ショウ「おお、早かったな」
作者「そうですね。今回はショウとその忠臣の再会ですからそこまで長くありませんでしたからね」
アイン「ショウさんはその忠臣さんと再会してどうなるんですか?」
作者「え? それは勿論おおなーーー」
チャキ(首に剣を突き付けられる音)
ショウ「何だって?」
作者「ーーー何でも御座いません」
ショウ「良かったな。今、選択を間違えてたら首が飛んだ」
作者「ガクガクブルブル」
アイン「この二人はいつも通りですね。それではリリカルマジカル始まります!」
あの事件から数年が経ち、ショウとアインハルトは三年生になった。
学校は勿論魔法学院だ。魔法は使えるに越したことはないからな。
しかも何か聖王協会ってことろが運営しているSt.ヒルデ魔法学院なのだ。ーーーオリヴィエ、この学院お前のために作られたんじゃね? って思うのは俺だけかな?
まあ、それは置いといてベルカ時代には学校には行かず独学だったのでとても新鮮だ。
先生もいい人達だし、何より授業が分かりやすい。
友達だってーーーアインハルトとかアインハルトとかがいるし。
……あ、れ? もしかして俺ってアインハルトしか友達いない、のか?
ーーー友達、作ろう。
鍛錬の方も順調に進んでいる。
ショウは格闘と剣術に更に磨きを掛けている。
基礎がしっかり出来てきたのでそろそろ本格的に『剣王流』の訓練に入っても大丈夫だろう。
魔力もBランクだったのが今じゃSSランクまで上がった。
良い子は真似しちゃダメだぞ?
アインハルトも基礎が出来てきて何やら熱心に取り組んでいる。
あの時、見せた一撃。今は亡き
アインハルトはクラウスのことを知っている?
そういえばクラウスと同じ瞳の色してるっけ。今度、聞いてみよう。
こんな感じで毎日楽しくやってます。
最近の悩みは親の過保護が前よりも激しくなったことです。
俺とアインハルトなんて……いや、この先はよそう。
言ってしまったらもうダメな気がするんだ。
物語が始まるまであと三年ーーーそこで彼らは聖王と相対する。
□■□
今日は始業式があるため久しぶりにグッスリと眠っている。
いつもはトレーニングに行くのだが今日ぐらいは休みなさいと両親に釘を刺されているため行くに行けなく寝ることにしたのだ。
だが、いつもなら遅くても六時に起きるのだが今は六時半に差し掛かる辺りだ。このままでは遅刻確定コースだ。
「ーーさーーきてーーさい」
「みょう、たびぇられなぁい〜」
「ショウさん。起きてください」
「Zzzzz」
『アインハルトさん、そういう時はーーーーすると起きますよ』
「なるほど、分かりました。ではーーーハァッ!」
ユエのアドバイス通りショウの体に拳を叩き込もうと振り下ろした。
「うぉおおおう!?」
拳がめり込む直前に目を覚まし、間一髪横に避けることに成功する。
驚き、拳を放った本人を見る。
すると、目の前に色違いの光彩を持った美少女が俺の顔を覗き込んでいた。
そして、さっき殴ろうとしたのが嘘のように爽やかにアインハルトは言った。
「ショウさん、遅刻しますよ」
数秒、アインハルトの顔を見て固まる。
状況を整理しようと頭を回し浮かんできた疑問をありのまま述べた。
「朝起きたら目の前にアインハルトがいる件について説明頼む」
「マリアさんに入れてもらいました」
「はぁ……母さん。俺のプライベートは完全無視なのね」
ハハ、と乾いた笑みを零し明後日の方向を向くショウ。
そして、もう一つの疑問も聞いてみた。
「何で殴って起こそうとしたの?」
「ユエさんがそうすれば起きると」
「ユエ」
『な、何ですか? マスター。一応言いますがこのままでは遅刻すると思い良かれと思ってやったんですよ?』
「一週間掃除なし」
『そ、そんなぁ! あんまりですぅ!』
彼女は残酷な宣言にorz状態になる。(ショウとアインハルトにはそう見えている)
時刻は六時半になったところだ。
これなら着替えてすぐに行けばまだ間に合うな。
「ん、着替えるからユエ連れて外で待っててくれアインハルト」
「分かりました。行きましょうユエさん」
『うぅぅアインハルトさ〜ん』
何だよ、その俺が酷いことしたみたいじゃないか。
さすがに一週間は言い過ぎたかな?
