もうこの様な事がないようにして行きたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
あと、今回の作品は14話前の話になりますので、そのことを考慮しつつ読んで下されば幸いです。
『
ここ最近世間(学園都市)を騒がせているこの事件は主に学生の間、更に的を絞るなら
何時、何処からかは特定はできないが『何』かをする事により、レベルが上がるという幻想御手。そんな夢物語のような幻想でも、好奇心あふれ十代の若者は危険を承知でその『何』かを求める。
最初は学園都市のネット上で囁かれるただの都市伝説。それがどうだ?蓋を開ければ今では、一万人近い学生がその幻想御手の虜となっている。
更には、レベルの急上昇に気を大きくして犯罪に走る者もおり、
レベルが上がる夢の様な物。
その『何』か。
幻想御手の被害者の数を考えれば特定するのも時間の問題。
後は待つだけ――――――――――
―――――――――――――そう、待つだけだった。
残り三十秒で幻想御手の出処。
十分で幻想御手を広めた製作者(犯人)を見つけ出すことが出来るはずだった。
これで瞳様に褒めて貰えるはずだった。
瞳様に一歩近づけると思った。
そう、後は待つだけだったのに―――――――――――――
『御坂美琴』
学園都市二三〇万人の能力者の頂点。
学園都市に七人しかいない最高レベルの能力者。
超能力者序列第三位。
先を越されてしまった。
こんな
だけど、仕方無いのかもしれない。
『凡人は天才には勝てない』
私はこの短い生の中でそれを理解した。
だからこそ頑張った。
だからこそ努力した。
だからこそ―――――――――勝ちたいと思った。
「はぁ・・・・・・・・・・もっと頑張らないと・・・・・・・・・・でぇす………」
――――――――――――――――――――――――――――――――
『水』 『火』 『雷』 『念動力』 『空間移動』 『重力』―――――――――――――
これだけ複数に能力を同時に扱う事が出来るのは、単に木山春生が一万の脳を統べる事が出来るからだ。
『水』を投擲し、『火』で破壊し、『雷』で電撃を反らし、『念動力』で物理攻撃を防ぎ、『空間移動』で足場を崩し、『重力』で爆発。
御坂美琴は放たれたアルミ缶が爆発範囲に侵入する前に電撃で迎撃していた。
どれだけ不条理な相手だろうと、学園都市の頂点。
七人の中で第三位の超能力者である美琴には、不条理に勝る力があった。電撃使いは常に体から電磁波を放出している。学園都市に七人しかいない超能力者第三位である御坂美琴は二三〇万人の頂点の一人。
磁力線が目視できるなど電磁気関連においては高い知覚能力も有し、AIM拡散力場として常に周囲に放出している微弱な電磁波からの反射波を感知する事で周囲の空間を把握するなど、レーダーのような機能も有している。
故に死角、背後からのアルミ缶(爆弾)に即座に反応。
瓦礫で爆風を防ぎ、油断した木山春生に対し零距離の電撃攻撃。
木山春生は反撃に転じることなく地に伏した。
しかし、零距離からの電撃により、偶然にも電気信号の回線が生じて木山の記憶を垣間見る―――――――――――
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とある研究施設。
晴天下。寒くもなく暑くもない、どちらかといえば暑い方だろう。だが、施設内は当然冷房が効いているのでどちらかといえば肌寒い。まあ、科学者である彼女には丁度いい環境であった。
外―――――と言っても研究施設内の中庭のグランドなのだが、子供たちの楽しい笑い声が窓越しからでも聞こえた。
「失礼します」
ある人物に呼ばれた木山は部屋にはいるなり最低限の挨拶を済ませる。本当なら今すぐにでも研究に没頭したい木山だが、呼んだ人物が問題だった。
木山春生は今回の実験・研究の指示をしている人物、もとい上司に呼ばれたのだ。
何か私はミスをおかしてしまったのか?
それとも、現場移動?
