Lonely crown   作:ラーメン文庫

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注意:この作品はギルティクラウンの設定を俺ガイルの舞台に持ち込んだ、いわゆるクロスオーバーとなっております。
この二つの作品はジャンルも世界観も全く異なってしまうため、またストーリーもオリジナル部分を挿入するためにオリジナル設定、または原作改変などの措置を取ることも多々あると思われます。その点を理解していただけると幸いです。


序章 継承-succession-

暗闇。

何処を見ようとしても暗闇だ。

 

いや、本当は自分が本当に瞼を開き目を開けているのか、それとも俺自身が勝手にそう思ってるだけで実際は目は開いていないのか、はたまた俺という存在は此処には無く意識のみ浮遊しているのか、その何れかでも無いのかは全く分からない。手元に視線を向けても黒しか瞳には映らない。田舎の深夜よりも真っ暗だろう。

 

ただその有り得ないほどの視界不良から此処が現実世界ではないのは確かであると確信できた。まあ逆説的にそれ以上の現状把握は不可能であるとも言えるが。

 

しかし、不思議と周りが全て暗闇にも関わらず恐怖心や不安感などと言った感情を俺に抱かせない。寧ろ此処自体が俺の居場所のような感覚にさえ陥ってしまう。自分でも訳が分からない、全くもって不可解だ。だがこの感情を否定しようとすると心の底の理性が何故かそれを上書きするように否定する。黒で塗った場所をまた白で塗りつぶすように。いや、本当に色々と何なんだよ…。

 

 

 

ーーーしかし、何故俺はこんな所にいるのだろうか?

現状を理解することを諦めた俺は不意にそんなことを思い、自分の頭の中を探る。

 

俺がこんな暗闇に来る前…と言ったらやはり一日の始まりである朝から思い出すのが一番手っ取り早いだろう。

まず今朝起床し、卸立ての高校の制服を着用したはず…そうか、今朝は入学式だったはずだ。まだシワも汚れも無い新品のブレザーとスボンを見て不覚にも心が少し踊ってしまったのを覚えている。

そして朝食を摂って、その何時もより高いテンションのまま入学式の始まる時間より一時間近くも早くに高校へと向かった。…向かったところまでは良かったのだが、確かその道中に車道で轢かれそうになっていた犬を見つけたのだ。一応その脇の歩道で飼い主が慌てて居たのも目撃した。

そして俺は自転車をの漕ぐスピードを上げて飛び降り、その犬に飛び込む形で守ったまでは良かったが車に激突…したのだろうか?

 

脳内を雑巾の水分の最後の一滴まで絞り込むように洗い出すが、どれだけ頭を捻ってもそこからの記憶がどこにも無い。…もしかしたら見つからないのでは無く、最初から無いのかもしれない。恐らく車に激突する前か、それともその直後には既に意識は消えているのだろう。

……ちょっとまだ本体の俺に命があるのか不安になってきたのだが、まあ良い。思考を張り巡らせる事ができるくらいの意識が残ってるということはまだ俺も死んじゃいないのだろう。多分。メイビー。植物人間に変身とかしてたら目が当てられないからな、信じてるぞ俺の万年帰宅部ボディー。出来るならば今すぐ目を覚ましてほしいまである。

 

 

 

そんな事を考えていると、いつの間にか景色が一変していた。どこまでも闇に閉ざされていた世界が消え、代わりに光で溢れたどこかの砂浜へと光景が変化する。いやどうなってんだこれ。しかも俺なんか空中に4mくらいの高さで浮いてるし、手元を見たら何か透明っぽくなってすけてるし。何これ、本当に何だこれ。八幡理解不能、八幡理解不能、救援ヲ求厶。あっ助けてくれる友達なんて一人も居なかったわ、つい忘れてた。俺まじドジッ子だわてへぺろ(棒)

 

 

そうしているとまたもや突然、今度はその砂浜に人が現れた。まだ6、7歳くらいの背丈で茶髪の少年と少女が海辺で倒れていた金髪で裸の少年を介抱していたのだ。

金髪の少年は海から流れ着いたような位置で倒れており、茶髪の少女はその少年に人工呼吸による蘇生を試みている。

…何故だろうか、この光景を見ていると胸がモヤモヤしてくるのは。そして何故だろう、この光景を"俺が見たことある"と感じてしまうのは。

 

そして場面は転換し、金髪の少年と恐らく姉弟なのだろう茶髪の少女と少女が仲良く遊び始めた。大島の自然を子供ながら堪能するように山に行き海へと……

 

……ちょっと待て、何故俺はこの場所が『大島』だと解るんだ?まさか知っていたとでも言うのか?

