学校暮らしは大変です。   作:いちちく

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話でおかしいなーと思ったところは気づき次第修正を入れておきます。
ここ、おかしくね? ってところがあれば、コメント欄で指摘して頂けると嬉しいです。
まあ、設定ガバガバなので矛盾点だらけだとは思いますが……。


●3

 

 

 月9日目( ) No.7

 

 気が付くとめぐの手を握りながら眠っていた。

 あれ、昨日はちゃんとベッドに入って寝なかったっけ?

 ……いや、気のせいだな。そもそもオレの寝てる部屋にベッドないし。

 

 この学校でベッドがあるのは保健室と放送室だけだ。ソファーならいくつかあるが、ベッドはこの二箇所にしかない。

 あ、なんで放送室にベッドがあるのかはオレも知らない。大方、うちの学校の中で割と影響力の強かった放送部が勝手に持ち込んだんだろうが、真相は闇の中だ。

 

 ちなみにこのベッドは三人分あり、試したらちゃんと使えた。

 こないだベッド用のマットを干してからは、女生徒三人衆はこれで寝ているらしい。めぐは布団みたいだけど。

 まあ、大人が我慢するのは当然のことだよね。

 でも無理しないでソファーぐらい使えばよかったのに。

 それとも、布団のほうがよく眠れる性質だったりするんだろうか。

 まあ、それは本人に任せよう。

 

 

 

 

 

 めぐの熱は随分と下がったようだ。

 手を当ててみてもあまり熱くなかったし、起きためぐは意識がはっきりしていた。

 念のためにあと一日休んでもらうが、もう大丈夫だろう。よかったよかった。

 これでオレも、めぐの看病から解放される。

 ようやく力仕事が出来るぜー。

 そう思っていたら、恵飛須沢さんがやってきて「今日は一階に行くの?」と聞かれた。

 

 ……はい?

 え、なに、どういうこと?

 確か二階の確保ってまだ済んでなかったよね?

 そう思って問い質すと、ちょっと憮然としたような顔で「あんたがめぐねえに掛かりきりの間にもう二階は確保し終えたよ」だそうだ。

 

 ……マジかョ。

 ちょっと待ってよ、オレ一人で二階に突撃するのはやめてって言わなかったっけ?

 どうやらその言葉を無視して一人でさっさとやっちゃったみたいだ。

 

 うわー、やるせない。

 それじゃまるで「あなたはいなくても一向に困りませんよ」って言ってるようなもんじゃないか。

 あーあ、やっぱオレは居ても居なくても変わらない奴なのかねぇ。

 

 ……よそう。オレが邪魔者だなんてことは分かりきってたことじゃないか。

 でも流石にちょっと凹んだ。

 はぁ。

 

 

 

 

 

 月10日目( ) No.8

 

 ようやくめぐの体調が完全に元に戻った。

 看病してくれてありがとうございましたと若狭さんに言われた。

 うん、ちょっと待って。今思い出したけど君、保健委員会だったよね!?

 めぐの看病ぐらいならお茶の子さいさいのはずだよね!?

 なんでオレにやらせたんだよ!

 

 表向きはなんでもないようにそう訊くと、「私、外科系なので風邪とかの処置はさっぱりなんですよ」とのこと。

 あ、そういうことなのね。なっとく。

 ……まあ、いいや。

 オレも自分でめぐの看病できて安心したし。

 気にしないことにしよう。

 

 さて、今日はとりあえず地下に物資を取りに行った。

 米やパンはまだあるのだが、調味料や冷凍野菜が足りなくなってきていた為だ。

 今回は恵飛須沢さんと二人で行ってきた。

 また一人で行こうと思ったけど直前で彼女に見つかってしまったのだ。

 

 不満げな顔で置いていくなと言われた。

 君だって抜け駆けして二階の確保一人で終わらせちゃったんだからおあいこだろうに……。

 そう思ったが口には出さないでおいた。

 ふてくされて後で一人突撃されても困るし。

 

 二階が完全確保できていたのはかなり大きく、かなりスムーズに地下まで辿り着くことができた。

 カレールウや塩胡椒に冷凍ネギ、水菜、もやしなどを回収し、難なく離脱できた。

 あ、嘘だ。難はあった。

 途中で後ろからあいつらの一匹に不意討ちされそうになった。

 恵飛須沢さんが処理してくれたけど。

 ありがとうとお礼を言ったら笑っていた。

 ……血のついたスコップを持ちながらそれは怖いです。

 将来、彼女が病んだりしないように祈っています。

 

 

 

 折角カレールウをいくつか取ってこれたので、今日はカレーにすることにした。

 作るのはオレだ。いつも若狭さんに任せっぱなしじゃ悪いし。

 オレが作ると言ったらみんな驚いていた。

 

 うん、驚くのは分かるよ。オレ完全に体育会系の身体してるし、どう見ても料理とか出来そうにない顔だもんね。それは分かる。

 

 でもさ、それ以上はやり過ぎだと思うんだ?

