東京喰種~Twin~ 作:トリガーハッピー
「う、うう、う………」
「大丈夫ですか、お兄さん?!!今すぐ手当てをしますから待っててください!!」
東京5区の路地裏から少女の危機迫った叫び声が聞こえてきた。少女はまだ小学生程度の年齢でセミロングのつややかな黒髪をしていた美少女と呼んでいい美貌を持っていた。その少女は自分の手が血に濡れることを一切気にせずある男の圧迫止血を行ったり、高そうなワンピースを破って包帯の代わりにもしていた。
その男はその少女とそこまで歳の変わらない少年だった。男にしては長めの黒髪にボロボロの鎖が編みこまれた黒いフードマントを着ていた。またその体はいたるところが傷だらけで特に腹部には穴があいておりほとんど瀕死状態だ。それだけでもこの現代では珍しい格好なのに明らかに他の人間とは違う部分があった。それは目だ。本来白いはずの部分は真っ黒に染まっており少年が異形の存在であることを示していた。
喰種。人間のみに食性をもった亜人。その反社会的な行いから喰種対策局と呼ばれる専門の行政機関から駆逐対象とされている危険生物だ。本来ならばこんな少女まさしく赤子の手をひねるように瞬殺できるが無数の切り傷や腹に空いた穴などが原因でそんな簡単なことすらままならなかった。まだ朦朧とする頭の中で一つの大きな疑問がわきあがってきた。それをおのれの中だけでとどめることができず、言葉として口から出ていた。
「なぁ、お嬢ちゃん…なんで俺を助ける……俺は喰種だ…人類の敵だぞ……?」
今まで少年は決して少なくない捜査官たちと戦った。その誰もが自身の年の半分程度の生き物に全力で挑みかかっていた。まるでおぞましい化け物を殺すかのように。
「なんでって……それは、」
少女はほんの少し考えるそぶりを見せたがすぐに顔をあげてにっこりと太陽のような笑みを見せた。
「お兄さんが優しそうな人だったから……ですかね?」
その言葉を聞き思わず少年は真っ白になった。仲間内ならともかく他人からは自分はそんな評価は絶対に受けない。ここで考えられるのは二つ。この少女の目が節穴で怪物にまでお節介を焼く人間なのか、それとも
自分にさえ気付かない自分の本質見ることができた優れた人間だということなのだろうか。
「ふふふ……」
「?おにいさん?どうしたんですか…まさか、どこかまだ痛むんですか?!見せてください!!」
「いや、逆だ。むしろどんどん元気がわいてきた。お嬢ちゃんのおかげだ、あんがとな」
この言葉は完全に嘘だ。人の肉も食べておらず血も失いすぎてる。本来なら喰種でも立ちことすらままならないはずだ。でもなぜだか少年の体は軽くなり痛みも引いていた。そして少女に背を向け少年はより深い闇に消えようとする。
「絵梨菜!!お嬢ちゃんじゃなくてエリの名前は絵梨菜です、お兄さん!!」
そんな大きな声をかけられた少年は少女…絵梨菜のほうを振り向いた。
「そっか、いい名前だな……」
「お兄さんの名前は?!」
自身の正体を知った人間に対して名前は絶対にしゃべってはいけない、それは少しでも喰種の世界にいる者ならだれでも知っていることだが、少年はそんなことを一瞬たりとも考えずに言った、彼女のほうを振りかえり彼女には遠く及ばないにしろ今自分ができる最大限のやさしい笑みで。
「信太郎……俺の名前は信太郎だ、エリナ」
これがだれよりもお互いを愛し合った宿敵同士、
のちにCCGの歴史上、最強のSSSレートになる喰種と、のちに最年少の女性特等捜査官になる二人の最初の邂逅になったことは誰も知らない。
*
そして、それから5年後。
*
side CCG
ここは東京第一区にある喰種対策局特別会議室。円卓にはCCGの有力捜査官たちが難しそうな顔をして座っていた。そのほとんどが30~40代の男ばかりだったがその中でひときわ目立つ一人の人物がいた。
「あのー、すみません。どうしてエリ……私が呼ばれたんですか?和修局長」
光田絵梨菜【三等捜査官】。セミロングのつややかな黒髪に華奢な体つきをしておりこんな所よりどこかのお嬢様学校似通っているほうが似合うような容貌をした美少女だった。
「いや、今回君を呼んだのはほかでもない、君が追っているヤマにも関係していることだ」
彼女の質問に答えた黒髪の威厳があふれる男性はCCGの本局局長和修吉時だ。そう言って彼は自分の後ろにあるスクリーンに一つの映像を見せた。そこには、喰種の捕食事件に関する資料のパワーポイントが映されていた。
「これは今朝方20区で発見されたSレート~【大食い】による被害現場だ」
「大食い……」
現在20区を拠点に若い男性をターゲットに捕食活動を繰り返しているかなり強力な鱗赫を持つ喰種だったはずだが、
「あの…私2区の担当だと思うんですけど……」
「ったく、話は最後まで聞け、新人」
エリナの疑問に嫌みたらしい口調で答えた中年男性は丸手斎特等捜査官だ。エリナは正直に言うとあまりこの人が得意ではない。そしてこの言葉をきっかけに説明は丸手に引き継がれた。
「今回はいままでの大食いの現場とは明らかにちがう。いままではただ赫子を使い被害者をなぶって喰い殺す、または乱入かなんかしてきた喰種を惨殺する…若しくはその両方だけだった、が……」
丸手は手元の会議用PCを使ってパワーポイントを動かしたそれは見識結果のようなものだった。
「今回の見識の結果、被害者の体には大食いのものと思われる鱗赫の赫子痕が発見された。問題はそのあとだ。壁にもいくつか赫子痕が発見されたんだがそれには大食いの鱗赫だけではなくとある喰種の深い甲赫の赫子痕も発見された……ここまで言えばお前が呼ばれた理由がわかるよな、光田」
スクリーンに映された写真の対比図や体液の摂取図の検証結果などを確認、そして丸手の言葉を理解し茫然とつぶやいた。
「Sレート……【
それは現在自分の追っているCCGに危険視されている喰種であり、自分が昔助けたやさしい笑みをした
コメント待っておりますので、是非よろしくお願いします。