研究者として優秀な木山だったが、この様に上司直々に、しかも自分だけ呼ばれるのは初めてだったりする。
内心気落ちしつつも、普段から愛想もなく落ち込んでいるのか悲しんでいるのかビミョーな表情をしているおかげ(?)で、今もそんな胸の内を悟られずにいた。
「おお、来てくれたか。早速だが実験を成功させるために君にある事をやってもらいたい」
話の仮定をすっ飛ばし結果だけを伝えるこの物言い、実に研究者らしいと思った。実際、分かりきった事をグダグダ言われるのは疲れるのでこの方が楽なのは確かだ。
「やってもらいたい事ですか?」
「君には――――――――教師をやって貰いたい」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
流石の木山もこれには言葉が詰まった。
「私が教師に?何かの冗談ですか?」
どんな結果だけを伝えられてもそれを理解できる脳を持っているつもりだった木山だったが、この結果を導きだした仮定を聞かずにはいられなかった。
「ん――――――――いやいや。君は確か教員免許を持っていたよね?なら教鞭を取っても何もおかしくはないじゃないか木山君」
いやいや。その考えはおかしいのでは?
「あれは・・・・・・・・・取得単位で取れたからついでに……・・・・・・・・何より今は研究に専念したいのですが」
「何事も経験だよ木山君――――――」
子供の様に椅子でくるくる回りながら聞く耳ありませんとアピールする博士にたいし、若干イライラしつつ研究に専念したいと訴える。
「まあ聞きたまえ、研究から離れろと言っているわけではないよ。それどころか統括理事会肝入りの実験を任せたいと思っているんだ」
「!?。本当ですか!」
確かに喜ばしい。しかし、それと教師がどう関係するのか未だに分からないでいた。
博士は窓越しから外で遊んでいる子供たちを眺めながら。
「表の子供達・・・・・・彼らは『
「ッ!」
「実験を成功させるには被験者の詳細な成長データを取り、細心の注意を払って調整を行う必要がある。だったら担任として直接受け持った方が手間が省けるでしょ?」
「それは・・・・・・・・・そうかもしれませんが・・・・・・・・・・」
「何より君しか教員免許を持ってないから決定事項なんだけどね」
「……・・・・・・わかりました」
正に決定事項とはこの事なのだろう。目の前の博士、もとい上司には何を言っても意味がないらしい。不本意だが教師をやるしかないようだ。
顔に出さない溜め息をついていると、コンコンとノック音が響き渡る。
視線をやると一人の子供がいた。
この研究施設では置き去りをたくさん見かけるので別に子供に出会っても不思議ではない。しかし、出会った場所が問題だった。
この研究施設内において、最も厳重な警備がされているのは実験所・研究資料がある区画だが、その次に厳重なのは、今私がいるこの部屋である。
限られたIDでしか出入り出来ないこの部屋に一体何の用なのか?そもそもどうやって入ってきたのか?
眼科に行けばよく目にする絹状の眼帯を左目に着けており、子供ながら整った顔立ちがより一層ミステリアスに感じた
何よりその子供の服装がメイド服であることに疑問を覚えた。
「失礼します――――――――――お話し中申し訳ございません。終わり次第n「退室しようとしないでちゃっちゃと要件を済ませなさい。木山君との話は丁度終わったところだよ」(ペコッ)申し訳ございません幻生様。午後一時から開始する会議に現れないものなのでお迎えに参りました」
「もうそんな時間か。いやいやすまない。木山君との会話が面白くてね」
博士とメイド(?)の関係がいまいち掴めずにいる木山はメイド―――――――彼女の瞳を凝視していた。
学園都市では珍しい深紅色の瞳。その瞳は私がまるで存在していないかのように捉えていた。
いや、そもそも存在していないのだから捉えるという表現はおかしいのだが。
私はこの子供とは思えない瞳に純粋な恐怖を覚えた。
身長からおそらく置き去りとそこまで年が離れていないであろう彼女は、佇まい、口調、眼つき、全てに置いて子供らしくなかった。
「君は一体・・・・・・・・・・・・・・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