 

 若狭さん、「先生大丈夫ですか? めぐねえの風邪がうつりました?」なんて言ってオレの額に手を当てるのはやめてくれ。

 熱ないから。生まれてこの方風邪引いたことないから。そんな一生懸命背伸びしてまで熱測ってくれなくていいから。純粋な善意は人を傷つけるだけだから。

 

 恵飛須沢さん、おもむろにカップラーメンの箱出そうとしなくていいから。ちゃんとまともな物作れるからオレ。というかふざけてるだけだよね君。そこノートとかしまってある場所じゃん。カップラーメンはこっちの棚だから。あ、しかもちょっと笑ってやがる。

 

 めぐ、「はい皆胃薬」じゃねえよお前オレのカレー食ったことあるだろ。美味いって食ってたじゃねえかおかわりまでしてただろ。そんなんだからいつまでたっても痩せないんだっつったら顔真っ赤にして怒ってたじゃねえか。そんな簡単に太る体質じゃないって。

 

 結局2kg太った、ってしょげてたけど。

 デザートの特製ロールケーキ半分も食うからそうなるんだよ。

 

 まともに喜んでくれたのは丈槍さんだけだった。「すごい! 楽しみにしてるね」って笑ってくれた。その優しさに全俺が涙した。

 

 まあ、何はともあれ作ったカレーは好評だった。

 最初は甘いと思ったら、いきなり辛くなる味が癖になるみたいだ。

 どうやって作るんだと若狭さんが気になっていたので教えてあげた。

 

 ポイントは三つ。

 ひとつは辛口のカレールウを何種類か使うこと。

 もうひとつは蜂蜜を多めに入れること。

 最後は玉ねぎを最初に飴色になるまで炒めることだ。

 それだけで、始めは甘くいきなり辛くなるカレーが作れる。

 

 若狭さんはそれをしっかりメモに取ると、にっこり笑って「ありがとうございます」とお礼を言った。

 

 ふと、思い出した。

 前にもこんな風に笑ってくれた子がいたっけな……。

 

 

 

 

 

 月11日目( ) No.9

 

 

 今日は特にやることがなかった。

 

 それはオレだけじゃない、他の皆も同様だった。

 備蓄は十分だし、生活圏の確保はもうほぼ終わっている。一階はまだあいつらで一杯だが、ここはもう確保しないことにした。

 

 と言うのも、量が多すぎるのだ。

 

 あいつらが動き始めたのは放課後。

 生徒たちの行動は主に、部活に行くか下校するかの二つに分かれる。

 つまり、校内に残るか残らないか、だ。

 そしてその割合は大体7:3。

 うちの全校生徒はおおよそ450人だから、校内のあいつらの数は約300人強ということになる。

 また、1階以外で部活をやっていた生徒と、特別講習を受けていた生徒たちを除くと、一階に残っているあいつらの数は140人ちょっと。

 

 まあこれはあくまで理屈の上での話であり、実際にはもう少し数が少ない。

 校内で感染したが、本能で家に帰ってそのまま戻ってこなかった奴も多いし、何よりあの日は短縮授業。

 部活をサボって遊びに行った奴や部活が遅く始まる奴も結構居た。

 

 だがそれらを全部見繕っても、あいつらの数はざっと100人近くはいるだろう。どの道多すぎる。

 そんな数の多いあいつらを、進んで倒しに行きたいと思うか?オレは思わない。

 

 まあ、恵飛須沢さんはちょっとがっかりしてたみたいだけど。

 あれだね、彼女にはやっぱり血の気が多いところがあると思う。

 その矛先がこっちに向かないことを祈るばかりだ。

 

 話を戻そう。

 あんまりにやることがなくて暇なので、授業をしようということになった。

 発案者は若狭さんとめぐだ。

 

 ただ生きていると生活のメリハリがなくなって不安定になる。

 メリハリをつけるためにも、生活に刺激があった方がいいとのことだった。

 

 ……それに、生きて帰って勉強についていけなくなるのも困るし。

 そうポツリと零した若狭さんを見て、オレも授業をやることに賛成した。これから先の生きる希望になるなら是非やるべきだと思う。

 

 しかし、よくそんなこと考えついたな。

 オレには全く思いつかなかったので驚くばかりだった。

 それは恵飛須沢さんも同じだったらしく、驚いていたようだ。それにしてはなんか表情が暗かった気もするけど。気のせいかな?

 

 なんにせよ、そうなったからには授業をしないといけない。

 話し合った結果、文系科目はオレが、理系科目はめぐが担当することにした。二人共国語教師だが、めぐの方は多少は理系も出来るらしいので、理系の方をお願いした。

 や、オレ本当に理系科目ダメなんだよ。多分下手したら丈槍さんより酷いかもしれないレベルで。

 

 ちなみに丈槍さんを引き合いに出すのは、彼女が理系科目学年最下位であるからだ。

 代わりに彼女は国語(難しい漢字の入っていない現代文読解に限る)と社会(地理問題に限る)の成績はピカイチだけどね。

 だから、別に彼女が馬鹿だって言ってる訳じゎないからね?

 

 まあ、そんな訳でオレは文系科目の授業をした訳なんだが……。

 いや、酷いね二人共。

 当然この二人は恵飛須沢さんと丈槍さんだ。若狭さんの方は何も心配なかった。

 

 まず、試しに出してみた簡単な漢字の読みテストでの二人の回答が酷かった。

 

 以下、一例。

 

 時雨( )  正:しぐれ

 二人の答え:しぐれ、ときどきあめ

 

 卯月( )  正:うづき

 二人の答え:たまごづき、うさぎづき

 

 出納( )  正:すいとう

 二人の答え:しゅつのう、でおさめ

 

 発寒( )  正:はっさむ

 二人の答え:はっかん、はっさむ

 

 

 この有様だ。

 いや、百歩譲って発寒と出納は分からなくても仕方ない。大人でも分からない奴はいる。

 でもさ、卯月やら時雨やらを間違えるってどうなの?

 つーか、真面目にやってる? 特に丈槍さん。

 なんで卯を「うさぎ」だって知ってたのに間違える? 逆に難しいから、その間違え方。オレが最初この回答を見た時、絶対わざと間違えてるんだと思ったもん。

 しかも何故か発寒は合ってるし。もしかしてと思って出してみたけど、本当に地名となると完璧だよね。

 

 そんなこんなで授業は終わった。

 いや、もう、疲れた。

 

 

 

 

 

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