今日はなんていい天気なのでしょうか。
この爽快感溢れる日差しが肌を照らし、そよ風が髪を揺らす。
この科学が発展した学園都市に於いてもメイドを萌え属性の一つとして認識しているのが世の中の考えだろう。しかし大通りを歩く彼女はそんな部類の存在ではなかった。メイド喫茶などといったコスプレなどではなく、素人の目から見てもその堂々たる存在感は其処いらのメイドとは違う何かを感じ取っていた。
しかし、歩くごとにチラつくスカートのスリットから覗ける黒いガーターベルトに目を奪われてしまうのは仕方がないことだと男共一同思うのであった。
日差しを堪能しながら街を歩く瞳はこの時間を楽しんでいた。
世間体ではとても暑い部類の日差しなのだろうが私には丁度良かった。
私が何故この様な日向ぼっこみたいな事をしているかと言うと実は理由があるのです。
修様に研究所を追い出されました。
いえ、言い方が悪かったかもしれません。
実際に修様に「出てけ」など言われたらこの首をくくっているところです。
今は修様にとって大事な時なのです。
そう、研究の成果の目処が立ったのです。
そんな時こそお側に居たいのですが―――――――修様は意外と子供っぽいところがありまして、私を驚かかせ様と出来上がるまで見せようとしないのです。
私は気にしないのですが、修様の気持ちを踏みにじってまでその場にとどまろうなどと思いません。
よって今現在―――――――とても暇です。
早くて三日。遅くても一週間は掛かります。
その間に仕事でもあれば良かったのですが、そう都合よく行かないわけで・・・・・・・・。
「このままただ歩くのもいいのですが……・・・・・やはり何もしないのには違和感がありますね」
「独り言だだ漏れだぞ」
「―――ッ!」
囁やかれた声に対し振り返るように距離を取る。
「・・・・・よく私の背後に忍び寄ることができましたね」
「普通に近づいただけだよ。・・・・・・どこか調子でも悪いのか瞳?」
「気安く名前で呼ばないで下さい」
「人がせっかく心配してやってんのにそんな態度かよ・・・・・」
「貴方こそどうしたのですか?このような場所で油を売っていい様な人でもないでしょうに」
「そっくりそのまま返すぜ」
私はこの男、
何故かは分かりませんが、この男からは何かを感じ取ってしまう。
「・・・・・・・・・失礼ですね。私はこの空間を楽しんでいたのです」
「この空間って――――――――ただの大通りだろ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ・・・・・・・・・・」
「おい。そういうのは聴こえない様にやれよ。唯一こんな暑い所のどこがいいんだ?涼みに何処かのチェーン店に入ろうぜ」
「貴方は何も分かっていませんね。私は学園都市の事を言ってるんです」
「空間って、この学園都市の事を言ってたのか?瞳にとって学園都市は何処もかしこも憩の場ってか」
「そうです。ですが一番落ち着く場所と聞かれれば勿論修様のお側に決まっております」
「ハイハイソウデスカー」
「・・・・・・・・・貴方から聞いといてその返事は何ですか」
「アイツの事になるとテメーはアイツの事しか話さないだろ」
「そんなの当たり前です。メイドたる者主人の事を語らないでどうします。それと、修様を『アイツ』呼ばわりなど例え貴方でも許しませんよ?」
「皮肉のつもりで言ったんだがな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・たまには俺を見ろよ(ボソ)」
「?。何か言いましたか?」
「何でもねーよ・・・・・・・・それより暇なら何処かでお茶でもしないか?丁度近くにファーストフード店があることだし」
「おごりですよ」
「その返答。デートの誘いに乗ったでいいんだな?」
「なっ!?何故貴方とデートなど!!」
「言葉の綾だ。鵜呑みにするな」
「・・・・・シェイク」
「あん?」
「シェイクで妥協しましょう」
「そうこなくちゃ」
