Lonely crown 作:ラーメン文庫
タイトル変えました。でもまだ仮です。
今回は伏線回…ですね。
退院してから2日が経ち、月曜日となった。
これについて俺が言いたいことは一言。…今日が高校初日である。
事故を起こした日は入学式当日で、そこから一ヶ月間の入院コースを堪能した後の今日である。登校も初日である。つまり何が言いたいか、超高校級の幸運でもここまで言えば分かるはずだ。
そう。…教室に入るの、超、気まずい。
想像してみよう、入学式からずっと休み続けて空席だった場所へ一ヶ月の時が経った後に突然全く知らないクラスメイトが来る光景を。
そしてそれを見た大半のクラスメイトはこう思う、「当然な顔して入ってきたけどこいつ、誰だ?」と。
既にクラス内では複数の小規模なものから大規模なものまでのコミュニティが形成されていることだろう。そんな中に俺一人が入れるかどうか。…答えは否一択である。………鬱だ。
本当ならば自転車で通う、徒歩では長い道のりを松葉杖で歩きながら思わずため息を吐く。
一応親から松葉杖が取れるまではバスで通学する許可を貰いはしたが、何せ俺だけまだ生徒証を受け取っていないために学割で定期が買えないのだ。なので今日生徒証を受け取り定期を買う手はずとなっている。…つまり、少なくとも今日だけは俺の通う総武高校まで徒歩で片道1時間の距離を怪我した足で行かなくてはいけない。これも俺の気を重くさせる一端を担っていると言える。
そしてダメ押しとばかりにもう一つ考えるだけで鬱々しくなる出来事がある。それは桜満が夢の中で俺に強制的に戦闘訓練を始めたことに他ならない。
この事自体は一昨日の昼寝の際の対話で言っていたが俺はついぞ「あ、まあこれやるやる詐欺だろ?」と思いその夜快眠、すると夢の中で突然桜満が命を断ち切るハサミを俺に向かい振り回し始めたのだ。
当然驚いた俺は何とか反射的に避けて桜満に文句を言おうとしたが問答無用で更に追い打ちとばかりに斬り込まれ、挙句の果てには早くヴォイドを出せと身勝手にも言われた。…出せる訳ないだろうが常識的に考えて。
そうして夢から出る直前まで襲われ、最後に桜満は良い笑顔で「じゃあこれからコレ毎晩やるからね?」と宣言。予告通り昨晩もハサミ(八尋)を振るわれた訳である。つか桜満の奴生きてた時はあんな性格だったか?もっと人には丁寧で優しかった記憶が…と言ってもアイツ自身俺の前世だしもしかすると自分には厳しいのかもしれない。よって多分今晩も格闘訓練(という名の桜満集の運動不足解消運動)をやるのだろう…夢から逃げる方法があるかどうか後で調べておくか。
何となく周りを見渡すと、余裕を持ってかなり早く家を出たために歩く道には未だ俺以外の姿を見ることはできない。…何か手持ち無沙汰になった気分だ。
なので暇つぶしとして歩きつつポケットからスマートフォンを取り出してネットニュースを見る。…何気に松葉杖使いながらスマホ使うのってムズいな。加えて危なくもあるし、この一回限りに収めておくか。
そう思いながらアプリをタッチしてニューストピックを流し見る。そしてその中から気になる、と言うか俺の記憶を軽く刺激する記事を見つけ詳細を見る。
【大島に四天王寺製薬が研究施設を建設、その意図とは?