彼女は何も聞こえていないかのように博士を見つめる。
「君は何者なんだ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
彼女は何も聞こえていないかのように博士を見つめる。
「・・・・・・・・君は・・・・・・・・はぁ、聞く耳なしか」
「はははははははははは。木山君は面白いね。 瞳、木山君は優秀な科学者だが、今回の教師の仕事は初めてらしく非常に困っている。なので、関係者として木山君をサポートしてくれ」
「わかりました幻生様。—————————木山博士。いえ、木山先生。関係者の一人として貴方を全力でサポートいたします」
彼女の瞳は私の存在をしっかり認識し、此方に笑顔を向けながら礼儀正しく頭を下げる。
博士の一言でここまで態度が変化する彼女に突っ込みをいれたがったが何とか我慢する。
(私は大人だ。一々子供の態度の変化に突っ掛かっていたらきりがないぞ)
頭の中で自分に言い聞かせ、落ち着いた木山は瞳と軽い挨拶をすますと部屋を退室し、そのまま準備に取り掛かるのであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
『子供は嫌いだ』
『騒がしいし』
『デリカシーがないし』
『失礼だし』
『悪戯するし』
『論理的じゃないし』
『なれなれしいし』
『すぐに懐いてくるし』
最初は実験を成功させるまでの辛抱だと思った。
実際コケにされた回数は一度や二度ではない。
子供たちの健康を管理し。
子供たちに勉強を教え。
子供たちと遊んだりした。
困っていれば相談相手になったり。
一人一人とたくさん触れ合った。
月に一度、瞳は珍しいお菓子を持って此処を訪れる。そのせいか、瞳はすっかり子供たちからお姉ちゃんと懐かれ、一緒に遊んだり。
この前なんて、博士の親戚の子供が此処を訪ねて来た時は正直焦りはしたが、最終的には此処の子供と友達同士になり、今では暇があればちょくちょく遊びに来る程よく此処を訪れる。
こんな生活が日常化してしまったせいか、研究の時間がなくなってしまった――――――――――本当にいい迷惑だ。
だけど何時からだろうか………・・・・・・
『AIM拡散力場制御実験』
長い期間をかけて何度も計画を繰り返し準備してきた。
何も問題はない。
今日の実験には瞳も見学に来ている。
まあ博士の付き人(メイド)なのだから当然か。
ここ(実験室)に入る前に瞳が、「実験が終わったら皆さんに私の手作りお菓子をごちそうします」と言ったら、瞳の手作りお菓子が大好きな絆理が一番テンションが高かったな。
それに、実験といっても一時間も掛からない。
最終調整を合わせてもたった二時間で終わる。
その後は、皆で今日の成功を祝おう。
成功祝いの瞳の手作りお菓子を食べながら皆で楽しく過ごそう。
「センセーの事信じてるもん!怖くないよ」
この感覚を忘れないために———————
そお……………実験が終了したら私が先生をする意味も無くなるのだから—————————————————―————
『
ビーッ
…………のドーパミン値低下中……………………――――――――――――
ビーッ
――――――――――――――――――――――――抗コリン剤投写しても効果ありません
ビーッ
広範囲熱傷による低容量性ショックが・……………………………………………
ビーッ
―――――乳酸リンゲル液輸液急げ――――――――
ビーッ
………………無理です!これ以上は………………
ビーッ
ビーッ
ビーッ ビーッ
』
「早く病院に連絡を………!」
そうだ・…………早く病院へ・…………
「あーー、いいからいいから。浮足立ってないでデータをちゃんと集めなさい」
病院へ・………治療を………
「ほほう!これはこれは・………この実験は所内に緘口令を布く、実験はつつがなく終了した。君達は何も見なかったいいね?」
「は……はい」
そんなことより・………治療・………
「木山君よくやってくれた。彼らには気の毒だが科学の発展に犠牲はつきものだ。今回の事故は気にしなくていい。
・……………………・…………
「じゃ、あとはよろしくー」