瞳はデート(おごり)の誘いを受けることに。
ファーストフード店でシェイクを受け取った瞳と帝督はそのまま席につこうとしたが店内にはスーツを着た十人近い人間が立っていた。
瞳と男性は所属は違えど同じ暗部の存在。
二人はすぐに異常に気がついた。
(殺気が無い?いや、気配そのものが無い。まるで誰かに操られてるかの様な―――――――)
二人はその『人間』が囲んでいる席から離れた席に座った。
勿論。警戒を解かずに。
「(チッ―――――せっかくのデートが台無しだ。ぶ殺してやろうか)」
「(この様な所で『
「(俺はそのつもりだ。そしてムカついた。このやっと手に入れた祝福を邪魔する奴は敵だ)」
「(仕事以外でそう簡単に人前で能力を使用しないでください。貴方の能力は見た目自体派手なのですから)」
「(わかったよ)」
「(素直ですね。貴方らしくもない)」
「(好きな女の言葉を無下にはできないだろ)」
此れが苦手の理由。
言わなくても分かると思うが、この男は私に好意を抱いている。
異性からの好意など肉親からしか知らない瞳は毎度戸惑っていた。
「(・・・・・・・・あ・・・・・あなたは、平気にそんな事言って恥ずかしくないんですか?)」
「(恥かしいに決まってんだろ。正直今回のデートも断られると思ってたぞ)」
「(デートではなく、貴方が奢ると言ったから来たまでです)」
「(世間一般にはそれをデートって言うんだよ)」
無視しましょう。うん。それがいい。
会話に気を取られている間にスーツを着た人間は居なくなりましたし。
先程の席には巫女服を着た少女が居なくなっており、その席にはインデックスと上条当麻が座っていた。
もう一人居るようだが青髪とピアス以外目立った印象が無いので一般人だろう。
それにしてもあの巫女服の少女。何処かで―――――――
「ワイとしたことがこんな可愛いメイドの存在に気がつかへんとわ!!どこの喫茶店のメイドさんや!!?それと写真一枚いいですかいな!?」
「ああ!?此奴は俺の女だ!どっか行きやがれ!」
―――――――まずこの状況をどうにかしましょう。
――――――――――――――――――――――――――――
同時刻。窓のないビルにて――――――――――――――
その部屋には窓がない。
ドアもなく。
階段もなく。
エレベーターも通路もない。
建物として全く機能するはずのないビルは、
そんな、核シェルターを優に追い越す強度を誇るビルの中に、一人の魔術師が立っていた。
名前はステイル=マグヌス。
ルーン魔術を極め、特に炎の術式に長けた魔術師。
弱冠十四歳の少年は 魔術師を殺すために魔術を極めた、例外中の例外なのだ。
そんな彼は、『イギリス清教代表』という立場で、主義主張の違う『
そんな彼の目の前には巨大なビーカーがあった。
直径四メートル、全長十メートルを超える強化ガラスでできた円筒の器には、緑色の手術衣を着た人間が逆さに浮いていた。
それは『人間』と表現するより他なかった。銀色の髪を持つ『人間』は男にも女にも見えて、大人にも子供にも見えて、聖人にも囚人にも見えた。
『人間』としてあらゆる可能性を手に入れたか、『人間』としてあらゆる可能性を捨てたか。
どちらにしても、それは『人間』以外に表現する言葉は存在しなかった。
「ここに呼び出した理由はすでに分かっていると思うが―――――――」
学園都市総括理事長。
男にも女にも聞こえ、大人にも子供にも聞こえ、聖人にも囚人にも聞こえる声で。
「―――――――まずい事になった」
「
普段は敬語を使わないステイルだが、ここでは違った。
それは『教会の代表』として立場から、ではない。
一瞬でもアレイスターに敵意を感じられれば、その瞬間に八つ裂きにされる事が分かっているからだ。実際にステイルが敵意を抱いているかどうかは関係ない。誤解だろうが勘違いだろうが、アレイスターにそう思われただけでステイルの命運は尽きてしまうのだ。
ここは敵の本拠地。
ここは二三0万もの『超能力者』を操る場所なのだから。
