幼馴染は覇王でした。そして俺はーーー   作:流離う旅人

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魔法少女リリカルなのは見ていて書きたくなり書いてみました!
投稿が遅めですが、なるべく早く出していきます!

ショウ「おい、作者。そこはなるべくじゃなくて絶対だろう」

作者「ーーーよし、アインハルトさん始めちゃってください!」

ショウ「明らさまに話をそらすな!」

作者「グハッ!」

アイン「えっと、リリカルマジカル始まります!」


プロローグ
memory 1 『別れーーーそして、始まり』


とある国の城の一室でぐっすりと眠りにつく少年がいた。

城の外からは人々の声で賑わっているようだ。

城の中では役人や騎士たちが動き回っているため役人の慌ただしい声や騎士たちの甲冑からガチャガチャと金属がぶつかり合う音が耳をつんざく。

だが、少年はまるで聞こえていないようでピクリとも動かない。

起き上がる気配も自分から目覚めようとする気もなさそうだ。

時刻はもう少しで昼に達するだろう。さすがにここまで寝る必要があるのかと言いたくなってしまう。

と、どうやら何時までも寝ていることに痺れを切らせた様子の少年が少年の眠る一室へとやや小走りで歩いていく。

少年の顔には見て分かる通りの怒りが顕著に現れていた。

察しの通り、今もぐうすか寝ている少年が原因である。

 

バンッ!

 

勢いよくドアを開け放った為、そのまま壁にめり込んでしまうドア。

うん、ドアはちょっとの力で開くんだよ? そこを理解しているのだろうか?

めり込んだドアを気にも留めずズカズカと少年が眠るベッドへと近付いていく。

そして、横まで来ると拳を高く振り上げ、

 

「さっさと起きろーーー!」

 

少年へと勢いよく振り下ろした。

 

「うぉおおお!?」

 

今の今まで寝ていた少年が拳圧で目が覚め、とっさに横へと躱す。

その拳は本来狙っていた少年ではなくベッドを貫いた(・・・)

 

「おい!? 今のは明らかに殺る気だっただろ!」

 

「何を言うか。お前を起こそうとしただけだ」

 

「うん。今のだったら絶対起きないよね? むしろ永遠の眠りについちゃうよね?」

 

「それよりさっさと行くぞ」

 

「露骨にスルーしただと!? くっ! さすが俺の親友だぜ! なぁ、クラウス(・・・・)

 

「いいからさっさと支度しろ! お前が僕たちを集めたんじゃないか。オリヴィエ達(・・・・・・)も待っているんだぞ」

 

「ゲッ、俺そんなに寝てたのかよ。……やばいなぁ、オリヴィエに殴られるんだろうなぁ」

 

それはお前の自業自得だ。

しかし、オリヴィエに殴られるという点についてはーーー自分にも僅かながら通ずるところがある。心の中で手をあわせておこう。

 

「むっ! 今、俺に合掌しただろ!」

 

相変わらず変なところで鋭い奴だ。普段からそれぐらいならこちらも苦労しないのだがな。いや、諦めよう。無理な話だ。

 

「僕は先に行っているからお前も早く来いよ」

 

「ああ、分かった」

 

そう言うと足早に部屋から去っていく親友。

それを見送ってから自分も寝間着からいつも通りの服に着替える。

いつもは動きやすさを優先しているので紺を基調とした長ズボンに上も同じく紺色のTシャツだ。

 

着替えを済ませ、みんなの元へと急ごうとするが自分が寝起きだったことを思い出す。

きっと、涎やら髪が跳ねたりなどとすごい惨状になっているだろう。

踵を返し風呂場へと向かう。

着くなり今来たばかりの服を脱ぎ捨て軽くシャワーを浴びる。

タオルで水分を拭き取り、髪をセットする。

乾かす時間がないので少しズル(・・・・)をする。

 

少年の足元に魔法陣が浮き上がり、熱風が発生する。

熱風が吹き抜けると髪はもう乾いていた。

こんな所を誰かに見られたら口々にこういうだろう。

 

魔法(・・)をそんなことに使わないでください!』、と。

 

さて、クラウス達がそろそろ我慢の限界に達しそうなので今度こそみんなの元へと向かう。

勿論、全力ダッシュでだ。

みんな怒ってるかな?

