タツミ、選択を迫られる
「・・・俺は...」
「今、どうすりゃいいか解らないんです...サヨやイエヤスを殺したのは帝都の人間だけど、こうゆう奴等を許さない、警備隊みたいな人達も居るってのは解ります...だから解らないんです!!いっそ帝都の人間が皆腐った人間だったら、なんの迷いもなく恨む事ができたのに...」
四つん這いに倒れた状態でタツミは拳を握り締めながら涙を流す、それは友を理不尽に奪われた悲しみと怒りからくるものであろう
「...そうか」
「ただ、俺はもう警備隊に居られない...」
「...なぜだ?」
「解りません...ただ俺は此処に居るべきじゃない、居てはいけない、そんな脅迫じみた不安感が一気に押し寄せて来るんです...」
「チッ...」
ハジメのこの舌打ちはタツミに対する侮蔑的な意味合いではなかった。
いや、むしろこうなるであろう事を予期していたのは他ならぬハジメ自身であった。
これはむしろ運命、もしくはそれを司る神とも称される存在に対しての悪態のような意味があった。
(どうやら運命や神と呼ばれる存在は主人公の立ち位置まで変えるのは許容できんらしいな、フン...人を散々ほったらかしにしておきながら今更しゃしゃり出てくるとはな...)
「...そうか、嫌なら出ていっても構わんがな、故郷の村はどうするつもりだ?」
「っ!!、それは...」
「ふん、考えなしか...見ているんだろ、出てこい!!」
暗闇の中、二人しか居ない場所でハジメが叫ぶ、そしてその呼び掛けに応じるように五人の人影が闇の中から現れた。
「なんだ、やっぱり気づいてたのか」
「.....」
「任務失敗か...警備隊にまた先をこされちまったし。」
「まぁ、気がつかない訳ねぇよな、相手はあのハジメだからな」
「フンッ...」
暗闇から現れたのはそれぞれ特徴の違う5人
『露出の多い金髪の女』
『黒い長髪の小柄な見るからに寡黙な少女』
『緑髪の軽薄な印象を与える少年』
『鎧の様な物を纏った男』(声で判断)
『桃髪のツインテールの不機嫌そうな少女』
「誰なんだコイツら、警備隊...なのか?」
突然の来訪者に戸惑うタツミ
「違う、コイツらは...まぁ殺し屋だ」
「殺し屋!?」
「...説明するのも面倒だ、おい、コイツを連れていけ」
「はぁ!?」
「...良いのかい、旦那?」
「構わん、本人は警備隊に居たくないが金は稼がなきゃならんらしいからな、お前らも人手不足だろう、ちょうど良い就職場所だ。」
「ちょっと!?勝手に話を!!」
「贅沢言うな、それとも泣きべそかきながら故郷に尻尾巻いて帰るか?」
「くっ!!、ダメだ、それだけは出来ない!!」
「だったら決まりだな、存外上手く行くかもしれんぞ?」
「あああ!!でもやっぱり殺し屋なんかには...って何勝手に担いでるんだ!!俺は殺し屋に成る気は!!」
「大丈夫だ、すぐに良くなる」
「何が!?」
抵抗するタツミを担ぎ上げる鎧の男へ直ぐ様突っ込みを入れるタツミであった
「作戦終了...帰還する」
「あっ、アカメあたし一寸ハジメと話があるから、先にかえっててくれよ。」
「...わかった、ボスには遅れると伝える」
シュッ!!
風を斬る音を出し、四人はその場から消え去った。
残ったのは露出の多い金髪の女、名前は『レオーネ』と言う
「...さて旦那、家に人を回して来るとはどういった風の吹き回しだい?、あんたら警備隊とはあくまでも不干渉で同盟や結託なんてもんはしてなかったはずだろ。」
「フン、アイツに適した就職先を見つけてやっただけだ。」
「へぇ、警備隊はいつから職安の真似事までしはじめたんだい?」
「....」
「相変わらず素直じゃないねぇ、帝都の狼なんて呼ばれて血も涙もない人間みたいに言われちゃいるけど、中身はやっぱり甘い男だねあんた...」
そう言い寄りながらハジメの首に手を回しはじめる、それは首を絞めるような動きではなく、むしろ愛しい男を抱き締めんとする動きであった。
「やめろ、はしたない女は好みじゃない。」
そう言いながら首に回ったレオーネの手を言い方とは裏腹に、優しく外す。
「つれないね、解ってるだろ...あたしが強い男に惹かれるのをさ...」
『百獣王化・ライオネル』それがレオーネの使う帝具の名前である、その特性は身体能力の強化、反面自身の感性を動物に近付ける事にもなる帝具であった。
つまり雌としてより強い雄に惹かれるのである。
「いいかげんにしろ、長居するならばお前を捕まえるぞ。」
「はいはい、相変わらずお堅い性格だ事、まぁ楽しみは次にとっておくよ。」
そのまま姿を消すレオーネを見送り、ハジメも踵を返しその場から立ち去る、
「...阿呆が」
そう言いながら煙草に火をつけるハジメの顔は少し疲れた様子だった。