そんなことを考えながらショウは制服に袖を通していく。
この制服というものにもようやく慣れてきたな。
着替えを済ませてから顔を洗い、両親に挨拶してから家を出る。
片手にパンを忘れずに。
「ん、行こうぜアインハルト」
「何でパンを?」
「俺に空腹で死ねと申すか」
「ちゃんとしたものを食べないとダメですよ?」
「ウチで食べるようになるまでほとんどジャンクフード食べてた奴に言われたくはない」
「うっ、それを言われたら何も言い返せません」
「そろそろ行こうぜ。本当に遅刻しちまう」
「うう、急ぎましょう」
「おう」
始業式は確か午前中で終わるんだよな。
それ終わったらトレーニングにでも行くかな?
「走りますよ、ショウさん!」
「ああ、分かった!」
ショウとアインハルトは学院へと走った。
□■□
「なぁ、アインハルト」
「何ですか?」
始業式も終わり帰り支度をしている時のことだ。
「何で俺のこと同い年なのに“さん”付けなんだ?」
「え? その癖みたいなものですから……」
「じゃあ、それ禁止な」
「え!? 何でですか!」
「いや、何か同い年なのに“さん”付けは何かな」
「急にやめろと言われてもーーー」
「やめなかったら今日から俺もアインハルトのことを“さん”付けするからな」
「ええ!? うぅ、わ、分かりました。し、しし、ショウ……これでいいですか?」
「ん、良いぜ
「へ?」
「ん、やっと“さん”付け取れたし俺も呼び方変えようと思ってな。ほら、アインハルトって長いだろ? だから、アダ名みたいに短くしてみました」
「そ、そうですか」
アインは少し頬を赤く染めて俯いてしまう。
それは恥ずかしさとほんの少しの嬉しさから来るものだった。
「そろそろ帰ろうぜアイン」
「そ、そうですね」
「あ、ここに居ましたか」
「シスター・シャッハ? どうしたんですか」
「実はショウくんに頼みたいことがあってね。今、大丈夫?」
ショウはアインをチラッと見るとコクリと首を縦に振った。
手伝ってあげてくださいと言っているのだ。
「大丈夫ですよ。何をするんですか?」
「荷物運びとテストの確認です」
「分かりました。アインさっき帰っててくれ」
「分かりました」
アインを先に帰らせ、ショウとシスター・シャッハは職員室へと向かった。
□■□
「しっかし、俺にテストの確認させて良いんですか?」
「大丈夫ですよ。君なら誰かに言いふらしたりしないですしそれは一年生に出すデバイスのテストですからね」
「まあ、信用されてるってことは分かりました」
そう、ショウはこの年でデバイスマスターの資格を得ている。
五歳の段階でデバイスを組み上げることが出来ていたので知識はそれなりにあった。
入学と同時にデバイスマスターの試験を受け、見事合格したのだ。
それから同級生や後輩、先生方からデバイスを見てくれと殺到してきたのは苦い思い出だ。
「ーーー大丈夫だと思います。これならちゃんと勉強していれば満点は取れると思いますから」
「それは簡単過ぎるという事ですか?」
「俺ならそう言えますけど、この問題とかは引っ掛けでほとんどの人が点数を落とすと思います」
「そうですか。ありがとうございます。あとはこの本を図書館に運んでもらっても良いですか?」
「良いですよ。いいトレーニングになりそうですし」
シスター・シャッハの指差す所には分厚い本が五冊ほど積み上がっていた。
普通なら辛いが生憎ショウは毎日鍛錬を積んでいるためこれぐらいなら朝飯前だ。
デバイス関係のものや生物、ベルカの歴史と色とりどりの本だ。
それを持ち上げ、
「それじゃあ、俺はこれで失礼します」
「気をつけてくださいね」
廊下を歩いているが人一人通らない。
もうみんな帰ってしまったのだろう。
静まり返る廊下。城の中を連想させる装飾。
ふとあの頃の事を思い出す。
父上と母上が死んでヴォルケンリッターのみんなと出会った頃だったかな?
みんな戦場に出て城には誰もいなかった。
その頃の俺はとても弱くて戦場に出る事が出来なかった。
そんな悔しさと寂しさを抱きながら歩いた静かな廊下に似ていた。
ただ、少し違うのは隣に
彼女のことを思い出し、苦笑する。
本当に俺なんかには勿体無いぐらいのいい部下だった。
俺が死んでしまったあと彼女はどうなったのだろう。
それを確かめる術はない。どの文献を探しても彼女のことを知ることは出来なかった。
彼女とは俺の忠臣だったーーーアリン・キサラギのことだ。
彼女は俺と同い年だったため護衛を務めてくれていた。
そして、俺と同じよう『剣王流』の使い手だ。
アリンはいつも俺のことを気に掛けてくれて寂しい時、いつも側に居てくれた。
そんな彼女は俺の中では家族だった。
最後の時も彼女には迷惑を掛けた。恨まれているだろうか?