「ふむ―――――――能力者だけなら問題はない。あれは元々私が保有する超能力者の一つだ。この街で起きたこの住人の事件ならば、それを解決・隠蔽する手法など七万と六三二程度の手段は揃えてある―――――――」
「……・・・・・」
「―――――――問題なのは、この事件に本来立ち入ってはならない
吸血殺し。出典は学園都市の
その吸血殺しを保有する少女が、魔術師に監禁されている。
「なるほど。それで例外たる私を呼んだというわけですか」
ステイルは特に表情を変えず、事実を確認するぐらいの気持ちで言ってみた。
つまりは、その例外こそがステイル=マグヌスだ。魔術師側の人間を科学側の能力者が叩くと問題がある。
身内の恥を濯ぐ、という意味を含めれば、魔術師は教会の人間が倒さねばステイルの上司達は納得しない。
『
それが今回の戦場。
ステイルは三沢塾の話を聞き、気になった点を質問した。
「けど、何で『三沢塾』は吸血殺しを監禁したんでしょう?十六世紀のカルト教と同じく、カインの末裔に自ら身を差し出し不老不死となる事を目的とする教義とか?」
「否。『三沢塾』は特に吸血殺しに執着は持たない。単に『この世に一つしかない、再現不能の能力者』であれば誰でも良かったようだ」
「?」
「学園都市における『
ともかく、吸血殺しが監禁されただけなら話は簡単だった。『街の中の内輪もめ』なら、アレイスターの言う通り七万と六三二程度の手段を使って学園都市が処理しただろう。
問題はそこではない。
処分される直前。その『三沢塾』に『外』から吸血殺し狙いの魔術師がやってきて、しかも『三沢塾』を破壊せずにそのまま乗っ取ってしまったというから話がややこしいのだ。
処分にはシークレットが一枚噛んでいるのは極秘事項であるが。
更にアレイスターは幻想殺しの少年を
『歩く教会』でさえ右手で触れただけで粉々に砕いてしまう存在。魔術師との戦闘としてはこれ程絶大な力はだろう。
しかしその、極めて稀有であるはずの幻想殺しを、アレイスターはぞんざいに扱う。
まるで道を行く聖人に数々の試練を与えて鍛え上げるように。
熱した鋼に重たい槌を打ち付け真の一刀を鍛え上げるように。
「・・・・・・吸血殺し」
ポツリと。ステイルは呟く。
「吸血殺し。そんなものが、ここには本当に存在するんですか?もし仮に、存在するのであれば、それは―――――――」
吸血殺し。そう呼ばれるからには、殺すべき『ある生き物』が居なくてはならない。つまり、吸血殺しを認めるという事は、『ある生き物』が存在する事を証明してしまう。
魔術師としてステイルは噛み締めていた。
魔力とは生命力のようなモノ。どれだけ道を極めた魔術師でも魔力の量は決まって限りがある。
しかし、『ある生き物』はその限りかない。
『不老不死』などという馬鹿げた属性を持つ『その生き物』は、つまり無限の魔力を誇るのだ。
カインの末裔――――――――――――――吸血鬼。
それは絵本に出てくるような『十字架』や『陽の光』があれば大丈夫などという易しい生き物ではなく、それ単体が核爆弾に匹敵する『世界の危機』なのだ。
ステイルはアレイスターとの会談を終えると『案内人』により外に帰還した。
魔術師が消えた頃合いを見計らうかのように闇の中から一人のメイドが現れる。
「魔術師相手に長話とは、どのような風の吹き回しですか?」
「なに、久しぶりに長話がしたくなっただけだよ。それより君は吸血鬼の存在を信じるかい?」
メイド長は一度考え込み様に瞑想し、アレイスターを見据えると口を開いた。
「はい。存在します」
ふむ。と、アレイスターは目の前のメイド長を興味深いとばかりに観察する。
「それはどうしてだい?」
「神が天使が存在し、神の力の一端をその身に宿す聖人が存在するなら、彼等が存在するのも道理かと」
「『吸血鬼』ではなく『彼等』っか・・・・・・」
此方の返答に対しメイド長は伏し目がちに口を閉ざす。
「……・・・・・・・・分かってるよ。私から君の過去を詮索しないし、君も私の過去を詮索しない。これは私達の最初の約束であり、契約でもあるからね」