なんて呑気なことを考えながら。

 

 

 

□■□

 

 

 

遅い。

さっき自分が起こしに行った時はしっかり目を覚ましていた。

寝間着から着替えるだけなのだからそう時間が掛かるわけでもない。

 

(あいつは一体何をやっているんだ!)

 

そう思っているのは自分だけではないようで他のみんなからも苛立ちを感じる。

……ああ、早く来てくれ。オリヴィエの笑顔が怖いんだ。

 

その時だった。

 

バンッと扉が開く音が聞こえた方を向くと膝に手をつき肩で息をする少年がいた。

 

「ゼェ、ゼェ、お、遅れちゃった♪」

 

その時、僕らの中で何かがブチリと音を立てて千切れた。

全員が肺一杯に空気を吸い込み、叫んだ。

 

『遅れちゃった♪ じゃねぇーよ! ショウ(・・・)

 

僕らの心は一つになった。

その時、約三名ほど頬を赤く染めていたような気がするのだが気のせいだろう。

 

 

□■□

 

 

あの後、全員からO☆HA☆NA☆SIされボロボロのまま席に着く。

遅れた俺が悪いけどさ、やり過ぎだろ。

だって、O☆HA☆NA☆SIの途中意識が朦朧として危うく川渡りそうになったよ? あの時、死んだ父上と母上が『まだこっちに来てはいけない!』って止めてくれなかったら俺間違いなく死んでたよ?

ああ、父上、母上、俺はこれからも強く生きていきます。

 

「んで、あたしら集めた理由ってなんなんだよ?」

 

と、エターナルロリータこと鉄槌の騎士ヴィータが聞いてきた。

『夜天の書』を守る為に組み込まれている『守護騎士システム』であるため身長が伸びずに子供体型のままなのだ。

本人もどうやらそのことがコンプレックスらしくよく『成長したい』とボヤいていた。

 

チャキ

 

「……どうしたのかな、ヴィータ? アイゼンを俺の首元に突きつけたりなんかして」

 

「今、絶対に失礼なこと考えてただろ?」

 

「うん、やっぱりヴィータはロリだなって思いました。(そ、そんなこと考えてないぞ!)」

 

「そうか。お前の考えてることはよ〜く分かった」

 

「そうか。じゃあ、アイゼンをーーー」

 

「そのまま潰れてろ!」

 

容赦なくアイゼンを俺の頭へと振り下ろした。

 

「痛い! お前は鬼か!? 今、頭からゴッキャって変な音が聞こえたぞ!」

 

「いや、それで平然としてられるお前の方が鬼だと思うぞ」

 

殴っておいて人を鬼扱いだと!?

さすがにそれはないだろ? だって、頭から現在進行形で血が流れているし骨も陥没したんだし。

それが異常だとショウは気付かない。

 

「なあ、クラウス。俺は何で殴られたんだろうか?」

 

「本音と建前が逆だったからだろう」

 

「なん、だと!?」

 

口に出してましたか。そりゃ、殴られても仕方ないか。

 

「それで本当に何で僕達を呼んだんだ?」

 

「それはなーーー」

 

俺は全員を見渡す。

その目が真剣なものだったので全員が唾を飲んだ。

今、ここにいるのは『夜天の書』の守護騎士である五名、鉄槌の騎士ヴィータ、湖の騎士シャマル、守護獣ザッフィーラ、烈火の将シグナム、管制人格であるアインスのヴォルケンリッター。

『夜天の書』の主は何を隠そうこの俺である。

 

五歳の誕生日の時に忍び込んだ父上の書斎で偶然見つけて契約しちまったんだよな。

でも、悪い気はしていない。

だって、家族が一気に増えたのだから。

 

そして、俺の親友クラウスこと『覇王』イングヴァルト、『冥王』イクスヴェリア、『聖王』オリヴィエだ。

 

この三人とはオリヴィエの国に家でーーー留学した時に出会った。

その時から俺の良き友人たちである。

この三人は色々と複雑な運命にある。それを知った時、何とかすると決めたのは恥ずかしいので内緒だ。

 

 

「何となく、だ」

 

……

………

 

『ふざけんなぁ!』

 

「待った! 冗談! 冗談だからその振り上げた拳を下げろ!」

 

そして、俺へと振り下ろされる拳たち。

そういう下げろって意味じゃねぇ!

