東方化物脳 ~100%の脳が幻想入り~ 不定期更新   作:薬売り

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心の隙間の温かみ II 『契約』

少し二人で話したいと申し出たので、そこにあった誰かの納屋で話し合うことにした。

 

紫「その……零?本当に良いのよね?」

零「あぁ。というか、さっきからそう言っているだろう?理論上は可能だしな」

紫「創るのにも膨大な霊力と妖力、それに神力が……」

零「膨大に有り余ってる」

紫「……うん」

 

なんだ?そんなに信用ならないか?

取りあえず広い土地を結界で囲めばいい。理論上は可能であるはず。

 

紫「あ、貴方にそこまで負担はかけたくないし…」

零「君が誘ってきたんだろう?」

紫「うぅ……でもぉ……」

 

ん~何をそんなに遠慮してるのか。やはり、俺が忘れているだけで過去にこいつと何かがあった?

だとしても、思い出せない。

 

零「ああもう、めんどくせぇ!!んだったら、霊力が豊富な神社の巫女や神主も誘ったら!?」

紫「え……?」

零「その世界。出来た後はどうなる?」

紫「後?」

 

ハァ…やれやれ。計画性がまるでない。

良いだろう。手伝うと契約を結んだんだ。折角なら助言をしてやるよ。

 

零「いいか?その世界を創って永遠に平和がくるわけじゃない。平和は只じゃないんだよ」

紫「…なるほど、必ず『異変』が起きる」

零「そうだ。結界で孤立した世界だぜ?妖力と霊力で溢れて仕方がない。暴れたい妖怪も出てくるさ」

紫「……それを解決するために『巫女』、もしくは『神主』と言うわけね」

 

理解したようだ。

 

零「しかしだ、油断してはならない」

紫「え、なんで?」

零「その異変を解決する者自身が異変を起こすかもしれない」

紫「……」

零「異変を解決する者は二人以上であり、そして親しい仲や犬猿の仲等の様々な関係性を持たせた方がいい」

 

紫は納得したように頷いた。同時に肩をすくめた。

 

紫「しつこいようだけど、本当に覚えてないの?」

零「すまない。やはり、君の顔を見たことはないと、俺の脳が判断している」

紫「そう……昔はこうやって意見を言い合ってたのに…」

 

だが…分からないものは分からない。

 

零「聞くが、俺達が出会ったのはいつのことなのだ?」

紫「……いえ、いいわ。もしかしたら、同姓同名の顔が似た人なのかも」

零「そんな人、いるのか?」

紫「存在の否定は出来ないわ」

零「確かにそうだ」

 

俺は強く肯定したが、心の中では否定した。少なからず、顔のパーツは何処か違うだろうし、久しく会ったにしろ、抱き付くほどの仲の異性の顔を間違えるだろうか?雰囲気だって違うだろうし、態度だって違うはず。

 

そう思っていたら、戸が開く。

 

青蛾「零、ちょっと来て」

零「分かった。すまん、少し空ける」

紫「いいわ、気にしないで行ってらっしゃい」

 

俺は後ろ手で戸を閉め、青蛾の顔を見て聞く。

 

青蛾「気になったのだけれど、何故彼女の計画に参加したの?」

零「何故って?」

青蛾「きっと、永琳達を匿うためと、彼女のこと、記憶にないから償う為に乗ったのだろうと思うけど、その他に理由があるんじゃないの?」

 

鋭いな。流石青蛾だ。

 

零「何故そう思う?」

青蛾「……勘?」

零「結構。ならば教えよう」

 

青蛾は少し前屈みになった。

 

零「自身の正体を知るためさ」

青蛾「え?なにか関係が?」

零「力を結界で閉じ込めていれば、自と住民は強くなるだろう。その人達に頼んで一緒に正体を暴いてほしい」

 

青蛾は少し驚いた様子だった。

 

零「うむ、自分勝手なのは分かっている。だが…」

青蛾「意外…」

零「え?」

青蛾「意外と気にしてたのね……自分の正体なんて気にも止めてないのかと」

零「おい、それどういう意味だ」

青蛾「そう……でも、私達だけじゃ不満かしら?」

零「ッ!?」

 

漸く気がついた。これは、青蛾達に対しての侮辱であると。

しかし、今となっては断れない。身勝手すぎる。

 

零「すまない……だが、多い方が早く分かると思い……」

青蛾「ふふ、良いのよ。別に悪気があったわけじゃないでしょうし」

零「……」

 

何故、こんなことをしてしまったのだろう。酷い人だ。俺はなんて酷い人間なのか?

 

青蛾「ほら、彼女の顔を見て」

零「え?」

 

青蛾が指差したのは芳香だった。

芳香は芋虫の行動に興味を示している。前まではあれほど虫を嫌っていたのに、不思議なものだ。

 

青蛾「彼女、実は生前の記憶をほんの少しだけ取り戻したそうよ」

零「なにッ!?」

青蛾「いつも蝶に戯れてたでしょう?それで、良い記憶じゃないけど『ユーベ』を思い出したらしいの」

零「………」

青蛾「貴方も、見つかるわ」

 

そうだな、と応えた。しかし、俺の心は晴れない。

 

青蛾「もう!!いつまでもイジイジしてたら抱き付くよ!?」

零「……お願いだ」

青蛾「え?」

零「……少し、人肌が恋しい」

青蛾「……う~ん、ダーメ。紫さん、放っておいてイチャつくのは悪いわ。後、本気にしちゃうから止めて。貴方にはもう居るでしょ?」

零「……そうだな」

 

もはや、精神が歪んできているのかもしれない。

その可能性があることに、酷く絶望した。それがダメなのだ。

 

青蛾「じゃあ、納屋に入ってらっしゃい」

零「あぁ、分かった」

 

俺は、背中に何かが乗っかるような辛さを味わいながら、納屋に入っていった。

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