乗ってや!」
「うん!」
圭が乗ったことを確認し、エンジンをかける。どうやらご機嫌のようだ。
「よし、行ける……!!」
「しゅっぱーつ!!」
未だに鳴り続ける防犯ブザーとピアノの不協和音をBGMに、二人を乗せたバイクは走り出す。
作戦が上手くいけた喜びからか、お互い大声で笑いあっていた。とても、幸せそうに。
次回、タイトル回収なるかっ!?