少なくとも俺の10年と少し余り過ごした人生の中で大島に行ったことは一度たりとも無い。だから大島の地形も自然も知るはずがないのだ。

それなのに、俺の中で、ここは大島で間違いない、という思いが三人の遊ぶ姿を見ているうちに徐々に強まっていく。…これは何なんだ。

 

また場面が切り替わる。既に島ではなく、今度は都会の教会のようだった。

教会の中には金髪の少年が待っていた。そして次に現れたのは茶髪の少女。それを見た少年は驚きを顕にしていた。

少女は少年に布でラッピングされた白い箱を渡した。…そうか、その時期はクリスマスだからプレゼントか。

そして少年はそれを開けると中身に入ったのは拳銃だった。少年は少女…「桜満真名」に指示されるがまま拳銃を構えクリスマスツリーの頂点にある星飾りを撃とうとして引き金を引き…拳銃が暴発した。その結果少年…「トリトン」は頭から血を流し倒れ込んでしまう。

そこにもう一人の最後の少年である「桜満集」が現れ、トリトンが負傷した姿に驚き駆けつける。そして、そのすぐ側に立っていた自身の姉である真名へとこう言ってしまった。

『化け物』と。

 

…そうか、これは全てが終わったロストクリスマスの当時の記憶だ。だが当然俺のではない。しかし分かる。更にはこれ以降のことも分かってしまう。一体何が……?

 

 

 

 

 

 

『それは君が僕だからだよ、八幡』

 

 

突然の声に俺は本能的に身構えてしまう。先ほどと同じように、いつの間にか先ほどまでの空間は消滅し、代わりに何処までも白い空間に一人の人物が居た。

…そして、俺はその人物を直感的に察した。

 

「…お前、桜満集だな」

 

『そうだよ』

 

茶髪で身長は俺より少し小さいくらいの同年代の青年…桜満集はそう言いながらこちらへと歩いてくる。

 

「じゃあぶっちゃけて聞くが…アレは一体何なんだ?俺と関係あるのか?」

 

 

一応既に俺にもアレが桜満集の過去であると言うことの察しは付いている。更に言うならば、きっとアレは桜満集にとっては自身の後悔であり罪であるのだろう。

 

ロストクリスマス…2029年12月24日に起きたそれは六本木を中心に広がり多数の人間が死亡し、その中には日本政府の総理大臣や全閣僚などの日本の重鎮も多く含まれていた。原因はアポカリプスウイルスと呼ばれる、発症すると身体がキャンサーと呼ばれる紫色の結晶に変異していき、全身が変異すると結晶が砕け散って死亡するという最悪なウイルスだ。

そしてこれが原因でアポカリプスウイルスは日本中へと感染爆発を遂げ、実質的に政府は機能しなくなった。

 

その中心に居て、かつロストクリスマスの引き金だったのが目の前に立つコイツ、桜満集だった。

 

桜満集の姉である桜満真名は実はアポカリプスウイルスの第一感染者だったのだ。その理由は宇宙から落下してきた、アポカリプスウイルス付属の石を初めに発見してしまったからに他ならない。

そうして感染した桜満真名はウイルスに蝕まれて日に日におかしくなっていった。桜満集には天使のように思えたのだろう、だがトリトンにとっては悪魔の存在であった。桜満集の前では天使のように振る舞い、トリトンと二人きりの空間ではトリトンをさも玩具のように扱い、そして例の日には壊そうとした。

しかしその光景を桜満集に見られ、何よりも愛していた弟に化け物と呼ばれ感情が爆発。結果ロストクリスマスが起きたのだ。

 

…だが、こんなの俺には何も関係ない。それに時代も違えば過ごしている世界も違う。俺には無関係も良い所だ。

そう思って目の前に立つ桜満集に問うと、彼は真剣な眼差しでこちらを見返してきた。

 