アレイスターは過去の栄光、名誉を全て棄てた。
『世界最高最強の魔術師』
『伝説級の魔術師』
現在の魔術師の五割近くがアレイスターに何らかの影響を受けていると言われながら、彼は魔術を捨てて科学に走った。
その背景に何があったのか知る人は居ない。彼が学園都市の設立。いや、生命維持槽のビーカーに入る遥か昔から彼の隣にはメイドが居た。そんなメイドであっても彼が何故、魔術を捨ててまで科学に走ったのかは知らなかった。もしかしたらそこにも約束が絡んでいるのかもしれない。
だからお互い詮索はしない。
何も聞かない。
今はただの主人とメイド。
主従関係。
そう、メイドだろうがメイド長だろうがやる事はただ一つ、――――――――――主人を守り。主人に仕える。
これからもそれは変わらない。
約束を誓ったあの時から―――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――
思い出しました。あの巫女服の少女――――――『
学園都市にしても世界に50人しかいない貴重な『原石』を失うわけにも行かない。
瞳――――――シークレットは他の暗部に情報が行き届く前に作戦を実行した。
しかし、シークレットの存在は秘匿中の秘匿。
回収対象である姫神秋沙にもその存在を認識されてはならない。
故に、姫神秋沙とは接触せずに帰還した。
何故か?理由は簡単。自分達がやらなくても後から来る他の部隊が回収するからだ。
『三沢塾』では
もとい暗殺。
あんな簡単な仕事は滅多にないくらいでした。
~粕谷瞳~
姫神秋沙の近くの部屋で警報器を鳴らす。
戦力温存のため強能力者、大能力者を後方に下がらせていたので、最初に駆け付けるのは主戦力。
後は床にばらまいておいた紙を一斉に針地獄にする。
終了です。
~岩城紀陸~
前線のシェルター。(椅子、机、その他もろもろ)
ドラム缶状の警備ロボット。(ただの警備ロボを前線に置くなよ)
重機関銃(何故学園都市の銃ではなく外を持ち込んだ)
姿を見せず、振動で「ドーン」。
終わり。
~神無城紗夜~
外で待機。
逃がしたらよろしく。
結局誰も来ず。
暇。
帰る。
~神無城瑠璃~
暗殺むきではない為お留守番。
作戦は成功したはずでした。
それがどうです。姫神秋沙を回収するはずが、魔術師の手により回収され、『三沢塾』乗っ取りなど余計ややこしいことになっているではありませんか。
これだから下っ端は使えない。
最後までシークレットがやっていればこの様な事態には。
先程メイド長に再戦闘の許可を頂こうと思ったのですが・・・・・見事に許可できないと。
理由は以下の通り、ローマ正教と
対魔術師と訓練されたシークレットだが、表立って動く事はできない。
魔術師と魔術師の殺し合いにはそう簡単に科学側が割り込めるものではない。
バレれば科学側と魔術側で戦争が起きてしまう。
いや、逆なのかもしれない。
メイド長――――――――――アレイスター様は戦争を起こそうとしているのかもしれない――――――――――
――――――――――いえ、考えすぎでしょう。
その後、吸血殺しこと姫神秋沙は助け出され、今回の騒動は終幕した。
原作で言う二巻だったのですが、これで終了です。
ぶっちゃけますと、シークレットの面々が介入するところがない!!
このままでは上条さんの活躍を描写するしかない!(カキカキ)
ま、やってませんがw
今回は瞳と垣根帝督を遭遇させて見ました。
何か・・・・・・・木原修より絡みやすいので書きやすかったです。
木原修一筋の瞳の心を垣根帝督は掴み取ることができるのか!!見所です。
アレイスターとメイド長。今回はメイド長の過去に少し触れてみました。てか、そろそろメイド長の名前公開しろよと思っているかもしれませんが(そうでない方も)、お楽しみということでお待ちください。
誤字、脱字、ありました申し訳ございません。
ご感想。アドバイス等は感想にてお願いします。