立ち去る博士など眼中になかった。
子供たちは救命装置と酸素マスクを着けられ次々とタンカで運ばれて行く。
急いで運ばれて行く子供たちを確認しに行ったが、状況は絶命的だった。
こんな・…………こんな……………こんな…………こんな……………
「木山先生、いえ、木山博士が気に病む必要はありません。おきてしまったことは仕方がないのですから」
「ひと・・・・・・・・み?しかし、これは・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・確かに用意したお菓子は無駄になりました・・・・・・・しかし、それ以上の成果は得られました」
「せい………か………だと?」
こんな結果の何に成果があったのか分からなかった。結果だけを見れば実験は失敗。実験に協力してくれた子供たちは今生死の境にいる。
大失敗だ。成果などない。
「成果ですよ木山博士。『AIM拡散力場制御実験』が、失敗により『暴走能力の実験』に変わっただけなんですから。これを成功と言わず何と言うのですか?」
「きみは………こどもたちを…………絆理の姿をみたのだろ?」
何故そんな事が言える?あの子たちは君を実の姉のように慕っていたではないか。
「絆理の事は確かに残念です。私の手作りお菓子の味の感想を聞く相手が居なくなってしまいましたし」
「………かんそう?きみはなにをいって・・・・・・・・」
「しかし、それ以上に学園都市のお荷物である『置き去り』が幻生様の実験に貢献できた事が嬉しく思っております。絆理は科学の発展のために、幻生様の実験に貢献できたのですから本望でしょう」
この瞳だ。もうこの瞳にはあの子たちは存在しない。
「なら・・…………君にとって私とは何なのだ?」
瞳は顔を傾げながら分からないといった表情をする。
「?。木山博士は木山博士ですよ。幻生様からは優秀な科学者だと伺っております。だからこそ
その言葉により木山の思考は真っ白になった。
だが、思考の代わりに胸の内から"ある感情が"込み上げる。
その感情は胸の内には止まらず、喉まで込み上げてきた時—————————————
Piiiiiiiiiiiiiiiii
瞳はポケットからPDAを取り出すとそのまま通話する。
「はい…………病理さまでしたか、要件の程は?・…………・今からですか?・…………いえ、ただ突然だだったので……………・……週一回に行っていた注射を週三回にですか?・…………いえ、問題ありません。では、今すぐ向かいますので」
話を終えた瞳はPDAを切るとそのまま出口まで歩き出す。その途中で此方に振り向き—————
「では、次の仕事が入りましたので今日はもう帰らせていただきます。木山先生には今後とも期待しております。また会う事がありましたらよろしくお願いします」
後ろ姿が消えても私は何も言えなかった。
声も上げず、涙も流さず、ただきつく閉じられた口から一滴の雫が流れ出た——————————————
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木原修
「テレスティーナ様が"『能力体結晶』を完成させるため邪魔になりそうな那由他様を何とかして足止めしろ"ですか」
「ああ、それが今回の仕事だ」
木原修は今回の仕事を告げた。そもそも何故科学者である彼が今回の仕事を告げるのか、それは今回の仕事の依頼者が彼だからだ。
「何故修様がテレスティーナ様の実験の手助けを?」
目の前の主人が誰かを手助けをするなどありえないと知っている瞳はその真意を聞いた。
「・………・なに、科学者として前から『能力体結晶』には少し興味があってね。テレスティーナには是非とも成功させて欲しいんだ」
「分かりました。今から取り掛からせていただきます」
「那由他様お久しぶりです。あの実験報告以来ですね(ニコッ)」
「…………久しぶり、瞳お姉さん」
・・・・・・・・あの実験以降。那由他様は私の事を毛嫌いしている様子。何を言っても軽い返事しか返ってきません(涙)
「那由他様、今から
「ついてこなくていいよ」
「あ…………」
那由他様は私を置いてさっさと行ってしまう。しかし、そこで諦めればメイドの名折れ。修様からいただいたこの仕事を完遂してみせる!