 

『言っただろ、君は僕なんだ』

 

「…だからどういう意味だ?」

 

『君は僕の生まれ変わり、つまり僕は君の前世でもあるってことだよ』

 

「………………は?」

 

 

余りにも突拍子もないことについ裏返った声で生返事をしてしまう。

桜満集は俺の前世…全く想像ができない。そもそも俺とコイツ、全くもってガワも本質も違っている。

 

『…まあそんな反応をするんだろうとは思ったよ』

 

そう言いながら苦笑いを浮かべる桜満。…いやいやいや、やっぱり、あり得ないって。つかどうなってんのこれ?夢だよね?つか夢だろ。早く覚めろよ俺、覚醒するんだ俺っ!

 

『いや、自分で自分の頬抓っても何も変わらないと思うよ…?それに痛くないでしょ?』

 

…本当だ、全然痛くない。これは夢だ、だから大丈夫。いや大丈夫じゃないだろ。

 

『それにこれが全て幻だったならさっきあの記憶を見せた時に君が僕たちの名前を知ってるはずないだろ?』

 

それは…確かに。アレはコイツが教えてくれた訳じゃない。確かに俺自身が覚えていたのだ。

 

「…それ分かったが、じゃあ何で俺はあの名前を、…いやお前の記憶を継承してるんだ?」

 

『…実を言えば、それは君の中に僕の力が混在してしまったからに他ならないんだ。だから僕の意識もこうして有るにはある…まあ八幡が身体的に弱っていたから出てこれたようなもんだけど』

 

普段は何も出来ないしと桜満はボヤく。えっ、いや待てよおい、力が混在ってことは…。

 

「…まさかお前の王の力が俺の中にあったりしないよな…?」

 

いやそんな訳ない。ないったら無い。そもそもコイツの記憶から垣間見た記憶はあっても現実で見たことも無ければ使った事もない。だから無い、絶対無い。

…ハチマン知ってる、こういうのフラグを立てるって言うこと。

 

『…言いづらいけど、僕の感覚からしたらどうやら有るらしいんだよ……君の身体の中に』

 

その言葉と同時に俺は全身を確認してみる。死ぬ直前の桜満集のように右腕から変なものが生えてるわけでも無いし、またどこに異常は無い。

 

『変なものって…………』

 

「ナチュナルに心読むなよ桜満集。それに変なものは変なものだ」

 

『あと集でいいよ。僕からしたら君は生まれ変わりだし、変にフルネームで呼ばれ続けるのも気持ちが悪いからさ』

 

「なら遠慮なく桜満って呼ばせてもらうわ」

 

『遠慮してるじゃん…』

 

ばっかお前、俺が名前を呼ぶのなんて小町くらいしか居ないんだぞ?寧ろ苗字覚えてる人間だって数人しか居ないからして、その中には入れたんだから光栄に思え。

 

『何でそんな上から目線なんだよ…』

 

そりゃ過去の自分に敗北感抱きたくないし?

 

そんな気持ちを知ってか知らずか、いや多分知ってるんだろうがお構いなく桜満は話を進める。

 

 

『それで八幡。君に一つ、頼みがある』

 

「…何だ?」

 

桜満のその言葉に俺は眉を潜める。何か、途轍もない不幸な気配がするからだ。何ならつむじセンサーも全国の八幡センターで絶賛稼働しているまである。

そんなくだらない事を考えていると、桜満は意を決したようにこう言った。

 

『いのりを見つけて欲しいんだ…!』

 

頭を下げながら桜満はそう言った。

 

「…いや、だけど確かそいつお前と一緒に死ななかったか?」

 

楪いのり、確かこいつの想い人だったはずだ。最後まで恋人関係にはなっていなかったが、それでもコイツと楪は両思いでもし世界が彼らの周りの世界が平和だったならそのままゴールインしていただろう。

 

 

『いいや、多分だけど死んでない』

 

「…その根拠は?」

 

『…ごめん、根拠は無い。だけどこの世界の何処かにいのりが居る気がするんだ。その為に僕はこの世界で生まれ変わって、その生まれ変わりに薄いながらも意識を残したんだからね』

 

