とある冥土の主はマッドサイエンティスト   作:namaZ

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我ながら進展が遅いw
次回から原作に入れるようにします。


10話能力

 燃え盛る炎。

 

 

 作戦開始深夜零時からまだ5分の出来事。

 

 

 紅の炎があたりを明るく照らしていた。

 

 

 六隻の船は圧倒的な重量に押し潰されたようなありさまだった。

 

 

 岩城紀陸が放った"力"は六隻の船に留まらず城の城壁も巻き込み。

 

 

 城本体の3分の1が倒壊していた。

 

 

 「は、想像以上の性能だなおい!―――にしても、俺の容姿と能力からもしかしたらとは思ったが本当にあるとはな!木原もたまにはいい仕事するぜ!」

 

 

 興奮のあまり声を張り上げる。

 

 

 高ぶる感情を静めようと大きく深呼吸をする。

 

 

 この死に満ちた灼熱の空気を吸いこんでいる。

 

 

 思考を一度落ち着かせながら生き残りがいないか確認する。

 

 

 「地殻レーダー」

 

 

 探査機の原理を利用して効果圏内のあらゆる『振動』を識別し、探知する事が可能。

 

 

 無機物と有機物では『振動』に微細な違いがある。

 

 

 無機物の船、空気、水などは生き物としての『振動(呼吸)』がないため、除外。

 

 

 有機物の人間、草、木などは生きている死んでいるは『振動(呼吸)』で判断。

 

 

 息を潜めていたり、マスクなどといったモノで『振動(呼吸)』を誤魔化すことはできても。

 

 

 生き物としての僅かな『振動(動き)』までは誤魔化すことは出来ない。

 

 

 そう――――――――――――

 

 

 「みつけた・・・・・・・・」

 

 

 あらゆるモノは彼の効果圏内にいる限り決して逃れることは出来ない。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 無理だ。

 

 勝てるはずがない。

 

 だから嫌だったんだ。

 

 二年前も同じだった。

 

 殺された。

 

 殺されたんだ。

 

 皆殺された。

 

 木原円周に関わった奴。

 

 学園都市に関わった奴。

 

 皆殺された。

 

 あの時は女性だった。

 

 何故かメイド服姿だったためよく覚えている。

 

 皆殺された。

 

 今でもあの時の光景が脳裏から離れない。

 

 真っ赤な紙吹雪。

 

 仲間は皆降りしきる紙吹雪の前に倒れていった。

 

 紙が一枚空を舞えば一人死に。

 

 紙が二枚空を舞えば二人死に。

 

 紙が三枚空を舞えば三人死に。

 

 空を舞う紙は数を増やしていき吹雪となったとき。

 

 皆死んだ。

 

 私は運良く生き残れた。

 

 あの場にいて生き残ったのは私だけだった。

 

 今になって考えると生き残れたのは運や、あのメイドの気まぐれでもなく・・・・

 

 学園都市が私たち対しての警告だったのではないか?

 

 私はあの光景を目の当たりにしておきながら誰にもソレを報告しなかった。

 

 気絶していて覚えていない。

 

 そんなのは嘘だ。

 

 今でもしっかりと覚えている。

 

 だけど・・・・言えなかった。

 

 何故かは分からない。

  

 救助された時に何があったと聞かれた。

 

 私は言おうとした。

 

 そこで何があったのか。

 

 侵入者を排除する無数のトラップ。

 

 一個大隊を投入し。

 

 最新鋭の戦車も投入した。

 

 勝てると思っていた。

 

 そう・・・・思っていた。

 

 全滅した。

 

 一人のメイドに。

 

 正確には三人だったが事実上の人為被害の原因は銀髪のメイドだった。

 

 おそらくアレが学園都市の秘密兵器・・・・・・などと考える奴は舐めきっている。

 

 アレは私たちで言う『歩兵』といったところだ。

 

 だがレベルが違いすぎた。

 

 こちらで言う『歩兵』が向こうにとっては『航空兵』クラス。

 

 はなから勝てるわけがなかったのだ。

 

 

 

 そして今回も結果は見えていた。

 

 此方の存在に気がついた白いスーツの男は水面を滑るように距離を縮める。

 

 ああ、私は殺される。

 

 今回は前のようにいかない。

 

 皆殺しだ。

 

 不思議と恐怖は無い。

 

 ただ、もしもまた生き残れるのなら・・・・・

 

 この仕事を辞め、家族と静かに暮らそう・・・・・・

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 「『一人だけ生かせ』ミッションコンプリート」

 

 正直全員殺っちまったと思ったぜ。危ない危ない。

 近づいたら気を失いやがって。

 にしても、なかなかの強運だなこいつ。

 俺様の必殺技『無限の地層(グラビトサフォカーテ)』で生き残るとはな。

 安堵半分、悔しさ半分、正直生き残りがいた事に対してめっっっっちゃ悔しかったりする。

 だってーほら・・・・・ね?