 

「痛てて、まあ、今日呼んだのはちょっとした挨拶かな」

 

「挨拶?」と、俺以外が配られた飲み物を飲みながら首を傾げる。

 

「そ。最初はヴォルケンリッターのみんなだな」

 

その時、僕は気がつくべきだった。親友の顔にどこか寂しさと悲しさが見え隠れしていたことに。

 

「ヴィータ、お前とはケンカばっかりだったけど毎日がすごく楽しかった。きっと、兄妹っていうのはこういうのなんだろうな〜って思えた。アイゼンと一緒に俺を守ってくれてありがとう」

 

「な、何だよいきなり? 照れるだろうが」

 

何で

「シャマルとクラールヴィントの回復にはいっつも助けられた。何でも頼りになれるお姉さん的存在だよ、シャマルは。でも、料理が壊滅的だったな。次会う時まで(・・・・・・)にもっと上手くしといてくれ」

 

「うっ、頑張ります」

 

何でだ

 

「シグナムは烈火の将と言われるだけあって模擬戦するたびに負けてたけどその度にアドバイスをくれてありがとう。お陰でみんなを守る力がついた。シグナムは尊敬できるお姉さんだ」

 

「私には勿体無い言葉だな」

 

何でだよ

 

「ザッフィーラ、俺に誰かを守ることの意味を教えてくれてありがとう。ザッフィーラの教えがあったから今まで俺は頑張ってこれた。あとお前は少し寡黙すぎるところがあるからもう少し喋れるようになれよ」

 

「努力しよう」

 

どうして

「アインスお前はもうちょっと感情を出せるようにな。それともう少し俺たちを頼れよ? 家族なんだからさ」

 

「主の命ならば善処しましょう」

 

どうしてそんな

 

「オリヴィエ、お前と会った時俺が怒らせて殴られた時のあの一発はすげー効いた。結局格闘ではオリヴィエには勝てなかったよ。ーーー後悔のない選択をしろよ」

 

「ええ、分かっています。しかし、ショウも強いですよ? 拳を交えるたびに冷や冷やします」

 

どうしてそんなに

 

「イクス、お前はこれからも先きっと辛い思いをする。でも、そんな時はオリヴィエ達を頼れ。きっとお前の助けになってくれる。お前は俺と同じで寝過ごすとこあるから気を付けろよ? 『眠り姫』」

 

「むっ、その呼ばれ方は不名誉ですね。ですが、最初の忠告はしかと胸に刻みましょう」

 

今にも

 

「クラウス、お前との出会いは散々だったけどさ……お前は俺にとって初めての友達で親友なんだぜ。お前にばっかり迷惑掛けた、ゴメン。もし、また会えたならお前の『覇王流(カイザーアーツ)』と俺の『剣王流(シュバルツアーツ)』どっちが強いか決着つけようぜ!」

 

泣き出しそうな顔で、まるでこれが今生の別れのように語るんだ。

 

ショウに詰め寄ろうとすると突然立ちくらみに襲われる。

それもショウ以外全員がだ。

強烈な眠気が襲い、今にも深い眠りへと落ちてしまいそうだ。

 

「やっと効いてきたか……」

 

「な、にを、した、ショ、ウ!」

 

「さっきみんなが飲んだのにはさ睡眠薬を盛ったんだ。一番強烈な奴を」

 

「どう、して!?」

 

「もうすぐ近隣の王国がここに攻め入ってくる。だから、そのお別れが言いたくてさ」

 

何を、言っているのか分からなかった。

いや、分かろうとしなかった。脳がそれを拒んだのだ。

 

「もう国民達の避難は終わってる。勝手だけどクラウス、お前の国に避難させた。ヴォルケンリッターのみんなは俺が死んでもしばらくは活動できると思うから安心してくれ」

 

「いみ、わかんねぇ、よ!」

 

「なぜ、です? ある、じ」

 

「みんなは俺の大切な家族だから傷つけたくないんだ」

 

「いっては、だめ、です」

 

「や、めるん、だ、ショ、ウ」

 

「それは出来ない。みんなのことは忠臣のアリンに運ばせるから安心して眠っていてくれ」

 