日本有数の製薬会社である四天王寺製薬は五ヶ月ほど前から急ピッチで工事していた四天王寺製薬大島研究所を完成させたことを昨晩発表した。このような離島に大手会社が主要な施設を作ることは極めて異例であり、各界から注目を集めている。四天王寺製薬会社取締役である若葉歳三さんによれば「ここ大島では近年様々な新種の生物が確認されており、新た細菌やウイルスの発見の可能性も大いにあることからここに研究所を建設する事を決定した」とのこと。また、四天王社長は「我が社の趨勢は毎回奇をてらうプロジェクトによって黒字の利益を生み出しており、今回の大きな決断もその一つに過ぎず失敗はあり得ない」と自信満々に語っている】
「…大島、か」
つい小さく声に出してその地名を口の中で転がしてしまう。
大島、その単語を聞くとどうしようもなく桜満集と桜満真名、そしてトリトンが幼少期に過ごした環境であることを思い出さずにはいられない。
それは完全な別世界の話ではあるのだが、それでも大島という同名の地名がある以上楪いのりについての何か手がかりがあるのかもしれないと疑ってしまうのには無理ないだろう。
「…いいや、違うだろう?疑問に出すこと自体が可笑しい話なんだ」
自分に言い聞かせるように俺はそう呟く。
何せ楪いのりがこの世界にいる可能性は無いと言っても過言ではないからだ。なのに何故完全には否定しないかと言えば、存在しないことを証明するのは科学的に不可能だからだ。よって実質的に居ないと考えても良い。
ーーーなのに、なぜ俺はこんなにも落胆に似た気持ちを抱いているのだろうか。
俺は決して桜満集ではない、既に比企谷八幡としての確固たる自分を持っている。それに桜満集からは記憶は確かに引き継いだが、それ以外に得たものは王の力ぐらいなものであいつの意思などこれっぽっちも受け継いでないはずである。
また王の力だって本当にあるのかどうか存在が疑わしい。足に巻かれたギブスを解けば分かるのだろうが、治るまではあまり弄るなと医者に止められていることからしてそれも叶わない。
そもそもの問題、俺は楪と会ったことが無い。記憶を通して視ただけだ。それだけで彼女に対してそんな感情を抱くのはどこかおかしい気がしてならない。
…まさか、俺の中の深層心理まで桜満の意識まで入り込んでいるのか?いやだがそう仮定すると俺は既に俺ではないという矛盾が起きているはずだ。だからそうじゃない。…それとも既に俺自身が気づかいない内に桜満(前世)の精神と融合をし終えてるのか?
…駄目だ、考えるのやめよう。これだとイタチごっこだ。俺が俺でないことは認識できても俺が俺であるかどうかは判断できない。俺主観では分からないのだ。
そんな事を考えていると程なくして学校へと到着し、校門をくぐるとこの学校の地図を片手に持って真っ先に職員室へと向かう。生徒証を貰うためだ。
そうして辿り着いた職員室は下駄箱からそう歩かない位置に設けられていた。まだこの校舎が作られてから間もないのか、その扉に汚れや傷跡は一切ない。
「失礼します、今まで入院していた比企谷です。生活指導担当の方はいらっしゃられますか?」
ノックを二回してからドアを開ける。
職員室の中はまだ朝早いこともあってかそこまで人はおらず、この時間から居る僅かな人も忙しなく動いている訳ではなくゆったりとした雰囲気で自らの仕事をしているようだった。
そんな中、一人の教員が俺のその声に気づいて立ち上がり、こちらへと歩いてくる。
「…君が比企谷か。私が現代文兼生活指導担当教員の平塚だ、話は聞いているぞ」
白い白衣に身を包んだ、一見すると理系の教員と見間違えそうな服装に黒色で中を靡いてる髪と整った容貌。なんと言うか、とても美人ではあるがただ一つ惜しむらくは白衣のポケットからタバコのケースがはみ出ていることだろう。…だが何か姉御肌っぽい雰囲気感じるし、割と合ってるのか?