 必殺技だよ?

 決め技だよ?

 同じ超能力者同士ならわかるけどよーこれはないわー。

 まあ全力じゃあないし、七割・・・・・いや五・・・・・・・・三割だし!

 あとよー城ごとやっちまったよ。

 円周とひとみっち今ので死んでないよね?

 まあー今ので死ぬような連中じゃないか。

 

 「さて、紗夜ちゃんと瑠璃ちゃんの手伝いでもしに行きますか」

 

 踵の後輪が回転しだすと湖の上を走り出し、そのまま木々の枝に乗り移ると二人のいる場所に駆け抜けた。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 何やら反対方向からものすごい音が響きましたね。

 どうやら紀陸はちゃんと仕事をこなしているようです。

 

 「やっと見つけましたよ。円周様ご怪我はございませんか?」

 

 捜索しだしてから5分が経過していた。ついでに言うとこの場所は三箇所目に来たのだ。

 木原円周はこちらに気づくと無邪気な笑みを浮かべトコトコ駆けてくる。

 

 「どうして瞳お姉ちゃんがいるの?」

 

 このお方は自分の状況を理解しておいでなのでしょうか。

 

 「円周様を助けに参りました。今すぐに脱出いたしましょう」

 

 逃げ出すように促すが円周はふるふると顔を横に振った。

 

 「まだだめ、探し物をまだ見つけてないの」

 

 「探し物ですか?僭越(せんえつ)ながら私めもお手伝いいたします。どのような物をお探しなのでしょうか?」

 

 円周様は何故か視線を下に向け頬を赤らめるとぶつぶつと何かをつぶやいている。

 

 どうしたのだろうか?恥ずかしがっているのでしょうか?いや、まさか奴らに何かされたのでしょうか!そう考えると無性に怒りが湧いてきました。

 そうと決まれば円周様を安全なところにお連れした際にはこの建物を爆撃しましょう。

 

 

 紀陸にだした命令内容を完璧に忘れた瞳はこの場所から一人も生きて返す気はなかった。

 

 

 「えっとね・・・・・・数多おじさんに聞かれたれ絶対怒られると思うし・・・・・・・・・」

 

 「大丈夫です。他の木原の方々には絶対に言いません」

 

 「・・・・・・・本当に?」

 

 「はい。絶対に言いません。それが円周様のご命令ならば私は約束を絶対に破りません」

 

 そう――――この身は木原のためにあるのですから。

 

 「――――その探し物とはどのような物でしょうか?」

 

 するとまた私に視線をそらしたり向けたりを繰り返してやっと口を開いた。

 

 「・・・・・・か、髪留めを・・・・探しているの・・・・・」

 

 なるほど、そういう事ですか。

 おそらくその髪留めとは、私が円周様を助け出した時にあげた物。

 発見した際には八年間無造作に伸び続けた髪が円周様のお顔のかかっておいでだったので、私が当時使っていた紐状の髪留めをプレゼントしてあげたのですが、どうやら脱出の最中に落としてしまったようですね。

 

 そして、髪留めを探しに誘拐され今に至るわけですね。

 

 そして、何故円周様がここまで言い淀むのか分かりました。

 理解しているのだ。自分がどれだけ()()()()()()()行動をしているのか。

 

 ですがそれを少しでもお助けするのがメイドの勤めです。

 

「分かりました。髪留めですね・・・・・・・3秒お待ちください」

 

 まさか学園都市外で使うことになるとは思いもよりませんでした。

 

 

 

 すると瞳は左目の眼帯に手をかけ――――――外した。

 

 

 

 ゆっくりと開く(まぶた)の中にはしっかりと光を捉える眼があった。

 

 

 

 もちろんこの眼は偽物。

 

