ハジメが突く【帝都群狼伝】   作:アップルトン中将

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気まぐれに書いた読み切りを連載してみた。


序章「ハジメが突く」

刃を奮う、そのたびに鮮血が舞う

 

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

血を吹き出し、首が空中を舞う

 

 

「ふぅーっ...」

 

 

肺に貯まった煙を口から吐き出し手にした刀を鞘に収める

人の首を切り落としたその男の表情は驚く程無表情だった

 

男の名は「ハジメ」

前髪を少し垂らしたオールバック

すさまじく釣り上がった眼

右手に煙草を持っていた

 

 

「阿呆が...」

 

不意に口から出た言葉には、死んだ男を哀れむかのような口調だった

 

ハジメが首を切り落とした男は腐敗した貴族だった

平民を傷つけ、辱しめ、飽きたら殺す事を繰り返す

まさしく畜生、外道の類いであった

ハジメとて血の通う人間

始末した貴族が大人しくこちらに捕まれば

罪人として法で裁くつもりだった

だが貴族は開き直り

 

 

「何が悪い?たがだか平民ごときが一人死んだだけではないか!!」

 

 

とわめき散らす始末

罪人ならば法で裁こう

だが人を人と思わぬ悪と外道はその必要はない

外道を裁くのは法ではなく、己の手で断罪する。

 

 

「総隊長、ここに居ましたか」

 

 

部下の隊員が足早に駆け付ける

 

 

「被害状況はどうだ?」

 

 

「はっ!!問題ありません、負傷者無し、屋敷の制圧は完了、使用人は全員捕縛してあります。」

 

 

「そうか、ならば早々に証拠書類を抑えろ、オネストに揉み消される前にな」

 

 

「はっ、解りました」

 

 

「当然金品、美術品、財産もすべて押収だ、死人に必要ないだろう」

 

 

足早に去っていく部下を見送り自身もこの場は部下に任せ去るのであった

 

屋敷の前に停めてある馬車に乗り思考の海に身を沈める

 

自身が手に掛けた数々の人間

不正を働き、私腹を肥やす文官

腐敗し、快楽のために平民を殺す貴族

 

だがまだ足りない、この国には腐った輩がまだまだ居る

それらを一掃しこの帝国を本来有るべき姿に正すまで

まだこの刀を本当の意味で鞘に収めるわけにはいかない

 

 

「...我ながら、難儀な性格だ...」

 

 

自身も解っている事を改めて口にする

だが絶対に止めるつもりはない

誰かがやらねばいけないのだ、オネストに表だって対立するのも

そして自らがその先頭に立ち、良識派の文官を守り国を変えるため。

いわば自分はその先駆けとなるのだ

 

ふと自分の腰に差した刀を見る

 

「ごちゃごちゃと考えすぎだな、俺らしくもない」

 

 

そう言うとポケットの中にある煙草を取りだし火をつける

煙を肺に満たし吐き出す

 

「総隊長、一応馬車は禁煙ですので...」

 

 

乗り合わせた部下が苦言するのであった

チッっと舌打ちをしながらも煙草の火を消す

 

「阿呆が...」

 

その言葉はいったい誰に向けたものか、自身にもそれは分からなかった

 

 

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