明日に控えた高校の入学式。色々と用意をしなければならないが、向井武はゆ〇シティに仲の良い知人と本屋に向かっていた。
「最近、面白い作品とかあった?」
「特にはないね。武はいつも通り、ここじゃなくて古書店で買いに行くの?」
「そら、定価で買うよりは安いし、何と言っても古本特有のオールド感がたまらないんだよね」
「中学三年間の付き合いだけど、そこのところだけはよくわからんね」
内心、なぜ古本の魅力が分からないのか疑問符が出てきそうだ。今しゃべってたのは野田加稲。何度も同じクラスになり、出席番号も隣だったためよくしゃべる間柄になった。言っておくが、俺の友人は様々なジャンルのオタクが集まっている。加稲は心理学系統や植物学をかじっていて、どのジャンルが最も得意かが全く分からん。そう喋っている俺もこいつ以上に植物に関しては好きだけどな。だけど、俺のジョブはあくまで古文学だ。
「お二人さん、俺たちを置いて行ってデートでもしてたのか」
と、変にちょっかいかけてきたこいつは、伊村暦。身長も176センチありどこからどう見ても非の打ちどころのない顔をしている。一様、こいつもオタクなんだぜ。しかし、重度の歴史オタクで社会の成績はいつも五段階評価の5で、女子からはモテるし、こんなリア充が俺の友人てことにもろ恐怖を覚えている。
「なわけねーだろ。今日は、俺の買い物に付き合ってもらっているだけだ」
「それってデートみたいなものではないのかと……」
「めんどくせーなお前ら」
暦の背中に隠れて小声でしゃべっているのは、賀沢計美。校内ではパソコンの大会で常にトップ10に名を残すパソコンの大好きな少女だ。数学オタクで、あとは暦と似たもんだ。
奴らもはたから見れば、十分カップルに見えるがな。まぁ、それはさておき。
「お前らも本買いに来たのか?」
「いや、俺らは参考書を買いに来ただけだ」
「高校の教科書さえあれば十分だろ」
と言って、参考書エリアから全教科の分を引っ張り出してきた。
「それじゃなくて…大学入試の超難問の奴を探してるんだけど…」
「ホァッツ?」
「計ちんたち、もう高校の範囲終わらせたんだ。やっぱ早いね」
「つっても、推薦で合格した後、一日で課題終わらせてから勉強に入ったから糞しんどかったぜ」
「お互いに推薦通ったから…私も…一緒にやることにしたけど…時間がかかり過ぎて、昨日やっと終わった感じ…です…」
「相変わらずスゲーな、この天才カップルわよ」
「「誰がカップルだ(ですか)!!」」
はい、期待通りの反応ありがとうございます。
「なんかイヤになって来たから、俺は帰るぜ。計も早く帰るぞ。買うもんかったし」
「はい……」
と、二人は店を出て行った。後姿なんかもろカップルだろこれ。小規模の台風も去ったことだし何か買うものはあったかなと加稲の購入した本に目線を移すと、また心理学の本だった。
「また買ったのか。この手のタイプ」
と、袋の中から取り出してななめ読みをしてみた。
「ちょっと『また』は、ないでしょ。しかもそれ、一番見られたくないやつじゃん。返してよ」
その一言から全く見向きもしなかった本の題名を想像することができた。
これは…恋愛に関しての心理学本やないかい!しかも丁度開いてあった内容を見て俺は高校になって恋愛もとい、青春を味わうことにした。ちなみにその内容は『ロリコンになりやすい人』だった。
「オメー、何つー本買ってんだよ!」
「だって、高校入ったらリア充したいし、何よりそのページが決め手だからね」
奴の言っているセリフにため息しか出ない。
「俺たちも家に帰るか」
「そう、だね…」
家にか言える着くまで変な空気を漂わせていたが、明日いよいよ高校なので、早めに寝ることにした。
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