東方化物脳 ~100%の脳が幻想入り~ 不定期更新   作:薬売り

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満月は光る IX 『月見』

既に、もう都の外に居た。

夜風は強くなく、弱々しい。月明かりに照らされた八意永琳は、俺を見つめて嬉しそうな表情で、目から溢す。

 

永琳「久し振りね……本当に」

零「あぁ、久しぶりだな」

 

泣いている彼女に対し、俺は微笑む。

同時に近付き、彼女を思いっきり抱き締めた。強く……もっと強く……

 

永琳「……ごめんなさい…ごめんなさい…」

零「何で謝ってんのさ?君はなにも悪くない」

 

多分、別れた時の事を言っているのだろう。彼女は悪くない。何も悪くない。

俺だって、何か方法はあったはず。なのに、あんな自ら死を覚悟して行うような方法を選んだ。俺こそ、悪い。

 

零「永琳……会えて良かった。君に会えて……嬉しかったことしかない。なのに今まで、悲しい思いをさせてしまった」

永琳「ち、違う。確かに、悲しかったけど……でも、私達を守ってくれた」

 

あぁ、こんな俺を思ってくれていたのに、どうして悲しませてしまったのだろう。

胸が痛い。苦しみを感じる。だが同時に、長年味わえなかった温かみを感じる。香りを感じる。肌の触れ合いを感じる。

 

永琳「零……」

 

彼女は目を瞑り、唇をこちらに向けている。

薄紅色に潤ったその唇を、向けている。

 

零「今はダメだ」

永琳「え…」

零「あいつらがいる」

 

木の影に指を差す。

 

永琳「良いわよ。なんなら、見せつけましょ!!」

零「……フフ、変わらないな。そうだな…こんなに祝うべき日に、人目を気にしちゃあなにもできなく味気ない」

 

永琳は再び目を閉じた。

美しい顔立ちに、俺は惚れる。いや、昔から惚れている。

俺は、そのまま唇と唇を重ねた。

熱く、熱く重ねた唇は、懐かしい。

 

零「追っ手が来てもいいように、隠れるように住んだ方がいい」

永琳「貴方は?一緒に暮らしましょう?」

零「……ある程度一緒にいることはできる。だが何故か追われているんだ。俺も」

永琳「そ、そんな……」

零「安心しろ。定期的に帰ってくる」

 

『ナビゲーター』で人が入りにくい、そして見つかりにくい場所を探す。

あった。竹林だ。広範囲の竹林、所有者はいない。

 

零「おい、お前ら。こっちこい」

美鈴「き、気付いてたんですか」

青蛾「その上で見せてたの……」

輝夜「永琳があんなに笑ったの久しぶりに見た」

芳香「いいな~」

 

ン?芳香のいいな~はどういうことだ?

 

芳香「お花の蜜の味が分かってて」

 

蝶々の話かい!?

マイペースだよなぁ…。

 

永琳「羨ましいでしょ」

青蛾「全くよ!!」

零「落ち着け。取り合えず…俺に掴まれ」

美鈴「あーなるほど、ハイハイ」

 

美鈴、青蛾、芳香は直ぐに俺に掴まった。

対して、二人はポカンとしてる。

 

美鈴「え、どうしたんですか?」

輝夜「何してるの?」

美鈴「あぁ、そうだった。取り合えず、掴まっておいてください」

 

二人は不思議に思いながら俺を掴んだ。

永琳め、胸を当てやがって……いや、青蛾は対抗しなくていいから。

 

零「絶体離すなよ。『瞬間移動』」

 

刹那、視界が揺らいだ。

 

零「よし、着いた」

輝夜「え、えぇ!?」

零「五月蝿い」

 

そこは、もう竹林だった。

何本もの竹が並び、美しい。

 

零「『創造』」

 

瞬間、家が建った。

 

輝夜「すごい…」

零「だろ」

 

俺達はそのまま家に入った。

そして……

 

零「月が輝いている」

永琳「えぇ、そうね」

 

美鈴と輝夜。青蛾と芳香。俺と永琳がペアで寝る。

部屋の数には余裕があるので大丈夫。

 

永琳「その……今日ってどうする?」

零「え?どうするって?」

永琳「その、久しぶりにあった訳じゃない?だから…」

零「あぁ、なるほど」

 

永琳は顔を赤くしている。可愛い。

 

零「今日は熱くなりそうだ」

永琳「……」

零「なぁ、永琳」

永琳「どうしたの?」

 

やっと会えた。

やっと会えたんだ。愛するものに。

俺は、嬉しい気持ちも込め、言葉を発する。

 

零「月が綺麗だな」

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