東方化物脳 ~100%の脳が幻想入り~ 不定期更新 作:薬売り
少し二人で話したいと申し出たので、そこにあった誰かの納屋で話し合うことにした。
紫「その……零?本当に良いのよね?」
零「あぁ。というか、さっきからそう言っているだろう?理論上は可能だしな」
紫「創るのにも膨大な霊力と妖力、それに神力が……」
零「膨大に有り余ってる」
紫「……うん」
なんだ?そんなに信用ならないか?
取りあえず広い土地を結界で囲めばいい。理論上は可能であるはず。
紫「あ、貴方にそこまで負担はかけたくないし…」
零「君が誘ってきたんだろう?」
紫「うぅ……でもぉ……」
ん~何をそんなに遠慮してるのか。やはり、俺が忘れているだけで過去にこいつと何かがあった?
だとしても、思い出せない。
零「ああもう、めんどくせぇ!!んだったら、霊力が豊富な神社の巫女や神主も誘ったら!?」
紫「え……?」
零「その世界。出来た後はどうなる?」
紫「後?」
ハァ…やれやれ。計画性がまるでない。
良いだろう。手伝うと契約を結んだんだ。折角なら助言をしてやるよ。
零「いいか?その世界を創って永遠に平和がくるわけじゃない。平和は只じゃないんだよ」
紫「…なるほど、必ず『異変』が起きる」
零「そうだ。結界で孤立した世界だぜ?妖力と霊力で溢れて仕方がない。暴れたい妖怪も出てくるさ」
紫「……それを解決するために『巫女』、もしくは『神主』と言うわけね」
理解したようだ。
零「しかしだ、油断してはならない」
紫「え、なんで?」
零「その異変を解決する者自身が異変を起こすかもしれない」
紫「……」
零「異変を解決する者は二人以上であり、そして親しい仲や犬猿の仲等の様々な関係性を持たせた方がいい」
紫は納得したように頷いた。同時に肩をすくめた。
紫「しつこいようだけど、本当に覚えてないの?」
零「すまない。やはり、君の顔を見たことはないと、俺の脳が判断している」
紫「そう……昔はこうやって意見を言い合ってたのに…」
だが…分からないものは分からない。
零「聞くが、俺達が出会ったのはいつのことなのだ?」
紫「……いえ、いいわ。もしかしたら、同姓同名の顔が似た人なのかも」
零「そんな人、いるのか?」
紫「存在の否定は出来ないわ」
零「確かにそうだ」
俺は強く肯定したが、心の中では否定した。少なからず、顔のパーツは何処か違うだろうし、久しく会ったにしろ、抱き付くほどの仲の異性の顔を間違えるだろうか?雰囲気だって違うだろうし、態度だって違うはず。
そう思っていたら、戸が開く。
青蛾「零、ちょっと来て」
零「分かった。すまん、少し空ける」
紫「いいわ、気にしないで行ってらっしゃい」
俺は後ろ手で戸を閉め、青蛾の顔を見て聞く。
青蛾「気になったのだけれど、何故彼女の計画に参加したの?」
零「何故って?」
青蛾「きっと、永琳達を匿うためと、彼女のこと、記憶にないから償う為に乗ったのだろうと思うけど、その他に理由があるんじゃないの?」
鋭いな。流石青蛾だ。
零「何故そう思う?」
青蛾「……勘?」
零「結構。ならば教えよう」
青蛾は少し前屈みになった。
零「自身の正体を知るためさ」
青蛾「え?なにか関係が?」
零「力を結界で閉じ込めていれば、自と住民は強くなるだろう。その人達に頼んで一緒に正体を暴いてほしい」
青蛾は少し驚いた様子だった。
零「うむ、自分勝手なのは分かっている。だが…」
青蛾「意外…」
零「え?」
青蛾「意外と気にしてたのね……自分の正体なんて気にも止めてないのかと」
零「おい、それどういう意味だ」
青蛾「そう……でも、私達だけじゃ不満かしら?」
零「ッ!?」
漸く気がついた。これは、青蛾達に対しての侮辱であると。
しかし、今となっては断れない。身勝手すぎる。
零「すまない……だが、多い方が早く分かると思い……」
青蛾「ふふ、良いのよ。別に悪気があったわけじゃないでしょうし」
零「……」
何故、こんなことをしてしまったのだろう。酷い人だ。俺はなんて酷い人間なのか?
青蛾「ほら、彼女の顔を見て」
零「え?」
青蛾が指差したのは芳香だった。
芳香は芋虫の行動に興味を示している。前まではあれほど虫を嫌っていたのに、不思議なものだ。
青蛾「彼女、実は生前の記憶をほんの少しだけ取り戻したそうよ」
零「なにッ!?」
青蛾「いつも蝶に戯れてたでしょう?それで、良い記憶じゃないけど『ユーベ』を思い出したらしいの」
零「………」
青蛾「貴方も、見つかるわ」
そうだな、と応えた。しかし、俺の心は晴れない。
青蛾「もう!!いつまでもイジイジしてたら抱き付くよ!?」
零「……お願いだ」
青蛾「え?」
零「……少し、人肌が恋しい」
青蛾「……う~ん、ダーメ。紫さん、放っておいてイチャつくのは悪いわ。後、本気にしちゃうから止めて。貴方にはもう居るでしょ?」
零「……そうだな」
もはや、精神が歪んできているのかもしれない。
その可能性があることに、酷く絶望した。それがダメなのだ。
青蛾「じゃあ、納屋に入ってらっしゃい」
零「あぁ、分かった」
俺は、背中に何かが乗っかるような辛さを味わいながら、納屋に入っていった。