 学園都市の技術の粋を集めた高性能の義眼。

 

 木原製の『木原印』がしっかりと刻まれている。

 

 

 「 

  

   システム起動―――――信号の接続を確認。

   

   視覚の接続―――――問題無し。

   

   視界―――――クリア。

   

   城の見取り図―――――ダウンロード完了。

 

   保管場所15箇所―――――特定完了

   

   プログラム探し物―――――藍色の紐状の髪留め。

   

                          」

 

 

 すると彼女の足元にいつも間にか『眼』転がっていた。

 しかしそれは一つだけではなく、どこから現れたのか瞳を中心に無数の『眼』が(うごめ)いていた。

 

 「それでは後のことはよろしくお願いします」

 

 命令を下すと『眼』はひとりでに動き出し、無数の『眼』はものの数秒でいなくなった。

 

 「もうしばらくお待ちください。すぐに発見致しますので」

 「うん。わかったよ瞳お姉ちゃん」

 

 後は発見するのみ。するとすぐに22機の『眼』で髪留めを発見した。

 

 「発見いたしました。()たところ探し物の髪留めで間違いありません。場所は―――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

  

 目的の居場所にたどりと早速行動に移した。 

 

 「此処の保管所の21番目の棚にありますのでお取りします」

 

 金庫を紙で一閃。中の髪留めを回収すると円周様の元に持っていく。

 片膝をつき。円周様と目線を合わせるような姿勢になる。

 

 「コチラでよろしいでしょうか?」

 

 そっと、円周様の手に添えるように髪留め渡す。

 探し物が見つかった子供のように円周様ははしゃいでいる。

 見ていて微笑ましいですね。円周様が髪留めを私にむけきます。

 どしたのでしょうか?

 

 「うんっとね・・・・・・・この髪留めを結んで欲しいの!」

 

 またお顔が赤面しておりますが、やはり体調が優れないのでしょうか?

 

 「はい。かしこまりました」

 

 円周様の頭へと手を伸ばし、そっと今付けている髪留めを外す。

 髪がほつれているので結ぶ前によくほぐしておいた方が良さそうです。

 手櫛で円周様の髪が傷まないように丁寧に毛先に近い部分から指を通していく。

 毛先に近い部分の手櫛が終わったら、次はやや上から指を通していく。

 

 「んっ……」

 

 くすぐったいのだろう。声を出すのを我慢している。

 

 「すぐにすみます。もうしばしの辛抱です」

 

 ほつれはもうとれ、藍色の紐状の髪留めを円周様の髪に結びつつお団子頭を左右に揃える。

 

 「・・・・・円周様できましたよ」

 「ありがとう!瞳お姉ちゃん」

 

 嬉しそうに頭の髪留めに触れながらもう一度こちらを向いた。

 

 「本当にありがとう!!絶対大切にするね瞳お姉ちゃん!!」

 

 

 

 眩しい、私と違い純粋無垢な笑顔―――――――――

 

 

 不思議と胸が軽くなる。だけど―――――――――

 

 

 この笑顔がアノお方のモノならどれだけ幸せなことか―――――――――

 

 

 その思いをを胸の奥にしまい込みながら、木原円周と共にこの城から脱出するのであった。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 深夜零時。

 相手側はすこし優秀だったらしく、学園都市が攻めてくると読んでいたみたいだ。

 その証拠に岩城紀陸の攻撃が始まっ1~2分で増援部隊がやってきた。

 歩兵小隊が六小隊。

 一小隊五人。

 突撃砲が一両。

 これだけの部隊があれば、街ぐらいは制圧できてしまう行きよいだ。

 実際相手は此方の事を舐めきっていた。

 衛生の映像で確認したところ、増援部隊を待ち構えているのがメイド二人なのだから当然である。

 学園都市のメイド。だが、所詮メイド、ただの小娘。

 しかし、そんな常識は学園都市に通用しなかった。

 作戦開始から五分後。

 神無城紗夜は破壊を振りまいていた。

 

 

 「ハハハハハハ!どうした!?そんなものか!!」

 

 