そう言うとショウは踵を返し広間を出て行こうとする。

行かせてはいけないと自分の体に鞭を打ち重い体を動かしショウの前に立ちはだかる。

 

「ここから、先には行かせ、ない!」

 

ショウの動きを止めるべく全力で拳を振り抜いた。

だが、万全な状態ではない拳は空を切るだけだった。

視界からショウが消えたかと思うと体が宙に浮いていた。

一瞬で懐に入り込み足払いを掛けられたのだ。

 

「グッ、ショ、ウーーー」

 

受け身を上手く取れず必死に空気を取り込もうと息が上がる。

だが、息をするのも忘れ僕は目を見開いた。

 

ショウの頬には涙が伝い、ポタポタと床に一滴、また一滴と落ちていく。

ショウは今まで僕達に弱いところを見せはしなかった。

そのショウが今、初めて僕の前で泣いていたのだ。

それを見てしまったから僕はもう何も言えなかった。

そして、薄れゆく意識の中微かにショウの唇が動いた。

その意味を理解したくなかった。だって、その言葉は今の僕たちには残酷なまでの宣告と何ら変わらないのだからーーー

 

ーーーさようなら

 

そこで僕の意識は完全に眠りに落ちた。

 

 

□■□

 

 

別れは済ませた。

みんなのことはアリンが運んでくれているので何の心配もない。

ヴォルケンリッターのみんな。父上と母上がすぐに死んで一人ぼっちだった俺の心を温めてくれてありがとう。

 

オリヴィエ、お前はもしかしたら、いや、確実にゆりかごに乗ることを選ぶだろう。でも、俺は止めないぜ。

それがお前の覚悟なのだから。

 

イクス、きっとお前は後世に最悪の王として語り継がれることになるだろう。でも、一人で抱え込まないでくれ。

周りが何と言おうと俺たちがお前の側についている。

 

クラウス、お前には最後の最後まで迷惑掛けたな。

でも、俺が死んでも止められなかった自分の責任だと責めないでくれ。

きっとお前はそうやって全部抱え込んでしまうだろう。だけど、一人で抱え込むな。全部吐き出しちまえ。そしたら、仲間が助けてくれる。

そして、いつか絶対に決着つけようぜ! 親友。

 

閉じていた瞼を開ける。

見えるのは焼け焦げた荒野、此方に侵攻してくる黒い塊。

敵兵だ。ざっと見てどう少なく見積もっても一万人はいるな。

だんだんと喧騒が大きくなっていく。

さあ、始めよう。そして、終わらせよう。こんなくだらない戦争を。

いつの日かみんなが笑いあうことの出来る未来のために。

 

『我は剣王! これ以上の侵攻は我が許さぬ! 民のため、家族のため、我が親友のためにもここは絶対に通しはせん! さあ、行くぞ。剣を取れ! 『剣王』ショウ・S・ナガツキ、推して参る!』

 

腰に挿した剣の柄を握りしめ、抜き放つ。

それが合図だったかのように戦いの火蓋は切って落とされた。

ショウは敵兵の目に止まらぬ早さで走る。

敵兵は無差別的に魔力弾を撃った。

魔力弾を剣で切り裂き、辺りを閃光が包んだ。

 

 

 

□■□

 

 

 

 

ショウ・S・ナガツキ

 

『聖王』、『覇王』、『冥王』の親友にしもう一人の王『剣王』である。

彼は民のために一人で敵前へと赴き、一万人の敵兵をその剣で薙ぎ倒した。

しかし、魔力も体力も既に限界を超えて疲労しその生涯を終える。

彼は民にも兵たちにも絶大な信頼を得ていたためその事実に全員が涙した。

当然、それはクラウス達も同じだ。

ベルカで起こった戦争はこの数週間後、集結する。

 

ゆりかごに乗ったオリヴィエの手によってーーー

 

 

 

ーー後に彼は民たちからこう敬い、語り継がれた。

 

ーー『救世主』、と。

 

 

 

 

そして、時は現代へと移り変わっていく。

 

これは救世主と謳われた『剣王』の少年と友を救えなかった『覇王』の思いを受け継いだ少女の物語

 

 

 




次回予告

「ーーー俺、死んだんだよな」

「みんなはどうなったのかな?」

「もっと、強くならないと」

「初めまして、アインハルト・ストラトスです」

memory 2 『初めまして』






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