もし、また会えたならあの時のことを謝りたい。
曲がり角を曲がろうとすると何かがぶつかり本を持ったまま倒れてしまう。そのまま本が俺に覆いかぶさるように倒れてきて倒れた時の衝撃と本の重みが追加され余計痛い。
本で視界が遮られていて何がぶつかったのか分からず確認をしようと起き上がる。
「え?」
「あ……」
ショウは固まってしまう。
それは今、目の前で尻餅をついている彼女も同じだった。
流れるような黒髪を腰まで伸ばし瞳も髪と同じ黒だ。
幼くなっているが尻餅をついている彼女はついさっきまで考えていた彼女だった。
もしかしたら、彼女も俺と同じことを考えて固まっているのかもしれない。そんな、淡い期待を抱いてしまう。
だから、確かめるために勇気を出して一言。
「アリン、なのか……?」
彼女は目を見開き、驚いていた。
そして、いつも俺に見せてくれた優しい笑顔になり一言。
「お久しぶりです。陛下」
「あーーー」
今、目の前にいる彼女はアリン。
そう思うと何故か嬉しくなって目頭が熱くなっていく。
『マスター?』
「何でもない。何でもないんだ。ーーーでも、涙が止まらないんだ」
ポロポロと涙が頬に筋を描き落ちていく。
アリンはあの頃と変わらない泣き虫な俺を優しく抱き締めた。
□■□
「なぁ、アリン」
「何ですか? 陛下」
ショウとアリンは肩を並べ半分に分けた本を持ち図書館へと歩いていた。
「いや、その前も言ったと思うけどその陛下っていうの止めてくれよ」
「それは出来ない相談ですね」
「何でさ!?」
「私が陛下と呼ぶのは貴方のことを心からお慕いしているからです。それを名前で呼ぶなど言語道断です」
「別にそんなの気にしないのに。アリンが俺のことを慕ってくれてるのは痛いほど分かってるよ。でも、側近である前に友人なんだから名前で呼んでくれよ」
「陛下の頼みなら考えておきましょう」
「分かった。ーーーアリン、一ついいか?」
「何ですか?」
「アリンは俺のことーーー」
「『恨んでないのか?』なんてバカなことを聞いてきたらいくら陛下といえど怒りますよ」
「!」
どうやら俺の言おうとしていることはアリンには筒抜けらしい。
さすが一番長く付き合ってきた友人だ。
「確かに何故、私も連れて行ってはくれなかったのかと何度も思いました。けれど、貴方の性格を考えれば連れて行かなかった理由など明白。だから、私は何も言いませんし恨んでもいません。陛下は何を思い悩んでいるのかはついさっき再開したばかりの私には分かりません。けれどーーー」
ーーーその支えにはなろうと思います。
「そっ、かーーー」
ありがとう、アリン。
アリンの思いを聞けただけで少し報われた気がする。
完全にではないが少しだけ気が楽になる。
本当に俺には勿体無いぐらいいい側近だよ、アリンは。
「……ありがとう」
本当に耳を澄まさなければ聞こえないぐらいの声量でボソッと呟く。
アリンに聞こえたかは分からないがアリンは優しい笑顔を浮かべていた。
□■□
図書館に本を運び、アリンと連絡先を交換して今日は別れた。
教室に戻り、荷物を取って校門を出ると校門に保たれ掛かる見知った少女の顔があった。
「ずっと待っててくれたのか? アイン」
「はい。今日は一緒に帰ろうと思って」
「ん、帰ろうぜアイン」
「はい」
いつの間にか空には真っ赤な夕暮れに変わっていてその赤に見惚れていた。
そして、ソッとアインの右手を握った。
「し、ショウ? どうしたんですか?」
「いや、何でもない」
「でも、何だか嬉しそうです」
「ん? そうかーーーそうだな」
アインは首を傾げるがショウの笑顔を見て何だか嬉しくなった。
こうして『剣王』とその忠臣は再会を果たした。
ユエ『作者さん、作者さん!』
作者「これはユエさん。どうしました?」
ユエ『今回作中では書かれませんでしたがいい動画があるんですよ』
作者「ほほぅ、それはどんな?、」
ユエ『アインハルトさんがマスターを待っている時顔を赤く染めながらマスターの名前を呼ぶ練習をしている一部始終です』
作者「それは使えるな」
ユエ『使えますね』
三人『フフフフフ』
作者・ユエ『あれ? 一人多い』
アイン「覇王ーーー断空拳!」
作者・ユエ『ギャーーーー!!』
アイン「全く二人はショウに見られなくて良かったです」
次回予告
「久しぶりに手合わせ願います」
「それは反則だろ……」
「使ってはいけないと言いませんでしたよ?」
「だったら俺も本気を出そう」
「「『剣王流』ーーー」」
memory 5 『二人の使い手が激突するそうですよ?』