 神無城紗夜は敵を視界に捉えたその瞬間、体を爆発させるように動き出していた。

 一番近くにいた男は突然の事に反応できなかった。

 紗夜は渾身の力を込めて男の顔面を殴り飛ばす。

 骨の砕ける音が聞こえた。

 紗夜の拳を振り抜く威力に移動スピードが加わり、男の肩から上は完全に消滅していた。

 絶句――――誰が想像しただろうか?9、10歳くらいのメイドの子供が50メートルもの距離を一瞬で詰め、完全武装の男の頭を破壊するなど。

 小柄な少女の肉体は、身の丈に合わない理性を超えた狂気に突き動かされていた。

 そのまま倒れ込む顔のない男の体蹴り飛ばしながら次の獲物に飛び掛かった。

 同じように一瞬で近くにいた男のアバラ骨を砕き、そのまま心臓を破壊した。

 そしてまた、一瞬で近くにいた男の首を掴み、そのままえぐりとった。

 そしてまた、一瞬で移動し男の後頭部を蹴り飛ばし陥没させる。

 それを何度も何度も繰り返す。

 人の命を一撃で、的確に急所のみを攻撃し破壊する。

 血が飛び散った。

 頬に飛び散った血を舐め取りながら少女は狂ったような叫び声を上げながら、破壊を撒き散らすのを止めない。

 少女の上げる獣のような叫び声と、肉を叩き、骨が砕ける音。血が体に付着する音。ただそれだけが延々と続く。

 

 神無城瑠璃は、一歩退いた場所から、その光景を見つめていた。

 普通ならば狂気を感じ、おぞましさに震えるような光景に、瑠璃はただ姉の身を心配する視線を向けるだけだった。

 

 

 「我々はコチラの小娘を殺るぞ!!六小隊が全滅するのも時間の問題だ!!」

 

 突如、瑠璃の背後から五人組の完全武装の男が現れた。

 相手の小隊は六小隊ではなくもともと七小隊だったのだ。

 

 武装した男達はは一切の躊躇なく瑠璃に発泡した。

 瑠璃は姉の紗夜のようなスピードはなく、むしろ肉体スピードは同年代の子供より遅いくらいの瑠璃に、その弾丸の雨を避けるすべはなかった。

 

 瑠璃の小柄の体はそのまま10メートル吹っ飛ぶと木に当たり止まった。

 

 男の一人が近づき死体を確認しようとする。

 しかし、死体を確認しようと近づいた男の顔が驚愕に染まった。

 無傷。あれほどの銃弾を浴びたその小柄な体は無傷だった。

 

 「・・・・・い、いたいですよ~」

 

 木にぶつかった方が痛かったのか、後頭部を両手で押さえながら涙声でそうつぶやいた。

 

 「お、おこりました・・・・怒りましたよ!さすがの私でもカチンときましたからね!」

 

 武装した男達は本当にこの少女が先の銃弾を無傷で受け止めたのか疑問に思った。

 だが、そんな現実逃避は長くは続かなかった。

 

 頭をぶつけた木を掴むと、そのまま引っこ抜いたのだ。

 

 自身の肉体より重量のある木を持ち上げる瑠璃。

 

 木に潰されないのか。

 あの体のどこにそんな力があるのか。

 今はそんなことどうでもいい。

 数々の修羅場をくぐり抜けてきた男達は直感した。

 

 『逃げなければ死ぬ』

 

 だが、こいつらは敵、敵を排除するのが自分たちに与えられた任務。

 逃げ出したい、ここにいれば死ぬ。

 

 理性と本能。

 

 この僅か数秒の一瞬の彼らの運命は決まった。

 

 

 「え、えい!」

 

 

 声に似合わず、木が横薙ぎに振られた。五人は20メートル飛ばされた。自身の体が有り得ない方向に曲がっているの声も上がらない。

 

 「こ、これもお仕事なので・・・・・恨まないでください!」

 

 瑠璃は一切の躊躇なく木を投げつけた。肉の潰れる鈍い音が響いた。

 瑠璃はもう先のことがなかったかのように姉―――紗夜に視線を戻す。

 

 「・・・・・・・・・・おねえちゃん」

 

 

 そう、神無城瑠璃もまた神無城紗夜同様に狂っているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 寝癖がひどく、ヒゲももじゃもじゃな男は突撃砲の中で焦っていた。

 

 「これが、ただの小娘だって……?」

 

 猛々しく、吼えるその姿は――――――

 

 「ただの化け物じゃねーか!!!」

 

 突撃砲の主砲を化け物に固定する。

 

 「死ねよ!!」

 