しかしながら那由他様は私に「ついてこなくていいよ」と言った。この言葉を無視してまた声をかければ私は命令無視をした事になる。私はどうすれば———————————
いや、那由他様は私に「ついてこなくていいよ」と言った。そう、私に『ついてくるな』と言ったのだ。なら話は簡単だ。
ついていかなければいい。そう、逆に誘導すればいいのだ。
考えが纏まったら即実行するのがメイドという者。
まず、風紀委員とはなにか?一言で言ってしまえば「治安を守る機関」。
那由他様が何故風紀委員にいるのか?一言で言ってしまえば「超能力者と戦うため」。
更に言えば、超能力者に勝つ事により自信を超能力者と認めさせようとしている。
おそらくその原因はあの『置き去り』達にあるものと推測します。
何故そんな事が分かるのか?メイドの観察力と女の勘は伊達ではないという事です。
では早速付近に超能力者がないか『視』るとします。
とは言え、超能力者を見つけてもその超能力者が治安を破るような行いをしなければ風紀委員は手出しできない。今すぐその様な好条件の、しかも七人しかいない超能力者となるとそう簡単には—————————……・・早速一人だけその条件に該当する超能力者を発見。
まさかこんなに早く見つかるとは正直予想外です。
例の公園に向かっている御坂美琴を絶好のターゲットと捉えた瞳はPDAを数秒間操作するとまた電源を落としポケットにしまった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
公園から二〇メートル離れた所に私はいます。現在公園では那由他様が
私がPDAを使い行った事は実に簡単な事だ。風紀委員の支部に公園で事件発生のメールを送る。そして、シークレットの権限などを使いその公園の近くにいた那由他様にすぐ現場に向かうよう連絡させるように操作する。
後はタイミングだが、これは失敗すればメイドとは名乗れません。
那由他様から公園の距離。
那由他様が公園に向かうルート。
那由他様の歩行速度。
そして、御坂美琴が自動販売機を蹴る時間帯を表情・疲れ・自動販売機との距離感から計算。
これらを計算し実行した結果見事に成功。
まあ、メイドである瞳は木原一族全員の身体データを記憶しているのでそう難しいことではないが。
しかし、ここで新たに問題が発生。私の本来の任務は"能力体結晶』を完成させるため邪魔になりそうな那由他様を何とかして足止めしろ"なのですが、あの御坂美琴が風紀委員を一週間以上の怪我をさせるとは考えられない。いや、可能性が低すぎる。
しかし、ふふふ———————この場合天は我に味方したと言うのでしょうか。あたりを視ていた目玉の一つが超能力者第七位を発見。
何の因果か、那由他様を無視してそのまま第三位と第七位の喧嘩に発展。
そこに無理して入ろうとした那由他様は全身を損傷。
そして、今—————————————
「那由他様をあの場で助けていただきありがとうございます」
「!!ッ何者だ」
「これは失礼しました。私としたことが・……私はただの通りすがりのメイド・・・・・・・・と、普段なら名乗るところなのですが、那由他様を助けていただいた方にその様な失礼な物言いはメイドの恥です。 私は木原那由他様にお仕えるメイド—————粕谷瞳と申します」
目の前の女性は黒を特徴としたシンプルなスーツ(勿論ズボンではなくスカート)を着ており、そしてこれまたシンプルに真面目な秘書が付けていそうな黒メガネ。髪も櫛でそのまま下したふうと『規則厳守』の言葉がよく似合いそうな女性だった。
その女性の背中には那由他様が居心地良さそうに寝ている。
「この子の保護者の様な者と考えていいのか?」
「はい。ここまで運んでいただきあり———「礼はいいからこの子を病院まで行って連れてってくれないか?このまま私が連れていってもいいのだが」申し訳ございません。では————————」
那由他様を起こさないように自身の背中に乗せるともう一度その寝顔を確認し、女性に目を向ける。
「何か?」
「いえ………この様に安心し、年相応な幸せそうな寝顔を見たのは初めてだったもので……私もメイドとしてまだまだ未熟ですね………」
「その子はまだ子供だ。辛い事を、悲しい事を抑え込んで、まったく………子供なら子供らしく大人にたよればいいものを・・・・・・・・だが、粕谷さんのような存在がいるなら大丈夫。その子をメイドとしてではなく、家族として大事にしてください」
「・……・はい。ご教授ありがとうございます」
もう一度挨拶をかわすとそのまま静かに那由他を連れて木原の治療所(研究所)に足を向けるのであった。
テレスティーナ様の『能力体結晶』の材料は例の『置き去り』。那由他様には申し訳ありませんが、これも木原のためです。
原作でも数少ない木原関係の実験だったのでやらせていただきました。
木山の心情と共に、瞳の心情のギャップの表現はどうでした?
緊迫感をもっと出したかったのですが、私にはそんな技術がなく、こんな完成度の低い作品になってしまいました。
もっと練習しなくては!