「あの、生徒証を発行したいんですけど…」
久々にあまり知らない人と話すことになったからかついつい視線を逸らして職員室をチラホラと見てしまう。しかし病院の看護師の時はそうでも無かったんだがな…これも案外桜満が関係していたりするのかもしれない。違うか。違うな。
平塚生徒はタバコの入った白衣のポケットを左手でさり気なく奥に押し込みつつ、反対側のポケットから写真がテンプレートされた名刺サイズの長方形の紙を取り出す。よく見るとそれは名刺ではなく、生徒証のようだった。
「ほれ、君のものだ。受け取れ」
「…ありがとうございます」
…なんだろうか、平塚先生の口調が少しアニメっぽいような…気のせいならいいんだが。
「ああ、それと比企谷。君には課題を出したと君の担任が言っていたが、何なら今出してもいいぞ?私が担任に渡しておこう」
「えっと…じゃあお願いします…」
スクールバックから手間取りながらもチャックを開けて課題プリントの束を渡す。それを見た平塚先生は満足気に頷きながら、現代文で解らないところがあれば私に聞きに来るといいと言い残し自分の机へと足を向けたので、俺も会話が終わったと判断して失礼しますと一言言い職員室を後にする。…変な先生ではあるが悪い人ではなさそうだな。
教室へと入ると既に何人かのクラスメイトが登校しており、思い思いのグループで会話をしていた。そんな中で入ってきた俺に対してそのクラスメイトらは怪訝そうな視線を一度寄せるが、直ぐに自分たちの会話に戻る。一瞬思ったよりも軽い反応に歯に挟まるような違和感を感じるが、それも程なく解決する。
…まだ彼ら自身も全てのクラスメイトの顔を覚えてないのだ。一度そう考えるとストンと納得がいく。何せまだ5月の上旬、知り合いも少ないだろう新しい学校で適応するには短すぎる期間だ。後もう一ヶ月くらいしたらまた話は違ったんだろうが、そこは本当に運が良かったとしか言いようがない。或いはもしかしたら俺の今持つ松葉杖で入学初日で事故ったクラスメイトだと直ぐに理解したのかもしれないがまあいいか。お陰で弾かれ者みたいな変な目で見られることないし。
そう思いつつ教卓に置かれていた座席表を見て自分の席に座る。どうやら俺以外の今居るクラスメイトは全員グループを形成しているようだった。まあそりゃそうか、こんな早い時間からぼっちで教室にいる奴なんて馬鹿か物好きかのどちらかだろう(ブーメラン)。
…にしてもなんと言うかまあ、俺も丸くなったものだ。スクールバックから本を取り出しながら俺は心の中でそう自嘲する。
昔はもう少し、このような友人同士で団欒している姿を見ているとその上っ面同士の底の浅い付き合いに胸糞が悪くなっていたはずなのだ。それなのに今はそんな気は全くない。別にその関係を羨望しているわけではないが、それでも自分でも認識できるくらい俺の人間関係に対する捉え方が変わってしまっている。
…やはりこれも桜満集の影響なのだろうか。桜満もまだ葬儀社に入る前、あいつの周りの人間関係は薄っぺらい紙のような関係性を築いていた。それに虚無感を覚え、日々が虚しくなっていたのもアイツの記憶を探れば分かることだ。
しかし葬儀社に入り、本格的に活動し始めるとアイツの周りには本当の仲間と呼べる人間が沢山増え始めた。途中では独裁者となってしまったこともあったが、それでも最後にはもう一度仲間と共に戦った。それは切っても切ることのできない、確なるホンモノなのだろう。
…だが俺にはそれを見つけることが出来るだろうか?今まで家族を除けば一人で生きてきた自覚はある。しかし何か特別な取り柄があるわけではない。唯一つあるとするなら、リスクリターンを考慮しこの世の中を楽に生きる方法を模索してきたことだろうか。…当然、こんなものを本当に求めるのが大事だと思っている訳ではない。いや、"今まではそうだったが今は違う"というのが正しいだろう。だがしかし俺にはそれしかできないのだ。
『桜満集と俺は違う』。その事実は重く俺へとのしかかってくる。
………でも、それでも俺はーーーーーー。
「えっと…君が比企谷君?」
思考に耽っていると、隣の席からそんな声が聞こえてきた。
補足(Q&A方式)
Q.集ってこんな性格だった?
A.集の性格変化は長い間八幡の中に居たため。因みに入学式以前は、八幡の視覚を利用して外の状況は見ることは出来たがそれ以外殆ど何もできなかった。
Q.王の力って使うの?
A.現状利用不可能。そろそろ使います。頑張ろう八幡
Q.結局いのりは出てくるの?
A.まずはタグを見よう。名前が書いてるあるよな。つまりそういうことだよ
こんな感じ質問があれば答えますので、感想欄からお願いします(特に利用規約には無さそうだし運営は許可してる…よね?)
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ご了承ください。