「おい、お前の今の話マリー・アントワネットどころか薬中でラリった奴の脳内並に飛躍したぞ。」

 

いや、飛躍っていうか天元突破くらいはしてる気がするけどな。何ならグレンラガン使ってそうなまである。

 

まあそれは置いといて、…この桜満の話が何も理解できないんだが。うん、一ミリも分からん、何だよ「この世界のどこかに居る気がする」って。しかもそのためにこの世界で生まれ変わるとか、幻想郷でもそこまで常識から外れてねえよ。ちょっと俺の前世が軽く人間を超えてる件について。

 

『とにかく、多分だけど僕の考え通りならどこかに居ると思う。別にいのりを探すために世界中に行かなくていいんだ。ただ八幡、もう一度僕といのりとで話をさせて欲しい。』

 

そう言われ少し考える。正直死んだはずの少女が生きていて、しかも恐らく桜満の生きてきた世界の過去でも何でもない、コイツからすればこの別世界に楪が居るの可能性は0パーセントに限りなく近い。というか普通に居ないと思う。断言すれば居ない。

 

…だが、こいつの提案を受けても蹴ってもメリットもデメリットも存在しないだろう。桜満は別に楪を探しに行かなくとも良いと言っていた、ならその言葉通り俺は探さずに普通の生活を営むまでである。

それにもし、本当にもし会えたとしても桜満と話させれば良いだけだ。どうやるかは知らんが。そこに俺にデメリットは無い。

 

当にノーリスクノーリターン。あとは俺の善意次第だ。

…だがまあ、桜満と楪の最後は無関係の俺からしてみてもかなり悲劇的だったと思えてしまう。何せ楪は全てのアポカリプスウイルスから桜満を庇って死のうとしたのに、その甲斐なく楪が死んだ後に桜満もアポカリプスウイルスにより死んでしまったからだ。

そうして死んだ桜満はどうやったかは知らんが、比企谷八幡へと生まれ変わりつつ自分の意識を残して未だ居るかも分からない楪ともう一度話すために存在している。…こんなの卑怯だろ、俺が返す返事も一つに限定されちゃうだろ。

 

 

「…分かった、だが楪と話す時以外は俺の体は渡さんぞ?」

 

『十分過ぎるよ、ありがとう八幡』

 

「ああ……っ!?」

 

唐突に俺と桜満のみの白い空間にヒビのような物が入り、歪み始める。歪みは濁流の如く、白い空間全体を飲み込むように歪んだ箇所が先ほどと同じような暗黒へと変貌しつつ奥から物凄い侵食速度で

迫ってくる。

 

『…!八幡、手を取って!』

 

そう言って桜満は俺に右手を差し出す。目を向けると彼の右腕はゴツゴツとした灰色の小さな岩が固まったような形をしていた…そういやコイツ、右腕切り落とされたんだっけ。これは確かヴォイドとかいう奴だったな、桜満の記憶によるとだが。

 

『早く!!』

 

「お、おう…」

 

桜満の気迫に押されついつい反射的に差し出された右手を俺の右手で握ってしまう。

するとその右手から白い光が溢れ出し、また足元には桜満の記憶にある王の力を使った時のような青い魔法陣が広がった。…中二病はもう卒業したんですけど…。

 

そして気が付けば、具体的には一回瞬きした瞬間に桜満の身体は消えていた。代わりに俺の中に俺のではない、前世である桜満の鮮明な記憶が流れ込む。何かこういうのどっかのファンタジー小説で見たことのあるような…。…いや、まさかコイツ………。

 

『…ゴメン八幡、僕から君に話しかけることは夢の中くらいでしか出来ないけどこれから宜しくね?』

 

…この野郎勝手に人の身体の中に入りやがった!!

 

 

そう思った瞬間歪みは一気に俺の場所まで飲み込み、意識は虚空へと消えていったのを俺は感じた。

その直前に桜満集を絶対に許さないリストに加えようと思ったのは言うまでもないだろう。

 




ギルクラの方はアニメ知識とwikiのみで書いてます。間違ってたらすみません。
あと設定は見てわかる通り割りとガバガバな上意味不なのも自覚してます。とてもすみませんでした。

にしても、集の口調全然似てねぇ…
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