 放たれた砲弾は直撃コース。

 

 紗夜は腰に手を伸ばすと一閃―――――砲弾を真っ二つに切り捨てた。

 両手には、小柄が握られていた。

 

 「おいおい冗談だろ!?音速を切り裂いたってのか!!?」

 

 砲弾は確かに銃弾よりも的が大きい。だが、50メートル弱の距離から放たれた砲弾は破壊力、スピード共に銃弾を上回っている。

 

 「―――ハハハハハハハッ!!・・・・・・そんなもんが効くわけないだろ!」

 

 その瞬間、また体を爆発させるように動き出していた。

 

 アクセルを限界まで押し込み、逃げるよう後退した。

 だが、紗夜は徐々に距離を詰めていく。

 

 「おせえ!!」

 

 突撃砲の装甲させ切り裂くであろう小柄が目の前に迫ってくる。

 

 

 だが―――――『作戦通り』

 

 

 紗夜の左肩に一発の弾丸が命中した。弾は貫通し、血が流れ出ていた。

 そう、最初っから相手は狙撃者を配置していたのだ。

 だが狙撃者は違和感を覚えた。

 ターゲットは眉間に迫る弾丸を手で弾き、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 「・・・・・・・怪我をするのは久しぶりだ・・・・・・・・・・・・・おい狙撃野郎!!テメーみたいに潜んでいる野郎をいちいち探してぶち殺すのが面倒だからな、攻撃をくらってやったぜ!!」

 

 突撃砲の中にいた男も、狙撃者も、狙撃者の後方に隠れている五人組も、自身の目を疑った。

 

 紗夜の左肩から流れ落ちる血が、無数の刃のような形に変わる。

 いや、それは刃そのものだった。

 紗夜の周りの木々が吹き出す血に触れてことごとく切断されていく。

 

 「我が血よ、行け・・・・・・・この痛みを与えた者、その仲間もろとも『犠血(ぎけつ)』!!!」

 

 紗夜の血は、無数の矢と化して、敵へと降り注いでいく。

 血が見えなくなった後、その延長線上の木々が一直線に倒れていく。

 当然その延長線上いた突撃砲、狙撃者、五人組は下半身と胴体が綺麗に切断された。

 

 

 「・・・・・・・・一掃完了。チッ、たったの七人かよ。割に合わねー」

 

 左肩の傷口からはいまだに血が流れ出ている。

 瑠璃は戦闘が終わると急いで姉である紗夜の元に行き。傷口を見て悲鳴を上げた。

 

 「―――ッ!!おねえちゃん!なんて無茶な戦い方してるの!それにこの肩の傷も当たり所が悪かったら死んでたかもしれないんだよ!?」

 

 いつもよりハッキリと口を動かす。流石の紗夜も妹には勝てず、素直に謝罪するのであった。

 

 「傷口を見しておねえちゃん。今直すから」

 

 瑠璃はそう言うと、指先を刃で切り滴る血を紗夜の傷口に垂らしていく。

 すると瑠璃の血が紗夜の傷口に垂れていくと、見る見るうちに治っていった。

 紗夜の傷口が完璧にふさがるのを確認すると瑠璃は血を注ぐのをやめる。

 

 「・・・・・・ふぅ」

 

 紗夜の傷口はそこまで深くはなく、瑠璃の血を少量垂らすだけで済んだ。

 

 「ありがとな、瑠璃」

 「い、いいんだよおねえちゃん。私にはコレくらいしか出来ないから」

 「それでもだよ」

 「・・・・・お、おねえちゃん」

 

 後は合流地点に向かうだけ、その時。

 

 「あれ?もしかして終わっちゃった?なんてことだ!紗夜ちゃんと瑠璃ちゃんがピンチな時に俺、参上!って登場して好感度アップ作戦が!?」

 

 紗夜と瑠璃は何事もなかったかのようにそのまま合流地点に向かうのであった。

 

 「え、無視?無視なの?何か突っ込んでくれないと俺の立場が無いよ!」

 

 紀陸は二人共に合流地点に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 合流地点で待つこと数分。

 やっと木原円周を連れた瞳が到着した。

 紀陸は、円周に懐いている瞳をからかわれながら学園都市が用意した超音速ステルス機で帰るのであった。

 そして、しっかりと学園都市に爆撃要請を出したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

  




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